グローバル投資のポイント(148)

JUGEMテーマ:ビジネス

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■楽観できない日本景気持ち直しの動き■

 7月30日に発表された6月の鉱工業生産指数(生産指数)は、前月比プラス2.4%と、4カ月連続の上昇となりました。これにより、4−6月期の生産指数は、前期比プラス8.3%と、5四半期ぶりの上昇に転じています。生産指数と同時に発表された生産予測指数は、7月が前月比プラス1.6%、8月が同プラス3.3%となっています。仮に7、8月の生産指数が、生産予測指数と同じ結果となり、9月が8月と同じ水準となると仮定すれば、7−9月期の生産指数は、前期比プラス7.4%と、4−6月期と同じように、高い伸びが続くことになります。

 一般に生産指数は、実質GDP成長率との連動性が強いと考えられています。このため、エコノミストなど市場関係者の多くは、生産指数の強さから、日本の実質GDP成長率は、4−6月期は大きくプラスになるだろうし、おそらく7−9月期も、それなりに高い伸びを示すだろうと考えています。

 4−6月期だけでなく、7−9月期の成長率もプラスが期待できそう、いうこともあり、日本の景気が(ようやく)持ち直してきたと考えてよさそうです。ただ、日本景気が、このまま冬場から来年にかけて順調に回復を続けるかというと、そこまで楽観的に考えないほうがよいように思われます。

 もっとも懸念されるのが、足元の生産指数の上昇は、行き過ぎた在庫調整の反動による部分が大きいことです。1−3月期の生産指数は、前期比マイナス22.1%と、過去に例を見ないペースで落ち込みました。この結果、出荷が少し持ち直しただけで、在庫不足となり、生産活動を急ピッチで増やす必要が出ています。

 それにもかかわらず、在庫の状況を示す在庫指数は、6月時点で95.4と、現基準で最低です。在庫水準が低いことから、まだしばらくは増産の動きが続くでしょうが、在庫水準がある程度戻ってきたら、増産を続ける必要性も薄れます。

 このため増産が続くには、在庫調整の反動だけでなく、出荷の回復が必要となります。国内の自動車・家電購入支援策や、各国の経済対策を背景とした輸出拡大が、出荷の回復を後押しするでしょうが、時間とともに政策効果は、低減するのが一般的です。在庫調整の反動がなくなるであろう冬場(10−12月期)あたりから、政策効果も低減すると、生産指数の伸びが一気に落ち込むシナリオも、それなりに現実味があるように思われます。

 生産指数の上昇という明るい話に水を指すのは心苦しいものですが、こういうときこそ、一歩下がり、より広い時間軸で景気の先行きを考えることが有益にも思えます。

村田雅志(むらた・まさし)
(FXCMジャパン・チーフエコノミスト)

<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。
2005年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
2009年4月より専修大学客員教授。
2009年6月より現職。

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世界進出する韓国企業

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 社会人になってから毎年テーマを持ちながら海外旅行をしており、これまで訪問した国も約50カ国になった。東欧、ヨーロッパ、北アフリカ、東南アジア等々、日本人を旅行中、一人も見かけない事もしばしばあるのだが、そのどこの国でも共通して発見した事がある。それは韓国企業が大々的に進出しているという事である。
 新興国で国の玄関とも呼ばれる首都の空港のほとんどのスクリーンが韓国製品だったり、空港内の大型看板公告も韓国企業であるものを何度も目にした。白物家電、自動車等々進出分野は様々で、SAMSUNG、LG、現代等々のロゴマークを至る所で見た。低価格で品質も良くなっている為、日本勢商品が隅に追い出されているという家電量販店もいくつもあった。

 先日聞いた話だがインドでは客間は高品質の日本製商品を置き、プライベート用の部屋には韓国製商品を置くという徹底した所もあるようで明らかに時代が変わった感がある。
 自国市場がそれほど大きくない為に海外へ積極攻勢をかけているという点では、いつかの我が国のようであるが、ご存知の通り同国では教育にも相当な力を入れており、教育水準で我が国と比較して国力の差として現れるのもそう遠くないように思われる。
 マレーシアは韓国より物価が安く、そして英語で高等教育が受けられ、且つイスラム圏の人脈を作れるという事で沢山の韓国人の親子を眼にした。多くの家庭で父親は韓国で働き、母子だけで教育の為に移住してきているとの事であった。この徹底ぶりは我が国も見習った方が良いのかもしれない。

 最近ではGS建設、現代建設、現代重工業の3社が、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビで発注された49億ドル(約4601億円)規模のガスプラント工事を受注したという記事が掲載されていた。
関連記事
 現在のウォン安で受注しやすい環境になっているとは思うが、専門家に言わせると常識外の値段のようである。これが何を意味するかについては深く考えないといけない。
 過去にも韓国が受注した案件で後に問題になっている所はある。マレーシアのタクシー運転手に聞いた話だが、クアラルンプールのペトロナスタワーのTWINタワーの片方を日本企業が、そしてもう一つを韓国企業が受注しているのだが、韓国側タワーがピサの斜塔までいかないにしても傾き始めているという事である。
 確かに過去に韓国企業によるこのような事例はあるのだが、様々な所で日本勢がシェアを奪われているというのは、一消費者の私の目から見ても明白である。世界的にみて日本の製品技術は最高品質で、そしてイメージが良いのだが、韓国勢の追い上げは目を見張る、上記のようなクオリティー面のキャッチアップも行われるのは間違いない。

 現段階ではまだ先行する立場にある多くの日本企業であるが、このような環境を活かし、次への戦略的一手、そして戦略的パートナーを見つけた所が今後生き残る企業であろう。

(番頭さん)

【筆者プロフィール】
 大学卒業後、某都市銀行勤務、某外資銀行勤務を経て独立。専門は個人富裕層業務。
 幼少期に6年間ドイツで過ごし帰国、その時の経験が後の人生に大きく影響。
日本人の基本的なフィナンシャルリテラシーの向上を願いつつ日々奔走中。

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても当方は一切の責任を負いません。)

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億の近道2009/07/31

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投資情報メールマガジン                   2009/07/31
             イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週5回発行
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【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析やコラムを参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

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             −本日の目次−
        (本日の担当:村田雅志&番頭さん)

    ◆コラム「グローバル投資のポイント(148)」:村田 雅志
    ◆コラム「世界進出する韓国企業」:番頭さん

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◆コラム「グローバル投資のポイント(148)」

■楽観できない日本景気持ち直しの動き■

 7月30日に発表された6月の鉱工業生産指数(生産指数)は、前月比プラ
ス2.4%と、4カ月連続の上昇となりました。これにより、4−6月期の生
産指数は、前期比プラス8.3%と、5四半期ぶりの上昇に転じています。生
産指数と同時に発表された生産予測指数は、7月が前月比プラス1.6%、8
月が同プラス3.3%となっています。仮に7、8月の生産指数が、生産予測
指数と同じ結果となり、9月が8月と同じ水準となると仮定すれば、7−9月
期の生産指数は、前期比プラス7.4%と、4−6月期と同じように、高い伸
びが続くことになります。

 一般に生産指数は、実質GDP成長率との連動性が強いと考えられています。
このため、エコノミストなど市場関係者の多くは、生産指数の強さから、日本
の実質GDP成長率は、4−6月期は大きくプラスになるだろうし、おそらく
7−9月期も、それなりに高い伸びを示すだろうと考えています。

 4−6月期だけでなく、7−9月期の成長率もプラスが期待できそう、いう
こともあり、日本の景気が(ようやく)持ち直してきたと考えてよさそうです。
ただ、日本景気が、このまま冬場から来年にかけて順調に回復を続けるかとい
うと、そこまで楽観的に考えないほうがよいように思われます。

 もっとも懸念されるのが、足元の生産指数の上昇は、行き過ぎた在庫調整の
反動による部分が大きいことです。1−3月期の生産指数は、前期比マイナス
22.1%と、過去に例を見ないペースで落ち込みました。この結果、出荷が
少し持ち直しただけで、在庫不足となり、生産活動を急ピッチで増やす必要が
出ています。

 それにもかかわらず、在庫の状況を示す在庫指数は、6月時点で95.4と、
現基準で最低です。在庫水準が低いことから、まだしばらくは増産の動きが続
くでしょうが、在庫水準がある程度戻ってきたら、増産を続ける必要性も薄れ
ます。

 このため増産が続くには、在庫調整の反動だけでなく、出荷の回復が必要と
なります。国内の自動車・家電購入支援策や、各国の経済対策を背景とした輸
出拡大が、出荷の回復を後押しするでしょうが、時間とともに政策効果は、低
減するのが一般的です。在庫調整の反動がなくなるであろう冬場(10−12
月期)あたりから、政策効果も低減すると、生産指数の伸びが一気に落ち込む
シナリオも、それなりに現実味があるように思われます。

 生産指数の上昇という明るい話に水を指すのは心苦しいものですが、こうい
うときこそ、一歩下がり、より広い時間軸で景気の先行きを考えることが有益
にも思えます。

村田雅志(むらた・まさし)
(FXCMジャパン・チーフエコノミスト)

<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。
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◆コラム「世界進出する韓国企業」

 社会人になってから毎年テーマを持ちながら海外旅行をしており、これまで
訪問した国も約50カ国になった。東欧、ヨーロッパ、北アフリカ、東南アジ
ア等々、日本人を旅行中、一人も見かけない事もしばしばあるのだが、そのど
この国でも共通して発見した事がある。それは韓国企業が大々的に進出してい
るという事である。
 新興国で国の玄関とも呼ばれる首都の空港のほとんどのスクリーンが韓国製
品だったり、空港内の大型看板公告も韓国企業であるものを何度も目にした。
白物家電、自動車等々進出分野は様々で、SAMSUNG、LG、現代等々の
ロゴマークを至る所で見た。低価格で品質も良くなっている為、日本勢商品が
隅に追い出されているという家電量販店もいくつもあった。

 先日聞いた話だがインドでは客間は高品質の日本製商品を置き、プライベー
ト用の部屋には韓国製商品を置くという徹底した所もあるようで明らかに時代
が変わった感がある。
 自国市場がそれほど大きくない為に海外へ積極攻勢をかけているという点で
は、いつかの我が国のようであるが、ご存知の通り同国では教育にも相当な力
を入れており、教育水準で我が国と比較して国力の差として現れるのもそう遠
くないように思われる。
 マレーシアは韓国より物価が安く、そして英語で高等教育が受けられ、且つ
イスラム圏の人脈を作れるという事で沢山の韓国人の親子を眼にした。多くの
家庭で父親は韓国で働き、母子だけで教育の為に移住してきているとの事であ
った。この徹底ぶりは我が国も見習った方が良いのかもしれない。

 最近ではGS建設、現代建設、現代重工業の3社が、アラブ首長国連邦(U
AE)アブダビで発注された49億ドル(約4601億円)規模のガスプラン
ト工事を受注したという記事が掲載されていた。
関連記事
 現在のウォン安で受注しやすい環境になっているとは思うが、専門家に言わ
せると常識外の値段のようである。これが何を意味するかについては深く考え
ないといけない。
 過去にも韓国が受注した案件で後に問題になっている所はある。マレーシア
のタクシー運転手に聞いた話だが、クアラルンプールのペトロナスタワーのT
WINタワーの片方を日本企業が、そしてもう一つを韓国企業が受注している
のだが、韓国側タワーがピサの斜塔までいかないにしても傾き始めているとい
う事である。
 確かに過去に韓国企業によるこのような事例はあるのだが、様々な所で日本
勢がシェアを奪われているというのは、一消費者の私の目から見ても明白であ
る。世界的にみて日本の製品技術は最高品質で、そしてイメージが良いのだが、
韓国勢の追い上げは目を見張る、上記のようなクオリティー面のキャッチアッ
プも行われるのは間違いない。

 現段階ではまだ先行する立場にある多くの日本企業であるが、このような環
境を活かし、次への戦略的一手、そして戦略的パートナーを見つけた所が今後
生き残る企業であろう。

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最近の空売り

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 2月末頃のコラムにて「空売り」と題してTCI(ザ・チルドレンズ・インベストメント)が随分と東芝株を空売りしていること(確か4%台まで)、その他の外資系ファンドや個人も相当のショートポジションを持っていることなどを書きました。その後の相場全体の持ち直しによる買い戻しや、東芝のファイナンスに絡んで纏まったショートポジションの解消があったことなども書きましたが、6月に10,000円を付けた後もどうなっているのか、時間がある時には気になるエンティティ―だけですが時々見ています。

 さすがに最近は首を傾げたくなるほどの大きなショートポジションを取っている主体は見当たりませんが、それでも6月の高値を付けた以降に、原発やエコロジー関連、一部の商社や銀行株辺りで、比較的上昇幅の大きかった銘柄に数%レベルのショートポジションが積み上がっているのが散見されます。
 ここ2か月間の傾向としては、6月中旬から7月上旬にかけて商社や原発関連銘柄のショートポジションが増えたのですがその後は余り変化がありません。また、7月下旬からは相場が戻るにつれエネルギー関連銘柄への買い戻しが徐々に入っているようです。
 ゴールドマンSが7月に入ってから小売業のショートポジションを徐々に増やしていたのですがこれも最近は横ばいのようです。あとパイオニアや住友大阪セメなども売っていますね。全体的にはどちらかと言えば内需関連銘柄のショートポジションが多いように感じます。確かに内需銘柄には6月中旬以降にダウントレンドが続いている銘柄が多いです。

 7月中旬から海外市場が堅調となってきているにもかかわらず日本市場が伸び悩んでいるのは、一つには為替が90円台前半で推移しているため企業業績の回復に懐疑的になっていることと同時に、やはり、政治情勢の不安定さが主力どころの投資家に二の足を踏ませているのだと思います。今のところ国内の金融系大手投資家に期待できる要素は見当たりませんし、個人も復調してきたとは言えまだまだ病み上がりですので、一部の材料株を除けばインデックスに大きく影響する主力銘柄を買い上がる力はありません。

 ここから先は海外のインターナショナルファンドの類が日本株のウエートを引き上げて来なければ、いくら真空地帯だからと期待しても12,000円を目指す動きにはならないのでしょう。暫くは現状近辺のボックスを大きく抜けていくことは無いと考えるなら、想定以上に上昇した銘柄には空売りが積み上がり易いのかもしれません。

 ただし、外人投資家が政治情勢に敏感だとは言え、相対的に日本株には出遅れ感が出てきつつありますし、8月30日の選挙が近づいてくると、それとなく日本の変化に対する期待感が出てきてもいいのではと考えています。民主党の政策もいくらか現実的なものへと軌道修正しつつあるように感じます。国民の中でも「余り期待はしていないけど、何かは変わるのでは?」との漠然とした期待感はあるはずです。民主党になっても外交政策などの具体策には期待しないものの、少なくとも構造改革(旧来型の既得権を壊すことなど)にはそれなりの進展が期待できます。それが民間の活力増大に結び付くことは十分に考えられますので、前向きに捉えれば、国内企業の第一四半期決算の内容がそれほど期待外れにならない限り、8月中にそれなりの水準訂正(上昇)があってもいいのかなと考え、先週の連休前後から素材や半導体関連のポジションを上げてみました。

 金融銘柄(銀行)に就きましては、インデックスが上がるなら銀行かな?と考えていたのですが、増資が済んでからも動きが鈍いことと、国内の不動産市況や内需企業の回復に余り期待ができないと考え最低限のポジションレベルに留めています。未だに日本の銀行業界がオーバーバンキングの状態から抜け出せず、同時に銀行本来の預貸業務における能力低下も明らかになってきたと感じていますので、出遅れとは言え中々買う気になれないですね。そのうちまたどこかの海外投資で大穴を開けてしまうのではと・・・。この辺りは「澤上ファンド」と意見が近いかもしれません。

 ところで、今回の麻生政権の解散劇は、お見事!と言うべきか、あっぱれと言えるほど、見事に最悪な状況下での解散宣言となってしまったようです。彼はこの10か月間、ずっと解散のタイミングを模索し続けたのでしょう。中々損切りへの決断が出来なかった投資家が信用期日ぎりぎりになって、追証の余裕も無くなり、明日にも強制売却される状況に追い詰められた挙句に、大底を付けた日のヒゲの先で手持ち株をすべて投げたような状況と同様の、「デジャブ」の感覚でした。真の決断が出来ない、我儘な、唯我独尊のボンボンに期日まで付き合わされた国民は堪ったものではありません。
 が、往々にして、最も厳しい立場の投資家に対して最も厳しい動きをするのが投資市場の常のようですから、この時が日本の政治の下げ相場に於けるヒゲの先であったと考えれば、これからは明るい上昇トレンドが待っていると期待したいところです。

(街のコンサルタント)

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     ◆コラム「最近の空売り」:街のコンサルタント

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◆コラム「最近の空売り」

 2月末頃のコラムにて「空売り」と題してTCI(ザ・チルドレンズ・イン
ベストメント)が随分と東芝株を空売りしていること(確か4%台まで)、そ
の他の外資系ファンドや個人も相当のショートポジションを持っていることな
どを書きました。その後の相場全体の持ち直しによる買い戻しや、東芝のファ
イナンスに絡んで纏まったショートポジションの解消があったことなども書き
ましたが、6月に10,000円を付けた後もどうなっているのか、時間があ
る時には気になるエンティティ―だけですが時々見ています。

 さすがに最近は首を傾げたくなるほどの大きなショートポジションを取って
いる主体は見当たりませんが、それでも6月の高値を付けた以降に、原発やエ
コロジー関連、一部の商社や銀行株辺りで、比較的上昇幅の大きかった銘柄に
数%レベルのショートポジションが積み上がっているのが散見されます。
 ここ2か月間の傾向としては、6月中旬から7月上旬にかけて商社や原発関
連銘柄のショートポジションが増えたのですがその後は余り変化がありません。
また、7月下旬からは相場が戻るにつれエネルギー関連銘柄への買い戻しが徐々
に入っているようです。
 ゴールドマンSが7月に入ってから小売業のショートポジションを徐々に増
やしていたのですがこれも最近は横ばいのようです。あとパイオニアや住友大
阪セメなども売っていますね。全体的にはどちらかと言えば内需関連銘柄のシ
ョートポジションが多いように感じます。確かに内需銘柄には6月中旬以降に
ダウントレンドが続いている銘柄が多いです。

 7月中旬から海外市場が堅調となってきているにもかかわらず日本市場が伸
び悩んでいるのは、一つには為替が90円台前半で推移しているため企業業績
の回復に懐疑的になっていることと同時に、やはり、政治情勢の不安定さが主
力どころの投資家に二の足を踏ませているのだと思います。今のところ国内の
金融系大手投資家に期待できる要素は見当たりませんし、個人も復調してきた
とは言えまだまだ病み上がりですので、一部の材料株を除けばインデックスに
大きく影響する主力銘柄を買い上がる力はありません。

 ここから先は海外のインターナショナルファンドの類が日本株のウエートを
引き上げて来なければ、いくら真空地帯だからと期待しても12,000円を
目指す動きにはならないのでしょう。暫くは現状近辺のボックスを大きく抜け
ていくことは無いと考えるなら、想定以上に上昇した銘柄には空売りが積み上
がり易いのかもしれません。

 ただし、外人投資家が政治情勢に敏感だとは言え、相対的に日本株には出遅
れ感が出てきつつありますし、8月30日の選挙が近づいてくると、それとな
く日本の変化に対する期待感が出てきてもいいのではと考えています。民主党
の政策もいくらか現実的なものへと軌道修正しつつあるように感じます。国民
の中でも「余り期待はしていないけど、何かは変わるのでは?」との漠然とし
た期待感はあるはずです。民主党になっても外交政策などの具体策には期待し
ないものの、少なくとも構造改革(旧来型の既得権を壊すことなど)にはそれ
なりの進展が期待できます。それが民間の活力増大に結び付くことは十分に考
えられますので、前向きに捉えれば、国内企業の第一四半期決算の内容がそれ
ほど期待外れにならない限り、8月中にそれなりの水準訂正(上昇)があって
もいいのかなと考え、先週の連休前後から素材や半導体関連のポジションを上
げてみました。

 金融銘柄(銀行)に就きましては、インデックスが上がるなら銀行かな?と
考えていたのですが、増資が済んでからも動きが鈍いことと、国内の不動産市
況や内需企業の回復に余り期待ができないと考え最低限のポジションレベルに
留めています。未だに日本の銀行業界がオーバーバンキングの状態から抜け出
せず、同時に銀行本来の預貸業務における能力低下も明らかになってきたと感
じていますので、出遅れとは言え中々買う気になれないですね。そのうちまた
どこかの海外投資で大穴を開けてしまうのではと・・・。この辺りは「澤上フ
ァンド」と意見が近いかもしれません。

 ところで、今回の麻生政権の解散劇は、お見事!と言うべきか、あっぱれと
言えるほど、見事に最悪な状況下での解散宣言となってしまったようです。彼
はこの10か月間、ずっと解散のタイミングを模索し続けたのでしょう。中々
損切りへの決断が出来なかった投資家が信用期日ぎりぎりになって、追証の余
裕も無くなり、明日にも強制売却される状況に追い詰められた挙句に、大底を
付けた日のヒゲの先で手持ち株をすべて投げたような状況と同様の、「デジャ
ブ」の感覚でした。真の決断が出来ない、我儘な、唯我独尊のボンボンに期日
まで付き合わされた国民は堪ったものではありません。
 が、往々にして、最も厳しい立場の投資家に対して最も厳しい動きをするの
が投資市場の常のようですから、この時が日本の政治の下げ相場に於けるヒゲ
の先であったと考えれば、これからは明るい上昇トレンドが待っていると期待
したいところです。

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シリーズ 日本の技術が地球温暖化を阻止する(3)エアコン・コンプレッサ 前編

JUGEMテーマ:株・投資

JUGEMテーマ:ビジネス

■エアコンの消費電力は家庭家電製品の中でもっとも大きい

家庭の電化製品の中で最も消費電力が大きいのが、エアコン。
特に夏や冬になるとその電力量はぐんと上がります。

1年間を通してみても、家庭で使われる全電力の約4分の1を占めています。
エアコンをいかに低消費電力にするかが、地球環境の保全に直結します。

アジア諸国は暑い国が多く、インドやインドネシアやバングラディッシュなどは特に人口が多い地域です。
これからエアコンが普及することになれば、まだまだ二酸化炭素の削減は、グローバルレベルでは難しいことが予想されます。
新興国に過度の経済負担をかけずに、グローバルで二酸化炭素を削減しようとすれば、先進国でのCO2排出をドラスティックに削減しなければなりません。

エアコンの低消費電力レベルでは、世界のトップを走っています。

エアコンの心臓部は、コンプレッサと呼ばれる圧縮機です。
圧縮機は、モータやピストンシリンダなどの部品から成り立っています。
この圧縮機の電力消費がエアコンの消費電力のかなりを占めています。
圧縮機の低消費電力化に貢献した技術を紹介します。


■エアコン向けコンプレッサの開発

パナソニックの以下のURLを引用します。

http://panasonic.jp/labo/history/product/air/aircon/1992/

〜以下、パナソニックHPより引用〜

ナショナルが、初めてエアコンを発売したのは昭和33年。その後、長い歴史の中で、室内機は年々様変わりしていきましたが、室外機は見た目では、大きな変化がありませんでした。ところが、世の中の住環境は、西洋風のおしゃれな住宅ができたり、マンションで暮らす人も増えてきて、この四角くて大きなエアコンの室外機はお世辞にも上品とはいえない。そんなとき誕生したのが、「ちいサイズ」室外機だったのです。

ところで、室外機ってどんな役割を果たしているのか知ってますか? 室外機の中にあるコンプレッサーは、冷媒(熱を運ぶ物質)を室内機と室外機の間で循環させる装置で、エアコンの心臓部といわれています。車でいえばエンジンと同じ役割ですね。この室外機が開発される2年前、コンプレッサーにもひとつの転機が訪れました。それまで採用されていたロータリーコンプレッサーに変わり、現在主流となっているスクロールコンプレッサーが開発されたのです。この新しいコンプレッサーは、運転音や振動が少ない上にとてもコンパクトに設計できたため、従来の室外機より横幅が約24cm、体積は約25%も小さくなりました。お庭やベランダが広く使えるようになり、しかもデザインも一新されたので、エクステリアに気持ち良くマッチしたのです。

〜開発者コメント〜 

「そもそも、どうしてこれまで室外機があんなに大きかったのか。簡単に説明しますと、ロータリーコンプレッサーを搭載した室外機は、音や振動を吸収するための配管スペースが必要だったんです。ところがスクロールコンプレッサーは、運転音が小さく振動も少ないため、余分な配管をひく必要がなくなり、サイズをコンパクト化できたんです。まさに「ちいサイズ」の生みの親といっても、過言ではないでしょう。まぁ、それも、いまとなっては平気な顔で言えますが、開発当初はそれなりの苦労がありましたよ。まず、コンプレッサーの精度の問題ですね。大型のスクロールコンプレッサーというものがすでに存在していたとはいえ、その原理を小さなコンプレッサーに取り入れるとなると、より緻密に生産ラインにのせなくてはなりません。生産スピードと正確性の両立という難問を解決するまでに2年近くかかりました。」

〜以上、パナソニックのURLより、エアコン開発者のコメントでした〜


■ここでスクロールコンプレッサについての説明です!

渦巻き型のスクロールを2つ合わせて冷媒を圧縮します。ひとつを固定し、もうひとつのスクロールを偏心して旋回させます。冷媒ガスはスクロールの外側から吸い込まれて回転しながら徐々に内側に向かって圧縮されていきます。
19世紀には考案されていたが、機械技術が追い付かず、1980年代になって、日本で世界で初めて実用化された。吸い込み弁が不要でシンプルな構造。吸入→圧縮→吐出が連続して行われるため、トルクの変動が少なく、レシプロコンプレッサの4−5気筒に相当。回転の偏心量が少なく、高速回転が可能なことからインバーターとの組み合せが採用されています。

図解ヒートポンプ 田中俊六監修 オーム社出版p105より)

ウィキペディアにもスクロールコンプレッサの説明があります。


ウィキベディアには「世界で日立が世界で最初にスクロールコンプレッサの実用化に成功した」と記述があります。
大型スクロール圧縮機は存在していたものの、小型のものは、まだ世にない状態でした。

「回転の偏心量が少ない」スクロール型は、回しやすく、振動も小さくなります。
振動が小さいために、防音部材が不要になり、その分、小型化ができます。
また、「高速回転が可能になった」とありますが、設計上は可能であっても、
実物でそれを可能にするためには、量産性を伴った機械加工の精度が求められます。
前述のとおり、「生産スピードと正確性を両立するのに2年もかかった」とパナソニックの開発者は述べています。

小型で高性能のコンプレッサとインバータ制御を組み合わせて、インバータ制御のエアコンが初めて登場します。
これが、消費電力を決定的に抑えることに成功したのです。なぜならば、制御により、必要でないときは、モータの回転を抑え、電力消費を抑えることが可能だからです。


■インバーターエアコン

ウィキペディアにはインバータエアコンについて、以下の記述があります。



「インバータエアコンは1981年に当時の東京芝浦電気(現・東芝)が世界で初めて発売した。当初は、圧縮機には誘導電動機を用いていたが、1990年代に高効率なブラシレスDCモータが開発されて以来、現在では、日本で発売される家庭用エアコンに搭載される圧縮機用・ファン用のモータは、ほぼ全てがブラシレスDCモータになっている。 日本ではインバータエアコンが主流であるが、世界的に見れば一定速である非インバータエアコンがまだまだ主流である。」

日本の省エネ技術であるインバータエアコンは、世界では少数派だ、というのです。
日本は積極的に、世界に向けて、省エネ家電のアピールをすべきでしょう。
世界への拡販の努力をすれば、必ず、世の中から受け入れられるはずだからです。

インバータエアコンが登場して、すでに30年近くになります。
しかし、まだまだ省エネ化の途上です。
半導体素子の開発などで、これからは、インバータの電力効率もまだまだ画期的に向上させることが可能です。
特に新しい取組であるSiCやGaNを使用したトランジスタを用いたインバータを導入すれば、まだまだエアコンの消費電力は抑えることができるでしょう。

インバータとは、交流を制御する部品で、モータを制御するための部品です。
インバータは交流モータには必須の部品です。モータ生産では、日本は他国を圧倒しています。
そのモータを制御するインバータ技術も日本が先頭を走っています。
そのインバータを制御するためのプログラムが格納されているのが、マイコンと呼ばれる半導体で、このマイコンも日本が世界をリードしています。
要するに、モータ・インバータ・マイコンというパワー系の電子回路は、日本のお家芸です。
その強さが、日本の家電業界、自動車業界、工作機械やロボット業界を支えています。
(すべてモータとそれを制御する技術がキーポイントとなる産業です)


■コンプレッサー向けモータの将来の展開

本田幸雄氏が著した「松下の省エネモータ開発物語」をここで紹介します。
07年9月にオーム社から出版された良書です。

本田さんは松下のモータ開発の第一人者で、2層IPMSMというモータを開発したチーム責任者のひとりです。これは永久磁石を1層ではなく2層にしてロータ内部に埋め込むという画期的なモータでした。

その開発については、次回、詳しくお伝えしますが、今回は、コンプレッサとモータとの観点で、面白い発想を紹介します。

同書p155には、こんな記述があります。

「自動車のエンジンはレシプロ形が主流でロータリーは主流ではないが、エンジンと同じような働きをしているエアコンのコンプレッサはレシプロ形の冷媒圧縮メカでも回転モータを利用して往復運動に変えている。ロータリ形も名前はロータリだがモータの回転力を往復運動に変えている。スクロール形はモータの回転をスクロール機構で圧縮しているが圧縮損失が大きい。コンプレッサはレシプロ形が一番効率が良い。それならモータも回転形ではなくリニア駆動にして直接レシプロ駆動する方が理にかなっているのではないか」

「なぜモータの世界では回転形が主流なのか。回転形モータは、いったん回転すると慣性が働き電気を切ってもモータはまわり続ける。モータは慣性が大きい高速回転域の方が効率が良くなることを示唆してる。反対に低速回転域では高効率にするのは難しい。ここでエアコンの運転を考えると、運転時間の大半を占めるのはモータが低速回転で冷暖房する通常モード。通常モードは、モータの回転数が低く、慣性が小さく、効率を向上させるのは難しくなる。これまで使われてきた冷媒フロンは少ない圧縮で性能を確保できた〜しかし、地球環境保全のために〜CO2などの自然冷媒を採用しようという動きが始まっていた。しかし、(冷媒としての)CO2は従来冷媒の3倍もの圧縮比が必要となり、特に低速回転域では大トルクが必要で電流を多く流す必要があるため、回転形では効率を高くすることが非常に困難であるという状況がわかってきた」
とあります。
(※引用部で同書の記述そのままでないところがあります。丁寧語を断定調にしたり、紙面の関係上、原文にはある文書を省略したりしました。気になる方は同書をご参照ください)

「冷媒をフロンから自然冷媒に変更しなければならないこと(フロン規制)で、コンプレッサは3倍もの圧縮比を必要とした」とあります。
高い圧縮比は、常識的に、出力の大きなモータを必要として、コンプレッサはより大型となってしまえば、消費電力はむしろ増えてしまいます。

それを、前よりも小型化にしたというのですから、この逆境を乗り越えた日本の技術者たちの努力・能力は、世界に誇るべきものです。

これまで、冷蔵庫やエアコンを取り上げ、そのキーデバイスであるコンプレッサを取り上げました。
コンプレッサでは、レシプロやスクロールなど、難しい話が中心になって恐縮です。
しかし、単純に考えて円筒に空気を閉じ込めそれを押し出すことで空気を圧縮するシリンダーの往復運動がもっとも理にかなったやり方であることは、素人のわたしにも理解できます。
そのシリンダーを駆動するために、回転式モータを使用しながら、回転運動を往復運動に機械をつかって変換すれば、機械的な損失が発生するというのです。

エアコンのスクロール形もずっと将来はレシプロ形になるかもしれません。
また、回転モータによるレシプロ形も、リニアモータの導入が将来あり得るかもしれません。
今後の家電メーカのモータ開発の課題は、リニアかもしれないと、本田幸雄さんは同書で示唆しているのです。
開発をしても、しても、さらによいもの、さらに省エネなものに挑戦していく、
そんな技術者魂を、わたしは心強いと思うのです。
(すでに半導体製造装置や工作機械にはリニアモータが実用化されています。
また、次世代新幹線も超電導のリニアモータを利用する予定です。)

モータと発電機の原理は同じです。本田さんたちが目指したリニアモータの開発は、結果的に、夢の発電機の開発へとつながりました。
小型のヒートポンプとしてシリンダータイプのスターリング発電機(モータ→発電機)をコージェネシステムとしてマンションに設置すれば、省エネ効果は膨大なものになります。


■エコの細道 − パナソニック内のベンチャー企業 スターリング発電機

パナソニックのサイトに、「エコの細道」という特集があります。
以下のURLです。

http://panasonic.co.jp/ism/eco/engine/index.html

パナソニックの奈良工場ではスターリングエンジンの実証が始まっているようです。
300−400度の排ガスを利用するため、工場や船舶をターゲットにスターリング発電が実用化段階に入りました。

将来、もっと低い熱で、発電できれば、きっと家庭用にも利用できるでしょう。
本当に楽しみな製品です。

本田さんとともに、松下でエアコンコンプレッサモータを開発した赤澤さんが社内ベンチャーとして、e=Stirを設立。
そのホームページはパナソニック内に設置されています。

最近のニュースでは、こんな記事をみかけました。

「パナソニックの社内ベンチャーのeスターは、工場から出る排熱を利用して発電する「排熱回収スターリングエンジンの実証実験を、パナソニックホームアプライアンス社の奈良工場で開始した。

 スターリングエンジンは、外部熱源との温度差を利用して内部の気体を膨張・収縮させて駆動力を得ることができる。摂氏1,000度以上の燃焼ガスの熱を直接利用した実用例はあるが、約300度から500度の工場排熱では実用化が困難とされていた。

 eスターは2005年から海上技術安全研究所と共同でヘリウムガスを作動ガスに使用し、乾燥炉、溶融炉、熱処理炉、発電設備、ボイラ、原動機などから出る300度から650度の排熱を利用して15%の発電効率を実現した。

 今回の実証実験では、奈良工場の高圧空気供給設備内の排気ガスの屋外煙道にスターリングエンジンを装着し、約300度から500度の排熱の一部を利用して500Wの発電を行う。

 実証実験に利用する排熱回収スターリングエンジンの主な仕様は、β形エンジン形式で、ビストン径は100mm、ストロークは(DP)32mm、(PP)28mm、ピストン駆動はスコッチヨーク機構、発電機形式はSPM発電
機、定格回転数は1000rpm。重量は160kg、サイズは幅30x奥行81x高さ90cmとなっている。

 eスターは今年度中に、実用化を前提として約5kWから10kWの発電ができるエンジンを開発し、生産現場におけるCO2排出量の削減に貢献できるエンジンとして2011年度の商品化を目指している。」
(デザインニュースジャパン、09年7月2日より)

eスターは、本田さん同様に、松下のコンプレッサ開発の担当だった赤澤さんが設立した社内ベンチャーです。
赤澤さんは、奥さんに内緒で独立を決めたため、「後で妻に正座させられた」そうです。安定した生活を捨て、「低炭素社会を実現する」という社是を掲げました。
「日本全国の工場すべてにスターリングエンジンをつけるとすると、17万セットの設置が可能です。1セットに500w蓄電できるスターリングエンジンを6台つけるとして14万2千トンのCO2が計算上は年間削減できることになります。
潜在的にはそれぐらいの効果が期待できるわけです」(赤澤社長)

http://wiredvision.jp/blog/soregen/200712/200712281100.html


工場で使用した熱を捨て去るぐらいだったら、それを使って発電してしまおう、
という発想です。
日本の工場向けだけでもスターリング発電機は20万セット近い需要がある、
と赤澤社長は考えています。

また、船舶は、港につけている間も、エンジンをかけっぱなしにしていることから、エンジンから熱を排出しっぱなしになっています。
スターリング発電機を船舶に設置すれば、このような無駄な熱を発電に使用することができます。
すでに船舶をつかった実証研究が2005年から着々と進められています。

スターリング発電機では、回転式モータによる機構が不要なため、ピストン運動を回転運動に変える機構ロスがなく、小型化が可能高効率なコンプレッサの開発が、夢の発電機の開発に結びつき、地球環境の保全に貢献しようとしています。

スターリング発電機は、「熱」さえあれば、どこでも発電できます。
こうした発電機を砂漠に設置し、灼熱の太陽の下、それをレンズで集光し、その熱を利用すれば、人類が必要する電力をすべて太陽光でまかなうことさえ可能です。

今回の総選挙で民主党政権になれば、なおさら、低炭素社会へのわが日本丸は舵をきられることになるでしょう。
日本の省エネ技術を世界に拡販することが、地球環境を守ることになるとわたしは信じています。

太陽光発電では、日本の地位低下は著しいのですが、スターリング発電機では、
日本のお家芸である機械加工技術や磁石開発力が発揮できます。
投資家のはしくれとしては、燃料電池、太陽電池、リチウム2次電池などと同様に、今後は、スターリング発電機の行く末も見守りたいと考えています。

山本 潤
ファンドマネージャー

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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億の近道2009/07/29

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投資情報メールマガジン                  2009/07/29号
              イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週5回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析やコラムを参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

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             −本日の目次−
           (本日の担当:山本潤)

  ◆コラム「シリーズ 日本の技術が地球温暖化を阻止する(3)
       エアコン・コンプレッサ 前編」:山本潤

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◆コラム「シリーズ 日本の技術が地球温暖化を阻止する(3)
     エアコン・コンプレッサ 前編」

■エアコンの消費電力は家庭家電製品の中でもっとも大きい

家庭の電化製品の中で最も消費電力が大きいのが、エアコン。
特に夏や冬になるとその電力量はぐんと上がります。

1年間を通してみても、家庭で使われる全電力の約4分の1を占めています。
エアコンをいかに低消費電力にするかが、地球環境の保全に直結します。

アジア諸国は暑い国が多く、インドやインドネシアやバングラディッシュなど
は特に人口が多い地域です。
これからエアコンが普及することになれば、まだまだ二酸化炭素の削減は、グ
ローバルレベルでは難しいことが予想されます。
新興国に過度の経済負担をかけずに、グローバルで二酸化炭素を削減しようと
すれば、先進国でのCO2排出をドラスティックに削減しなければなりません。

エアコンの低消費電力レベルでは、世界のトップを走っています。

エアコンの心臓部は、コンプレッサと呼ばれる圧縮機です。
圧縮機は、モータやピストンシリンダなどの部品から成り立っています。
この圧縮機の電力消費がエアコンの消費電力のかなりを占めています。
圧縮機の低消費電力化に貢献した技術を紹介します。


■エアコン向けコンプレッサの開発

パナソニックの以下のURLを引用します。

http://panasonic.jp/labo/history/product/air/aircon/1992/

〜以下、パナソニックHPより引用〜

ナショナルが、初めてエアコンを発売したのは昭和33年。その後、長い歴史
の中で、室内機は年々様変わりしていきましたが、室外機は見た目では、大き
な変化がありませんでした。ところが、世の中の住環境は、西洋風のおしゃれ
な住宅ができたり、マンションで暮らす人も増えてきて、この四角くて大きな
エアコンの室外機はお世辞にも上品とはいえない。そんなとき誕生したのが、
「ちいサイズ」室外機だったのです。

ところで、室外機ってどんな役割を果たしているのか知ってますか? 室外機
の中にあるコンプレッサーは、冷媒(熱を運ぶ物質)を室内機と室外機の間で
循環させる装置で、エアコンの心臓部といわれています。車でいえばエンジン
と同じ役割ですね。この室外機が開発される2年前、コンプレッサーにもひと
つの転機が訪れました。それまで採用されていたロータリーコンプレッサーに
変わり、現在主流となっているスクロールコンプレッサーが開発されたのです。
この新しいコンプレッサーは、運転音や振動が少ない上にとてもコンパクトに
設計できたため、従来の室外機より横幅が約24cm、体積は約25%も小さ
くなりました。お庭やベランダが広く使えるようになり、しかもデザインも一
新されたので、エクステリアに気持ち良くマッチしたのです。

〜開発者コメント〜 

「そもそも、どうしてこれまで室外機があんなに大きかったのか。簡単に説明
しますと、ロータリーコンプレッサーを搭載した室外機は、音や振動を吸収す
るための配管スペースが必要だったんです。ところがスクロールコンプレッサ
ーは、運転音が小さく振動も少ないため、余分な配管をひく必要がなくなり、
サイズをコンパクト化できたんです。まさに「ちいサイズ」の生みの親といっ
ても、過言ではないでしょう。まぁ、それも、いまとなっては平気な顔で言え
ますが、開発当初はそれなりの苦労がありましたよ。まず、コンプレッサーの
精度の問題ですね。大型のスクロールコンプレッサーというものがすでに存在
していたとはいえ、その原理を小さなコンプレッサーに取り入れるとなると、
より緻密に生産ラインにのせなくてはなりません。生産スピードと正確性の両
立という難問を解決するまでに2年近くかかりました。」

〜以上、パナソニックのURLより、エアコン開発者のコメントでした〜


■ここでスクロールコンプレッサについての説明です!

渦巻き型のスクロールを2つ合わせて冷媒を圧縮します。ひとつを固定し、
もうひとつのスクロールを偏心して旋回させます。冷媒ガスはスクロールの外
側から吸い込まれて回転しながら徐々に内側に向かって圧縮されていきます。
19世紀には考案されていたが、機械技術が追い付かず、1980年代になっ
て、日本で世界で初めて実用化された。吸い込み弁が不要でシンプルな構造。
吸入→圧縮→吐出が連続して行われるため、トルクの変動が少なく、レシプロ
コンプレッサの4−5気筒に相当。回転の偏心量が少なく、高速回転が可能な
ことからインバーターとの組み合せが採用されています。

(図解ヒートポンプ 田中俊六監修 オーム社出版p105より)

ウィキペディアにもスクロールコンプレッサの説明があります。


ウィキベディアには「世界で日立が世界で最初にスクロールコンプレッサの実
用化に成功した」と記述があります。
大型スクロール圧縮機は存在していたものの、小型のものは、まだ世にない状
態でした。

「回転の偏心量が少ない」スクロール型は、回しやすく、振動も小さくなりま
す。
振動が小さいために、防音部材が不要になり、その分、小型化ができます。
また、「高速回転が可能になった」とありますが、設計上は可能であっても、
実物でそれを可能にするためには、量産性を伴った機械加工の精度が求められ
ます。
前述のとおり、「生産スピードと正確性を両立するのに2年もかかった」とパ
ナソニックの開発者は述べています。

小型で高性能のコンプレッサとインバータ制御を組み合わせて、インバータ制
御のエアコンが初めて登場します。
これが、消費電力を決定的に抑えることに成功したのです。なぜならば、制御
により、必要でないときは、モータの回転を抑え、電力消費を抑えることが可
能だからです。


■インバーターエアコン

ウィキペディアにはインバータエアコンについて、以下の記述があります。


「インバータエアコンは1981年に当時の東京芝浦電気(現・東芝)が世界
で初めて発売した。当初は、圧縮機には誘導電動機を用いていたが、1990
年代に高効率なブラシレスDCモータが開発されて以来、現在では、日本で発
売される家庭用エアコンに搭載される圧縮機用・ファン用のモータは、ほぼ全
てがブラシレスDCモータになっている。 日本ではインバータエアコンが主
流であるが、世界的に見れば一定速である非インバータエアコンがまだまだ主
流である。」

日本の省エネ技術であるインバータエアコンは、世界では少数派だ、というの
です。
日本は積極的に、世界に向けて、省エネ家電のアピールをすべきでしょう。
世界への拡販の努力をすれば、必ず、世の中から受け入れられるはずだからで
す。

インバータエアコンが登場して、すでに30年近くになります。
しかし、まだまだ省エネ化の途上です。
半導体素子の開発などで、これからは、インバータの電力効率もまだまだ画期
的に向上させることが可能です。
特に新しい取組であるSiCやGaNを使用したトランジスタを用いたインバ
ータを導入すれば、まだまだエアコンの消費電力は抑えることができるでしょ
う。

インバータとは、交流を制御する部品で、モータを制御するための部品です。
インバータは交流モータには必須の部品です。モータ生産では、日本は他国を
圧倒しています。
そのモータを制御するインバータ技術も日本が先頭を走っています。
そのインバータを制御するためのプログラムが格納されているのが、マイコン
と呼ばれる半導体で、このマイコンも日本が世界をリードしています。
要するに、モータ・インバータ・マイコンというパワー系の電子回路は、日本
のお家芸です。
その強さが、日本の家電業界、自動車業界、工作機械やロボット業界を支えて
います。
(すべてモータとそれを制御する技術がキーポイントとなる産業です)


■コンプレッサー向けモータの将来の展開

本田幸雄氏が著した「松下の省エネモータ開発物語」をここで紹介します。
07年9月にオーム社から出版された良書です。

本田さんは松下のモータ開発の第一人者で、2層IPMSMというモータを開
発したチーム責任者のひとりです。これは永久磁石を1層ではなく2層にして
ロータ内部に埋め込むという画期的なモータでした。

その開発については、次回、詳しくお伝えしますが、今回は、コンプレッサと
モータとの観点で、面白い発想を紹介します。

同書p155には、こんな記述があります。

「自動車のエンジンはレシプロ形が主流でロータリーは主流ではないが、エン
ジンと同じような働きをしているエアコンのコンプレッサはレシプロ形の冷媒
圧縮メカでも回転モータを利用して往復運動に変えている。ロータリ形も名前
はロータリだがモータの回転力を往復運動に変えている。スクロール形はモー
タの回転をスクロール機構で圧縮しているが圧縮損失が大きい。コンプレッサ
はレシプロ形が一番効率が良い。それならモータも回転形ではなくリニア駆動
にして直接レシプロ駆動する方が理にかなっているのではないか」

「なぜモータの世界では回転形が主流なのか。回転形モータは、いったん回転
すると慣性が働き電気を切ってもモータはまわり続ける。モータは慣性が大き
い高速回転域の方が効率が良くなることを示唆してる。反対に低速回転域では
高効率にするのは難しい。ここでエアコンの運転を考えると、運転時間の大半
を占めるのはモータが低速回転で冷暖房する通常モード。通常モードは、モー
タの回転数が低く、慣性が小さく、効率を向上させるのは難しくなる。これま
で使われてきた冷媒フロンは少ない圧縮で性能を確保できた〜しかし、地球環
境保全のために〜CO2などの自然冷媒を採用しようという動きが始まってい
た。しかし、(冷媒としての)CO2は従来冷媒の3倍もの圧縮比が必要とな
り、特に低速回転域では大トルクが必要で電流を多く流す必要があるため、回
転形では効率を高くすることが非常に困難であるという状況がわかってきた」
とあります。
(※引用部で同書の記述そのままでないところがあります。丁寧語を断定調に
したり、紙面の関係上、原文にはある文書を省略したりしました。気になる方
は同書をご参照ください)

「冷媒をフロンから自然冷媒に変更しなければならないこと(フロン規制)で、
コンプレッサは3倍もの圧縮比を必要とした」とあります。
高い圧縮比は、常識的に、出力の大きなモータを必要として、コンプレッサは
より大型となってしまえば、消費電力はむしろ増えてしまいます。

それを、前よりも小型化にしたというのですから、この逆境を乗り越えた日本
の技術者たちの努力・能力は、世界に誇るべきものです。

これまで、冷蔵庫やエアコンを取り上げ、そのキーデバイスであるコンプレッ
サを取り上げました。
コンプレッサでは、レシプロやスクロールなど、難しい話が中心になって恐縮
です。
しかし、単純に考えて円筒に空気を閉じ込めそれを押し出すことで空気を圧縮
するシリンダーの往復運動がもっとも理にかなったやり方であることは、素人
のわたしにも理解できます。
そのシリンダーを駆動するために、回転式モータを使用しながら、回転運動を
往復運動に機械をつかって変換すれば、機械的な損失が発生するというのです。

エアコンのスクロール形もずっと将来はレシプロ形になるかもしれません。
また、回転モータによるレシプロ形も、リニアモータの導入が将来あり得るか
もしれません。
今後の家電メーカのモータ開発の課題は、リニアかもしれないと、本田幸雄さ
んは同書で示唆しているのです。
開発をしても、しても、さらによいもの、さらに省エネなものに挑戦していく、
そんな技術者魂を、わたしは心強いと思うのです。
(すでに半導体製造装置や工作機械にはリニアモータが実用化されています。
また、次世代新幹線も超電導のリニアモータを利用する予定です。)

モータと発電機の原理は同じです。本田さんたちが目指したリニアモータの開
発は、結果的に、夢の発電機の開発へとつながりました。
小型のヒートポンプとしてシリンダータイプのスターリング発電機(モータ→
発電機)をコージェネシステムとしてマンションに設置すれば、省エネ効果は
膨大なものになります。


■エコの細道 − パナソニック内のベンチャー企業 スターリング発電機

パナソニックのサイトに、「エコの細道」という特集があります。
以下のURLです。

http://panasonic.co.jp/ism/eco/engine/index.html

パナソニックの奈良工場ではスターリングエンジンの実証が始まっているよう
です。
300−400度の排ガスを利用するため、工場や船舶をターゲットにスター
リング発電が実用化段階に入りました。

将来、もっと低い熱で、発電できれば、きっと家庭用にも利用できるでしょう。
本当に楽しみな製品です。

本田さんとともに、松下でエアコンコンプレッサモータを開発した赤澤さんが
社内ベンチャーとして、e=Stirを設立。
そのホームページはパナソニック内に設置されています。

最近のニュースでは、こんな記事をみかけました。

「パナソニックの社内ベンチャーのeスターは、工場から出る排熱を利用して
発電する「排熱回収スターリングエンジンの実証実験を、パナソニックホーム
アプライアンス社の奈良工場で開始した。

 スターリングエンジンは、外部熱源との温度差を利用して内部の気体を膨張・
収縮させて駆動力を得ることができる。摂氏1,000度以上の燃焼ガスの熱
を直接利用した実用例はあるが、約300度から500度の工場排熱では実用
化が困難とされていた。

 eスターは2005年から海上技術安全研究所と共同でヘリウムガスを作動
ガスに使用し、乾燥炉、溶融炉、熱処理炉、発電設備、ボイラ、原動機などか
ら出る300度から650度の排熱を利用して15%の発電効率を実現した。

 今回の実証実験では、奈良工場の高圧空気供給設備内の排気ガスの屋外煙道
にスターリングエンジンを装着し、約300度から500度の排熱の一部を利
用して500Wの発電を行う。

 実証実験に利用する排熱回収スターリングエンジンの主な仕様は、β形エン
ジン形式で、ビストン径は100mm、ストロークは(DP)32mm、(P
P)28mm、ピストン駆動はスコッチヨーク機構、発電機形式はSPM発電
機、定格回転数は1000rpm。重量は160kg、サイズは幅30x奥行
81x高さ90cmとなっている。

 eスターは今年度中に、実用化を前提として約5kWから10kWの発電が
できるエンジンを開発し、生産現場におけるCO2排出量の削減に貢献できる
エンジンとして2011年度の商品化を目指している。」
(デザインニュースジャパン、09年7月2日より)

eスターは、本田さん同様に、松下のコンプレッサ開発の担当だった赤澤さん
が設立した社内ベンチャーです。
赤澤さんは、奥さんに内緒で独立を決めたため、「後で妻に正座させられた」
そうです。安定した生活を捨て、「低炭素社会を実現する」という社是を掲げ
ました。
「日本全国の工場すべてにスターリングエンジンをつけるとすると、17万セ
ットの設置が可能です。1セットに500w蓄電できるスターリングエンジン
を6台つけるとして14万2千トンのCO2が計算上は年間削減できることに
なります。
潜在的にはそれぐらいの効果が期待できるわけです」(赤澤社長)

http://wiredvision.jp/blog/soregen/200712/200712281100.html


工場で使用した熱を捨て去るぐらいだったら、それを使って発電してしまおう、
という発想です。
日本の工場向けだけでもスターリング発電機は20万セット近い需要がある、
と赤澤社長は考えています。

また、船舶は、港につけている間も、エンジンをかけっぱなしにしていること
から、エンジンから熱を排出しっぱなしになっています。
スターリング発電機を船舶に設置すれば、このような無駄な熱を発電に使用す
ることができます。
すでに船舶をつかった実証研究が2005年から着々と進められています。

スターリング発電機では、回転式モータによる機構が不要なため、ピストン運
動を回転運動に変える機構ロスがなく、小型化が可能高効率なコンプレッサの
開発が、夢の発電機の開発に結びつき、地球環境の保全に貢献しようとしてい
ます。

スターリング発電機は、「熱」さえあれば、どこでも発電できます。
こうした発電機を砂漠に設置し、灼熱の太陽の下、それをレンズで集光し、そ
の熱を利用すれば、人類が必要する電力をすべて太陽光でまかなうことさえ可
能です。

今回の総選挙で民主党政権になれば、なおさら、低炭素社会へのわが日本丸は
舵をきられることになるでしょう。
日本の省エネ技術を世界に拡販することが、地球環境を守ることになるとわた
しは信じています。

太陽光発電では、日本の地位低下は著しいのですが、スターリング発電機では、
日本のお家芸である機械加工技術や磁石開発力が発揮できます。
投資家のはしくれとしては、燃料電池、太陽電池、リチウム2次電池などと同
様に、今後は、スターリング発電機の行く末も見守りたいと考えています。

山本 潤
ファンドマネージャー

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者
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ぬくぬくホッコリ株日記 定年後は株で楽しく暮らしたい

JUGEMテーマ:株・投資

■第118回■

 自分のブログでは、独立系の長期投資を謳い文句にして、実際の運用状況をみると、日本の小型株の株を発行済み株式総数に対して3%も4%も所有していて、それを投資環境の悪い時に短期間に一気に投げ売りして、応援するはずの企業の株を上場来安値や10年来の安値に叩き落した投資信託に投資して損をしたことなどについて書いています。

 この問題のある投資信託に10年近く投資していて、ドルコスト平均法で「毎月コツコツ購入」などという、質の悪い投資対象に対して、絶対にやってはいけない禁断の方法で累積投資をしてしまったために、一円の配当ももらわ
ずに、手数料だけふんだくられて、ついに元本割れで解約せざるを得ない羽目に陥った口惜しさなどについて愚痴っています(苦笑)。

 その解約したキャッシュが手元に戻ってきたこと。たまたま大口の自社株買いのIRが発表されたために、短期需給が好転したので、投資信託で作った損を一気に取り返す作戦を実行しました。本日の有料メルマガ「石川臨太郎の生涯パートナー銘柄の研究」のコラムでは、この投機についてどのように考えて投資を行ない、どのような理由からいつ利食い売りをして撤退することしたかということを書きました。

 たまには短期(投機)売買で射幸心を満足させてやることで、中長期用に組成したポートフォリオの中核銘柄を売り買いしたいという欲望を発散させてしまうという方法はけっこう有効です。これはプロのファンドマネージャーでも活用している人がいるようです。この資金を限定しての短期トレードは、私にはとても有効な方法でした。

 今回有料メルマガ「石川臨太郎の生涯パートナー銘柄の研究」のコラムで取り上げるときに問題になったのは、3月10日に、1422円まで売り込まれたときに、割安だと考えていると事前予告して、翌週3月17日(配信日)に研究銘柄として取り上げた時点ですでに1742円に上がってしまっていた中長期投資の対象として取り上げた銘柄が、今回の短期投機の対象銘柄となったことでした。

 「中長期投資の対象として選んだ銘柄を、こんどは短期投機の対象とするのは購読者の皆さんを混乱させないか」という議論でした。

 もし株価が上がらないで1742円のままでいたならば、短期投機の対象にするのは問題があるように思います。しかし株価はすでに1742円の2.5倍程度の4310円にまで上昇してしまっている状態で、1742円のときの「中長期投資の対象」という言葉にとらわれて、「購読者の皆さんを混乱させる可能性がある」というのは「長期投資」という言葉に囚われすぎていると、私には感じられました。長期投資は単に長い間投資したままで売らない、ということではないと考えています。

 しかし世の中の長期投資を愛する人々の中には、「株価には関係なく、とにかく長期で投資し続けることが長期投資だ」と考えている人々が多いことも知っています。そこで私が考える長期投資について、ちょっと述べさせていただこうと思います。

 中長期というのは、あくまでも株価が上がらずに割安の状態のままでいたときに、投資レンジを中長期という長めのスタンスにして、じっくりと投資を継続するという意味で使うもの。したがって、当初の予想よりグッと短い期間で株価が上昇した。しかも自分が考えている投資対象企業の内在価値(=本質的価値、本源的価値)に大きくプレミアムがついた状態まで、株価が暴騰したのなら、中長期という言葉に囚われることなく、利食いを行なって、他のもっともっと割安な状態にまで売り叩かれたままになっている、別の投資対象にシフトするのは、中長期投資に反することではないと考えています。

 中長期投資の対象銘柄というのは、株価が短期ではそれほど上昇しないであろうという前提条件下でも、売却しないで、株価が内在的価値(=企業の本質的価値、本源的価値)に戻るまで投資し続ける価値のある銘柄のこと。このように考えるべきだと思っています。

 有料メルマガ「石川臨太郎の生涯パートナー銘柄の研究」の方には、あまりにも盛りだくさんにいろいろ書いたので、こちらのコラムの方でフォロー的なことを書かせていただきました。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

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最近の金融証券業界における転職市場について

JUGEMテーマ:ビジネス

 億近読者のみなさん、こんばんは。1週間ぶりのご無沙汰です。

 さて今回は久しぶりに、金融証券業界の転職市場について、お伝えします。

 2年前のBNPパリバ・ショックでサブプライムローン問題が顕在化し、その直後から金融証券業界では、採用活動が冷え込み始め、昨年3月のベア・スターンズの破綻で最悪の状況になったかと思われた更に半年後、リーマンショックで、かつてないほどの大打撃を受けました。よく、超買手市場といいますが、求人がかつてないほど激減したため、「買手不在市場」と言っても過言では無い位の状態が最近まで続いてます。

 金融証券業界に特化したヘッドハンティング業務を始めて9年目の私の元には、毎日のように、友人・知人を介した転職相談や、人材からの求職依頼が来ています。2年前なら、そうした人材に、求人案件を紹介できるケースも少なくなかったのですが、リーマンショック以降は残念ながら、あまりお役にたてない状態が続いています。

 今年に入ってからの、金融証券業界人材からの転職相談依頼は、経験9年目の私にとっても、驚くようなケースが多くなってきています。たとえば、某外資系証券で年俸3億円程得ていた方が、1年近く職が見つからず、生活水準が高く蓄えが不十分なために、年収1000万円以下の案件に応募するも書類選考を全く通らない、という状況です。

 最近は、前職で年収数千万円以上貰っていた人材が、年収1000万円以下の案件に応募してくることが全く珍しくなくなりました。しかし、です。それでも、見つからないのです。それは、採用する側が、前職で年俸が高い人材を敬遠する傾向が強いからです。
 無理もありません。前職で5000万円貰っていた人材が、年収800万円に下がった場合、どれくらい高い意欲を持って仕事をしてくれるでしょうか。幾ら本人が気にしないと言っても、前職の5分の1に年収が下がってしまうというのは、通常、どうしても落胆してしまうものです。

 それに比べ、前職600万円の人材が、800万円に上がった場合、当然のことながら、高い意欲を持って仕事をしてくれるのは、間違いありません。そして、こういう人材は、探せばそれなりの数、存在します。そのため、前職で年収が高い人材は、それ自体が両刃の剣となり、次の転職先を非常に見つけにくくなる傾向があります。
 採用担当者から体よく、「大変優秀な方ですが、ウチにはオーバー・クォリファイド(人材のレベルが高すぎる=年収が高すぎる)ですね」と、お断りされてしまうのです。

 もう半年、1年、仕事が見つかっていない「前数千万円プレイヤー」が、たくさん増えています。
 既にある生活水準、高額な住宅ローン、近所の目、子供の通っている私立学校の件…などなど、簡単には支出を急に落とせない、それなりの事情があったりします。変化に対応できる方は、果敢に起業したり、独立して、次の仕事での成功を目指しています。変化への対応が難しい方は、状況が好転することをひたすら待ちながら転職活動を継続しています。

 今、数少ない金融証券業界の求人の中で、根強いニーズがあり、一番稼げる要素が高いのは、やはり営業職です。ただ、書類選考が非常に厳しく、突破するには少なくとも必ず記載すべき事項というのが、あります。
 それは、直近の実績の数字です。これが無いまま、いくら美辞麗句を並べても、まず書類選考は通りません。逆に、それほど美辞麗句を並べなくても、実績の数字が文句なく誇れるものであれば、面接になる可能性が非常に高くなります。しかしながら、こうした人材は極めて限られています。

 今後暫くは、金融証券業界における転職市場の冷え込みが、急速に改善することは無さそうです。

 また、一攫千金的な自己投資業務よりも、着実かつ地道な本来のフィー・ビジネスが見直されています。転職期間が数カ月以上に長引き、長期戦になりそうな場合は、いっそのこと副業を始めてしまうというのもありではないでしょうか。着実かつ地道な本来の副業です。
 業種によっては、既に容認する会社がいくつも存在しています。今は、金融証券から他業界への転職者が、どんどん増えています。私も最近、副業を始めました(笑)。 

 みなさんは、どう思いますか?

(渡辺直行)

*渡辺直行のプロフィール
トウキョウ・フォレックス株式会社、ソシエテ・ジェネラル証券国内法人先物・オプション部長を経てインターネットベンチャー2社の立ち上げに参加。
その後米系ヘッドハンティング会社を経て起業、2005年1月、エグゼクティブ・サーチ・ジャパン株式会社代表取締役就任。

*本田健のライフワークスクール・ナビゲーターもしています。
http://www.lifeworkschool.com/navi/detail/25/

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億の近道2009/07/28

JUGEMテーマ:株・投資

JUGEMテーマ:ビジネス


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
投資情報メールマガジン                   2009/07/28
              イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週5回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析やコラムを参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

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             −本日の目次−
        (本日の担当:石川臨太郎&渡辺直行)

 ◆コラム「定年後は株で楽しく暮らしたい(118)」:石川 臨太郎
 ◆コラム「最近の金融証券業界における転職市場について」:渡辺直行

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◆コラム「連載:ぬくぬくホッコリ株日記 定年後は株で楽しく暮らしたい」

■第118回■

 自分のブログでは、独立系の長期投資を謳い文句にして、実際の運用状況を
みると、日本の小型株の株を発行済み株式総数に対して3%も4%も所有して
いて、それを投資環境の悪い時に短期間に一気に投げ売りして、応援するはず
の企業の株を上場来安値や10年来の安値に叩き落した投資信託に投資して損
をしたことなどについて書いています。

 この問題のある投資信託に10年近く投資していて、ドルコスト平均法で
「毎月コツコツ購入」などという、質の悪い投資対象に対して、絶対にやって
はいけない禁断の方法で累積投資をしてしまったために、一円の配当ももらわ
ずに、手数料だけふんだくられて、ついに元本割れで解約せざるを得ない羽目
に陥った口惜しさなどについて愚痴っています(苦笑)。

 その解約したキャッシュが手元に戻ってきたこと。たまたま大口の自社株買
いのIRが発表されたために、短期需給が好転したので、投資信託で作った損
を一気に取り返す作戦を実行しました。本日の有料メルマガ「石川臨太郎の生
涯パートナー銘柄の研究」
のコラムでは、この投機についてどのように考えて
投資を行ない、どのような理由からいつ利食い売りをして撤退することしたか
ということを書きました。

 たまには短期(投機)売買で射幸心を満足させてやることで、中長期用に組
成したポートフォリオの中核銘柄を売り買いしたいという欲望を発散させてし
まうという方法はけっこう有効です。これはプロのファンドマネージャーでも
活用している人がいるようです。この資金を限定しての短期トレードは、私に
はとても有効な方法でした。

 今回有料メルマガ「石川臨太郎の生涯パートナー銘柄の研究」のコラムで取
り上げるときに問題になったのは、3月10日に、1422円まで売り込まれ
たときに、割安だと考えていると事前予告して、翌週3月17日(配信日)に
研究銘柄として取り上げた時点ですでに1742円に上がってしまっていた中
長期投資の対象として取り上げた銘柄が、今回の短期投機の対象銘柄となった
ことでした。

 「中長期投資の対象として選んだ銘柄を、こんどは短期投機の対象とするの
は購読者の皆さんを混乱させないか」という議論でした。

 もし株価が上がらないで1742円のままでいたならば、短期投機の対象に
するのは問題があるように思います。しかし株価はすでに1742円の2.5
倍程度の4310円にまで上昇してしまっている状態で、1742円のときの
「中長期投資の対象」という言葉にとらわれて、「購読者の皆さんを混乱させ
る可能性がある」というのは「長期投資」という言葉に囚われすぎていると、
私には感じられました。長期投資は単に長い間投資したままで売らない、とい
うことではないと考えています。

 しかし世の中の長期投資を愛する人々の中には、「株価には関係なく、とに
かく長期で投資し続けることが長期投資だ」と考えている人々が多いことも知
っています。そこで私が考える長期投資について、ちょっと述べさせていただ
こうと思います。

 中長期というのは、あくまでも株価が上がらずに割安の状態のままでいたと
きに、投資レンジを中長期という長めのスタンスにして、じっくりと投資を継
続するという意味で使うもの。したがって、当初の予想よりグッと短い期間で
株価が上昇した。しかも自分が考えている投資対象企業の内在価値(=本質的
価値、本源的価値)に大きくプレミアムがついた状態まで、株価が暴騰したの
なら、中長期という言葉に囚われることなく、利食いを行なって、他のもっと
もっと割安な状態にまで売り叩かれたままになっている、別の投資対象にシフ
トするのは、中長期投資に反することではないと考えています。

 中長期投資の対象銘柄というのは、株価が短期ではそれほど上昇しないであ
ろうという前提条件下でも、売却しないで、株価が内在的価値(=企業の本質
的価値、本源的価値)に戻るまで投資し続ける価値のある銘柄のこと。このよ
うに考えるべきだと思っています。

 有料メルマガ「石川臨太郎の生涯パートナー銘柄の研究」の方には、あまり
にも盛りだくさんにいろいろ書いたので、こちらのコラムの方でフォロー的な
ことを書かせていただきました。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

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◆コラム「最近の金融証券業界における転職市場について」

 億近読者のみなさん、こんばんは。1週間ぶりのご無沙汰です。

 さて今回は久しぶりに、金融証券業界の転職市場について、お伝えします。

 2年前のBNPパリバ・ショックでサブプライムローン問題が顕在化し、そ
の直後から金融証券業界では、採用活動が冷え込み始め、昨年3月のベア・ス
ターンズの破綻で最悪の状況になったかと思われた更に半年後、リーマンショ
ックで、かつてないほどの大打撃を受けました。よく、超買手市場といいます
が、求人がかつてないほど激減したため、「買手不在市場」と言っても過言で
は無い位の状態が最近まで続いてます。

 金融証券業界に特化したヘッドハンティング業務を始めて9年目の私の元に
は、毎日のように、友人・知人を介した転職相談や、人材からの求職依頼が来
ています。2年前なら、そうした人材に、求人案件を紹介できるケースも少な
くなかったのですが、リーマンショック以降は残念ながら、あまりお役にたて
ない状態が続いています。

 今年に入ってからの、金融証券業界人材からの転職相談依頼は、経験9年目
の私にとっても、驚くようなケースが多くなってきています。たとえば、某外
資系証券で年俸3億円程得ていた方が、1年近く職が見つからず、生活水準が
高く蓄えが不十分なために、年収1000万円以下の案件に応募するも書類選
考を全く通らない、という状況です。

 最近は、前職で年収数千万円以上貰っていた人材が、年収1000万円以下
の案件に応募してくることが全く珍しくなくなりました。しかし、です。それ
でも、見つからないのです。それは、採用する側が、前職で年俸が高い人材を
敬遠する傾向が強いからです。
 無理もありません。前職で5000万円貰っていた人材が、年収800万円
に下がった場合、どれくらい高い意欲を持って仕事をしてくれるでしょうか。
幾ら本人が気にしないと言っても、前職の5分の1に年収が下がってしまうと
いうのは、通常、どうしても落胆してしまうものです。

 それに比べ、前職600万円の人材が、800万円に上がった場合、当然の
ことながら、高い意欲を持って仕事をしてくれるのは、間違いありません。そ
して、こういう人材は、探せばそれなりの数、存在します。そのため、前職で
年収が高い人材は、それ自体が両刃の剣となり、次の転職先を非常に見つけに
くくなる傾向があります。
 採用担当者から体よく、「大変優秀な方ですが、ウチにはオーバー・クォリ
ファイド(人材のレベルが高すぎる=年収が高すぎる)ですね」と、お断りさ
れてしまうのです。

 もう半年、1年、仕事が見つかっていない「前数千万円プレイヤー」が、た
くさん増えています。
 既にある生活水準、高額な住宅ローン、近所の目、子供の通っている私立学
校の件…などなど、簡単には支出を急に落とせない、それなりの事情があった
りします。変化に対応できる方は、果敢に起業したり、独立して、次の仕事で
の成功を目指しています。変化への対応が難しい方は、状況が好転することを
ひたすら待ちながら転職活動を継続しています。

 今、数少ない金融証券業界の求人の中で、根強いニーズがあり、一番稼げる
要素が高いのは、やはり営業職です。ただ、書類選考が非常に厳しく、突破す
るには少なくとも必ず記載すべき事項というのが、あります。
 それは、直近の実績の数字です。これが無いまま、いくら美辞麗句を並べて
も、まず書類選考は通りません。逆に、それほど美辞麗句を並べなくても、実
績の数字が文句なく誇れるものであれば、面接になる可能性が非常に高くなり
ます。しかしながら、こうした人材は極めて限られています。

 今後暫くは、金融証券業界における転職市場の冷え込みが、急速に改善する
ことは無さそうです。

 また、一攫千金的な自己投資業務よりも、着実かつ地道な本来のフィー・ビ
ジネスが見直されています。転職期間が数カ月以上に長引き、長期戦になりそ
うな場合は、いっそのこと副業を始めてしまうというのもありではないでしょ
うか。着実かつ地道な本来の副業です。
 業種によっては、既に容認する会社がいくつも存在しています。今は、金融
証券から他業界への転職者が、どんどん増えています。私も最近、副業を始め
ました(笑)。 

 みなさんは、どう思いますか?

(渡辺直行)

*渡辺直行のプロフィール
トウキョウ・フォレックス株式会社、ソシエテ・ジェネラル証券国内法人先物
・オプション部長を経てインターネットベンチャー2社の立ち上げに参加。
その後米系ヘッドハンティング会社を経て起業、2005年1月、エグゼクテ
ィブ・サーチ・ジャパン株式会社代表取締役就任。

*本田健のライフワークスクール・ナビゲーターもしています。
http://www.lifeworkschool.com/navi/detail/25/

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