先日、街中を歩いていましたら、何台かの都バスの外側に派手な広告(ラッピング広告)で「国民年金基金」の広告がやたら目につく印象を受けました。
それで思い出したのが先日の「安愚楽牧場」の広告のこと。「安愚楽牧場」は今年に入って、雑誌やwebでの露出が増えて安定した高利回りを盛んに訴えていた様子が、伝わっています。
確かに私も浜松町〜羽田間の「モノレール」に乗るときも看板広告を見かけた気がします。
安愚楽牧場の結果は、皆さんもご存じの通りこの8月に4,000億円以上もの負債を抱えて民事再生することになってしまいました。
賢明な投資家の皆さんであれば、安愚楽牧場がやっていることは後からの出資者の出資金が、先の出資者の返還金に回っている自転車操業状態であったことが十分にわかっていたことと思います。
話を元に戻しますと、私が先日都バスの「国民年金基金」の広告を見かけたときにも
「これは、きっと内情は自転車操業状態になってるのではないだろうか?」
と直感的に感じたのです。
ということで、気になる「国民年金基金」の財政状況を調べてみることにしました。
「国民年金基金」の財政状況についてはホームページで確認できます。
http://www.npfa.or.jp/jigyo/finance/index.html
その点は、安愚楽牧場はホームページでは財政状況がわからない点で、より投資には不向きであったことがわかります。
さて国民年金基金の財務状況は
給付確保事業(基金1口目)について調べると(単位:億円
1資産額 2責任準備金 3実質過不足(1−2)
平成12年度 6,836 7,489 △653
平成13年度 7,156 8,487 △1,331
平成14年度 6,704 9,467 △2,763
平成15年度 8,613 10,601 △1,988
平成16年度 9,652 11,584 △1,931
平成17年度 12,154 12,572 △418
平成18年度 13,280 13,596 △316
平成19年度 12,007 14,503 △2,496
平成20年度 9,735 15,684 △5,948
と公表されています。(HPより引用)
責任準備金とは将来の保険金支払いの為に本来積み立てておかなければいけない金額になります。
驚くのは、過去10年以降この責任準備金が不足した状態で運営されているというリスクです。
これが民間の保険会社であれば、「責任準備金」は金融庁に厳しくチェックされますので積立不足はすぐに解消されるはずですが、国民年金基金の場合には、そのようなチェック機能が無いままに放置されているのでしょうか?
さらに驚いたのは、運用報告の中で自ら
「国民年金基金制度は平成21年度時点では給付費(787億円)は掛金収入(1308億円)の6割程度と掛金収入が給付費を上回っている状態であることから、長期的な視点からの資産運用に適した環境であるといえます。」
と述べており、現在のところは全く問題がないと結論付けている所にあります。
これでは、常に自転車操業であった安愚楽牧場の主張とそれほど変わるものでもありません。問題は先送りにされていますが、いつかは顕在化するものです。
「国民年金基金」は確かに、税効果も高く、一見個人事業主や自営業者にとっては良い商品のように見受けられます(実際そう謳っています)。
しかし、年金制度ももちろん「投資」の一種ですので、こうした制度に内包するリスクについても十分認識をしておかなければいけません。
以上の事を、都バスの広告を見て思った次第です。
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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それで思い出したのが先日の「安愚楽牧場」の広告のこと。「安愚楽牧場」は今年に入って、雑誌やwebでの露出が増えて安定した高利回りを盛んに訴えていた様子が、伝わっています。
確かに私も浜松町〜羽田間の「モノレール」に乗るときも看板広告を見かけた気がします。
安愚楽牧場の結果は、皆さんもご存じの通りこの8月に4,000億円以上もの負債を抱えて民事再生することになってしまいました。
賢明な投資家の皆さんであれば、安愚楽牧場がやっていることは後からの出資者の出資金が、先の出資者の返還金に回っている自転車操業状態であったことが十分にわかっていたことと思います。
話を元に戻しますと、私が先日都バスの「国民年金基金」の広告を見かけたときにも
「これは、きっと内情は自転車操業状態になってるのではないだろうか?」
と直感的に感じたのです。
ということで、気になる「国民年金基金」の財政状況を調べてみることにしました。
「国民年金基金」の財政状況についてはホームページで確認できます。
http://www.npfa.or.jp/jigyo/finance/index.html
その点は、安愚楽牧場はホームページでは財政状況がわからない点で、より投資には不向きであったことがわかります。
さて国民年金基金の財務状況は
給付確保事業(基金1口目)について調べると(単位:億円
1資産額 2責任準備金 3実質過不足(1−2)
平成12年度 6,836 7,489 △653
平成13年度 7,156 8,487 △1,331
平成14年度 6,704 9,467 △2,763
平成15年度 8,613 10,601 △1,988
平成16年度 9,652 11,584 △1,931
平成17年度 12,154 12,572 △418
平成18年度 13,280 13,596 △316
平成19年度 12,007 14,503 △2,496
平成20年度 9,735 15,684 △5,948
と公表されています。(HPより引用)
責任準備金とは将来の保険金支払いの為に本来積み立てておかなければいけない金額になります。
驚くのは、過去10年以降この責任準備金が不足した状態で運営されているというリスクです。
これが民間の保険会社であれば、「責任準備金」は金融庁に厳しくチェックされますので積立不足はすぐに解消されるはずですが、国民年金基金の場合には、そのようなチェック機能が無いままに放置されているのでしょうか?
さらに驚いたのは、運用報告の中で自ら
「国民年金基金制度は平成21年度時点では給付費(787億円)は掛金収入(1308億円)の6割程度と掛金収入が給付費を上回っている状態であることから、長期的な視点からの資産運用に適した環境であるといえます。」
と述べており、現在のところは全く問題がないと結論付けている所にあります。
これでは、常に自転車操業であった安愚楽牧場の主張とそれほど変わるものでもありません。問題は先送りにされていますが、いつかは顕在化するものです。
「国民年金基金」は確かに、税効果も高く、一見個人事業主や自営業者にとっては良い商品のように見受けられます(実際そう謳っています)。
しかし、年金制度ももちろん「投資」の一種ですので、こうした制度に内包するリスクについても十分認識をしておかなければいけません。
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株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
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