グローバル投資のポイント(65)

■サブプライムと景気悪化を結びつけるロジックへの疑問■

 金融市場関係者の間では、来週発表される米国の経済指標の注目度が高まっています。中でも、9月4日に発表される「ISM製造業景気指数」と、9月7日に発表される「非農業部門雇用者数(NFP)」の注目度は高いようです。

 「ISM製造業景気指数」とは、ISM(米サプライ管理協会)が製造業を対象とするアンケート調査です。「非農業部門雇用者数」は、その名の通り、農業以外の産業で働く雇用者の増減を示します。どちらの指標も、景気との連動性が強いものとして知られています。

 両指標が注目集めるのは、米国景気との連動性が強いだけでなく、来週発表される結果が、8月を調査対象としているためです。8月は、いわゆるサブプライムローン問題が表面化した時期であり、2つの経済指標は、単に米国景気を示すだけでなく、サブプライムローン問題と米国景気との関係を知る手がかりとして注目を集めています。

 市場予想によると、現時点では、市場関係者は、両指標とも8月は前回(7月)並みの結果となると見込んでいるようです。しかし、サブプライムに対して悲観的な見方をする方の中には、サブプライムローン問題が、米国景気を悪化の方向に導くため、8月の2つの指標の結果はもっと悪くなるはずだと主張する方もいます。

 ただ、あくまで個人的な考えですが、サブプライムローン問題が米国景気を悪化させるという考え方は合理的ではないと思っています。仮に8月の指標の結果が悪くなるとしても、それは米国景気自身が悪化したためで、サブプライムローン問題は、あまり関係がない気がします。

 サブプライムローン問題が、米国景気を悪化させないと考える理由の1つは、サブプライムローン問題によって生ずる損失額の大きさです。サブプライムローン市場は、約1兆3千億ドルといわれてます。仮にローン延滞率が20%程度まで悪化したとしても、不良債権額は2600億ドルとなります。
 サブプライムローンは、一般の住宅ローンと同様に住宅を担保としています。住宅担保で損失全てをカバーすることは難しいとしても、ローン設定時の担保掛目が8割程度であることを考えると、不良債権の少なくとも半分程度は担保を売却することで回収できます。

 以上の点を考えると、サブプライムローン問題で発生する損失額は最大でも1300億ドル程度となります。これは米国の名目GDPの1%程度です。名目GDPの1%が毀損することは、個別の金融機関にとっては大きな損失といえます。しかし、米国経済全体で考えた場合、この程度の損失は吸収できる範囲であり、これをもって米国景気全体が悪化するとは考えにくい気がします。

 サブプライムローン問題を信用収縮と結びつけ、信用収縮が米国景気の悪化を促すと主張する方もいます。たしかに一部金融機関では、依然として資金繰りが厳しいところもあるようです。しかしFRBが公定歩合を下げ、大手金融機関のほとんどが必要な資金を手当てできている状況をみると、景気を悪化させるような信用収縮が発生している状況にはみえません。

 もちろん、こうした考え方は、単に無知から生じたものかもしれません。また来週発表される8月の2つの指標が良い結果になることを示すものでもありません。ただ、マクロ指標から得られるデータに基づく限り、サブプライムローン問題が米国景気を悪化させるという考え方に疑問を抱かざるを得ないのが正直な気持ちです。

村田雅志(むらた・まさし)
(GCIキャピタル・チーフエコノミスト)

<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月より現職。

現在、コンテンツ事業の立ち上げに奮闘中。
GCIグループ初の投資情報サイト【Klugクルーク】にて、投資に関する
コラムを執筆中。

☆★☆★FXに役立つ世界初の占いとは?☆★☆★

村田も執筆している情報サイトKlug クルークに新しいコンテンツ!!!
世界で初めて、「ラッキー通貨ペア」を告げる占いが登場しました。

【クルーク為替占い】
http://www.gci-klug.jp/horoscope/

土日も更新しています。
あのアップルのiTunesでも配信しているので
通勤中でもiPodで簡単に運勢を確認することもできます。

為替に興味がない方も、【クルーク為替占い】で
ぜひご自身の運勢を確認ください!!!!!

<主な著書>
景気予測から始める株式投資入門」(パンローリング)
絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」(すばる舎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2007/08/31


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
投資情報メールマガジン                   2007/08/31
              イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週4回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析や銘柄を参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

===================================

             −本日の目次−
           (本日の担当:村田雅志)

  ◆コラム「グローバル投資のポイント(65)」:村田 雅志

===================================

◆コラム「グローバル投資のポイント(65)」

■サブプライムと景気悪化を結びつけるロジックへの疑問■

 金融市場関係者の間では、来週発表される米国の経済指標の注目度が高まっ
ています。中でも、9月4日に発表される「ISM製造業景気指数」と、9月
7日に発表される「非農業部門雇用者数(NFP)」の注目度は高いようです。

 「ISM製造業景気指数」とは、ISM(米サプライ管理協会)が製造業を
対象とするアンケート調査です。「非農業部門雇用者数」は、その名の通り、
農業以外の産業で働く雇用者の増減を示します。どちらの指標も、景気との連
動性が強いものとして知られています。

 両指標が注目集めるのは、米国景気との連動性が強いだけでなく、来週発表
される結果が、8月を調査対象としているためです。8月は、いわゆるサブプ
ライムローン問題が表面化した時期であり、2つの経済指標は、単に米国景気
を示すだけでなく、サブプライムローン問題と米国景気との関係を知る手がか
りとして注目を集めています。

 市場予想によると、現時点では、市場関係者は、両指標とも8月は前回(7
月)並みの結果となると見込んでいるようです。しかし、サブプライムに対し
て悲観的な見方をする方の中には、サブプライムローン問題が、米国景気を悪
化の方向に導くため、8月の2つの指標の結果はもっと悪くなるはずだと主張
する方もいます。

 ただ、あくまで個人的な考えですが、サブプライムローン問題が米国景気を
悪化させるという考え方は合理的ではないと思っています。仮に8月の指標の
結果が悪くなるとしても、それは米国景気自身が悪化したためで、サブプライ
ムローン問題は、あまり関係がない気がします。

 サブプライムローン問題が、米国景気を悪化させないと考える理由の1つは、
サブプライムローン問題によって生ずる損失額の大きさです。サブプライムロ
ーン市場は、約1兆3千億ドルといわれてます。仮にローン延滞率が20%程
度まで悪化したとしても、不良債権額は2600億ドルとなります。

 サブプライムローンは、一般の住宅ローンと同様に住宅を担保としています。
住宅担保で損失全てをカバーすることは難しいとしても、ローン設定時の担保
掛目が8割程度であることを考えると、不良債権の少なくとも半分程度は担保
を売却することで回収できます。

 以上の点を考えると、サブプライムローン問題で発生する損失額は最大でも
1300億ドル程度となります。これは米国の名目GDPの1%程度です。名
目GDPの1%が毀損することは、個別の金融機関にとっては大きな損失とい
えます。しかし、米国経済全体で考えた場合、この程度の損失は吸収できる範
囲であり、これをもって米国景気全体が悪化するとは考えにくい気がします。

 サブプライムローン問題を信用収縮と結びつけ、信用収縮が米国景気の悪化
を促すと主張する方もいます。たしかに一部金融機関では、依然として資金繰
りが厳しいところもあるようです。しかしFRBが公定歩合を下げ、大手金融
機関のほとんどが必要な資金を手当てできている状況をみると、景気を悪化さ
せるような信用収縮が発生している状況にはみえません。

 もちろん、こうした考え方は、単に無知から生じたものかもしれません。ま
た来週発表される8月の2つの指標が良い結果になることを示すものでもあり
ません。ただ、マクロ指標から得られるデータに基づく限り、サブプライムロ
ーン問題が米国景気を悪化させるという考え方に疑問を抱かざるを得ないのが
正直な気持ちです。

村田雅志(むらた・まさし)
(GCIキャピタル・チーフエコノミスト)

<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月より現職。

現在、コンテンツ事業の立ち上げに奮闘中。
GCIグループ初の投資情報サイト【Klugクルーク】にて、投資に関する
コラムを執筆中。http://www.gci-klug.jp/klugview/

☆★☆★FXに役立つ世界初の占いとは?☆★☆★

村田も執筆している情報サイトKlug クルークに新しいコンテンツ!!!
世界で初めて、「ラッキー通貨ペア」を告げる占いが登場しました。

【クルーク為替占い】
http://www.gci-klug.jp/horoscope/

土日も更新しています。
あのアップルのiTunesでも配信しているので
通勤中でもiPodで簡単に運勢を確認することもできます。

為替に興味がない方も、【クルーク為替占い】で
ぜひご自身の運勢を確認ください!!!!!

<主な著書>
「景気予測から始める株式投資入門」(パンローリング)
 http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990070
「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」(すばる舎)
 http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784883994298

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

 「億の近道」のwebはバックナンバー閲覧を重点に置いた、ブログ風の作
りになっております。現在、2006年7月分まで掲載しておりますが、順次
過去分を追加していく予定です。コメントなどはつけられませんが、まとめ読
みなどに是非ご利用下さい。
 http://okuchika.net/

===================================

 「億の近道」は特定非営利活動法人イノベーターズ・フォーラムの登録商標
です。この名称での有償のサービス等は行っておりません。紛らわしい名称の
サービスは弊社と一切関係ありませんのでご注意下さい。

===================================

■「個人投資家のための景気観養成セミナーDVD」発売中!■
 2003年11月に行われた村田雅志氏の景気観養成セミナーを全て収録し
た2枚組DVDです。

◆受講したいけど行けなかった…という方には最適
 当日行われたセミナーの全てを漏らさず収録。もちろん、セミナー当日配布
された資料も収録しております。これで開催地に縛られることなく、自分のペ
ースで学習することが可能です。

◆マスターへの早道は反復
 頭で理解しているつもりでも、いざ実践してみると様々な疑問点が新たに湧
いてくるもの。DVDで何度も復習することにより、マスターへの早道となり
ます。今回のセミナーをより自分のものにするためのツールとしてお役立て下
さい。

詳細はイノベーターズ・フォーラムのホームページまで。
http://www.iforum.jp/dvd.htm

===================================

億近オフィシャルクラブ掲示板(無料)は、執筆陣を含めた様々な方がコミュ
ニケートしております。是非ご参加ください。MSNのサービスを利用してお
ります。
http://groups.msn.com/okuchika

===================================

当メルマガは以下のシステムを利用して発行しております。
 ◆まぐまぐ ID:0000020640
       購読解除:http://www.kaijo.com/
 ◆E-Magazine ID:okuchika
       購読解除:http://www.emaga.com/info/okuchika.html
 ◆melma!  ID:m00010868
       購読解除:http://www.melma.com/
 ◆メルマガ天国 ID:1127
       購読解除:http://melten.com/m/1127.html

編集者:億の近道発行プロジェクト
発行者:NPO法人イノベーターズ・フォーラム
 email:okuchika.mail@gmail.com
 http://www.iforum.jp/
このメールマガジンの無断転載・引用を禁じます。
==================================

ぬくぬくホッコリ株日記 定年後は株で楽しく暮らしたい




■第21回■

 世界の株式市場は、各国の中央銀行の資金供給などによって、だいぶ落ち着いてきたように、感じられます。しかし震源地であるアメリカの株式市場の下落幅より、日本の株式市場のダメージの方が大きいってのも、なにか釈然としませんね。でもこれが市場ってもんでしょう。まあ〜日本の投資家がだらしないからね〜^^;

 こういうときは、普段では考えられないような質の良い株を2割、3割引きで買えちゃう可能性が高いので、将来の資産形成のための株式投資をする人にとっては、堪えられない快感ですね。特に、まだ、あまり株資産を持ってない人にとっては、そうだと思います。

 私も老後にインフレで金融資産がダメージを受けないようにって意味でも、株式投資を続けているので、自分としてはちょっと高めで維持していたキャッシュから半分つぎ込んでバーゲン品を買いました。

 今回のお目当ては、600円から700円くらいが定位置で、そこからナイヤガラの滝状態で株価が2割以上3割くらい下げちゃった中小型の銘柄を主体にパクパク買いました。

 つい1ヶ月前まで650円とか750円とかしていた株(今年の高値が800円を越えているものもありました。しかも業績は悪くなってないのに需給と市場環境で急落したって、美味しくないですか^^;)が500円前後になったのを拾っています。

 日本水産、ニチレイ、クレハ、ラサ商事、大日精化工業、大紀アルミニウム工業なんてのを、絨毯爆撃みたいに広く浅くって感じです。
 その他にも優待銘柄のペガサスミシン製造、昭栄、古野電気、ライト工業とかもポツポツひろって見ましたが、たぶん500円台銘柄を単位株以上買うために、殆んど手放すことになりそうです。

 年間の経常利益が20億程度なのに11億もの不良債権直撃を受けた会社を買って、慌てて売り逃げたりもしています。大株主の外資がもう3ヶ月も律儀に売り続けまだ200万株以上持ってるなんてヒエ〜銘柄も上記の中にはございます(大量保有報告で確認してのけぞりました)。こりゃ、買い増しできないや。ただ3ヶ月くらいで50%以上すでに下げ、指数的にも割安で、配当利回りもすごくよく、含み益の塊みたいな会社なので、将来は絶対買い増そうと思って斥候株はまだ持ってます。

 こんなドタバタをブログに毎日書いています。でも、レバレッジはいっさいかけておりません。そして投資している資金の性格は60歳以後に使う予定の余裕資金だけです。その上過去の株式投資による利益を残している分だけで投資しています。したがって、今回くらいの株価下落では、まったく慌てることはありません。

 主力投資銘柄の三菱商事など財閥系総合商社3社とも業績面で不安はないし、トヨタグループ、ホンダなど自動車関連の主力も、将来的な不安はありません。主力株は安心大型株、超大型株といわれる企業です。
 また今回シコシコ買っている500円台の株は、直ぐには株価が反発しなくとも、相場環境が落ち着けば古巣の600円や700円には、まちがいなく戻りそうな、業績をたたき出してくれると信じてます^^;

 まだまだサブプライム問題は奥が深そうなので、二番底を探る動きも出るでしょう。日本の政治も、まったく安心できない状態ですしね。無理せずゆっくりと、資産形成のための株式投資をのんびり続けていきましょうと、ブログでも書き続けていますが、億近の読者のみなさまも、無理をしないで株ライフを楽しんでいただきたいと思います。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)




目指せ!テクノロジーインベスター(18)

(18)板金(1)

テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思うのですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。

そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやすく技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。

今回は、板金についてお話します。

その前にすこしだけコネクタのお話をします。なぜ、コネクタの話しをするのかというと・・・。携帯電話に使われているコネクタは、プラスティックと板金の技術でできている複合製品なのです。

前回、前々回は、プラスティックについてお話しましので、実は、コネクタの半分はわかってしまったことになるのです。

今回板金のお話をして、コネクタの話へとつなげていきたいと思います。

さて、板金という言葉を聞いてどの様な、イメージがわくでしょうか。

車に乗っている人は、車を板金屋さんに直してもらったなどと言うときの板金を思い出すかもしれません。

ある人は、おめでたい時に飲む金箔入りのお酒を思い出す人がいるかもしれません。テレビなどで、米粒ほどの金を職人さんが、たたいて薄く延ばして金箔を作っているのをみたことがあるかもしれません。

共通しているのは、『金属の板をたたいて形をつくる』ということですね。

もう少し、イメージでお話を進めていきましょう。
クッキーを作るところを想像してみてください。材料をこねて、麺棒で薄く延ばしたりして、薄い生地をつくります。それを、子供が喜ぶような形に切り抜きます。象や星の形の金属で作られた枠で抜いたりします。

板金も、『金属の板を枠で打ち抜く』ことをします。

ここは重要です。

板金とは、
『金属の板を、たたいたり、延ばしたり、打ち抜いたりする』ことと捉えてください。

加工方法については、次回にゆずるとして、この板金はコネクタのどの様な働きをしているのでしょうか。

コネクタとは、接続するという意味なので、何かと何かをつなぐものです。携帯電話は、カメラをはじめ、バッテリはもちろん、マイクロSD、イヤホン、など色々な、機能がありますが、その一つ一つに、コネクタがついているのです。

カメラと携帯電話の基板をつなぐにも、バッテリと携帯電話の基板をつなぐにも、その他の色々な機能を携帯電話の基板とつなぐのにも、全てコネクタが必要なのです。

そして、板金は、カメラと携帯電話の中の基板を電気的につなぎます。バッテリと携帯電話の基板の電気の供給を板金が行います。このとき、板金は端子と呼ばれます。この言葉を覚えておいてください。

この板金の技術でつくられた端子が、マイクロSDカードと携帯電話の基板とのデータのやり取りを伝えますし、イヤホンと携帯電話の基板との音声信号を伝えるのです。

コネクタの端子は、このように、電気信号を伝える働きをしているのです。

彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


やる気シリーズ その5

〜利己主義や狭視野と決別し、奥行きのある見方を身に着ける〜

■花火大会と裏方さん

今年も各地で花火大会がありました。
ただし、首都圏の大きな花火は、どこもすごい人だかり。
込み合っています。

さて、盆踊りや花火大会がどれだけの人のサポートで開催されているのでしょう。
警備や大会運営など、役所の方々も土日返上で大変です。
各地の自治会やPTAやこども会の役員などが、もくもくと仕事をして、これらのお楽しみの「無料」サービスの仕組みを提供しているのです。
彼らのボランティアがなければ、無料で盆踊りや花火が開催できるはずもありません(税金も投入されております)。

力仕事もある裏方は嫌。
でも、花火大会は見たいという人が全体の99%です。
たった1%の人が裏方として残りの99%を支えています。

■モンスターペアレント登場

最近、学校に対して、親からとんでもない要求がくるそうです。
「体操着を家で洗うのはどうか。学校でまとめて洗ってくれないか?」
「朝起きるのが大変。学校からモーニングコールをしてくれないか?」
など。

これらの非常識かつ理不尽な要求をする親のことを、
「モンスターペアレント」というそうです。

学校の給食費の納付率が低く、中には、払いたくても払えない人もいるようです。
しかし、学校の先生の一般的な見立ては、
「未納の親の90%の人が払えるのに払っていない。」

■こども会の消滅

全国的にこども会、保育園父母の会、PTA、自治会の消滅が相次いでいます。
こどもがいなくなったからではなく、引き受け手がいなくなったのです。

PTAや自治会の役員は、かけもちをする人が大多数となっています。
つまり、人口の1%が、超多忙となり、ボランティアを何役もこなしている実態があるのです。
頼める人が減り、頼める人はすでに忙しい。
忙しい人にまた役職が増えるという悪循環です。
わたしも自治会を3年やりましたが、1年のつもりが3年になったのは、後釜を探してもなかなか見つからなかったからでした。

■花火大会の活況・こども会消滅・モンスターの出現

果たして、これらの社会的現象はどうみたらよいのでしょうか。
読者の中には、自治会やPTAやこども会の役員の方もいらっしゃると思いますが、なぜ、99%のひとびとが、これらのボランティアに消極的になってしまうのでしょうか。
そして、一切手伝わないで、花火大会や盆踊りになると、家族総出で出かけてしまうのでしょうか。

100%の受益と0%の奉仕で、それが当然という態度の大人が急速に増殖しているのです。

■60−70代の「甘い」子育て

今の親の「モンスター化」の背景には、親の親の世代である60−70代の子育てに問題があったのではないかとわたしは考えています。
戦争を体験し、戦後の貧しさを体験し、高度成長を担った親の親世代は、自らの苦労を子どもに背負わせることがありませんでした。
結果として、家事をさせずに、勉強だけしていれば文句を言わない育て方をしました。
30−40代は、塾に最初に行った世代です。
受験戦争も体験しました。
核家族化の中、労役を免除されたこどもたちは、わがままになりました。
家の手伝いもまったくしない。
その30−40代が親になってしまいました。
わたしは40代ですが、子どものころ、「関係ないね」が流行語になりました。
「関係ない」という究極の無関心世代が親になりました。
わたしたちは、単なる身勝手な消費者になってしまったのではないでしょうか。

■なぜ誰もやらなくなったのか

PTAの仕事を頼んでも、十中八九断られる理由は「余裕がない」です。
まず、
「仕事が忙しい。」
「趣味も忙しい。」
「子どもの教育や習い事への付き添いが忙しい。」
「親の面倒がある。」

うちの地区では、保育園の年中行事であるクリスマス会がなくなりました。
理由は、「親が大変だから」です。
「親が働いていて大変だから保育園に預けているのに、なぜ親が休日に準備を手伝わなくてはならないのか」という理由です。

また、少年野球のコーチが見つかりません。
PTAの会長がなり手がいません。

この「やる気シリーズ」では、日本の職場の長時間労働を問題視していました。
長時間労働が人々から余裕をなくし、余裕のない人々は、他人に対して冷たくなるという論理です。
余裕があれば、子育てにも積極的に関与できます。
また、地域社会への貢献もある程度できるでしょう。

ところが、今の30−40代を見ていると、どんなに余裕があったとしても、手軽な趣味に興じて、自治会やPTAなどには参加しないと感じるようになりました。
本当の理由は、PTAや自治会がつまらないからというのがみんなの本音なのかもしれません。

■自治会やPTAの魅力のなさにも問題がある

ひとつは、自治会やPTAが単なる労働力提供として役所や学校から期待されているだけのつまらない存在に成り下がっているという問題もあるでしょう。
型破りのPTAはありえませんし、役所抜きの自治会もありえません。
ところが、学校や役所自体が、手続きやセクショナリズムに犯されており、個人の自由な発想を受け入れる素地がないことも問題です。

今の世代は、わがままですので、「楽しくないことはやりたくない」という感覚が強く、面倒なことはすすんでやりません。
もう少し、包容力のあるPTAや自治会に変わっていく必要があると思われます。

■ネットでの交流会の盛隆

一方で、ネットを介したオフ会などは盛隆を極めています。
株式投資でも、全国から勉強会に参加があったり、趣味や専門分野で、地域の枠を超えて、もっと楽しい集いが気軽に提供されるようになりました。
テレビで見ましたが、痴漢犯罪者が集うオフ会もあるようです。

なにも、趣味の合わない、価値観のあわないような近所の人々と肉体労働をする意味がなくなったのです。そんなことしなくても、価値観を同じくする、趣味を同じくする人たちとお酒を飲んだり、集まったりするほうが何倍も楽しいのです。

■早急でワンパターンの投資手法で通用しないのは当然

株式投資の面でも、個人投資家のファンダメンタルズ分析はあまりにも物事を単純化しています。
早急な結果を求めすぎるのです。

たとえば、PERが低い銘柄で、PBRも低い銘柄で、業績の上方修正があって、信用の取り組みも有利になっている − そんな銘柄を見つけては大きく張って、やられるという繰り返しではないでしょうか。

投資家とは、そんなに甘いものではありません。
それは、物事はそんなに単純ではないからです。
早急な結果を求めるものには真実が見えません。

たとえば、こんな若者がいました。

■おばあちゃんが掃除機を探しに家電量販店に来た −

この若者は、家電量販店に派遣されています。
あるとき、おばあちゃんが、掃除機を求めにきました。
誰も相手をしません。
この若者は、忙しい中、2時間もこのおばあちゃんに、ひとつひとつの掃除機のことをわかりやすく丁寧に説明しました。

しかし、派遣会社には苦情がいきました。
家電量販店は回転率がすべて。この若者のように、来る人に2時間もかかりきりになっていては商売になりません。

若者はその後1ヶ月で職場を交代することになりました。
現場では「つかいものにならないとろいやつ」というレッテルを貼られたからです。

わたしたちは、株を選ぶ際にも、早急さを求めます。
ひとつひとつの銘柄のことを1ヶ月も2ヶ月も調べていたら、すっかり買うチャンスを逃してしまうからです。

ところが株の本当のプロは、1ヶ月どころか1年ぐらいかけて企業を調べていきます。
早急さは株式投資の敵だり、真理こそが投資には役立つからです。

その若者には、後日談があります。
その家電量販店をやめる日が来ました。
その当日、彼は1日で100万円の売上げを上げました。
100万円はたいした金額ではないかもしれません。
掃除機を彼から買ったおばあちゃんが、二世帯住宅を新築したとき、家電一式をこの若者からどうしても買いたいと願ったからでした。

顧客に真正面から向き合うという、この若者の姿勢が、大きな約定となって返ってきたのです。

彼はその後、イタリアに渡り、料理の修業を2年間して、日本に戻りました。
そして、いつか、東京でイタリアンレストランを開業するのが夢です。
しかし、その開業資金が足りません。
いまは、引越しや現場労働者などの、「時給の高い、わりのよい」仕事を精力的にこなしています。
これを彼は「格差」とは呼びません。
この引越しの大変な仕事も、大きな夢への架け橋になるとわかっているからです。

■格差は受け入れるべきもの

きつい仕事は、気が付けば、ほとんどが外人が担っています。
きつい仕事を避ける日本人には、引き受けてがいないからです。

格差社会の問題は確かにあるとは思います。
わたしは重大な問題であると思っています。

しかし一方で、格差は誰にでもあり、成功者であれば、誰でも、格差を格差と思わないでがんばっています。
がんばることは大切な美徳です。
「必要なことだけど、誰もやらない。だから仕方なくやる」というのも美徳です。

人は生まれながら、格差に悩むものです。
わたしは、高校のとき、背が低いことがいやでした。
しかし、その格差を人に訴えたところで、何も解決はしません。
生まれながらにして、人は不平等です。
金持ちの子どもは有利です。
学歴の高い人は賃金が高くなる傾向があります。
しかし、これらの格差を乗り越えるのは、自分自身の精神力しかないのもまた事実なのです。

■好きじゃないプロファイル

ちょっと、こういう人たちのことをあまり好きにはなれません。
●コンビニや本屋でまんがを立ち読みする。
●面倒くさいボランティアや絶対に引き受けない。
●きつい仕事は絶対にやらない。
●正社員は残業が多くて割が合わないと敬遠する。
●楽に仕事がしたいと思うが、専門知識をつけようとはしない。
●10年20年かけてたたき上げる職人の世界を敬遠する。
●楽に儲けようとして、為替証拠金や株式の信用取引にはまる。

■一発逆転の人生を煽るマネー誌

マスコミもそういう人を煽るだけ煽るのです。
「1年で2億円儲けた」
「外国株式で大もうけ」
「IPOの投資で大もうけ」
などの見出しで投資の本質を伝えないマネー誌は功罪でいえば、投資のベーシックな教育を施しているとはいえ、投資哲学の欠如という罪の面が80%以上で、功の面は20%以下ではないでしょうか。
彼らの「楽して儲けよう!」というスタンスは、まるで今の日本人の気質を象徴しているようです。

■一発逆転の人生ではなく、着実な一歩を!

やる気シリーズでは、
余裕の大切さ、
基本の反復の重要性、
リーダーシップとプロフェッショナルリズムの意味について、
なぜ、甘えてはならないかという問いへのわたしなりの見識、
夢ややりたいことをどうしたら見つかるかへのヒントなどを書いてきました。

以下に再掲します。

★やる気シリーズ #1 やりたいことを見つけた人の強さについて

★やる気シリーズ#2 凡人でも一流のプロになれる

★やる気シリーズ #3 なぜ甘えてはいけないのか

★やる気シリーズ#4 基本の反復が未知の境地を切り開く

着実に、一歩、一歩、人間として、専門家として、プロとして、歩んでいただきたいと思っています。

■自分の時間の1%をボランティアに!

自分の時間の1%だけでも、自治会やPTAや地域社会に還元してもらえないでしょうか。
あるいは、なんらかのボランティアに参画していただけないでしょうか。

そのことが、視野を広げ、世の中をよりよく理解するきっかけになるでしょう。
視野の広さは、何事にも最終的な責任を受け入れる立場がなければ養われないものです。
投資家にとって、視野の広さは成功する要素のひとつです。
また、人生にとって、視野の広さは、他人へのかかわりを円滑にするでしょう。

■P.S.

生意気なことを書いてしまいました。
こういう自分も、まだまだ未熟者。
長期投資を標榜しながら、明日のNYが下がるか上がるかで、朝の気分が左右されることもあります。
今年は自治会も体調を崩してやめてしまいました。

投資力とは、人生経験や人間の幅の広さに比例するものであるということをなんとか伝えられないものかと思っています。

格差社会については、政治問題でもあり、わたしの辛らつな指摘は、この問題に真摯に取り組む人々にとっては無礼だったかもしれません。
ただ、わたしの立場は、格差を受け入れ、折り合いをつけるのは、他人ではなく、格差に悩んでいる本人だということです。

もちろん、政治的、システム的、法律的なセイフティネットを否定するものではありません。
理不尽な格差をなくす方向で、なんらかの貢献をしていきたいと考えています。
このやる気シリーズを読んだ方のなかに格差に悩む人がいれば、過去の4回をもう一度読み直してほしいと思います。
差別される側が、専門的な技術や知識を長期的に着実に一歩一歩つけていくことが格差の解消になると信じています。
「上流」と「下流」や正社員や派遣社員という区別を発展的に解消するためには、上流を下流に落とすのではなく、「下流」が「上流」に追いついてこそ、WIN−WINとなると信じています。

Enjoy Every Moment!
〜Slow Investment ゆっくり考え ゆったり投資 〜
山本 潤


■変わらぬメッセージ:長期の読者に感謝■

99年に始まった億の近道は、16000人程度の読者で成り立っています。
長期間購読を続けていただいた読者が多い、古い読者が多いことが特徴です。

このメルマガ(火曜日版)では、多くの株式投資メルマガにあるようなことは行いません。
つまり以下のことはやりません。

●手っ取り早い情報(証券会社の格付けの変更など)
●何を買うべきか
●投資指南
●お勧め銘柄
●マーケットをどうみているか

わたしたちは「タダなのにすごいことが書いてある」メルマガを志向しません。
また、編集に時間をかけることもできません。

わたしたちが伝えたいことは、

●日本が欧米に並ぶ金融大国になるために日本人がもっと学ぶべきこと
●若い世代がワーキングプアにならないためにすべきこと
●株式市場は手っ取り早く儲けようとする投資家を貧乏にするという教え
●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらすという教え
などです。

いわば投資の実務家としての哲学や歴史観・人生観です。

わたしたちが目指すのは、「ファンダメンタル分析」宗教の普及です。

<著者紹介>

億の近道に2000年3月に執筆を開始。
およそ7年間 毎週執筆してきました。
継続は力です!
昨年、念願の独立を果たす。
日本株ロングショートのヘッジファンドマネージャー。

(職歴)
1990−1997年
 和光証券国際本部
(1990−1992年日本興業銀行外国為替部および国際資金部へ出向)
1997年−2005年
 米系投資顧問クレイ フィンレイ インク ポートフォーリオマネージャー。
2006年1月より独立起業。
 エイム インベストメントでファンドマネージャー。
(学歴)
コロンビア大学院 電気工学科 工学修士。
(六本木裏通りの人生大学 夜間部卒。専攻は夜間泥酔行動経済学)
(主な著書)
 「インベストメント―米系バイサイド・アナリストの投資哲学と投資技法」(2001年イーフロンティア)
 「投資家から「自立する」投資家へ」(2003年パンローリング)
 「マンガ ファンダメンタルズ分析 入門の入門」(2004年パンローリング)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2007/08/28


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
投資情報メールマガジン                   2007/08/28
              イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週4回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析や銘柄を参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

===================================

             −本日の目次−
      (本日の担当:山本潤&彼岸先生&石川臨太郎)

 ◆コラム「やる気シリーズ その5」:山本潤
 ◆コラム「連載 目指せ!テクノロジーインベスター(18)」:彼岸
 ◆コラム「連載 定年後は株で楽しく暮らしたい(21)」:石川 臨太郎

===================================

◆コラム「やる気シリーズ その5」

〜利己主義や狭視野と決別し、奥行きのある見方を身に着ける〜

■花火大会と裏方さん

今年も各地で花火大会がありました。
ただし、首都圏の大きな花火は、どこもすごい人だかり。
込み合っています。

さて、盆踊りや花火大会がどれだけの人のサポートで開催されているのでしょ
う。
警備や大会運営など、役所の方々も土日返上で大変です。
各地の自治会やPTAやこども会の役員などが、もくもくと仕事をして、これ
らのお楽しみの「無料」サービスの仕組みを提供しているのです。
彼らのボランティアがなければ、無料で盆踊りや花火が開催できるはずもあり
ません(税金も投入されております)。

力仕事もある裏方は嫌。
でも、花火大会は見たいという人が全体の99%です。
たった1%の人が裏方として残りの99%を支えています。

■モンスターペアレント登場

最近、学校に対して、親からとんでもない要求がくるそうです。
「体操着を家で洗うのはどうか。学校でまとめて洗ってくれないか?」
「朝起きるのが大変。学校からモーニングコールをしてくれないか?」
など。

これらの非常識かつ理不尽な要求をする親のことを、
「モンスターペアレント」というそうです。

学校の給食費の納付率が低く、中には、払いたくても払えない人もいるようで
す。
しかし、学校の先生の一般的な見立ては、
「未納の親の90%の人が払えるのに払っていない。」

■こども会の消滅

全国的にこども会、保育園父母の会、PTA、自治会の消滅が相次いでいます。
こどもがいなくなったからではなく、引き受け手がいなくなったのです。

PTAや自治会の役員は、かけもちをする人が大多数となっています。
つまり、人口の1%が、超多忙となり、ボランティアを何役もこなしている実
態があるのです。
頼める人が減り、頼める人はすでに忙しい。
忙しい人にまた役職が増えるという悪循環です。
わたしも自治会を3年やりましたが、1年のつもりが3年になったのは、後釜
を探してもなかなか見つからなかったからでした。

■花火大会の活況・こども会消滅・モンスターの出現

果たして、これらの社会的現象はどうみたらよいのでしょうか。
読者の中には、自治会やPTAやこども会の役員の方もいらっしゃると思いま
すが、なぜ、99%のひとびとが、これらのボランティアに消極的になってし
まうのでしょうか。
そして、一切手伝わないで、花火大会や盆踊りになると、家族総出で出かけて
しまうのでしょうか。

100%の受益と0%の奉仕で、それが当然という態度の大人が急速に増殖し
ているのです。

■60−70代の「甘い」子育て

今の親の「モンスター化」の背景には、親の親の世代である60−70代の子
育てに問題があったのではないかとわたしは考えています。
戦争を体験し、戦後の貧しさを体験し、高度成長を担った親の親世代は、自ら
の苦労を子どもに背負わせることがありませんでした。
結果として、家事をさせずに、勉強だけしていれば文句を言わない育て方をし
ました。
30−40代は、塾に最初に行った世代です。
受験戦争も体験しました。
核家族化の中、労役を免除されたこどもたちは、わがままになりました。
家の手伝いもまったくしない。
その30−40代が親になってしまいました。
わたしは40代ですが、子どものころ、「関係ないね」が流行語になりました。
「関係ない」という究極の無関心世代が親になりました。
わたしたちは、単なる身勝手な消費者になってしまったのではないでしょうか。

■なぜ誰もやらなくなったのか

PTAの仕事を頼んでも、十中八九断られる理由は「余裕がない」です。
まず、
「仕事が忙しい。」
「趣味も忙しい。」
「子どもの教育や習い事への付き添いが忙しい。」
「親の面倒がある。」

うちの地区では、保育園の年中行事であるクリスマス会がなくなりました。
理由は、「親が大変だから」です。
「親が働いていて大変だから保育園に預けているのに、なぜ親が休日に準備を
手伝わなくてはならないのか」という理由です。

また、少年野球のコーチが見つかりません。
PTAの会長がなり手がいません。

この「やる気シリーズ」では、日本の職場の長時間労働を問題視していました。
長時間労働が人々から余裕をなくし、余裕のない人々は、他人に対して冷たく
なるという論理です。
余裕があれば、子育てにも積極的に関与できます。
また、地域社会への貢献もある程度できるでしょう。

ところが、今の30−40代を見ていると、どんなに余裕があったとしても、
手軽な趣味に興じて、自治会やPTAなどには参加しないと感じるようになり
ました。
本当の理由は、PTAや自治会がつまらないからというのがみんなの本音なの
かもしれません。

■自治会やPTAの魅力のなさにも問題がある

ひとつは、自治会やPTAが単なる労働力提供として役所や学校から期待され
ているだけのつまらない存在に成り下がっているという問題もあるでしょう。
型破りのPTAはありえませんし、役所抜きの自治会もありえません。
ところが、学校や役所自体が、手続きやセクショナリズムに犯されており、個
人の自由な発想を受け入れる素地がないことも問題です。

今の世代は、わがままですので、「楽しくないことはやりたくない」という感
覚が強く、面倒なことはすすんでやりません。
もう少し、包容力のあるPTAや自治会に変わっていく必要があると思われま
す。

■ネットでの交流会の盛隆

一方で、ネットを介したオフ会などは盛隆を極めています。
株式投資でも、全国から勉強会に参加があったり、趣味や専門分野で、地域の
枠を超えて、もっと楽しい集いが気軽に提供されるようになりました。
テレビで見ましたが、痴漢犯罪者が集うオフ会もあるようです。

なにも、趣味の合わない、価値観のあわないような近所の人々と肉体労働をす
る意味がなくなったのです。そんなことしなくても、価値観を同じくする、趣
味を同じくする人たちとお酒を飲んだり、集まったりするほうが何倍も楽しい
のです。

■早急でワンパターンの投資手法で通用しないのは当然

株式投資の面でも、個人投資家のファンダメンタルズ分析はあまりにも物事を
単純化しています。
早急な結果を求めすぎるのです。

たとえば、PERが低い銘柄で、PBRも低い銘柄で、業績の上方修正があっ
て、信用の取り組みも有利になっている − そんな銘柄を見つけては大きく
張って、やられるという繰り返しではないでしょうか。

投資家とは、そんなに甘いものではありません。
それは、物事はそんなに単純ではないからです。
早急な結果を求めるものには真実が見えません。

たとえば、こんな若者がいました。

■おばあちゃんが掃除機を探しに家電量販店に来た −

この若者は、家電量販店に派遣されています。
あるとき、おばあちゃんが、掃除機を求めにきました。
誰も相手をしません。
この若者は、忙しい中、2時間もこのおばあちゃんに、ひとつひとつの掃除機
のことをわかりやすく丁寧に説明しました。

しかし、派遣会社には苦情がいきました。
家電量販店は回転率がすべて。この若者のように、来る人に2時間もかかりき
りになっていては商売になりません。

若者はその後1ヶ月で職場を交代することになりました。
現場では「つかいものにならないとろいやつ」というレッテルを貼られたから
です。

わたしたちは、株を選ぶ際にも、早急さを求めます。
ひとつひとつの銘柄のことを1ヶ月も2ヶ月も調べていたら、すっかり買うチ
ャンスを逃してしまうからです。

ところが株の本当のプロは、1ヶ月どころか1年ぐらいかけて企業を調べてい
きます。
早急さは株式投資の敵だり、真理こそが投資には役立つからです。

その若者には、後日談があります。
その家電量販店をやめる日が来ました。
その当日、彼は1日で100万円の売上げを上げました。
100万円はたいした金額ではないかもしれません。
掃除機を彼から買ったおばあちゃんが、二世帯住宅を新築したとき、家電一式
をこの若者からどうしても買いたいと願ったからでした。

顧客に真正面から向き合うという、この若者の姿勢が、大きな約定となって返
ってきたのです。

彼はその後、イタリアに渡り、料理の修業を2年間して、日本に戻りました。
そして、いつか、東京でイタリアンレストランを開業するのが夢です。
しかし、その開業資金が足りません。
いまは、引越しや現場労働者などの、「時給の高い、わりのよい」仕事を精力
的にこなしています。
これを彼は「格差」とは呼びません。
この引越しの大変な仕事も、大きな夢への架け橋になるとわかっているからで
す。

■格差は受け入れるべきもの

きつい仕事は、気が付けば、ほとんどが外人が担っています。
きつい仕事を避ける日本人には、引き受けてがいないからです。

格差社会の問題は確かにあるとは思います。
わたしは重大な問題であると思っています。

しかし一方で、格差は誰にでもあり、成功者であれば、誰でも、格差を格差と
思わないでがんばっています。
がんばることは大切な美徳です。
「必要なことだけど、誰もやらない。だから仕方なくやる」というのも美徳で
す。

人は生まれながら、格差に悩むものです。
わたしは、高校のとき、背が低いことがいやでした。
しかし、その格差を人に訴えたところで、何も解決はしません。
生まれながらにして、人は不平等です。
金持ちの子どもは有利です。
学歴の高い人は賃金が高くなる傾向があります。
しかし、これらの格差を乗り越えるのは、自分自身の精神力しかないのもまた
事実なのです。

■好きじゃないプロファイル

ちょっと、こういう人たちのことをあまり好きにはなれません。
●コンビニや本屋でまんがを立ち読みする。
●面倒くさいボランティアや絶対に引き受けない。
●きつい仕事は絶対にやらない。
●正社員は残業が多くて割が合わないと敬遠する。
●楽に仕事がしたいと思うが、専門知識をつけようとはしない。
●10年20年かけてたたき上げる職人の世界を敬遠する。
●楽に儲けようとして、為替証拠金や株式の信用取引にはまる。

■一発逆転の人生を煽るマネー誌

マスコミもそういう人を煽るだけ煽るのです。
「1年で2億円儲けた」
「外国株式で大もうけ」
「IPOの投資で大もうけ」
などの見出しで投資の本質を伝えないマネー誌は功罪でいえば、投資のベーシ
ックな教育を施しているとはいえ、投資哲学の欠如という罪の面が80%以上
で、功の面は20%以下ではないでしょうか。
彼らの「楽して儲けよう!」というスタンスは、まるで今の日本人の気質を象
徴しているようです。

■一発逆転の人生ではなく、着実な一歩を!

やる気シリーズでは、
余裕の大切さ、
基本の反復の重要性、
リーダーシップとプロフェッショナルリズムの意味について、
なぜ、甘えてはならないかという問いへのわたしなりの見識、
夢ややりたいことをどうしたら見つかるかへのヒントなどを書いてきました。

以下に再掲します。

★やる気シリーズ #1 やりたいことを見つけた人の強さについて
http://okuchika.net/?eid=128

★やる気シリーズ#2 凡人でも一流のプロになれる
http://okuchika.net/?eid=114

★やる気シリーズ #3 なぜ甘えてはいけないのか
http://okuchika.net/?eid=101

★やる気シリーズ#4 基本の反復が未知の境地を切り開く
http://okuchika.net/?eid=394


着実に、一歩、一歩、人間として、専門家として、プロとして、歩んでいただ
きたいと思っています。

■自分の時間の1%をボランティアに!

自分の時間の1%だけでも、自治会やPTAや地域社会に還元してもらえない
でしょうか。
あるいは、なんらかのボランティアに参画していただけないでしょうか。

そのことが、視野を広げ、世の中をよりよく理解するきっかけになるでしょう。
視野の広さは、何事にも最終的な責任を受け入れる立場がなければ養われない
ものです。
投資家にとって、視野の広さは成功する要素のひとつです。
また、人生にとって、視野の広さは、他人へのかかわりを円滑にするでしょう。

■P.S.

生意気なことを書いてしまいました。
こういう自分も、まだまだ未熟者。
長期投資を標榜しながら、明日のNYが下がるか上がるかで、朝の気分が左右
されることもあります。
今年は自治会も体調を崩してやめてしまいました。

投資力とは、人生経験や人間の幅の広さに比例するものであるということを
なんとか伝えられないものかと思っています。

格差社会については、政治問題でもあり、わたしの辛らつな指摘は、この問題
に真摯に取り組む人々にとっては無礼だったかもしれません。
ただ、わたしの立場は、格差を受け入れ、折り合いをつけるのは、他人ではな
く、格差に悩んでいる本人だということです。

もちろん、政治的、システム的、法律的なセイフティネットを否定するもので
はありません。
理不尽な格差をなくす方向で、なんらかの貢献をしていきたいと考えています。
このやる気シリーズを読んだ方のなかに格差に悩む人がいれば、過去の4回を
もう一度読み直してほしいと思います。
差別される側が、専門的な技術や知識を長期的に着実に一歩一歩つけていくこ
とが格差の解消になると信じています。
「上流」と「下流」や正社員や派遣社員という区別を発展的に解消するために
は、上流を下流に落とすのではなく、「下流」が「上流」に追いついてこそ、
WIN−WINとなると信じています。

Enjoy Every Moment!
〜Slow Investment ゆっくり考え ゆったり投資 〜
山本 潤


■変わらぬメッセージ:長期の読者に感謝■

99年に始まった億の近道は、16000人程度の読者で成り立っています。
長期間購読を続けていただいた読者が多い、古い読者が多いことが特徴です。

このメルマガ(火曜日版)では、多くの株式投資メルマガにあるようなことは
行いません。
つまり以下のことはやりません。

●手っ取り早い情報(証券会社の格付けの変更など)
●何を買うべきか
●投資指南
●お勧め銘柄
●マーケットをどうみているか

わたしたちは「タダなのにすごいことが書いてある」メルマガを志向しません。
また、編集に時間をかけることもできません。

わたしたちが伝えたいことは、

●日本が欧米に並ぶ金融大国になるために日本人がもっと学ぶべきこと
●若い世代がワーキングプアにならないためにすべきこと
●株式市場は手っ取り早く儲けようとする投資家を貧乏にするという教え
●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらすという教え
などです。

いわば投資の実務家としての哲学や歴史観・人生観です。

わたしたちが目指すのは、「ファンダメンタル分析」宗教の普及です。

<著者紹介>

億の近道に2000年3月に執筆を開始。
およそ7年間 毎週執筆してきました。
継続は力です!
昨年、念願の独立を果たす。
日本株ロングショートのヘッジファンドマネージャー。

(職歴)
1990−1997年
 和光証券国際本部
(1990−1992年日本興業銀行外国為替部および国際資金部へ出向)
1997年−2005年
 米系投資顧問クレイ フィンレイ インク ポートフォーリオマネージャー。
2006年1月より独立起業。
 エイム インベストメントでファンドマネージャー。
(学歴)
コロンビア大学院 電気工学科 工学修士。
(六本木裏通りの人生大学 夜間部卒。専攻は夜間泥酔行動経済学)
(主な著書)
 「インベストメント―米系バイサイド・アナリストの投資哲学と投資技法」
(2001年イーフロンティア)
 「投資家から「自立する」投資家へ」(2003年パンローリング)
 「マンガ ファンダメンタルズ分析 入門の入門」(2004年パンローリ
 ング)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

◆コラム「連載 目指せ!テクノロジーインベスター(18)」

(18)板金(1)

テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思うの
ですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。

そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやす
く技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。

今回は、板金についてお話します。

その前にすこしだけコネクタのお話をします。なぜ、コネクタの話しをするの
かというと・・・。携帯電話に使われているコネクタは、プラスティックと板
金の技術でできている複合製品なのです。

前回、前々回は、プラスティックについてお話しましので、実は、コネクタの
半分はわかってしまったことになるのです。

今回板金のお話をして、コネクタの話へとつなげていきたいと思います。

さて、板金という言葉を聞いてどの様な、イメージがわくでしょうか。

車に乗っている人は、車を板金屋さんに直してもらったなどと言うときの板金
を思い出すかもしれません。

ある人は、おめでたい時に飲む金箔入りのお酒を思い出す人がいるかもしれま
せん。テレビなどで、米粒ほどの金を職人さんが、たたいて薄く延ばして金箔
を作っているのをみたことがあるかもしれません。

共通しているのは、『金属の板をたたいて形をつくる』ということですね。

もう少し、イメージでお話を進めていきましょう。
クッキーを作るところを想像してみてください。材料をこねて、麺棒で薄く延
ばしたりして、薄い生地をつくります。それを、子供が喜ぶような形に切り抜
きます。象や星の形の金属で作られた枠で抜いたりします。

板金も、『金属の板を枠で打ち抜く』ことをします。

ここは重要です。

板金とは、
『金属の板を、たたいたり、延ばしたり、打ち抜いたりする』ことと捉えてく
ださい。

加工方法については、次回にゆずるとして、この板金はコネクタのどの様な働
きをしているのでしょうか。

コネクタとは、接続するという意味なので、何かと何かをつなぐものです。携
帯電話は、カメラをはじめ、バッテリはもちろん、マイクロSD、イヤホン、
など色々な、機能がありますが、その一つ一つに、コネクタがついているので
す。

カメラと携帯電話の基板をつなぐにも、バッテリと携帯電話の基板をつなぐに
も、その他の色々な機能を携帯電話の基板とつなぐのにも、全てコネクタが必
要なのです。

そして、板金は、カメラと携帯電話の中の基板を電気的につなぎます。バッテ
リと携帯電話の基板の電気の供給を板金が行います。このとき、板金は端子と
呼ばれます。この言葉を覚えておいてください。

この板金の技術でつくられた端子が、マイクロSDカードと携帯電話の基板と
のデータのやり取りを伝えますし、イヤホンと携帯電話の基板との音声信号を
伝えるのです。

コネクタの端子は、このように、電気信号を伝える働きをしているのです。

彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

◆コラム「連載:ぬくぬくホッコリ株日記 定年後は株で楽しく暮らしたい」

■第21回■

 世界の株式市場は、各国の中央銀行の資金供給などによって、だいぶ落ち着
いてきたように、感じられます。しかし震源地であるアメリカの株式市場の下
落幅より、日本の株式市場のダメージの方が大きいってのも、なにか釈然とし
ませんね。でもこれが市場ってもんでしょう。まあ〜日本の投資家がだらしな
いからね〜^^;

 こういうときは、普段では考えられないような質の良い株を2割、3割引き
で買えちゃう可能性が高いので、将来の資産形成のための株式投資をする人に
とっては、堪えられない快感ですね。特に、まだ、あまり株資産を持ってない
人にとっては、そうだと思います。

 私も老後にインフレで金融資産がダメージを受けないようにって意味でも、
株式投資を続けているので、自分としてはちょっと高めで維持していたキャッ
シュから半分つぎ込んでバーゲン品を買いました。

 今回のお目当ては、600円から700円くらいが定位置で、そこからナイ
ヤガラの滝状態で株価が2割以上3割くらい下げちゃった中小型の銘柄を主体
にパクパク買いました。

 つい1ヶ月前まで650円とか750円とかしていた株(今年の高値が80
0円を越えているものもありました。しかも業績は悪くなってないのに需給と
市場環境で急落したって、美味しくないですか^^;)が500円前後になっ
たのを拾っています。

 日本水産、ニチレイ、クレハ、ラサ商事、大日精化工業、大紀アルミニウム
工業なんてのを、絨毯爆撃みたいに広く浅くって感じです。

 その他にも優待銘柄のペガサスミシン製造、昭栄、古野電気、ライト工業と
かもポツポツひろって見ましたが、たぶん500円台銘柄を単位株以上買うた
めに、殆んど手放すことになりそうです。

 年間の経常利益が20億程度なのに11億もの不良債権直撃を受けた会社を
買って、慌てて売り逃げたりもしています。大株主の外資がもう3ヶ月も律儀
に売り続けまだ200万株以上持ってるなんてヒエ〜銘柄も上記の中にはござ
います(大量保有報告で確認してのけぞりました)。こりゃ、買い増しできな
いや。ただ3ヶ月くらいで50%以上すでに下げ、指数的にも割安で、配当利
回りもすごくよく、含み益の塊みたいな会社なので、将来は絶対買い増そうと
思って斥候株はまだ持ってます。

 こんなドタバタをブログに毎日書いています。でも、レバレッジはいっさい
かけておりません。そして投資している資金の性格は60歳以後に使う予定の
余裕資金だけです。その上過去の株式投資による利益を残している分だけで投
資しています。したがって、今回くらいの株価下落では、まったく慌てること
はありません。

 主力投資銘柄の三菱商事など財閥系総合商社3社とも業績面で不安はないし、
トヨタグループ、ホンダなど自動車関連の主力も、将来的な不安はありません。
主力株は安心大型株、超大型株といわれる企業です。

 また今回シコシコ買っている500円台の株は、直ぐには株価が反発しなく
とも、相場環境が落ち着けば古巣の600円や700円には、まちがいなく戻
りそうな、業績をたたき出してくれると信じてます^^;

 まだまだサブプライム問題は奥が深そうなので、二番底を探る動きも出るで
しょう。日本の政治も、まったく安心できない状態ですしね。無理せずゆっく
りと、資産形成のための株式投資をのんびり続けていきましょうと、ブログで
も書き続けていますが、億近の読者のみなさまも、無理をしないで株ライフを
楽しんでいただきたいと思います。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

 「億の近道」のwebはバックナンバー閲覧を重点に置いた、ブログ風の作
りになっております。現在、2006年7月分まで掲載しておりますが、順次
過去分を追加していく予定です。コメントなどはつけられませんが、まとめ読
みなどに是非ご利用下さい。
 http://okuchika.net/

===================================

 「億の近道」は特定非営利活動法人イノベーターズ・フォーラムの登録商標
です。この名称での有償のサービス等は行っておりません。紛らわしい名称の
サービスは弊社と一切関係ありませんのでご注意下さい。

===================================

■「山本潤氏のファンダメンタルズ分析日本株アナリスト養成講座DVD」
 発売!!■

「NPOイノベーターズ・フォーラム 公認日本株アナリスト 認定講座」
共催:エンジュク 協力:ダイヤモンド経営分析チーム

 2005年4月に行われた山本潤氏のセミナー映像に加え、ファンダメンタ
ルズ分析に必要な内容を新たに撮り下ろした映像を全て収録した4枚組DVD
です。

◆ファンダメンタルズ分析の決定版。
 いままで体系的に語られることの少なかった実践的なファンダメンタルズ
分析を網羅。最終的には個別株のレポートが作成出来るレベルを目的として
います。受講出来なかった方や反復学習したい方には最適な内容です。

◆充実したボリューム
 価格は48,000円とやや高額ですが、4月のセミナー(受講料38,0
00円)で使用した資料添付はもとより、全部でDVD4枚組、約450分の
充実した内容となっています。

詳細はエンジュクのホームページまで。
http://www.enjyuku.com/v_kabu_10.htm

===================================

■億近執筆陣の本 好評発売中!■

石川臨太郎
▲あなたにピッタリの投資手法がきっと見つかる投資実践ノート▲
パンローリング 1680円(税込)
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990346

▲潜在意識を活用した最強の投資術入門▲
パンローリング ISBN4-7759-9011 2800円+税 288ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990117

村田 雅志
▼景気予測から始める株式投資入門▼
パンローリング ISBN4-7759-9007 3300円+税 231ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990070

山本 潤
▲投資家から「自立する」投資家へ▲
パンローリング ISBN4-7759-9008 4800円+税 426ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990087

===================================

億近オフィシャルクラブ掲示板(無料)は、執筆陣を含めた様々な方がコミュ
ニケートしております。是非ご参加ください。MSNのサービスを利用してお
ります。
http://groups.msn.com/okuchika

===================================

当メルマガは以下のシステムを利用して発行しております。
 ◆まぐまぐ ID:0000020640
       購読解除:http://www.kaijo.com/
 ◆E-Magazine ID:okuchika
       購読解除:http://www.emaga.com/info/okuchika.html
 ◆melma!  ID:m00010868
       購読解除:http://www.melma.com/
 ◆メルマガ天国 ID:1127
       購読解除:http://melten.com/m/1127.html

編集者:億の近道発行プロジェクト
発行者:NPO法人イノベーターズ・フォーラム
 email:okuchika.mail@gmail.com
 http://okuchika.net/
このメールマガジンの無断転載・引用を禁じます。
==================================

拡大する環境ビジネス投資

 〜米VCの投資本格化〜

 今年の夏は10数年ぶりの猛暑で40度を超える暑さとなったことで地球温暖化の問題が毎日のように取り上げられています。猛暑に加えて新潟の地震発生で原発が止まり東電は大口ユーザーに節電協力を要請するなど大変な状況となっています。地球環境への意識の高まりが私たちの生活に不可欠な時代となってきましたので、産業分野でもこれを踏まえての取り組みが盛んになってきました。

 こうした中、地球の環境にやさしいクリーンテクノロジーが脚光を浴びています。クリーンテクノロジーというのは天然資源の有効活用や環境負荷軽減など地球環境保護につながる技術全般の総称を指しています。グリーンテクノロジーと呼ぶこともあります。
 太陽光、風力、地熱発電やバイオ燃料、電気・天然ガス・メタノールなどのクリーン自動車、燃料電池、省エネ、廃棄物利用など多岐にわたっています。
 世界の大国、米国でもクリーンテクノロジー開発企業へのVC投資額は2005年の16億ドルから2006年は29億ドルを突破し、更に2010年には190億ドルに膨らむと米クリーンテックベンチャーネットワークでは試算しています。2006年の業種別VC投資額ではソフトウェア、バイオに次ぐ3位の分野となっています。

 その背景になっているのはバイオ燃料、太陽光発電、風力発電、燃料電池などのクリーンエネルギーの世界市場の規模が399億ドルから10年後には1672億ドルへと今後10年で4.2倍にも成長する(日経産業新聞より)と予測されているからにほかなりません。

 こうしたビジネスの成長を当て込み、IT業界を牽引してきた著名キャピタリストであるジョン・ドーア氏は「環境ビジネスはこれまでのどの市場よりも有望」と宣言。環境系ベンチャーへ積極投資を開始したとされます。

 米国以上に急激な変化が生じている欧州では2006年においてエコファンドに流入した資金は前年の5倍31億7000万ユーロにも達したとされています。また、米国の運用会社ブラックロックのエコファンド投信は07年1月末で残高が25億ユーロと1年間で3倍にもなっています。またドイツのRAMが06年5月に運用を開始したエコファンドは運用規模が1年を経たずに9億ユーロになっています。

 更に北米のクリーンエネルギー企業向け投資は04年の7億ドル(34件)から06年103億ドル(115件)に増加しているとされます。いささかエコバブルの様相を感じさせますが、対象が環境という大義名分があるだけにいくら増加しても結果として地球環境を守ることになるなら、こうした動きを否定する訳にはいきません。
 VCの活動がエコロジーに向かっているためクリーンテクノロジーの企業はかつてのバイオベンチャーのように活発な資金調達を行い本格的な事業展開が始まろうとしています。
 北米では特にナノ素材や太陽光発電パネル、とうもろこしによるエタノール製造に関わる企業などが大規模な調達に成功しています。

 これに対して日本もロハス・環境ビジネスが成長するとの予測が出されています。環境ビジネス(環境省の定義では水・空気・土壌などの環境に与える悪影響と廃棄物、騒音、エコシステムに関連する問題を計測し、予防し、削減し、最小化し、改善する製品やサービスを提供する活動)の市場規模は2000年の29兆円(雇用者数77万人)から2010年は47兆円(同112万人)、さらには2020年には58兆円(124万人)が見込まれています。また、これに加えて健康・バイオテクノジーなどのロハス関連ビジネスも2004年の8兆円から2010年は25兆円、2020年には47.5兆円といった予測データが公的機関や民間などから示されています。

 このように環境ビジネスに健康サービスまでを加えたロハス関連産業の市場規模は今後大きく拡大すると見られます。
 米国ではロハス関連ビジネスの企業の株価にはプレミアムがついていてPERが平均よりも高いという実態があります。
 NASDAQに上場していますWhole Foods Market(自然食品のスーパーマーケットを全米で展開)やGAIAM(LOHAS関連商品のオンラインショップ)などが良い例です。
 日本でも既にこうした動きを先取りしてエコ、グリーン、SRIに関連した環境系のテーマファンドが設定されてリターンを上げ始めています。

 地球環境F(野村)、尾瀬紀行(興銀第一ライフ)、Mrs.グリーン(大和住銀)、エコファンド(興銀第一ライフ)、大和SIRファンド(大和)、グッドカンパニー(住信)、ぶなの森(損保ジャパン)などがエコ関連ファンドの代表と考えられます。
 大手の運用会社に続いてソフトバンク系のファンドもエコ関連企業へ投資しますし、ロハスベンチャーとして昨年設立されたばかりのハッピーオール(代表取締役 伊藤雅仁/http://www.happyall.co.jp/)でもエコファンド30億円の設定を私募形式で行うことになりました。
 従来のベンチャーファンドと違ってエコファンドは参画される企業や個人が社会的に高く評価されるという点にあります。投資委員会の体制構築などが明らかになると大いに話題にもなってきます。
 最近では米国でも環境活動家として著名な方々が名乗りをあげていますので皆さんもご存知かとは思いますが、映画俳優のレオナルドディカプリオや元副大統領のアル・ゴア氏などがその代表です。エコファンドへの投資はCSR効果が高まることになるため、多くの企業経営者がこぞって参加することになると考えられます。こうした話を聞くと皆さんもファンドに出資してみたくなるかも知れません。ただし、投資にはリスクがつきもの。リスクを理解して頂ける方と環境に本当に関心のある方だけが参画して頂けるものです。
 また、CSRだけではなくきちんとしたリターンも上がる可能性があるというのがエコファンドの特徴でもあり、先進的だからこそ価値があるとも言えるのです。
 ハッピーオールの伊藤社長はまだ30歳台という若手のホープ。大手銀行出身の彼はファイナンスオールのIPOを実現し時価総額を68億円から1700億円にまで高めた実績を持っています。そうした彼が今大いに関心を寄せていますロハスと環境をテーマにしたエコファンドがこれからの船出に向かって準備中です。このことは先日の日経産業新聞にも取り上げられていましたが、これからのハッピーオールにも大いに期待したいと思っております。
(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

投資の王道(その77)

■5年先・10年先に刈り取る日本株■

 私の投資手法は、

1、会社四季報掲載の約4000社を自分自身で分析し、経営基盤が安定しこれからの成長が見込まれる400社から500社程度に絞り込む。
2、さらに、その中から、割安圏にある会社を100社程度に絞込む。
3、最終的100社程度の中から投資を行うのは、ベストタイミングで購入するチャンスのあった10社から20社程度である。

というものです。
 今回も、前述の400〜500社の中から100社を中心とした興味深い企業について解説していきます。

<6908>イリソ電子工業
 電子機器用多極コネクターを主力とするメーカー。本社は、神奈川県川崎市高津区。1966年、神奈川県川崎市下沼部にイリソ電子工業株式会社を設立。1973年、プリント基板上で電線を巻き付けて接続するラッピングピンを開発し、製造、販売を開始。1978年、シンガポール共和国に各種ピン及び多極コネクタの製造販売を目的としてIRS(S)PTE.Ltd.を設立。海外売り上げ比率65%。

<6914>オプテックス
 防犯・自動ドア・産業用の各種センサーや装置・システムのメーカー。1979年設立。1980年、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発。1985年、OPTEX(USA),INCを米国カリフォルニアに設立。1995年、中国で委託生産を開始。海外売り上げ比率62%。

<6920>レーザーテック
 1960年、エックス線テレビの開発を行う(有)東京ITV研究所を設立・創業。1962年、日本自動制御(株)に組織を変更。エックス線テレビのみならず、幅広く技術を発展させる。1975年、フォトマスク・ピンホール検査装置を開発。顕微鏡の自動焦点装置で日本発明振興協会と日刊工業新聞社から”発明大賞”を受賞。1986年、走査型カラーレーザー顕微鏡を世界で初めて開発し発売。本社所在地は、神奈川県横浜市港北区綱島東。現在は、半導体関連装置、FPD関連装置、レーザー顕微鏡関連製品等の開発・販売・サービスを行う。海外売り上げ比率は74%。

<6925>ウシオ電機
 1964年設立。光応用製品の事業がメイン。ところで、光とは不思議な性質を持つ。宇宙空間を浮遊している宇宙飛行士やピサの斜塔から地面に落ちる物をみれば、地球上の重力の存在は明らかだが、その重力がどのように伝わるのかはいまだもってよくわからない。光も、誰でも簡単にその存在を確認できるし、光なしでは人間が物を見ることはできない。しかし、光が波長なのか電磁波なのかはいまだに議論されることだし、重力同様空間をどのように伝わっていくのかは、実は良くわかっておらず天才科学者「アインシュタイン」を死ぬまで悩ませた問題である(相対性理論では、どのような環境でも光の速度が
常に一定であるのが大前提だが、どうも理論的矛盾があるようである)。ちなみに、同社が唱える光の特性とは次の四つである。
1、クリーン=非接触でさまざまな反応を引き起こすことができる「光」は電気や熱、化学薬品と異なり、処理工程で不純物の発生や二次汚染の心配が無い。
2、高効率なエネルギー=「光」は電気に比べて、はるかに効率のよいエネルギーを出し、また波長によってエネルギーが異なることから、必要とするエネルギーを選択的に取り出すことができる。
3、シンプルなメカニズム=直進性と平行性という性質をもつ「光」は、レンズやミラーなどの光学系だけで、簡単に誘導することができ、設備もシンプルで、コンパクトになる。
4、簡単な制御=「光」は、シャッターや電源のオン・オフだけで、簡単に制御することができ、放射エネルギーであることから、立ち上がり・立ち下がりがよく、他の方法に比べ、急熱急冷などが大変容易。
また「光の応用」としては次のものをあげている。
1、光の波動性=屈折、回折、干渉、反射特性などの利用
2、光の情報伝達=文字、画像、色彩などの情報伝達
3、光の視覚支援=認識性の向上、感性の訴求などを図る
4、光の視覚作用=昇温、加熱作用の応用
5、光の電子作用=電子伝導体への励起作用の応用
6、光の化学作用=光吸収分子の励起、電離、解離などの化学的作用の応用

(OH)

(以下、次週に続く)

*ブログ「大原浩の金融・経済地動説

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

これからの資産運用

 〜資産をこれから作りたい方にリスクとのつきあい方を考える〜

 人生の立ち位置で異なるお金への考え方。一般的に言うと生まれてから大人になる間は親の庇護の下で育ち、余り意識されることはありませんが、大人となって社会人となるといきなり生活の中でお金は重要な要素になってきます。若い間は健康で病気にもなりにくいのでお金は体で稼ぐといった程度の意識しかありませんが多くの方々は将来に備えていくらかの蓄えをしながら生活することになります。
 そうした方々が一般的とは言え、最近は消費先行で様々な生活コストのアップに見舞われ預金をする余裕がなくなってきています。米国のサブプライムローン問題は日本人の生活にも共通していて現在の社会現象をあらわしています。大企業は様々な消費を促そうとしていて金融ビジネスと一緒になって消費を先取りするプロモーションを行いますので、それが経済の流れに影響をもたらしているということになります。

 お金のある人からお金のない人に流れが向かいますが、その陰に隠れたモノの価値や金融商品の価値が逆方向に向かうととんでもない事態をもたらすこともあるのですから、私たちは常にリスクを感じて生きていかないとなりません。

 今回はこれからの資産運用について私の考え方をまとめてみましたのでご参照賜れば幸いです。

【社会人になったら】

 多くの若い方々は大学を22歳になると卒業し、社会人となります。中には中学や高校を卒業して早くも社会人として活動されることになりますが、大人になると早速に日本では年金の支払いが始まります。
 就職すれば会社が厚生年金を払ってくれますから、余り意識はないのですが大学生も20歳から国に対して払う必要があるというのは私にとってもいささか驚きです。学校の教育ではそうしたことをほとんど教えてきませんでした。また、教育の中に経済のことやビジネス、株式取引、金融商品、為替取引、リスクとリターンのことなどを中高生の頃から学ぶ機会がなく多くを社会人になってから知る(今は様々な情報が多くの方々に提供されているとは思いますが…)という点も問題です。

 社会人になって様々な消費を自らが得たサラリーをベースに行います。多くの企業が初任給としておおよそ20万円から25万円を毎月払っているものと推察されますが、そこから生活費を引いて残ったお金を貯金します。ボーナスとして支払われるサラリーを貯蓄に充当される方も多いでしょうが、大体は2万円前後を貯蓄しておられるのではないでしょうか?
 仮に5年間このペースで貯蓄を続けてきますと約120万円余りがたまります。景気が良くなってボーナスが多くなるとこの貯蓄はもっと増加することになります。
 10万円前後のお金ではなく100万円まで貯蓄額が増加すれば多少金利の高い世界に関心が向くことになります。

【ハッピーリタイヤメントしたら】

 子育ても終わり、あれほどかかった生活費が自分と奥さんのためだけでよくなった途端に余裕が生まれますがそこからは本格的な資金運用のプランを実践していく必要が出てきます。
 保険にも入っているし、年金ももう少しでもらえるし、退職金はもらってあるし、30年払いの家のローンは払い終わっているしなどと60歳ともなれば余裕が生じてきます。そんな方も資産運用を再度見直してみる必要があります。
 この方々には1000万円以上のまとまった資金がたまっていて、有利に運用することで生活に一層のゆとりが生まれますが、リスクへの挑戦は過度になり過ぎないことです。

 高いリターンを得ようとすればリスクもあります。団塊の世代と呼ばれる方々が直面する問題となります。

【100万円が貯蓄できたら・・・】

 若い世代は勉強の意味で多少リスクに挑戦してほしいと思いますが、ハッピーリタイヤメント世代は全体の資産構成を考えてリスクに積極的に挑戦してみる必要があります。

【どのようにリスクを取るのか?】

 高いリターンを得るためにリスクに挑戦する皆さんが社会にどの程度おられるのかがその国が裕福かどうかを見分けるポイントになります。
 日本では金融教育がそれほどできてこなかったこともあって、リスクのある資産運用には不慣れなのが一般的です。銀行や郵便局に預けておけば良かった時代は昔の話。今や様々な金融商品が皆様のお越しをお待ちしています。リスクとリターン。ここからは皆さんが許容できる程度までの金融商品を例にお話を続けます。

 せっかくのお金ですから2倍、3倍に増加してほしい。さりとて減ったり、なくなっては困る・・。
 リスクに挑戦する方はある意味、ムシのいい要求をされる方もいますが、本当に減ったら困るような資金で大きなリスクを取るべきではありません。ましてや最初から価格の変動が予想される商品だとなおさらです。予期せぬリスクを踏まえてしっかりとしたポートフォリオの構築に努めることが求められています。時間分散、銘柄分散といったリスクの分散を経て得られるリターンの醍醐味を味わうべきなのです。

【100万円が3年後にどうなっているか】

1)100万円を3年間定期預金に預ければ3年後にはどのぐらいになっていますか?
 答えは今の金利(3年定期で0.5%)だとせいぜい101.5万円にしかなりません。それでも預金ですから減ることはありません。超保守的な方はこれで良いかも知れませんがリスクに挑戦する方には物足りません。

2)グローバルソブリン(通称グロソブ)では3年後にどうなっていますか?
 投資信託ですから基準価額が変動しますので3年後のリターンを読み取るのは難しいのですが、毎月分配されるグロソブでは1万口あたり40円が支払われますので年間480円となります。
 海外の一流国の国債で構成されたポートフォリオを構築して運用されていますが為替変動の影響も受けますので基準価額が債券価格と為替レートで変動します。
 現在は約7800円が基準価額ですので100万円分を購入すると128万口購入できます。分配金が3年間で128万口×480円×3=18.4万円基準価額が変わらない前提なら約118万円になってきます。但し基準価額は変動が予想されますし分配金も引き下げられる可能性もあります。

3)REIT(不動産投資信託)にすると3年後にどうなっていますか?
 REITは不動産投資信託のことですが、実際に41銘柄が上場して取引されています。他の上場株と同様に株価がついていて変動しています。
 株価は今年の5月まで堅調でしたが、このところ値下がりしています。収益の分配金をベースに信用度などに応じて格付けされそれが株価を下支えしています。
 現在は利回りが2.5%から6.2%となっていますので最も格付けの高いREITを3年持つと単純に株価が変わらないならば107.5万円となります。格付けの低い銘柄だと単純に株価が変わらないなら118.6万円となります。
 間接的にオフィスビルや商業施設、ホテル建物に投資することになります。

 要するに利回りである程度の理屈づけできる金融商品は3年後の結果についておよそ見当がつきます。それでもその時々の経済・金利情勢、為替の情勢などでリターンが変化します。

 株式の場合はリターンについて皆目見当がつきません。企業の収益等が予測しにくいですし株価も需給によって大きく変動してきます。それでも通常はリスクが大きい以上はリターンも大きいと考えられます。

 仮に過去長期間株価が下落し収益が今後改善するという期待が高まる銘柄を組み込んだ投資信託を設定した場合を考えてみましょう。

【3年ネタロウ100万円ポートフォリオ】

 株価の下落でかつての高値から10分の1以下に下落して10万円以下でも買える銘柄が増加してきましたので3年間寝かせておいてリターンを上げるようにすればリスクは確かにまだ高いかも知れませんがリターンも意外と高いのではないかと思われます。
 このようなコンセプトのポートフォリオはまさに手作りのもの。大きな運用機関ではできない手間隙のかかる作業です。
 100万円では株なんて買えないよとお考えの方も多いでしょうが、一回の取引で10万円程度で買える銘柄が増えてきました。しかもポートフォリオ構築の対象となるような割安な銘柄も多くなってきましたのでこれからぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?

 値下がりリスクを銘柄分散、時間分散でカバーし、配当利回り+キャピタルゲイン+最終元本確保で2倍以上のリターンを目指すのが基本です。3年間まったく使うお金のないリスクの取れる資金を用意してもらって取り組む必要があります。一寸した戦いとなりますが、株式投資の市場環境が劣悪な今だからこその取り組み方だと言えます。
 個別株の業績変動リスクを企業経営者に委ね3年間でどの程度のリターンをどのように上げていくのかを皆さんで確認しながら投資対象を決定していかれることです。

 これから株式投資をしようという約10万人の投資家の皆さんにこの発想を持ってもらい一人100万円でポートフォリオを構築してもらうだけで資金規模は1000億円となります。
 この投資基準にマッチしそうな有望銘柄約100社をピックアップして、その中から各自が厳選して頂き、これらの浮動株の20%程度に分散投資して3年後の資産増強を図って頂くというのが私の考え方です。

 なお、皆さんの中でこの銘柄がその候補になるのではないかと発見された方はお知らせ頂ければ幸いです。
(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2007/08/27


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
投資情報メールマガジン                   2007/08/27
             イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週4回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析や銘柄を参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

===================================

             −本日の目次−
   (本日の担当:炎のファンドマネージャー&投資野おーちゃん)

    ◆コラム「これからの資産運用」:炎
    ◆コラム「投資の王道(その77)」:投資野おーちゃん
    ◆コラム「拡大する環境ビジネス投資」:炎

===================================

◆コラム「これからの資産運用」

 〜資産をこれから作りたい方にリスクとのつきあい方を考える〜

 人生の立ち位置で異なるお金への考え方。一般的に言うと生まれてから大人
になる間は親の庇護の下で育ち、余り意識されることはありませんが、大人と
なって社会人となるといきなり生活の中でお金は重要な要素になってきます。
若い間は健康で病気にもなりにくいのでお金は体で稼ぐといった程度の意識し
かありませんが多くの方々は将来に備えていくらかの蓄えをしながら生活する
ことになります。
 そうした方々が一般的とは言え、最近は消費先行で様々な生活コストのアッ
プに見舞われ預金をする余裕がなくなってきています。米国のサブプライムロ
ーン問題は日本人の生活にも共通していて現在の社会現象をあらわしています。
大企業は様々な消費を促そうとしていて金融ビジネスと一緒になって消費を先
取りするプロモーションを行いますので、それが経済の流れに影響をもたらし
ているということになります。

 お金のある人からお金のない人に流れが向かいますが、その陰に隠れたモノ
の価値や金融商品の価値が逆方向に向かうととんでもない事態をもたらすこと
もあるのですから、私たちは常にリスクを感じて生きていかないとなりません。

 今回はこれからの資産運用について私の考え方をまとめてみましたのでご参
照賜れば幸いです。

【社会人になったら】

 多くの若い方々は大学を22歳になると卒業し、社会人となります。中には
中学や高校を卒業して早くも社会人として活動されることになりますが、大人
になると早速に日本では年金の支払いが始まります。
 就職すれば会社が厚生年金を払ってくれますから、余り意識はないのですが
大学生も20歳から国に対して払う必要があるというのは私にとってもいささ
か驚きです。学校の教育ではそうしたことをほとんど教えてきませんでした。
また、教育の中に経済のことやビジネス、株式取引、金融商品、為替取引、リ
スクとリターンのことなどを中高生の頃から学ぶ機会がなく多くを社会人にな
ってから知る(今は様々な情報が多くの方々に提供されているとは思いますが…
)という点も問題です。

 社会人になって様々な消費を自らが得たサラリーをベースに行います。多く
の企業が初任給としておおよそ20万円から25万円を毎月払っているものと
推察されますが、そこから生活費を引いて残ったお金を貯金します。ボーナス
として支払われるサラリーを貯蓄に充当される方も多いでしょうが、大体は2
万円前後を貯蓄しておられるのではないでしょうか?
 仮に5年間このペースで貯蓄を続けてきますと約120万円余りがたまりま
す。景気が良くなってボーナスが多くなるとこの貯蓄はもっと増加することに
なります。
 10万円前後のお金ではなく100万円まで貯蓄額が増加すれば多少金利の
高い世界に関心が向くことになります。

【ハッピーリタイヤメントしたら】

 子育ても終わり、あれほどかかった生活費が自分と奥さんのためだけでよく
なった途端に余裕が生まれますがそこからは本格的な資金運用のプランを実践
していく必要が出てきます。
 保険にも入っているし、年金ももう少しでもらえるし、退職金はもらってあ
るし、30年払いの家のローンは払い終わっているしなどと60歳ともなれば
余裕が生じてきます。そんな方も資産運用を再度見直してみる必要があります。
 この方々には1000万円以上のまとまった資金がたまっていて、有利に運
用することで生活に一層のゆとりが生まれますが、リスクへの挑戦は過度にな
り過ぎないことです。

 高いリターンを得ようとすればリスクもあります。団塊の世代と呼ばれる方々
が直面する問題となります。

【100万円が貯蓄できたら・・・】

 若い世代は勉強の意味で多少リスクに挑戦してほしいと思いますが、ハッピ
ーリタイヤメント世代は全体の資産構成を考えてリスクに積極的に挑戦してみ
る必要があります。

【どのようにリスクを取るのか?】

 高いリターンを得るためにリスクに挑戦する皆さんが社会にどの程度おられ
るのかがその国が裕福かどうかを見分けるポイントになります。
 日本では金融教育がそれほどできてこなかったこともあって、リスクのある
資産運用には不慣れなのが一般的です。銀行や郵便局に預けておけば良かった
時代は昔の話。今や様々な金融商品が皆様のお越しをお待ちしています。リス
クとリターン。ここからは皆さんが許容できる程度までの金融商品を例にお話
を続けます。

 せっかくのお金ですから2倍、3倍に増加してほしい。さりとて減ったり、
なくなっては困る・・。
 リスクに挑戦する方はある意味、ムシのいい要求をされる方もいますが、本
当に減ったら困るような資金で大きなリスクを取るべきではありません。まし
てや最初から価格の変動が予想される商品だとなおさらです。予期せぬリスク
を踏まえてしっかりとしたポートフォリオの構築に努めることが求められてい
ます。時間分散、銘柄分散といったリスクの分散を経て得られるリターンの醍
醐味を味わうべきなのです。

【100万円が3年後にどうなっているか】

1)100万円を3年間定期預金に預ければ3年後にはどのぐらいになってい
 ますか?
 答えは今の金利(3年定期で0.5%)だとせいぜい101.5万円にしか
なりません。それでも預金ですから減ることはありません。超保守的な方はこ
れで良いかも知れませんがリスクに挑戦する方には物足りません。

2)グローバルソブリン(通称グロソブ)では3年後にどうなっていますか?
 投資信託ですから基準価額が変動しますので3年後のリターンを読み取るの
は難しいのですが、毎月分配されるグロソブでは1万口あたり40円が支払わ
れますので年間480円となります。
 海外の一流国の国債で構成されたポートフォリオを構築して運用されていま
すが為替変動の影響も受けますので基準価額が債券価格と為替レートで変動し
ます。
 現在は約7800円が基準価額ですので100万円分を購入すると128万
口購入できます。分配金が3年間で128万口×480円×3=18.4万円
基準価額が変わらない前提なら約118万円になってきます。但し基準価額は
変動が予想されますし分配金も引き下げられる可能性もあります。

3)REIT(不動産投資信託)にすると3年後にどうなっていますか?
 REITは不動産投資信託のことですが、実際に41銘柄が上場して取引さ
れています。他の上場株と同様に株価がついていて変動しています。
 株価は今年の5月まで堅調でしたが、このところ値下がりしています。収益
の分配金をベースに信用度などに応じて格付けされそれが株価を下支えしてい
ます。
 現在は利回りが2.5%から6.2%となっていますので最も格付けの高い
REITを3年持つと単純に株価が変わらないならば107.5万円となりま
す。格付けの低い銘柄だと単純に株価が変わらないなら118.6万円となり
ます。
 間接的にオフィスビルや商業施設、ホテル建物に投資することになります。

 要するに利回りである程度の理屈づけできる金融商品は3年後の結果につい
ておよそ見当がつきます。それでもその時々の経済・金利情勢、為替の情勢な
どでリターンが変化します。

 株式の場合はリターンについて皆目見当がつきません。企業の収益等が予測
しにくいですし株価も需給によって大きく変動してきます。それでも通常はリ
スクが大きい以上はリターンも大きいと考えられます。

 仮に過去長期間株価が下落し収益が今後改善するという期待が高まる銘柄を
組み込んだ投資信託を設定した場合を考えてみましょう。

【3年ネタロウ100万円ポートフォリオ】

 株価の下落でかつての高値から10分の1以下に下落して10万円以下でも
買える銘柄が増加してきましたので3年間寝かせておいてリターンを上げるよ
うにすればリスクは確かにまだ高いかも知れませんがリターンも意外と高いの
ではないかと思われます。
 このようなコンセプトのポートフォリオはまさに手作りのもの。大きな運用
機関ではできない手間隙のかかる作業です。
 100万円では株なんて買えないよとお考えの方も多いでしょうが、一回の
取引で10万円程度で買える銘柄が増えてきました。しかもポートフォリオ構
築の対象となるような割安な銘柄も多くなってきましたのでこれからぜひ挑戦
してみてはいかがでしょうか?

 値下がりリスクを銘柄分散、時間分散でカバーし、配当利回り+キャピタル
ゲイン+最終元本確保で2倍以上のリターンを目指すのが基本です。3年間ま
ったく使うお金のないリスクの取れる資金を用意してもらって取り組む必要が
あります。一寸した戦いとなりますが、株式投資の市場環境が劣悪な今だから
こその取り組み方だと言えます。
 個別株の業績変動リスクを企業経営者に委ね3年間でどの程度のリターンを
どのように上げていくのかを皆さんで確認しながら投資対象を決定していかれ
ることです。

 これから株式投資をしようという約10万人の投資家の皆さんにこの発想を
持ってもらい一人100万円でポートフォリオを構築してもらうだけで資金規
模は1000億円となります。
 この投資基準にマッチしそうな有望銘柄約100社をピックアップして、そ
の中から各自が厳選して頂き、これらの浮動株の20%程度に分散投資して3
年後の資産増強を図って頂くというのが私の考え方です。

 なお、皆さんの中でこの銘柄がその候補になるのではないかと発見された方
はお知らせ頂ければ幸いです。
(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

◆コラム「投資の王道(その77)」

■5年先・10年先に刈り取る日本株■

 私の投資手法は、

1、会社四季報掲載の約4000社を自分自身で分析し、経営基盤が安定しこ
 れからの成長が見込まれる400社から500社程度に絞り込む。
2、さらに、その中から、割安圏にある会社を100社程度に絞込む。
3、最終的100社程度の中から投資を行うのは、ベストタイミングで購入す
 るチャンスのあった10社から20社程度である。

というものです。
 今回も、前述の400〜500社の中から100社を中心とした興味深い企
業について解説していきます。

<6908>イリソ電子工業
 電子機器用多極コネクターを主力とするメーカー。本社は、神奈川県川崎市
高津区。1966年、神奈川県川崎市下沼部にイリソ電子工業株式会社を設立。
1973年、プリント基板上で電線を巻き付けて接続するラッピングピンを開
発し、製造、販売を開始。1978年、シンガポール共和国に各種ピン及び多
極コネクタの製造販売を目的としてIRS(S)PTE.Ltd.を設立。海
外売り上げ比率65%。

<6914>オプテックス
 防犯・自動ドア・産業用の各種センサーや装置・システムのメーカー。19
79年設立。1980年、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発。
1985年、OPTEX(USA),INCを米国カリフォルニアに設立。1
995年、中国で委託生産を開始。海外売り上げ比率62%。

<6920>レーザーテック
 1960年、エックス線テレビの開発を行う(有)東京ITV研究所を設立
・創業。1962年、日本自動制御(株)に組織を変更。エックス線テレビの
みならず、幅広く技術を発展させる。1975年、フォトマスク・ピンホール
検査装置を開発。顕微鏡の自動焦点装置で日本発明振興協会と日刊工業新聞社
から”発明大賞”を受賞。1986年、走査型カラーレーザー顕微鏡を世界で
初めて開発し発売。本社所在地は、神奈川県横浜市港北区綱島東。現在は、半
導体関連装置、FPD関連装置、レーザー顕微鏡関連製品等の開発・販売・サ
ービスを行う。海外売り上げ比率は74%。

<6925>ウシオ電機
 1964年設立。光応用製品の事業がメイン。ところで、光とは不思議な性
質を持つ。宇宙空間を浮遊している宇宙飛行士やピサの斜塔から地面に落ちる
物をみれば、地球上の重力の存在は明らかだが、その重力がどのように伝わる
のかはいまだもってよくわからない。光も、誰でも簡単にその存在を確認でき
るし、光なしでは人間が物を見ることはできない。しかし、光が波長なのか電
磁波なのかはいまだに議論されることだし、重力同様空間をどのように伝わっ
ていくのかは、実は良くわかっておらず天才科学者「アインシュタイン」を死
ぬまで悩ませた問題である(相対性理論では、どのような環境でも光の速度が
常に一定であるのが大前提だが、どうも理論的矛盾があるようである)。ちな
みに、同社が唱える光の特性とは次の四つである。
1、クリーン=非接触でさまざまな反応を引き起こすことができる「光」は電
気や熱、化学薬品と異なり、処理工程で不純物の発生や二次汚染の心配が無い。
2、高効率なエネルギー=「光」は電気に比べて、はるかに効率のよいエネル
ギーを出し、また波長によってエネルギーが異なることから、必要とするエネ
ルギーを選択的に取り出すことができる。
3、シンプルなメカニズム=直進性と平行性という性質をもつ「光」は、レン
ズやミラーなどの光学系だけで、簡単に誘導することができ、設備もシンプル
で、コンパクトになる。
4、簡単な制御=「光」は、シャッターや電源のオン・オフだけで、簡単に制
御することができ、放射エネルギーであることから、立ち上がり・立ち下がり
がよく、他の方法に比べ、急熱急冷などが大変容易。
また「光の応用」としては次のものをあげている。
1、光の波動性=屈折、回折、干渉、反射特性などの利用
2、光の情報伝達=文字、画像、色彩などの情報伝達
3、光の視覚支援=認識性の向上、感性の訴求などを図る
4、光の視覚作用=昇温、加熱作用の応用
5、光の電子作用=電子伝導体への励起作用の応用
6、光の化学作用=光吸収分子の励起、電離、解離などの化学的作用の応用

(OH)

(以下、次週に続く)

*ブログ「大原浩の金融・経済地動説」http://www.actiblog.com/ohara/

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

◆コラム「拡大する環境ビジネス投資」

 〜米VCの投資本格化〜

 今年の夏は10数年ぶりの猛暑で40度を超える暑さとなったことで地球温
暖化の問題が毎日のように取り上げられています。猛暑に加えて新潟の地震発
生で原発が止まり東電は大口ユーザーに節電協力を要請するなど大変な状況と
なっています。地球環境への意識の高まりが私たちの生活に不可欠な時代とな
ってきましたので、産業分野でもこれを踏まえての取り組みが盛んになってき
ました。

 こうした中、地球の環境にやさしいクリーンテクノロジーが脚光を浴びてい
ます。クリーンテクノロジーというのは天然資源の有効活用や環境負荷軽減な
ど地球環境保護につながる技術全般の総称を指しています。グリーンテクノロ
ジーと呼ぶこともあります。
 太陽光、風力、地熱発電やバイオ燃料、電気・天然ガス・メタノールなどの
クリーン自動車、燃料電池、省エネ、廃棄物利用など多岐にわたっています。
 世界の大国、米国でもクリーンテクノロジー開発企業へのVC投資額は20
05年の16億ドルから2006年は29億ドルを突破し、更に2010年に
は190億ドルに膨らむと米クリーンテックベンチャーネットワークでは試算
しています。2006年の業種別VC投資額ではソフトウェア、バイオに次ぐ
3位の分野となっています。

 その背景になっているのはバイオ燃料、太陽光発電、風力発電、燃料電池な
どのクリーンエネルギーの世界市場の規模が399億ドルから10年後には1
672億ドルへと今後10年で4.2倍にも成長する(日経産業新聞より)と
予測されているからにほかなりません。

 こうしたビジネスの成長を当て込み、IT業界を牽引してきた著名キャピタ
リストであるジョン・ドーア氏は「環境ビジネスはこれまでのどの市場よりも
有望」と宣言。環境系ベンチャーへ積極投資を開始したとされます。

 米国以上に急激な変化が生じている欧州では2006年においてエコファン
ドに流入した資金は前年の5倍31億7000万ユーロにも達したとされてい
ます。また、米国の運用会社ブラックロックのエコファンド投信は07年1月
末で残高が25億ユーロと1年間で3倍にもなっています。またドイツのRA
Mが06年5月に運用を開始したエコファンドは運用規模が1年を経たずに9
億ユーロになっています。

 更に北米のクリーンエネルギー企業向け投資は04年の7億ドル(34件)
から06年103億ドル(115件)に増加しているとされます。いささかエ
コバブルの様相を感じさせますが、対象が環境という大義名分があるだけにい
くら増加しても結果として地球環境を守ることになるなら、こうした動きを否
定する訳にはいきません。
 VCの活動がエコロジーに向かっているためクリーンテクノロジーの企業は
かつてのバイオベンチャーのように活発な資金調達を行い本格的な事業展開が
始まろうとしています。
 北米では特にナノ素材や太陽光発電パネル、とうもろこしによるエタノール
製造に関わる企業などが大規模な調達に成功しています。

 これに対して日本もロハス・環境ビジネスが成長するとの予測が出されてい
ます。環境ビジネス(環境省の定義では水・空気・土壌などの環境に与える悪
影響と廃棄物、騒音、エコシステムに関連する問題を計測し、予防し、削減し、
最小化し、改善する製品やサービスを提供する活動)の市場規模は2000年
の29兆円(雇用者数77万人)から2010年は47兆円(同112万人)、
さらには2020年には58兆円(124万人)が見込まれています。また、
これに加えて健康・バイオテクノジーなどのロハス関連ビジネスも2004年
の8兆円から2010年は25兆円、2020年には47.5兆円といった予
測データが公的機関や民間などから示されています。

 このように環境ビジネスに健康サービスまでを加えたロハス関連産業の市場
規模は今後大きく拡大すると見られます。
 米国ではロハス関連ビジネスの企業の株価にはプレミアムがついていてPE
Rが平均よりも高いという実態があります。
 NASDAQに上場していますWhole Foods Market(自
然食品のスーパーマーケットを全米で展開)やGAIAM(LOHAS関連商
品のオンラインショップ)などが良い例です。
 日本でも既にこうした動きを先取りしてエコ、グリーン、SRIに関連した
環境系のテーマファンドが設定されてリターンを上げ始めています。

 地球環境F(野村)、尾瀬紀行(興銀第一ライフ)、Mrs.グリーン(大
和住銀)、エコファンド(興銀第一ライフ)、大和SIRファンド(大和)、
グッドカンパニー(住信)、ぶなの森(損保ジャパン)などがエコ関連ファン
ドの代表と考えられます。
 大手の運用会社に続いてソフトバンク系のファンドもエコ関連企業へ投資し
ますし、ロハスベンチャーとして昨年設立されたばかりのハッピーオール(代
表取締役 伊藤雅仁/http://www.happyall.co.jp/)でもエコファンド30億
円の設定を私募形式で行うことになりました。
 従来のベンチャーファンドと違ってエコファンドは参画される企業や個人が
社会的に高く評価されるという点にあります。投資委員会の体制構築などが明
らかになると大いに話題にもなってきます。
 最近では米国でも環境活動家として著名な方々が名乗りをあげていますので
皆さんもご存知かとは思いますが、映画俳優のレオナルドディカプリオや元副
大統領のアル・ゴア氏などがその代表です。エコファンドへの投資はCSR効
果が高まることになるため、多くの企業経営者がこぞって参加することになる
と考えられます。こうした話を聞くと皆さんもファンドに出資してみたくなる
かも知れません。ただし、投資にはリスクがつきもの。リスクを理解して頂け
る方と環境に本当に関心のある方だけが参画して頂けるものです。
 また、CSRだけではなくきちんとしたリターンも上がる可能性があるとい
うのがエコファンドの特徴でもあり、先進的だからこそ価値があるとも言える
のです。
 ハッピーオールの伊藤社長はまだ30歳台という若手のホープ。大手銀行出
身の彼はファイナンスオールのIPOを実現し時価総額を68億円から170
0億円にまで高めた実績を持っています。そうした彼が今大いに関心を寄せて
いますロハスと環境をテーマにしたエコファンドがこれからの船出に向かって
準備中です。このことは先日の日経産業新聞にも取り上げられていましたが、
これからのハッピーオールにも大いに期待したいと思っております。
(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

【炎氏よりPR】

 残暑お見舞い申し上げます。ようやく猛暑はひと段落となってきましたが残
暑はまだまだ厳しく油断は出来ません。
 連日の株安もようやくひと段落して戻り相場の展開となってきましたが、こ
れからやってきます秋の季節に天高く馬肥ゆる秋といくかどうかは皆さんの努
力と体力にもかかっております。猛暑の夏が皆さんの体力にどれほど影響を及
ぼしたのかは分かりませんが、じっくりと株式相場の風情を楽しむ余裕をもっ
て頂きたいと思います。
 暑い夏を何とか乗り越えて季節は秋。そして冬に向かいます。私も皆さんと
同様に1年1年と確実に年代を重ねてまいります。方向性を見失いがちなこの
大切な秋の季節を今まで以上にしっかりと見据えて活動を行って参りたいと存
じますので宜しくお願いします。
 この夏は猛暑でやや活動が停滞気味でしたが、こんな私のアナリスト活動で
得られた情報をまとめたレポートをこの秋もお届けします。
 年間2万円で購読が可能です。投資家の皆さんにとって大切な有望銘柄探し
を一緒に続けていきたいと願っております。
 どんな株式相場環境でも耐えられるような事業モデルと成長性を兼ね備えた
企業に対して皆さんが信念を持って投資し、大きなリターンを上げていただけ
ますよう、できうる限りのサポートをしていきたいと思っております。

 日本の株式相場に訪れた調整局面。値幅調整から日柄調整へと移行する局面
を迎え、そこからどのように抜け出してくるのか一緒に見守りながら次のテー
マや成長銘柄を探すことにしますので、この億の近道と同様に宜しくおつきあ
い下さい。

 メルマガの購読料は創刊以来最大年間2万円とリーズナブル。この際、ご購
読のお申し込み宜しくお願いします。(炎)

有料メルマガの詳細は炎氏のサイトまで。
http://www.irisjapan.co.jp/join.htm

===================================

 「億の近道」のwebはバックナンバー閲覧を重点に置いた、ブログ風の作
りになっております。現在、2006年7月分まで掲載しておりますが、順次
過去分を追加していく予定です。コメントなどはつけられませんが、まとめ読
みなどに是非ご利用下さい。
 http://okuchika.net/

===================================

 「億の近道」は特定非営利活動法人イノベーターズ・フォーラムの登録商標
です。この名称での有償のサービス等は行っておりません。紛らわしい名称の
サービスは弊社と一切関係ありませんのでご注意下さい。

===================================

億近オフィシャルクラブ掲示板(無料)は、執筆陣を含めた様々な方がコミュ
ニケートしております。是非ご参加ください。MSNのサービスを利用してお
ります。
http://groups.msn.com/okuchika

===================================

当メルマガは以下のシステムを利用して発行しております。
 ◆まぐまぐ ID:0000020640
       購読解除:http://www.kaijo.com/
 ◆E-Magazine ID:okuchika
       購読解除:http://www.emaga.com/info/okuchika.html
 ◆melma!  ID:m00010868
       購読解除:http://www.melma.com/
 ◆メルマガ天国 ID:1127
       購読解除:http://melten.com/m/1127.html

編集者:億の近道発行プロジェクト
発行者:NPO法人イノベーターズ・フォーラム
 email:okuchika.mail@gmail.com
 http://www.iforum.jp/
このメールマガジンの無断転載・引用を禁じます。
==================================

calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2007 >>
selected entries
mag2year2016_0000020640_asset-stock_200x200.png mag2year2016_0000020640_asset-stock_200x200.png
twitter
twetter
okuchika
購読無料! 億の近道メルマガ申込はこちらから!
億近申込バナー
まだ登録していない方はこちらからどうぞ!週5回無料で届きます。
億近執筆陣の本
億近本
億近執筆陣の書籍/DVDをご紹介。億の近道コラムのエッセンスをぜひ。
【石川臨太郎】人生最後の著書好評発売中!

「資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資〜余命宣告を受けた「バリュー投資家」の人生最後の教え〜」
生涯投資家であり続けた故石川臨太郎氏の、投資人生の集大成とも言える最後の書籍が、好評発売中です。石川臨太郎 著、パンローリング刊 2,800円+税
石川臨太郎有料メルマガの特別研究版!
元火曜日執筆者、故石川臨太郎氏の"研究"メルマガ全12回分をイッキ読み出来ます。 著名エコノミスト村田雅志氏による分かりやすい分析が好評です。 詳細は以下のページを参照下さい。
 
categories
archives
recent comment
  • 情熱投資家、相川伸夫が語る注目銘柄 東北特殊鋼(5484)
    内燃機関関係 (01/20)
  • 1981年2月2日 愛知県立春日井高校:コーヒー牛乳の青春。(天国の幸宏へ捧げる)part 2
    ■ (08/19)
  • 1981年2月2日 愛知県立春日井高校:コーヒー牛乳の青春。(天国の幸宏へ捧げる)part 2
    内藤朝雄 (10/12)
  • 情熱投資家、相川伸夫が語る注目銘柄 特殊電極(3437)
    reformer21 (06/15)
  • 公立中学校という選択:区立から難関大学へ その6
    m (05/01)
  • 公立中学校という選択:区立から難関大学へ
    m (03/30)
  • アンジェスMG(4563)の相場シナリオ
    暇潰亭 (10/01)
  • 日本でトップクラスの低PER銘柄
    kkk (02/19)
  • 粘り強くつきあっていれば億の資産ができる
    億の近道 (12/04)
  • 粘り強くつきあっていれば億の資産ができる
    せーねん (12/04)
links
mag2year2016_0000020640_asset-stock_240x65.png メルマガ大賞2008ノミネートバナー
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM