過去2回に渡って、ドバイやアブダビについて執筆してきましたが、本日はドバイのビジネスに焦点を当てたいと思います。
皆さんはドバイの主力産業と言えば、どの産業を思い浮かべるでしょうか。不動産と答える方が多いでしょうか。確かに、ドバイの不動産業は活発です。私が投資を行っている政府系のデベロッパーEmaar(エマール)も、ドバイのみならず、サウジアラビアやエジプト、モロッコ、トルコなど、今後、経済の急成長が予測されるMENA(Middle East and North Africa:中東/北アフリカ地域)で広く事業展開をしていることが魅力です。
Emaarが手掛けている中でも、サウジアラビアのプロジェクトは巨大です。サウジアラビアは世界最大の原油埋蔵量を誇っていますが、人口が2,500万人と他の湾岸諸国と比較して多く、出生率が約3.8と非常に高いため、今後急激な人口増加が想定されます。
職業機会を創出する緊急性から、政府主導の巨大プロジェクトがいくつも企画されていますが、Emaarが手掛ける、King Abdullah Economic Cityは、何もない砂漠に金融特区や工場、世界最高レベルの大学院大学を設立し、2020年の完成時には人口200万人の都市を作り上げるという野心的なプロジェクトです。
投じられる予算は約8兆円と、人類史上最大クラスのプロジェクトですが、その統括デベロッパーにEmaarが選ばれていることは、ドバイの巨大プロジェクトで培った、マネジメント力が高く評価されている証左だと考えています。
但し、前回のドバイの成り立ちでも書きましたが、ドバイが興隆する一番の要因になったのは、港を整備し、ビジネス特区を作ることで、ヒト/モノ/カネを集める場所づくりをしたことにあります。それは今も変わらず、ドバイにおいて交通や貿易は非常に重要な産業になります。
皆さんは、Emirates(エミレーツ)航空という名前をお聞きになったことはありますでしょうか?ドバイ政府が100%株式を所有する航空会社で、1985年の設立から僅か25年で、海外便の総営業距離(海外便の顧客数×顧客1人あたりの平均移動距離)で、世界最大の航空会社になりました。
エミレーツは最近、成田空港に就航しまして、東京からドバイまで直行便で行けるようになりました。エミレーツは会社の規模だけでなく、そのサービスのクオリティでも高い評価を受けています。現在、世界最大の飛行機エアバス380のエミレーツのファーストクラスには、商業航空便として史上初のシャワーが装着されています。余裕がある方は是非試されることをお勧めします。
ドバイショック以降、超巨大な不動産開発にはさすがに少しブレーキを掛けなければならない分、ドバイ政府はその本来の魅力であるヒト/モノ/カネを集めるハブ都市としての機能を高めることに注力していくようです。
ドバイには既に、利用客数で世界15位、取り扱い貨物量で世界7位のドバイ国際空港が存在します。しかし、ドバイは現在、エアバス380も離発着可能な4,500メートルの滑走路を5つ備えた、Al Maktoum International
Airport(アル・マクトゥーム国際空港)の整備を進めています。
アル・マクトゥーム国際空港は完成すれば、利用者数が1億6,000万人(現在の世界最大はアトランタ国際空港の約9,000万人)、取り扱い貨物量で1,200万トン(現在の世界最大はテネシー州にあるメンフィス国際空港の370万トン)と、現行の世界最大をはるかに上回る規模になる予定です。
この空港を起点に、その頃は国内便を含めても世界最大の航空会社になっているであろうエミレーツ空港が、世界中の全ての主要都市と直行便で行き来できるようになったときに、ドバイはヒト/モノ/カネをグローバルに集める、世界で最高のハブ都市となるに違いないと期待しています。
アル・マクトゥーム空港は昨日から一部で開港していますが、全体が完成するのは2020年になります。空港名は”マクトゥーム家の空港”という意味で、ドバイ首長の一族名が冠されていますが、世界最高層Burj Dubaiが直前に、Burj Khalifaとアブダビ首長の名前に変わってしまったような失態を繰り返さず、無事、ドバイのみの力で完成までこぎつけることを願っています。
次回は、ドバイを取り巻く、ペルシャ湾岸諸国について書きたいと思います。
S&S investments
岡村 聡
【プロフィール】
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。
2010年6月より、投資アドバイス会社S&S investments起業。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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皆さんはドバイの主力産業と言えば、どの産業を思い浮かべるでしょうか。不動産と答える方が多いでしょうか。確かに、ドバイの不動産業は活発です。私が投資を行っている政府系のデベロッパーEmaar(エマール)も、ドバイのみならず、サウジアラビアやエジプト、モロッコ、トルコなど、今後、経済の急成長が予測されるMENA(Middle East and North Africa:中東/北アフリカ地域)で広く事業展開をしていることが魅力です。
Emaarが手掛けている中でも、サウジアラビアのプロジェクトは巨大です。サウジアラビアは世界最大の原油埋蔵量を誇っていますが、人口が2,500万人と他の湾岸諸国と比較して多く、出生率が約3.8と非常に高いため、今後急激な人口増加が想定されます。
職業機会を創出する緊急性から、政府主導の巨大プロジェクトがいくつも企画されていますが、Emaarが手掛ける、King Abdullah Economic Cityは、何もない砂漠に金融特区や工場、世界最高レベルの大学院大学を設立し、2020年の完成時には人口200万人の都市を作り上げるという野心的なプロジェクトです。
投じられる予算は約8兆円と、人類史上最大クラスのプロジェクトですが、その統括デベロッパーにEmaarが選ばれていることは、ドバイの巨大プロジェクトで培った、マネジメント力が高く評価されている証左だと考えています。
但し、前回のドバイの成り立ちでも書きましたが、ドバイが興隆する一番の要因になったのは、港を整備し、ビジネス特区を作ることで、ヒト/モノ/カネを集める場所づくりをしたことにあります。それは今も変わらず、ドバイにおいて交通や貿易は非常に重要な産業になります。
皆さんは、Emirates(エミレーツ)航空という名前をお聞きになったことはありますでしょうか?ドバイ政府が100%株式を所有する航空会社で、1985年の設立から僅か25年で、海外便の総営業距離(海外便の顧客数×顧客1人あたりの平均移動距離)で、世界最大の航空会社になりました。
エミレーツは最近、成田空港に就航しまして、東京からドバイまで直行便で行けるようになりました。エミレーツは会社の規模だけでなく、そのサービスのクオリティでも高い評価を受けています。現在、世界最大の飛行機エアバス380のエミレーツのファーストクラスには、商業航空便として史上初のシャワーが装着されています。余裕がある方は是非試されることをお勧めします。
ドバイショック以降、超巨大な不動産開発にはさすがに少しブレーキを掛けなければならない分、ドバイ政府はその本来の魅力であるヒト/モノ/カネを集めるハブ都市としての機能を高めることに注力していくようです。
ドバイには既に、利用客数で世界15位、取り扱い貨物量で世界7位のドバイ国際空港が存在します。しかし、ドバイは現在、エアバス380も離発着可能な4,500メートルの滑走路を5つ備えた、Al Maktoum International
Airport(アル・マクトゥーム国際空港)の整備を進めています。
アル・マクトゥーム国際空港は完成すれば、利用者数が1億6,000万人(現在の世界最大はアトランタ国際空港の約9,000万人)、取り扱い貨物量で1,200万トン(現在の世界最大はテネシー州にあるメンフィス国際空港の370万トン)と、現行の世界最大をはるかに上回る規模になる予定です。
この空港を起点に、その頃は国内便を含めても世界最大の航空会社になっているであろうエミレーツ空港が、世界中の全ての主要都市と直行便で行き来できるようになったときに、ドバイはヒト/モノ/カネをグローバルに集める、世界で最高のハブ都市となるに違いないと期待しています。
アル・マクトゥーム空港は昨日から一部で開港していますが、全体が完成するのは2020年になります。空港名は”マクトゥーム家の空港”という意味で、ドバイ首長の一族名が冠されていますが、世界最高層Burj Dubaiが直前に、Burj Khalifaとアブダビ首長の名前に変わってしまったような失態を繰り返さず、無事、ドバイのみの力で完成までこぎつけることを願っています。
次回は、ドバイを取り巻く、ペルシャ湾岸諸国について書きたいと思います。
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岡村 聡
【プロフィール】
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。
2010年6月より、投資アドバイス会社S&S investments起業。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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