過去に2度ほどJALの破綻に伴う粉飾決算疑惑に触れましたが、未だに金融監督当局からはこれといった対応はありません。投資家の信任を得なければならないはずの金融の砦(当局)でさえ、国を代表し、且つ膨大な天下り役人を抱える巨大組織を守るためには平気で知らぬ存ぜぬを決め込んでしまう、まるで原発事故前の原子力安全・保安院と同レベルの無責任組織であることが理解できます。日本の投資家は大変です(汗)。
余談ですが今回はコレとは別に仕事仲間から少々呆れるJALの話を聞きました。
彼は九州出張に際していつものようにJALのサイトから、JALダイナミックパッケージと言う「航空券+宿泊」の予約をしたそうです。ところが以前より高い価格が気になって改めて航空券と宿泊を別々に同条件で検索したところ、何と別々に予約したほうが一割以上も安くなることが分かったそうです。しかもこのパックの場合にはフライトも席数も限定的でクラスJも満席表示となっていたらしいのですが、別々ならクラスJの残席もたっぷりあり、且つホテルも同料金であったため、もし個別に予約していれば費用も一割ほど節約でき、しかも希望時刻のフライトや座席も選べていたとの事。それも同じHPから同様の操作で簡単にできるとの話でした。
そこで予約の変更をしようと試みたものの、この予約日は既にキャンセル料が発生する期間に入っていたため、已む無くキャンセルではなく座席の変更だけでも出来ないかと問い合わせたところ、サービスセンター宛ての電話では想定通り存分に待たされた挙句に「HPに記述してある通り一切の変更ができません」と、検討してくれる様子も無く、けんもほろろの対応だったそうです。ちなみにこの顧客対応部署は「JALパック東京センター国内ツアー室」と言うそうです。恐らくオペレーターはJALパックの正社員では無く、下請けのコールセンターのアルバイト社員であったためマニュアル的な対応しかできなかったのでしょう。
彼曰くは…
「通常、日本人のメンタリティーからすれば、パック旅行といえば条件は窮屈なものの価格が安いとの先入観があるはずだが、これはまるでそれを逆手に取った詐欺だ!」と怒っていました。何せパックではなく自由度の高い正規予約のほうが安いのですから。
私もインターネットで検索したところ、まさにその通りで、それこそ気が付かない奴が悪いとでも言いたげな「合法的パック旅行詐欺」と感じました。しかもこれはナショナルフラッグ・キャリアー自身が推奨するパック旅行です!
JALと言えば稲盛会長が中心になり大変なリストラをし、同時にゴロツキ政治家からの不当要求も受けずに済むようになり、やっと再建を遂げた「綺麗になった」会社のはずなのですが、未だにこのような姑息な手段で利益を上げようとする企業体質であることを露呈しています。
読者の皆様は是非「インターネットなら、またはパックなら安い」といった先入観を利用したこのような商法に引っかからぬよう注意をお願いしたいと思います。
JALの株価は9月18日の上場日に3,810円で寄り付いて以来、概ね3,700円を挟んだ動きを続けています。バリュエーションで見ればPER5倍弱、PBR1.4倍、配当利回りで約3%といったところです。収益力が格段と向上したこともあり競合のANAと比べるとバリュエーション面では随分と割安に見えますが、まだ税金も払えていない状態ですし、ボーイング787の問題が発覚するなどもあり、このレベルなら妥当かなと感じる次第です。
但し、またぞろゴロツキ政治家の介入や既得権拡大を狙うゴキブリが繁殖し始めるようだとこの株価も安泰ではないのでしょうね。
さて、"無責任金融当局"(笑)が管理する資本市場ですが、AIJ問題の発覚以来、知り合いの運用会社関係者からは相変わらず様々な話が伝わってきます。重箱の隅をつつくような無意味と思われる検査や形式的な文書作成要求が長く続き、彼ら一様に「事業者の正常な育成を目指した検査と言うより、当局の保身のための検査だった」と言います。
確かにAIJに関与した投資顧問会社の杜撰さはあるものの、箱貸し自体は業務実態が伴えば不正ではありません。当局としては不遜な輩が箱貸しを悪用することを排除したいがために無言の圧力をかけていましたし、そこを忖度した大手は箱貸しを避け(以前は法外な手数料を呑む相手にだけ貸していた会社もあります)、結果としてごく少数の中小運用会社だけが受け皿になっていました。
そんな訳で昨年は中小運用会社(もちろん大半は善良な、大手の金融商品に不満を持つ運用担当者がいる会社)が狙い撃ちで厳密な検査を受け、業務も止まりコストも上がってしまうなどで一層彼らを疲弊させた一年でした。
そのような環境下、某フィナンシャルグループが手掛ける新商品の日経全面広告を見つけました。詳細はお調べいただければ分かりますが、要約すると、自分達で運用する訳では無く海外の有名ファンドに再投資するだけで自分達の仕事は日々の計算業務や毎月分配にかかる手続きなどの管理のみ。それにも拘わらず、販売時手数料3.5%、年間信託報酬1.82%、それ以外にも監査報酬や運用中の各種手数料など(これらは開示されていません)も含めれば、おおよそ初年度約6%、2年目から2%以上の保有コストを投資家が負担する投資信託です。
販売する以外には大した仕事も無く、投資家が3年間持ってくれるだけで販売額の10%もの収入になり、それ以降も毎年2%のフィーがチャリンチャリンと転がり込む、販売金融グループにとって恐ろしいほど身入りの良い商品となっています。果たしてこれで投資家は利益を手にすることが出来るのか?実に怪しいです。欧米の投信でしたら年間1%程度の費用負担がオーソドックスなところですが、大手金融グループが牛耳っている日本の運用市場では良質な金融商品が育つ土壌はありません。
銀行業務で預金を預かり、1%以下のスプレッド(利鞘)で一生懸命貸し付け先を探したり運用したりするのに比べたら、2,000万円もかけて全面広告を打ちたくなるほど、それはそれは美味しい商売なのです。JALのパック旅行同様、「大手が取扱い、専門家が運用する素晴らしい金融商品(パック商品)」…といった見栄えだけのキャッチにはくれぐれも誤魔化されぬよう注意してください。
日本の金融の常識では、大手ほどそのブランド名を前面に出し荒稼ぎを狙います。こんな「胴元丸儲けビジネス」に目をくれてはいけません。地道に海外のプレーンな債券にコストを踏まえて分散投資をしたり、自分で研究して株式投資(不安ならインデックスファンドやETF、REITなどへ)を実行するなどが大事です。石川臨太郎さん銘柄などは配当も高いし値上がりもするしで、いつも指をくわえてみています(苦笑)。
特に昨年後半から世界の金融・経済市場は大きく変化していると考えられます。「円だけで資産を保有するリスク」を再考せねばなりません。期待通りに大きく円安に傾くことが無いにせよ、海外金融市場・海外経済の成長の恩恵を取り込まねば縮小均衡の国内市場に埋没したままになる懸念があります。力のある企業や個人はどんどんと海外に出ていっています。GDPを比較すれば日本はこの20年間で約20%の成長をしましたが、その間に世界では10倍以上の成長をしている国が多数ありますし、今後も大きな成長を遂げる国がでてくると思われます。投資により高成長国の恩恵を取り入れる機会にするとともにインフレへのヘッジにもなり得ます。
海外資産への投資につきましては、監督当局は金商業者に対し「為替リスクを含めたリスク説明」をくどいほど指導しますが、正確には「為替リスク&メリット」として両面をしっかり説明すべきものです。
例として金利5%の外国債券を保有し、5年間持てば単純計算で25%(税引き後で約20%)の利息が入ります。それが仮に5年後までに徐々に20%程度の円安(リーマンショック前の2000年代の平均)にも進めば、元本は2割増、毎年の利子も2割増ですから、累計で投資額の1.5倍近くにもなります。少なくとも5年内の累計で1.05倍(5%の収益)を超えるタイミングで売却できれば国内預金より遥かに良い結果となるのですから、何もしなければメリットを享受できないリスクとも言えます。
株式にしても、3%程度の配当利回りがある株式をタイミング良く買えて、1年後に同価格以上で売却できれば、恐らく預金の30倍程度の投資効果があったことになります。
※売買コストや為替スプレッドは除いてあります。
円預金を貯め込んだ挙句に国内大手金融機関の餌食になるような愚は避けねばなりませんし、そのためには基本的な金融取引や市場の仕組みを勉強するとともに、チャレンジも必要となります。
とは言え、ここ最近の大きな市場変動は金余りの影響や政策的な思惑などにより、債券でも株式でも、また円安にしても少々過熱感が出ていると感じます。相場はこれで終わる訳ではありませんから「まだ上がりそうだ」と感じても無理はせず、休むも相場と心得て投資を楽しんで頂きたいと思っています。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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余談ですが今回はコレとは別に仕事仲間から少々呆れるJALの話を聞きました。
彼は九州出張に際していつものようにJALのサイトから、JALダイナミックパッケージと言う「航空券+宿泊」の予約をしたそうです。ところが以前より高い価格が気になって改めて航空券と宿泊を別々に同条件で検索したところ、何と別々に予約したほうが一割以上も安くなることが分かったそうです。しかもこのパックの場合にはフライトも席数も限定的でクラスJも満席表示となっていたらしいのですが、別々ならクラスJの残席もたっぷりあり、且つホテルも同料金であったため、もし個別に予約していれば費用も一割ほど節約でき、しかも希望時刻のフライトや座席も選べていたとの事。それも同じHPから同様の操作で簡単にできるとの話でした。
そこで予約の変更をしようと試みたものの、この予約日は既にキャンセル料が発生する期間に入っていたため、已む無くキャンセルではなく座席の変更だけでも出来ないかと問い合わせたところ、サービスセンター宛ての電話では想定通り存分に待たされた挙句に「HPに記述してある通り一切の変更ができません」と、検討してくれる様子も無く、けんもほろろの対応だったそうです。ちなみにこの顧客対応部署は「JALパック東京センター国内ツアー室」と言うそうです。恐らくオペレーターはJALパックの正社員では無く、下請けのコールセンターのアルバイト社員であったためマニュアル的な対応しかできなかったのでしょう。
彼曰くは…
「通常、日本人のメンタリティーからすれば、パック旅行といえば条件は窮屈なものの価格が安いとの先入観があるはずだが、これはまるでそれを逆手に取った詐欺だ!」と怒っていました。何せパックではなく自由度の高い正規予約のほうが安いのですから。
私もインターネットで検索したところ、まさにその通りで、それこそ気が付かない奴が悪いとでも言いたげな「合法的パック旅行詐欺」と感じました。しかもこれはナショナルフラッグ・キャリアー自身が推奨するパック旅行です!
JALと言えば稲盛会長が中心になり大変なリストラをし、同時にゴロツキ政治家からの不当要求も受けずに済むようになり、やっと再建を遂げた「綺麗になった」会社のはずなのですが、未だにこのような姑息な手段で利益を上げようとする企業体質であることを露呈しています。
読者の皆様は是非「インターネットなら、またはパックなら安い」といった先入観を利用したこのような商法に引っかからぬよう注意をお願いしたいと思います。
JALの株価は9月18日の上場日に3,810円で寄り付いて以来、概ね3,700円を挟んだ動きを続けています。バリュエーションで見ればPER5倍弱、PBR1.4倍、配当利回りで約3%といったところです。収益力が格段と向上したこともあり競合のANAと比べるとバリュエーション面では随分と割安に見えますが、まだ税金も払えていない状態ですし、ボーイング787の問題が発覚するなどもあり、このレベルなら妥当かなと感じる次第です。
但し、またぞろゴロツキ政治家の介入や既得権拡大を狙うゴキブリが繁殖し始めるようだとこの株価も安泰ではないのでしょうね。
さて、"無責任金融当局"(笑)が管理する資本市場ですが、AIJ問題の発覚以来、知り合いの運用会社関係者からは相変わらず様々な話が伝わってきます。重箱の隅をつつくような無意味と思われる検査や形式的な文書作成要求が長く続き、彼ら一様に「事業者の正常な育成を目指した検査と言うより、当局の保身のための検査だった」と言います。
確かにAIJに関与した投資顧問会社の杜撰さはあるものの、箱貸し自体は業務実態が伴えば不正ではありません。当局としては不遜な輩が箱貸しを悪用することを排除したいがために無言の圧力をかけていましたし、そこを忖度した大手は箱貸しを避け(以前は法外な手数料を呑む相手にだけ貸していた会社もあります)、結果としてごく少数の中小運用会社だけが受け皿になっていました。
そんな訳で昨年は中小運用会社(もちろん大半は善良な、大手の金融商品に不満を持つ運用担当者がいる会社)が狙い撃ちで厳密な検査を受け、業務も止まりコストも上がってしまうなどで一層彼らを疲弊させた一年でした。
そのような環境下、某フィナンシャルグループが手掛ける新商品の日経全面広告を見つけました。詳細はお調べいただければ分かりますが、要約すると、自分達で運用する訳では無く海外の有名ファンドに再投資するだけで自分達の仕事は日々の計算業務や毎月分配にかかる手続きなどの管理のみ。それにも拘わらず、販売時手数料3.5%、年間信託報酬1.82%、それ以外にも監査報酬や運用中の各種手数料など(これらは開示されていません)も含めれば、おおよそ初年度約6%、2年目から2%以上の保有コストを投資家が負担する投資信託です。
販売する以外には大した仕事も無く、投資家が3年間持ってくれるだけで販売額の10%もの収入になり、それ以降も毎年2%のフィーがチャリンチャリンと転がり込む、販売金融グループにとって恐ろしいほど身入りの良い商品となっています。果たしてこれで投資家は利益を手にすることが出来るのか?実に怪しいです。欧米の投信でしたら年間1%程度の費用負担がオーソドックスなところですが、大手金融グループが牛耳っている日本の運用市場では良質な金融商品が育つ土壌はありません。
銀行業務で預金を預かり、1%以下のスプレッド(利鞘)で一生懸命貸し付け先を探したり運用したりするのに比べたら、2,000万円もかけて全面広告を打ちたくなるほど、それはそれは美味しい商売なのです。JALのパック旅行同様、「大手が取扱い、専門家が運用する素晴らしい金融商品(パック商品)」…といった見栄えだけのキャッチにはくれぐれも誤魔化されぬよう注意してください。
日本の金融の常識では、大手ほどそのブランド名を前面に出し荒稼ぎを狙います。こんな「胴元丸儲けビジネス」に目をくれてはいけません。地道に海外のプレーンな債券にコストを踏まえて分散投資をしたり、自分で研究して株式投資(不安ならインデックスファンドやETF、REITなどへ)を実行するなどが大事です。石川臨太郎さん銘柄などは配当も高いし値上がりもするしで、いつも指をくわえてみています(苦笑)。
特に昨年後半から世界の金融・経済市場は大きく変化していると考えられます。「円だけで資産を保有するリスク」を再考せねばなりません。期待通りに大きく円安に傾くことが無いにせよ、海外金融市場・海外経済の成長の恩恵を取り込まねば縮小均衡の国内市場に埋没したままになる懸念があります。力のある企業や個人はどんどんと海外に出ていっています。GDPを比較すれば日本はこの20年間で約20%の成長をしましたが、その間に世界では10倍以上の成長をしている国が多数ありますし、今後も大きな成長を遂げる国がでてくると思われます。投資により高成長国の恩恵を取り入れる機会にするとともにインフレへのヘッジにもなり得ます。
海外資産への投資につきましては、監督当局は金商業者に対し「為替リスクを含めたリスク説明」をくどいほど指導しますが、正確には「為替リスク&メリット」として両面をしっかり説明すべきものです。
例として金利5%の外国債券を保有し、5年間持てば単純計算で25%(税引き後で約20%)の利息が入ります。それが仮に5年後までに徐々に20%程度の円安(リーマンショック前の2000年代の平均)にも進めば、元本は2割増、毎年の利子も2割増ですから、累計で投資額の1.5倍近くにもなります。少なくとも5年内の累計で1.05倍(5%の収益)を超えるタイミングで売却できれば国内預金より遥かに良い結果となるのですから、何もしなければメリットを享受できないリスクとも言えます。
株式にしても、3%程度の配当利回りがある株式をタイミング良く買えて、1年後に同価格以上で売却できれば、恐らく預金の30倍程度の投資効果があったことになります。
※売買コストや為替スプレッドは除いてあります。
円預金を貯め込んだ挙句に国内大手金融機関の餌食になるような愚は避けねばなりませんし、そのためには基本的な金融取引や市場の仕組みを勉強するとともに、チャレンジも必要となります。
とは言え、ここ最近の大きな市場変動は金余りの影響や政策的な思惑などにより、債券でも株式でも、また円安にしても少々過熱感が出ていると感じます。相場はこれで終わる訳ではありませんから「まだ上がりそうだ」と感じても無理はせず、休むも相場と心得て投資を楽しんで頂きたいと思っています。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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