本年最終号をお送りします。いつもご愛読いただきありがとうございます。
今年は1月5日の年初号とこの最終号を担当することにご縁を感じています。
年初の1月5日号で2011年の十干十二支(60年サイクル)「辛・卯」にふれました。「辛」は刀で刺す事を意味し「新」に通じ、「卯」は芽や葉が「茂る」に通じ、何かが壊されて新しい芽が出て茂る、と言われる話をお伝えしました。
今年、日本では天災とその直後に起きた原発事故という人災がこれまでの想定外とされていた事象が次々に現実の恐怖となりました。
海外では、チュニジアから始まったジャスミン革命から民衆による運動が広がり、アフリカや中東の独裁者国家を壊しました。また、ウォール街で格差是正を叫んだデモ隊は勿論のこと、ロシアでは選挙がらみで、中国でも農民による政府抗議運動はこれまで見られなかった動きです。
金融の世界では金融の肝である「信用」問題が根底から揺らぎ、資産運用に新たな問題を提起しましたし、国債というノーリスクとされた投資対象がその投資適格度を問われるという想定外の状況がおきました。格下げ機関による先進国の高信用格付け債券の相次ぐ格下げは、自己資本比率の向上という背景もあってリスクゼロの国債を大量に保有する金融機関のバランスシートを直撃し信用度の低下から資金調達を困難にして、新たな金融危機という瀬戸際の緊迫した状況に追い込みました。その後多少緩和したと見られますが、薄氷のごとくだと思います。油断は禁物でしょう。
ご存知のように、欧州債務問題はギリシャから始まり、いわゆるPIIGSと呼ばれる主に南欧諸国に飛び火、特にユーロ圏第三番目の大国であるイタリーに飛び火。その火種はコア国であるフランスやドイツの信用度低下にもつながりました。フランス国債の格下げも事あるごとに噂されます。この欧州債務問題が市場の大きな火種と認識されてきてから2年が経過しました。その間、様々な問題国への救済政策が打たれましたが、一枚岩でなく欧州共同体小出し対応は市場のスピード反応には遅れをとり、また、今年前半の欧州中銀によるインフレを理由にした2度の利上げもその後の景気に悪影響を及ぼした感があります。政策の遅れやミスは容赦なく市場のターゲットにされます。
さて、今年の為替市場のベストパフォーマーは日本円であることはよく知られていますが、とにかく対主要通貨でダントツです。主要通貨中、対円で最も売られたのが南アフリカランドで年初来マイナス22%弱、ブラジル・レアルはマイナス14%強など新興国通貨の売りが目立ち、ユーロは6%強、豪ドルは5%弱ちょっとの下落です。また、6月に量的緩和第二弾を終りにし、その後は超短期金利の約2年間継続のみを決めた米国。その米ドルは夏まで売られ続けましたが、ギリシャの債務再編が言われ出した秋以降には実需のドル需要にもつながり切り返しました。とは言え、長いスパンでのドル売りトレンドには確かなピリオードは打たれた兆しは未だ見られません。
今後は先進国の低金利政策の長期化、緊縮財政により従来の財政政策が打てない状態ですので経済は低成長、回復への道のりは長期化を余儀なくされるものと予想されます。日本を含めたどの先進国も財政問題を抱えた現在。どの国に負のスポットが浴びせられても不思議ではありません。
10月31日に75円35銭という対ドルで戦後最安値をつけたドル・円。日本政府による大規模介入後、円は77円〜78円を往復して小康状態です。財政問題や低成長などの理由から円が買われる事に違和感を持たれる方も多いと思います。日本のデフレや海外資産の取り崩しによる円回帰が円高の背景とも考えられますが、今後日本の財政問題に本格的な負のスポットがあたり狙いうちされる可能性も否定できません。最近気になるのは、日本国債のCDS(債券保証料取引)がじわじわ上昇して来ている事です。変化はじわじわ作られ、ある日突然姿を大きく現します。
激動の「辛・卯」の2011年の次は「壬・辰」。一説によると、社会の仕組みを変える端緒が切られる時期を意味するのだそうです。従来の思考の陳腐化、価値観の多元化などが見られるのでしょうか。市場の変化にも敏感に対応していきたいものです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
本年のご愛読に重ねて感謝申し上げるとともに、読者の皆さまには良いお年をお迎えください。
*本号の情報は12月27日のアジア時間の終値レベルをベースにしています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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今年は1月5日の年初号とこの最終号を担当することにご縁を感じています。
年初の1月5日号で2011年の十干十二支(60年サイクル)「辛・卯」にふれました。「辛」は刀で刺す事を意味し「新」に通じ、「卯」は芽や葉が「茂る」に通じ、何かが壊されて新しい芽が出て茂る、と言われる話をお伝えしました。
今年、日本では天災とその直後に起きた原発事故という人災がこれまでの想定外とされていた事象が次々に現実の恐怖となりました。
海外では、チュニジアから始まったジャスミン革命から民衆による運動が広がり、アフリカや中東の独裁者国家を壊しました。また、ウォール街で格差是正を叫んだデモ隊は勿論のこと、ロシアでは選挙がらみで、中国でも農民による政府抗議運動はこれまで見られなかった動きです。
金融の世界では金融の肝である「信用」問題が根底から揺らぎ、資産運用に新たな問題を提起しましたし、国債というノーリスクとされた投資対象がその投資適格度を問われるという想定外の状況がおきました。格下げ機関による先進国の高信用格付け債券の相次ぐ格下げは、自己資本比率の向上という背景もあってリスクゼロの国債を大量に保有する金融機関のバランスシートを直撃し信用度の低下から資金調達を困難にして、新たな金融危機という瀬戸際の緊迫した状況に追い込みました。その後多少緩和したと見られますが、薄氷のごとくだと思います。油断は禁物でしょう。
ご存知のように、欧州債務問題はギリシャから始まり、いわゆるPIIGSと呼ばれる主に南欧諸国に飛び火、特にユーロ圏第三番目の大国であるイタリーに飛び火。その火種はコア国であるフランスやドイツの信用度低下にもつながりました。フランス国債の格下げも事あるごとに噂されます。この欧州債務問題が市場の大きな火種と認識されてきてから2年が経過しました。その間、様々な問題国への救済政策が打たれましたが、一枚岩でなく欧州共同体小出し対応は市場のスピード反応には遅れをとり、また、今年前半の欧州中銀によるインフレを理由にした2度の利上げもその後の景気に悪影響を及ぼした感があります。政策の遅れやミスは容赦なく市場のターゲットにされます。
さて、今年の為替市場のベストパフォーマーは日本円であることはよく知られていますが、とにかく対主要通貨でダントツです。主要通貨中、対円で最も売られたのが南アフリカランドで年初来マイナス22%弱、ブラジル・レアルはマイナス14%強など新興国通貨の売りが目立ち、ユーロは6%強、豪ドルは5%弱ちょっとの下落です。また、6月に量的緩和第二弾を終りにし、その後は超短期金利の約2年間継続のみを決めた米国。その米ドルは夏まで売られ続けましたが、ギリシャの債務再編が言われ出した秋以降には実需のドル需要にもつながり切り返しました。とは言え、長いスパンでのドル売りトレンドには確かなピリオードは打たれた兆しは未だ見られません。
今後は先進国の低金利政策の長期化、緊縮財政により従来の財政政策が打てない状態ですので経済は低成長、回復への道のりは長期化を余儀なくされるものと予想されます。日本を含めたどの先進国も財政問題を抱えた現在。どの国に負のスポットが浴びせられても不思議ではありません。
10月31日に75円35銭という対ドルで戦後最安値をつけたドル・円。日本政府による大規模介入後、円は77円〜78円を往復して小康状態です。財政問題や低成長などの理由から円が買われる事に違和感を持たれる方も多いと思います。日本のデフレや海外資産の取り崩しによる円回帰が円高の背景とも考えられますが、今後日本の財政問題に本格的な負のスポットがあたり狙いうちされる可能性も否定できません。最近気になるのは、日本国債のCDS(債券保証料取引)がじわじわ上昇して来ている事です。変化はじわじわ作られ、ある日突然姿を大きく現します。
激動の「辛・卯」の2011年の次は「壬・辰」。一説によると、社会の仕組みを変える端緒が切られる時期を意味するのだそうです。従来の思考の陳腐化、価値観の多元化などが見られるのでしょうか。市場の変化にも敏感に対応していきたいものです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
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*本号の情報は12月27日のアジア時間の終値レベルをベースにしています。
式町 みどり拝
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