アプリックス(3727)について(2)

 以前執筆したアプリックスについてフォローしたい。

 前回アプリックスについて執筆時、同社に対する見解を「JBlend」に対する市場の評価は過大、ただし携帯電話の開発費を軽減するミドルウェアフレームワークの立ち上がりを見極めての投資は妙味あり、と述べた。

 それ以後の経過を述べる。
2/21に06年12月期の決算を発表した。併せて07年12月期の会社予想についても発表、注力のミドルウェアフレームワークについては17億円と、まずまずの見通しだった。
 だが主力の「JBlend」に対する会社予想は減収見込みとなる弱気な計画。

 この段階で業績未達を見込んで軟調に推移していた株価は、完全に下落トレンドに入った。

 「JBlend」に頼った成長には限界があるとの私の見解通りの業績予想だった。この段階までは完全に私の予想通り・・・
 だが魔の5月15日。アプリックスは業績の下方修正を発表。ミドルウェアフレームワークの見込み顧客が開発計画を変更した、として76億円の巨額の無形固定資産の除却損を計上した。

 同社はミドルウェアフレームワークの開発費を、ソフトウェア仮勘定及びソフトウェア資産として資産計上していた。だが同製品の出荷が当面見込めなくなったことで、これを取り崩し特別損失として費用化したものだ。

 「JBlend」が牽引する成長には限界が見える、だがミドルウェアフレームワークの立ち上がりで成長継続、との私の見解はここに来て誤りであったと認めざるを得ない。

 ミドルウェアフレームワーク立ち上げ失敗は、アプリックスの成長路線の挫折を意味する。巨額の特損よりもこのことのほうが遥かに重い。
 当面株価は下落し、その居所を探る展開が想定される。

 アプリックスの蹉跌は、我々にBSの膨らんだ企業への投資の危険性を認識させる。
 資産計上された費用(開発費等)は、先送りにされ蓄積した膿のようなもの。
会社の目論見が外れた場合にはこれが一度に噴出しPLを蝕む。会社が過去に計上した利益の正当性は問い質され続けるものだ。

 このことから企業の採る会計方針を、バリュエーション評価に反映すべきといえる。

 携帯用ブラウザで有名なACCESS(4813)という企業がある。同社はアプリックスのミドルウェアフレームワークと似た機能を持つ、プラットホームを開発した。
 当然巨額の開発費をかけているが、同社は(アプリックスのように資産計上せず)開発費を逐次費用として計上している。そのため同社への投資は、アプリックスに対するものより相対的に低リスクとなるといえる。
 このことから、仮にACCESSとアプリックスが同様の純利益を計上していても、(PERが高く評価されることで)ACCESSの方が高い時価総額が付与されるべきといえる。

 同様の事例はゲームソフト業界にも見られる。

 次回は各ゲームソフト開発会社がゲームソフト開発費をどう処理し、そのことを市場はどのようにバリュエーションに反映しているのかを記事にしたい。

アナリスト修行僧

<スローガン>
仲間と共に理想社会への投資をはじめよう!
−投資活動によって理想社会を実現する−

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2007/05/30


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
投資情報メールマガジン                  2007/05/30号
             イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週4回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。執筆陣は証券・金融業界に身を置いて
いる人間ばかりです。プロの目から見た各種分析や銘柄を参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

===================================

      −本日の目次−(本日の担当:億近産業調査部)

     ◆コラム「アプリックス(3727)について(2)」
       :億近産業調査部 アナリスト修行僧

===================================

◆コラム「アプリックス(3727)について(2)」

 以前執筆したアプリックスについてフォローしたい。

 前回アプリックスについて執筆時、同社に対する見解を「JBlend」に
対する市場の評価は過大、ただし携帯電話の開発費を軽減するミドルウェアフ
レームワークの立ち上がりを見極めての投資は妙味あり、と述べた。

 それ以後の経過を述べる。
2/21に06年12月期の決算を発表した。併せて07年12月期の会社予
想についても発表、注力のミドルウェアフレームワークについては17億円と、
まずまずの見通しだった。
 だが主力の「JBlend」に対する会社予想は減収見込みとなる弱気な計
画。

 この段階で業績未達を見込んで軟調に推移していた株価は、完全に下落トレ
ンドに入った。

 「JBlend」に頼った成長には限界があるとの私の見解通りの業績予想
だった。この段階までは完全に私の予想通り・・・
 だが魔の5月15日。アプリックスは業績の下方修正を発表。ミドルウェア
フレームワークの見込み顧客が開発計画を変更した、として76億円の巨額の
無形固定資産の除却損を計上した。

 同社はミドルウェアフレームワークの開発費を、ソフトウェア仮勘定及びソ
フトウェア資産として資産計上していた。だが同製品の出荷が当面見込めなく
なったことで、これを取り崩し特別損失として費用化したものだ。

 「JBlend」が牽引する成長には限界が見える、だがミドルウェアフレ
ームワークの立ち上がりで成長継続、との私の見解はここに来て誤りであった
と認めざるを得ない。

 ミドルウェアフレームワーク立ち上げ失敗は、アプリックスの成長路線の挫
折を意味する。巨額の特損よりもこのことのほうが遥かに重い。
 当面株価は下落し、その居所を探る展開が想定される。

 アプリックスの蹉跌は、我々にBSの膨らんだ企業への投資の危険性を認識
させる。
 資産計上された費用(開発費等)は、先送りにされ蓄積した膿のようなもの。
会社の目論見が外れた場合にはこれが一度に噴出しPLを蝕む。会社が過去に
計上した利益の正当性は問い質され続けるものだ。

 このことから企業の採る会計方針を、バリュエーション評価に反映すべきと
いえる。

 携帯用ブラウザで有名なACCESS(4813)という企業がある。同社
はアプリックスのミドルウェアフレームワークと似た機能を持つ、プラットホ
ームを開発した。
 当然巨額の開発費をかけているが、同社は(アプリックスのように資産計上
せず)開発費を逐次費用として計上している。そのため同社への投資は、アプ
リックスに対するものより相対的に低リスクとなるといえる。
 このことから、仮にACCESSとアプリックスが同様の純利益を計上して
いても、(PERが高く評価されることで)ACCESSの方が高い時価総額
が付与されるべきといえる。

 同様の事例はゲームソフト業界にも見られる。

 次回は各ゲームソフト開発会社がゲームソフト開発費をどう処理し、そのこ
とを市場はどのようにバリュエーションに反映しているのかを記事にしたい。

アナリスト修行僧

<スローガン>
仲間と共に理想社会への投資をはじめよう!
−投資活動によって理想社会を実現する−

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

 「億の近道」のwebがリニューアルしました!
 バックナンバー閲覧を重点に置いた、ブログ風の作りになっております。
現在、2006年10月分までを掲載しておりますが、順次過去分を追加して
いく予定です。コメントなどはつけられませんが、まとめ読みなどに是非ご利
用下さい。
 http://okuchika.net/

===================================

 「億の近道」は特定非営利活動法人イノベーターズ・フォーラムの登録商標
です。この名称での有償のサービス等は行っておりません。紛らわしい名称の
サービスは弊社と一切関係ありませんのでご注意下さい。

===================================

■「山本潤氏のファンダメンタルズ分析日本株アナリスト養成講座DVD」
 発売!!■

「NPOイノベーターズ・フォーラム 公認日本株アナリスト 認定講座」
共催:エンジュク 協力:ダイヤモンド経営分析チーム

 2005年4月に行われた山本潤氏のセミナー映像に加え、ファンダメンタ
ルズ分析に必要な内容を新たに撮り下ろした映像を全て収録した4枚組DVD
です。

◆ファンダメンタルズ分析の決定版。
 いままで体系的に語られることの少なかった実践的なファンダメンタルズ
分析を網羅。最終的には個別株のレポートが作成出来るレベルを目的として
います。受講出来なかった方や反復学習したい方には最適な内容です。

◆充実したボリューム
 価格は48,000円とやや高額ですが、4月のセミナー(受講料38,0
00円)で使用した資料添付はもとより、全部でDVD4枚組、約450分の
充実した内容となっています。

詳細はエンジュクのホームページまで。
http://www.enjyuku.com/v_kabu_10.htm

===================================

■「個人投資家のための景気観養成セミナーDVD」発売中!■
 2003年11月に行われた村田雅志氏の景気観養成セミナーを全て収録し
た2枚組DVDです。

◆受講したいけど行けなかった…という方には最適
 当日行われたセミナーの全てを漏らさず収録。もちろん、セミナー当日配布
された資料も収録しております。これで開催地に縛られることなく、自分のペ
ースで学習することが可能です。

◆マスターへの早道は反復
 頭で理解しているつもりでも、いざ実践してみると様々な疑問点が新たに湧
いてくるもの。DVDで何度も復習することにより、マスターへの早道となり
ます。今回のセミナーをより自分のものにするためのツールとしてお役立て下
さい。

詳細はイノベーターズ・フォーラムのホームページまで。
http://www.iforum.jp/dvd.htm

===================================

■億近執筆陣の本 好評発売中!■

石川臨太郎
新!!▲あなたにピッタリの投資手法がきっと見つかる投資実践ノート▲
パンローリング 1680円(税込)
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990346

▲潜在意識を活用した最強の投資術入門▲
パンローリング ISBN4-7759-9011 2800円+税 288ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990117

村田 雅志
▼景気予測から始める株式投資入門▼
パンローリング ISBN4-7759-9007 3300円+税 231ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990070

山本 潤
▲投資家から「自立する」投資家へ▲
パンローリング ISBN4-7759-9008 4800円+税 426ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990087

===================================

【炎氏よりPR】

〜決算発表ラッシュ!! この中で見つけた有望企業の投資ポイントを有料メ
 ルマガで解説〜

 主力銘柄がM&Aへの防衛策で比較的高水準の株価を維持する中で中小型、
新興市場銘柄の低迷が異常に続いています。既に時は5月半ばの3月決算発表
シーズンとなりあちこちで決算説明会が開かれ、企業経営陣、アナリスト諸氏、
市場関係者の皆さんの走り回る姿が目につきます。
 決算は企業にとっては通知簿のようなもの。実際に計画したより良かったの
か悪かったのかを踏まえ、新たな決算に向かっての施策などをお話願うタイミ
ングであります。アナリストはこの発表された内容をもとに企業価値を確認し
て投資家にレポートすることになります。
 かく言う私も小規模ながらこうしたアナリスト活動を続けています。決算発
表の中身を事前に想定したより良かったのか悪かったのか吟味し発表された内
容が理にかなったものかを吟味して、今の株価が割安かどうかを評価して皆さ
んにお伝えする作業が基本となります。このような活動を私は有料メルマガで
表現しております。
 需給悪で値下がりしている多くの企業の株価は、いずれまた反転上昇の機会
がやってくるに違いありません。需給面で企業価値より売られた場面が投資チ
ャンスにもなるでしょう。新たに株式投資をなさる方も新資金が入って当面の
運用を株式でとお考えの方も企業の内容を吟味するツールとして私の有料メル
マガをご活用願えれば幸いです。
 人生が山あり谷ありであるように株式投資の世界も山あり谷あり。季節ごと
に咲く花が違うように、株式市場に咲く花も異なっています。きれいな花や景
色を探して旅する松尾芭蕉が皆さんに歌を詠むように私の発見の旅のエッセン
スをご賞味いただければ幸いです。
 決算発表のさなかではありますが、既に有望企業の情報をメルマガで紹介し
ております。じっくりと見て頂きたいと思っておりますのでこの際ご購読をお
申し込み願えれば幸いです。
(炎)

有料メルマガの詳細は炎氏のサイトまで。
http://www.irisjapan.co.jp/join.htm

===================================

億近オフィシャルクラブ掲示板(無料)は、執筆陣を含めた様々な方がコミュ
ニケートしております。是非ご参加ください。MSNのサービスを利用してお
ります。
http://groups.msn.com/okuchika

===================================

当メルマガは以下のシステムを利用して発行しております。
 ◆まぐまぐ ID:0000020640
       購読解除:http://www.kaijo.com/
 ◆E-Magazine ID:okuchika
       購読解除:http://www.emaga.com/info/okuchika.html
 ◆melma!  ID:m00010868
       購読解除:http://www.melma.com/
 ◆メルマガ天国 ID:1127
       購読解除:http://melten.com/m/1127.html

編集者:億の近道発行プロジェクト
発行者:NPO法人イノベーターズ・フォーラム
 email:okuchika.mail@gmail.com
 http://okuchika.net/
このメールマガジンの無断転載・引用を禁じます。
==================================

ぬくぬくホッコリ株日記 定年後は株で楽しく暮らしたい 第9回




■第9回■

 いったん買った株を持ち続けるには、どのようにしたら良いのでしょうか。投資家それぞれの性格によって違うと思います。自分がどのような性格なのかを理解しないと、人の話を聞いても上手くいきません。

 私の場合、最初のころは投資したコストを全部回収しコストゼロにすれば、その株を持ち続けることが出来るのではないかと考えました。一番簡単なやり方が、2単位買って、株価が倍になったとき1単位売れば、残りの1単位の株のコストはゼロになります。しかし途中から個別の株ごとに考えなくても、いま株式市場に投資している資金が、全て株の儲けの範囲であるならば、投資コストはゼロと考えてよいと思うようになりました。長年株式投資を続けてきたので、今投資している株のコストは全てゼロになりました。

 しかし、全てがコストゼロの株でも年初に評価額が6000万円あった株資産が、年末に4500万円に目減りしていれば、1500万円資産が減ってしまったことに変わりありません。痛さはコストゼロであろうと無かろうと同じだということが良くわかります。

 最近持ち株を見て気がついたことがありました。去年、住宅ローンを残したまま株式投資をするのは、自分の家計バランスシートの中で考えると、借入で株式投資をしているのと同じだ。信用取引をしているようなものだと考えて、住宅ローン返済の為に持ち株をうりました。住友金属鉱山と三菱商事だけ残して、他の株はほとんど売りました。なぜこの2銘柄だけを残したかというと、持っているかものなかで一番値上がりする可能性が高いと信じ込んでいたからです。思惑通り2007年に入ってから、この両銘柄が上がってくれたおかげで、運用成績はまずまずです。しかしこの2銘柄以外に単位株で残していたも
ので、自分の性格がとても良く分かりました。

 私がほとんどの株を売ったのに、残していた株は共立メンテナンス、パトライト、ヒューテックノオリンという食べ物の優待がついてくる銘柄だけだったのです^^;。いかに食い意地が張っているか良くわかります。

 業績はどの株も良い株です。もっと株価が上がっても不思議は無いと思います。しかし実際には株価はなかなか上がりません。でも共立メンテナンスとヒューテックノオリンについては過去において現在の株価より、かなり上がったこともあるのです。その時けっこう売りました。でも優待の権利確保分として優待の権利確保に必要な株数だけは残していたのです。

 そこで考えました。優待の権利を取るだけのためだけに株を買うのはバカらしいけれど、成長のための投資や努力を続けており、その企業の業種などから見ても、努力が報われて業績が大きく向上すると考えられる株で、さらに優待があるものを買うのはどうだろうかと考えました。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

このコラムはいかがでしたか?面白かった・役に立ったと思った方は
是非ワンクリックをお願いいたします!
http://clap.mag2.com/baicraecla
クリックだけでも結構ですし、コメントをいただけるともっと嬉しいです!






目指せ!テクノロジーインベスター(7)

(7)携帯電話のソフトウェア(1)

 テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思うのですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。

そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやすく技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。

では、今回は、ソフトウェアについて簡単に説明していきましょう。

いきなり、感覚的に言ってしまえば、携帯電話の個々の部品をどうやって動かすのかが、ソフトウェアです。

と言っても・・・。中々イメージするのが難しいと思いますので、わかりやすく人の動作でソフトウェアを説明してみましょう。

朝食後、お茶を飲んでから歯磨きをする動作をまずは、考えてみましょう。

「歯磨きをしようと時計をみたら時間があるので、お茶を飲みました。それから、洗面所に行って、歯を磨こうと思って鏡をみたら、ちょっと暗いので、電気をつけて、歯を磨いた」

それを、箇条書きで考えてみると。

1、歯磨きをしようと思う。
2、時間があるのでお茶を飲む。
3、洗面所に向かう。
4、ちょっと暗いので電気をつける。
5、歯を磨く。

とこんな具合でしょうか。

細かいことを言うヤツだなと思うかもしれません。その通りです。この様に、細かいことを規定してあげて、確実に歯を磨けるように導いてあげるのがソフトウェアなのです。

これから、ソフトウェアについての重要なことをお話します。

つまり・・・。
ソフトウェアは、『脳の働きそのものを真似ている』のです。

では、歯磨きの動作を、順を追って説明していきましょう。今、歯磨きをしようと思って、まず歯磨きのプログラム(仮に歯磨きプログラムと呼びましょう)を呼び出してくるというのがソフトウェアの最初の動きです。

そして、ふと時計に目をやると「まだ時間があるよ!」ということがわかりました。

これは、外から入ってくる情報です。目でみた時計からの情報によって、歯磨きプログラムからお茶を飲むプログラムが呼び出されます(お茶飲みプログラム)。

このお茶飲みプログラムによって、実際に、腕、口、手が使われ、お茶が口に運ばれ、飲めるという具合です(2、時間があるのでお茶を飲む まで終了)。

ここまでを、まとめてみましょう。

一旦、呼び出された歯磨きプログラムは、目からの情報で、お茶飲みプログラムを呼び出してきます。

ハイ。ストップ!

これから、ソフトウェアの代表的な動きについてのまとめをお話します。

何かをやっていて、新しいことを途中で割り込ませることを、ソフトウェアの世界では、まさに『割り込み』といいます。ソフトウェアはこの割り込みを常に行いながら、進んでいくのです。

長くなりましたので、今回はこの辺で終わりにします。

彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


ファンダメンタルズ分析入門第4部(3)

■■理論株価と伝統的投資指標(3) RIMモデルその2■■


◇◇◇理論株価算出に必要な要素

1.予想EPS 
2.予想配当D
3.資本コストr: 所与 r = rf + β(rm−rf)
 これらはすべて市場から与えられている
4.成長率g=配当成長率=自己資本成長率=EPS成長率)
  =ROE(1−D/EPS)
  =EPS/BPS (1−D/EPS)
  =(EPS−D)/BPS ……1)
  BPSは所与。EPS、Dともに予想が必要
   →EPSとDを予想すればgが求まる。

1と2は予想しなければならない。
しかし、3と4は所与で市場から与えられている。

復習

◇◇◇RIM による理論株価の具体例

P = BPS(ROE-g)/r-g
1)より
  = BPS(EPS/BPS-(EPS-D)/BPS)/[r-(EPS-D)/BSP]
  = D/[r-(EPS-D)/BPS] ……2)

ここで、EPS=E
    BPS=B
    とする。
2) = 
 P = DB/[Br-(E-D)]

理論株価 P= DB/[Br-(E - D)]

理論株価はEとDを予想すればこのように算出できる。


具体例:

r=0.1
E = 100
D = 20
B = 1000
であれば、RIMによる理論株価はいくらか?

Ans.
P = DB/[Br − (E−D)]
  =20・1000/[1000・0.1 − (100−20)]
  = 20,000/(100−80)
  = 20,000/20
  = 2,000

理論株価は2000円で
PER 20x
PBR 2x
Yield 1.0%
がターゲットとなる。


◇◇◇Eの変化が株価にもたらすもの(アナリストにとって非常に重要なポイント!!!)

RIMモデル

P = DB/Br+D−E ……3)
ただし、 Br + D − E > 0

3)をEで偏微分

∂P/∂E = DB/[Br + D − E]^2 >0
よって収益Eが1円増えると株価は
DB/[Br + D − E]^2円上がることがわかる

具体例:

r=0.1
E = 100
D = 20
B = 1000
でEが1円増えるとPは何円上昇するか?

∂P/∂E = DB/[Br + D − E]^2
      = 20,000/20^2
      = 20,000/400
      = 50

EPS1円の上昇で株価は50円上がることがわかる。
EPS100円、株価2000円なら、1%のEPSの増加で2.5%の株価
の上昇が見込まれることになる。

収益の増加は株価の上昇をもたらす。理論を知っていればいくらぐらい上昇し
そうかということも算定できる。

◇◇◇配当政策について

RIMモデル
P = DB/Br+D−E ……3)
ただし、 Br + D − E > 0

3)をDで偏微分
 ∂P/∂D = D/[Br + D - E]×(1-D/[Br+ D -E])
右辺の第1項は正。
よって、右辺第2項が正のとき、1円増配はD/[Br + D - E]×(1-D/[Br+ D -E])
円の株価上昇をもたらす。

増配によって株価が上昇する条件とは、
右辺第2項 =(1-D/[Br+ D -E])>0

不等式をとくと
Br > E
となる。

つまり、資本コストを事業収益が下回るとき、低収益事業を営んでいる企業は、
1円増配によって株主価値を D/[Br + D - E]×(1-D/[Br+ D -E])円高める
ことができる。

逆に、E>Brのとき、右辺第2項が負となり右辺全体が負となる。
∂P/∂D<0なので、増配で株価が下落することを意味。
つまり、事業収益が資本コストを上回っているとき、高収益企業の場合は、増
配は株価の下落を招く。



r=0.1
E = 100
D = 20
B = 1000
でDが1円増えるとPは何円上昇(または下落)するか?

∂P/∂D = D/[Br + D − E]×(1−D/[Br+ D −E])
      = 20/20(1−20/20)
      = 0
つまり、この企業は増配も減配も株価には中立である。
Br  = E  のとき、つまり、資本コストと収益が見合っているとき、
増配は株価に中立である。

★配当モデル

 P=D/r−g ……4)
4)に
g=ROE(1−D/EPS)
 =E/B(1−D/E)
 =(E−D)/B
を代入すると

P = DB/[Br−(E−D)]

となる。

RIMもDモデルも実は同一!

★実用上のテクニック

一時的にg>rとなっている企業

解決策1)
 将来 g<rとなる期間tを特定(たとえば11年後)。
 A:t年間のRIを個別に割り引き総和をとる。
 B:から公式を使いexp(−rt)で割り引く。
 C:AとBとをあわせたものが理論株価となる。
(=2期間モデル、3期間モデル)

解決策2)
 仮にadjD=Eとし、g=0を擬似的に作成する。
 P = adjD/r
   = E/r
とする。

解決策3)
 将来の平準的なROEを策定し g<rとなることが確認できればその平準
的なROEからgを求める。


◇◇◇ROEから配当成長率が求まる

◆結論

定常的なROEを定めると、
将来のEPS、
配当、
そしてBPSが予想できます。
また、配当とEPSとBPSの成長率はすべて同じとなります。

◆前提

現状のEPSをEPS(0)とします。
1年後のEPSをEPS(1)とします。
同様に、
n年後のEPSをEPS(n)とします。

n年後の配当をD(n)とします。
n年後のBPSをBPS(n)とします。
定常的なROEをROEと表記します。


◆算出過程

n+1年後のEPSは、以下のようにn年後のEPSから算出できます。

まず、
(1)EPS=BPS×ROE
   これは定義です。
   BPSにROEを乗じたものがEPSです。
(2)EPS(n+1)=BPS(n+1)ROE
   これも定義です。
   n+1年後のEPSは
   n+1年後のBPSにROEを乗じたものと仮定します。


期間利益のうち、内部留保された分が、BPSの増加額になるため、
(3)BPS(n+1)=BPS(n)+EPS(n)−D(n)
※配当以外の外部流出をゼロと仮定します。

(4)BPS(n+1)=
   BPS(n)+BPS(n)ROE(1−D(n)/EPS(n))
(5)BPS(n+1)=
   BPS(n)(1+ROE(1−D(n)/EPS(n))
ところが、ROE(1−D(n)/EPS(n))は、ROEに内部留保率を
かけたもので配当成長率gです。

(6)g=ROE(1−D(n)/EPS(n))

したがって、
(7)BPS(n+1)=(1+g)BPS(n)

配当の成長率gは、BPSの成長率です。
今年のBPSは前年のBPSから求めます。
来年のBPSは今年のBPSから求めます。
従って、n年後のBPSは前年のBPSから求められることになります。

(8)EPS(n+1)=BPS(n+1)ROEより、

(7)式を参考に、

(9)EPS(n+1)=(1+g)BPS(n)ROE

したがって、
(10)EPS(n+1)=(1+g)EPS(n)

つまり、n+1年後のEPSはn年後のEPSに配当成長率1+gを乗じたも
のです。


(11)D(n+1)=EPS(n+1)D(n)/EPS(n)
尚、D/EPSは配当性向。

(12)D(n+1)=(1+g)EPS(n)D(n)/EPS(n)

(13)D(n+1)=(1+g)D(n)

当然のことながら、配当成長率はgです。
n+1年後の配当は、n年後の配当に(1+g)を乗じたものです。

◆再び結論

配当の成長率=BPSの成長率=EPSの成長率=g
となる。

◆t年後のEPS

連続複利ベースでは、t年後のEPSは現状のEPSをEPS(0)として、

(14) EPS(t)=EPS(0)exp(tG)
(15) BPS(t)=BPS(0)exp(tG)
(16) D(n)=D(0)exp(tG)
となります。
※G=LN(1+g)

◆実際のフロー

BPS(n)にROEを乗じて、EPS(n)が求まる。
EPS(n)に配当性向を乗じてD(n)が求まる。
EPS(n)とD(n)が求まれば、BPS(n+1)が求まる。

BPS(n+1)にROEを乗じて、EPS(n+1)が求まる。
同様にして、EPS(n+1)とD(n+1)が求まる。

Enjoy Every Moment! 山本 潤

(この連載は2005年12月時点で執筆されたものです。情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

やる気シリーズ その4 基本の反復が未知の境地を開く

■〜なぜ基本が大事なのか〜

2月にはコラムで集中して、「やる気」シリーズ(3回)を掲載しました。

やる気シリーズの過去のコラムは以下のURLでお読みになれます。

*第1回 なぜやる気が大事なのか。
*第2回 やる気がでないときはどうしたらよいのか(余裕の大切さ)
*第3回 なぜ甘えたくなるのか、なぜ甘えてはならないのか

今回は、やる気シリーズの第4回目です。
何事においても、基本が大切であるということ、
それはなぜなのかについて、なんらかの示唆をしたいと考えています。

■小さなことの積み重ねがわずかな差を生じる

前述やる気シリーズで書いたとおり、
「能力の差は2倍。やる気の差は100倍」です。

企業経営は、組織です。
機関投資家は、組織を評価し、「一流の組織」を「安い価格」で買おうとします。

企業における組織の力では、相撲やテニスのように、個の歴然とした力の差が直接、結果に結びつきません。

たとえば、相撲では、横綱が負けることは、15回に1−3回程度です。
個人の力量の差が勝率の差となり、横綱の勝率は80%以上となります。
個人対個人の競技では、個人間の歴然とした差が、そのまま勝敗に結びつきます。

一方で、チーム競技となれば、個人の力量の差というよりは、組織の差が成績に反映されます。
たとえば、プロ野球では、支配下選手70人、ベンチ入り25人、先発9人という人数です。
ペナントレースでは、年間の勝率55%程度でも、優勝する場合があります。
55%の勝率はたいしたことはありません。
しかし、それでも、優勝チームとそれ以外のチームの間には、その勝率が示す以上の差が存在します。

それらは、
*「どうしても勝つんだ」という意識の差であったり、
*必要な場面でミスなく進塁打を打てる打者がそろっているかどうかの差であったり、
*いつも準備ができているかの差であったりするでしょう。

結果としては、勝率の5%の差は、チーム競技である野球においては、毎試合のわずか一つの進塁打の差にすぎないのかもしれません。
(※進塁打の成功率の高いチームの勝率は高くなる)

その「わずか一つの進塁打」がほしい局面で打てるかどうかは、個人の基本的な資質に関わってきます。

(※野球においては、攻撃力とは、出塁率の高さと出塁後の進塁打の多さであり、守備力とは、四死球を出さない投手力やエラーをしないことです。)

■わずかな差の積み重ねが大きな差となる

さて、上場企業の場合、従業員数数百人から数万人までの人員を要するわけです。
「組織のちから」は、プロ野球ほどの勝率の差となっては現れません。
なぜなら、プロ野球の場合は、勝敗をあえてつけるレースですが、ビジネスでは、あきらかな勝敗がつくことはまれです。

しかし、それでも、高収益企業を調べてみてわかることは、高収益企業といわれる企業、たとえば、キーエンスなどは、
*景気のよいときも、悪いときも、
*いまもむかしも、
*どの事業でも、
例外なく、「いつも高収益」なのです。

高収益企業には、
「この事業は高収益だが、この事業は赤字である」ということがないのです。

セラミック製品以外には、たいしたビジネス領域をもっていないといったら、叱られますが、たとえば、京セラのアメーバー経営は、トップシェアではないビジネスの集まりであっても、一定以上の収益率を上げていることは、経営者の力量でしょう。
(ちょっと言い過ぎました。京セラは一流企業だと思います。しかし、「村田製作所などと比べると、京セラは差別化製品が少ない」という比較論です。)

HOYAは、複数のビジネスを営んでいますが、低収益といえるような製品はありません。
経営者が、なんらかの組織や経営に対するぶれない評価軸をもっていることの裏返しなのでしょう。
組織経営では、「基本」に忠実であることが、長期的な発展の基礎といえるでしょう。

やる気シリーズで描いたように、現場環境の良し悪しによって、企業の生産性は大きく変わってきます。

わずかな小さな差を積み上げていけば累積的に大きな収益力の差が生まれます。
逆にいえば、「大きな差をつけたいのであれば、小さなことを積み重ねるしかない」のです。

■組織か個人か

チームスポーツには、組織のちからが大切です。
しかし、組織のちからを支えるのは、個人です。
個人の強さがあって、初めて、強い組織が可能になります。

しかし、組織のために、個人を犠牲にしたり、組織の論理を末端に押し付けたりするような企業は駄目です。
(やる気がそがれてしまうからです)

いま、個人が順当に報いられる組織が求められています。
しかし、組織がいくらがんばったとしても、特定の個人が必ず報いられるとは限りません。
(チームが勝っても、4打席でヒットなしということがあるのと同様に・・・)

結局、個人が自己の責任で、自分を磨くことが、自他共にその個人が報いられる最短距離なのです。
「組織は、個人の努力を邪魔しない、組織は個人のモーチベーションを下げない」、というだけです。
個人を大切に扱う組織は、よい組織になれる素地があるのです。

■基本動作は組織ではなく、個人に従属する

野球では、キャッチボールを最も重視します。
投げて受ける所作の中に、このスポーツの最も大切なことが凝縮されているからです。
(※野球は、投げ方=打ち方となっているスポーツなのです)。

野球に限らず、どんな競技でも、あるいは、どんなビジネスでも、基本の動作は、個人が努力して身につけなければなりません。
組織が個人の基本動作を肩代わりすることはできないのです。

今回のキーワードは「基本の大切さ」です。
やる気シリーズの第2弾では「余裕」の大切さ、第3回目では、「依存する甘え」の排除の仕方について書きました。

共通の目標を持った個人が、それぞれの役割をきっちり果たすのが「組織」です。
役割を果たすためには、個人に基本が備わっている必要があります。

基本ができていない個人がいくら集まっても、それは組織とはいえません。

■ちいさな基本の積み上げが、高みへと通じる

製品ひとつをとっても、その企業独自のこだわりがあります。
製品というものは、数百、数千という地道な製造プロセスを経て、付加価値をひとつひとつ積み上げていくものです。

一方、野球では、アウトをひとつづつ積み上げていきます。
ストライクをひとつづつ、積み上げていきます。
ひとつのアウト、ストライクの中に、プロの技が凝縮されているのです。

同様に、ひとつの作業プロセスの中に、企業の強みが凝縮されています。

メジャーリーガーのイチロー選手は、
「高く積み上げるためには、低い位置から一歩づつ始めなければならない」
という主旨のことを言っています。

ひとつひとつの基本作業は地道であり、ひとつのプロセスのひとつのちいさな地道な作業の中にこそ、プロとアマとの間には、雲泥の力量の差が発見できるものです。

その地道なちいさな基本過程を数万、数億と積み上げていく中で、最終的には、大きな差が生じてくるのです。

■アマはテクニックに走り、プロは基本を磨く

どの世界にも上手なアマは沢山います。
音楽の世界で、ドラムで、難しい技を繰り広げるのはアマテュアです。
プロは、技ではなく、ひとつひとつの音の意味にこだわります。

わたしは、4ビートの基本的なスネアドラムの音を聞いただけで、プロかアマかわかります。
アマは技にこだわり、プロは基本を磨きます。
アマのドラマーのほとんどは、もっとも基本的な動作のひとつである「たいこから出てくる」音量が不足しています。
また、アマは、音量が安定していません。

「ドン」「パン」というひとつの音に本物の質感がこもっているのがプロです。

中日ドラゴンズの落合監督は、「プロに大切なものは、スタミナ」であると論じ、選手に猛練習を課しています。
アマでは、基本的な体力が少々足りなくても、ごまかすことができます。
プロは、ダントツの体力がなければ、力を継続的に発揮することはできません。
今年のキャンプ時点での、日経新聞のスポーツ欄によれば、ノックによる守備練習では、「飛びついたり、横っ飛びになったりするプレーをしても評価されず、判断よく打球に回り込むこと、捕球後にスローインがしやすい体勢をつくることが評価されている」とありました。
プロは、派手で気持ちのよいプレーではなく、地味であっても、将来の大きなミスを事前に防ぐプレーが評価されるのです。

投資の世界では、アマテュアが華麗なテクニックを駆使して、素早い動きで、機動的な運用を見せます。
一方、プロの投資家には、華麗なテクニックなど、ありません。

基本に忠実に、製品の評価をして、数ヶ月間、長い場合では1−2年かけて、ひとつの製品を評価します。
基本に忠実に、地道なプロセスを経て、さらに、株価が、買いの目標に下がるまで、待ちます。
永遠に待つこともあります。(=買わないということ)
(購入して、何年間も保有することを目指すわけなので、華麗な投資技法などないのです)

■基本を会得するには長い年月がかかる

スポーツでは、頭では完全にわかっていたとしても、身体はイメージの通りに反応してくれません。

数学の問題では、解答を見れば、理解できる事柄でも、自分で実際に問題を解きはじめると、これでいいのかなと不安になったりします。

英単語を完璧に覚えていても、英会話では、十分に話すことができない場合もあります。

野球小僧の話を07年2月13日(やる気シリーズの初回のコラム)に書きました。
彼は、今、左打ちに取り組んでいます。
彼の計画では、3年後に、右と同じ感覚で、左で打てるようにするのだそうです。
(毎日練習していても、3年はかかるというのです!)

足の力も左右で違えば、その違いをバッターボックスで調整しなければなりません。
プロでない、アマ野球でも、強打者ともなれば、バットを振るその前段階の「立つ姿勢」に風格が漂います。
しっかりと基本から鍛えられた「立ち方」となっています。

野球小僧の場合、左打ちを始めて、3ヶ月になります。
が、軸足に重心をかける段階で、まだ微妙にぎこちないのだそうです。

さて、バットスイングは、軸足から軸足でない足への重心の移動スピードで初速が決まります。
軸足に体重をすべてのせてから、一気の変化で体重を前足に移動させるのです。
普段は利き足でない足を軸足にするため、ぶれたり、体重ののせ方が不十分になりがちです。
それが左打ちの難しいところなのです。

また、その重心移動を軸足以外の足(前足、左打者の場合は右足)で急にとめる「壁」つくることが、大切です。
重心の移動で生じた運動エネルギーは、壁で急にとめられることで、下半身で浪費されず、腰や肩へ、つまり、上半身に無駄なく伝えられます。
自動車で急ブレーキを踏んだとき、前のめりになりますが、同様のことです。
自動車の運動エネルギーが、自動車がブレーキを踏んだことで、乗っている人へと「無駄なく」受け継がれたため、前のめりになるからです。

ヒッティングでは、重心移動を急速にとめるための「壁」を足でつくります。
が、これが難しい。
アマの打者のほとんどは、「壁」が不十分です。
軸足から壁に高速で体重移動するときに、100メートルのスタートダッシュなみの移動がプロには求められます。
そのような極端な高速の体重移動を実現するには、普段からの体力強化や瞬発力の開発と毎日の基本動作の繰り返しが必要になります。
(キャッチボールもバッティングも体重移動と身体の使い方は同じです)

そのような基本動作は、何年も必死に努力して、ようやく身につけることができることなのです。
見かけ上では、大したことのない、単なるバッティングのステップをひとつとっただけでも、血の滲むような努力が要求されるのです。

(※基本的な動作は、投資にも同様に求められます。財務諸表が独創的に読めるようになるのに数年間はかかりますし、ひとつの業界を極めるのにも数年間はかかります。)

■どんな複雑な動作も単純な基本動作に分解できる 

どんな複雑な動作も、作業も、仕事も、細かく分解すれば、基本動作に落とせます。

リストやラフマニノフの難曲であっても、ひとつの小節だけに切り取り、ゆっくりと弾けば、再現可能になります。

それらの基本動作にのせるための、仕事の分解作業は、ある意味、単調です。
しかし、短いひとつの小節だけの練習であれば、3−5分の空き時間でいつでも練習できます。
「細切れの時間を見つけては、基本動作を練習する」というのがプロなのです。
わたしの知り合いのプロのピアニストは、歩行者信号が赤の間の1分間に、楽曲1小節を右手左手でイメージトレーニングをしていました。
また、新幹線で東京から京都に行く間に、初めての楽曲を頭で整理して、小節ごとに「練習」していました。
京都につくころには、「ここにピアノがあれば、多分、もう弾ける」といっておりました。

このように、
「人生のすべての空き時間をひとつのことに費やしてしまおう」
というのがプロなのです。

「どんな複雑な仕事であっても、単純な基本動作に分解できる」のがプロとアマの違いです。
言い直せば、
「どんなに最終的な到達地点が遠くても、そこに至る必要なステップを順序良く並べられるのがプロ」なのではないでしょうか。

■到達点はないが、基本がなければ出発さえできない

基本動作が100あれば、その100の動作から無限の応用力が生まれます。

基本を習得することなく、人生に成功はありません。
わたしの人生の理想は、向上心、上手くなりたいという熱意をもちつづけ、ひとつのことだけをやり続けることです。

もっとも得意なこと、自信のあることだけをやり、それがゆえに、いつも楽しく、人生を謳歌する、というのが、理想です。

単調な繰り返しにすぎない基本の反復練習を、なぜ、プロが重視し、なぜ、アマが重視しないのか、よく考えてみるとよいでしょう。

陶芸家が、つくっては壊し、つくっては壊す。
その作業をはたからみれば、素人にはわからない境地でしょう。
しかし、基本の重要性を知るプロからみれば、そのつくっては壊す「繰り返し」こそが基本の反復として見えてくるものなのです。

基本の深さと大切さを理解して、単調な作業を真剣に精査し味わうのが、プロ。

スパン!という1つの音で聴衆を圧倒するドラマー。
足を振り下ろしたときに「ドン!」という地鳴りのする打者。
つくっては壊す陶芸家。
新幹線で音符をすべてさらう音楽家。

すべての時間を反復練習にささげたものたちの強さは、観る者を感動させます。
機転の速さや頭のよさで立ち回ることで、強くもなれないし、創造的にもなれません。

プロは、いくら高く上がっても到達点というものがありません。
いや、「いつまでも到達できない」世界への憧れが、彼らを今も未知の境地へと駆り立てるのでしょう。
到達できない世界へ1ミリでも近づくことが、人生の幸せであり、そういう類の幸せを、しばしば、実感できるのが、本物のプロフェッショナルではないのでしょうか。

基本を積み上げたとしても、到達点はありません。
しかし、基本を積み上げなかったとしたら、どこにも出発できないのです。
基本ができなければ、袋小路の閉塞感に押しつぶされてしまうのです。

■P.S プロとアマにこだわりすぎでしょうか? 

なんの資源を持たない日本が世界有数の国力を謳歌できるのは、平均的な国民の学力・知力に拠るところが大きいと思っています。

現状の日本は、知力・学力にやや衰えが見れるとはいえ、財力や資金力といった「投資力」に必要な国家としての基礎体力は十分にあります。

「すべての職業はクリエイティブなものにできる」、
「すべての職業に、プロフェッショナルがいる」、という精神でこのコラムを執筆しました。
わたしは、この国のすべての人がプロ意識を持てば、日本は世界のお手本となり、21世紀のユートビアとなると考えています。
プロ、プロ、プロとこだわることに、違和感があるかと思いますが、何卒、お許しください。

わかりにくい例だったかもしれませんが、野球におけるバッティングの足のステップというひとつの単純な動作にさえ、驚くべきほどの労力と努力が注ぎ込まれているということを、伝えたかったのです。

とはいえ、わが身を振り返れば、
基本を大事に…といわれても、なかなかできないのが、わたしのような凡人です。

早寝早起きを基本としようとしても、ついつい夜更かしをしてしまいます。
節制が重要であるとわかっていても、深酒をしてしまいます。
百害あって一利なしの喫煙。
運用の仕事でストレスが溜まると、コンビニに深夜かけこんで、公園で一人、打ちひしがれて・・・スパスパスパなんてやっています。
そしてその次の日、買ったばかりのたばこのパックをもったいないと思いながら、ゴミ箱に捨てたり。
腹八分目がよいことがわかっていても、ついつい満腹になるまで食べてしまいます。
相手のために諭すように教えなければならないことでも、怒りにまかせて人をどなってしまったり・・・
言うが易く、ですね。

Enjoy Every Moment!
〜Slow Investment ゆっくり考え ゆったり投資 〜
山本 潤

■変わらぬメッセージ:長期の読者に感謝■

99年に始まった億の近道は、16000人程度の読者で成り立っています。
長期間購読を続けていただいた読者が多い、古い読者が多いことが特徴です。

このメルマガ(火曜日版)では、多くの株式投資メルマガにあるようなことは行いません。
つまり以下のことはやりません。

●手っ取り早い情報(証券会社の格付けの変更など)
●何を買うべきか
●投資指南
●お勧め銘柄
●マーケットをどうみているか

わたしたちは「タダなのにすごいことが書いてある」メルマガを志向しません。
また、編集に時間をかけることもできません。

わたしたちが伝えたいことは、

●日本が欧米に並ぶ金融大国になるために日本人がもっと学ぶべきこと
●若い世代がワーキングプアにならないためにすべきこと
●株式市場は手っ取り早く儲けようとする投資家を貧乏にするという教え
●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらすという教え
などです。

いわば投資の実務家としての哲学や歴史観・人生観です。

わたしたちが目指すのは、「ファンダメンタル分析」宗教の普及です。

<著者紹介>

億の近道に2000年3月に執筆を開始。
およそ7年間 毎週執筆してきました。
継続は力です!
昨年、念願の独立を果たす。
日本株ロングショートのヘッジファンドマネージャー。

(職歴)
1990−1997年
 和光証券国際本部
(1990−1992年日本興業銀行外国為替部および国際資金部へ出向)
1997年−2005年
 米系投資顧問クレイ フィンレイ インク ポートフォーリオマネージャー。
2006年1月より独立起業。
 エイム インベストメントでファンドマネージャー。
(学歴)
コロンビア大学院 電気工学科 工学修士。
(六本木裏通りの人生大学 夜間部卒。専攻は夜間泥酔行動経済学)
(主な著書)
 「インベストメント―米系バイサイド・アナリストの投資哲学と投資技法」(2001年イーフロンティア)
 「投資家から「自立する」投資家へ」(2003年パンローリング)
 「マンガ ファンダメンタルズ分析 入門の入門」(2004年パンローリング)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2007/05/29


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
投資情報メールマガジン                   2007/05/29
              イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週4回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析や銘柄を参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

===================================

             −本日の目次−
      (本日の担当:山本潤&石川臨太郎&彼岸先生)

◆コラム「やる気シリーズその4 基本の反復が未知の境地を開く」:山本潤
◆コラム「連載 ファンダメンタルズ分析入門第4部(3)」:山本潤
◆コラム「連載 目指せ!テクノロジーインベスター(7)」:彼岸
◆コラム「連載 定年後は株で楽しく暮らしたい(9)」:石川 臨太郎

===================================

◆コラム「やる気シリーズ その4 基本の反復が未知の境地を開く」

■〜なぜ基本が大事なのか〜

2月にはコラムで集中して、「やる気」シリーズ(3回)を掲載しました。

やる気シリーズの過去のコラムは以下のURLでお読みになれます。

*第1回 なぜやる気が大事なのか。
*第2回 やる気がでないときはどうしたらよいのか(余裕の大切さ)
*第3回 なぜ甘えたくなるのか、なぜ甘えてはならないのか

 http://okuchika.net/?eid=128
 http://okuchika.net/?eid=114
 http://okuchika.net/?eid=101

今回は、やる気シリーズの第4回目です。
何事においても、基本が大切であるということ、
それはなぜなのかについて、なんらかの示唆をしたいと考えています。

■小さなことの積み重ねがわずかな差を生じる

前述やる気シリーズで書いたとおり、
「能力の差は2倍。やる気の差は100倍」です。

企業経営は、組織です。
機関投資家は、組織を評価し、「一流の組織」を「安い価格」で買おうとしま
す。

企業における組織の力では、相撲やテニスのように、個の歴然とした力の差が
直接、結果に結びつきません。

たとえば、相撲では、横綱が負けることは、15回に1−3回程度です。
個人の力量の差が勝率の差となり、横綱の勝率は80%以上となります。
個人対個人の競技では、個人間の歴然とした差が、そのまま勝敗に結びつきま
す。

一方で、チーム競技となれば、個人の力量の差というよりは、組織の差が成績
に反映されます。
たとえば、プロ野球では、支配下選手70人、ベンチ入り25人、先発9人と
いう人数です。
ペナントレースでは、年間の勝率55%程度でも、優勝する場合があります。
55%の勝率はたいしたことはありません。
しかし、それでも、優勝チームとそれ以外のチームの間には、その勝率が示す
以上の差が存在します。

それらは、
*「どうしても勝つんだ」という意識の差であったり、
*必要な場面でミスなく進塁打を打てる打者がそろっているかどうかの差であ
 ったり、
*いつも準備ができているかの差であったりするでしょう。

結果としては、勝率の5%の差は、チーム競技である野球においては、毎試合
のわずか一つの進塁打の差にすぎないのかもしれません。
(※進塁打の成功率の高いチームの勝率は高くなる)

その「わずか一つの進塁打」がほしい局面で打てるかどうかは、個人の基本的
な資質に関わってきます。

(※野球においては、攻撃力とは、出塁率の高さと出塁後の進塁打の多さであ
 り、守備力とは、四死球を出さない投手力やエラーをしないことです。)

■わずかな差の積み重ねが大きな差となる

さて、上場企業の場合、従業員数数百人から数万人までの人員を要するわけで
す。
「組織のちから」は、プロ野球ほどの勝率の差となっては現れません。
なぜなら、プロ野球の場合は、勝敗をあえてつけるレースですが、ビジネスで
は、あきらかな勝敗がつくことはまれです。

しかし、それでも、高収益企業を調べてみてわかることは、高収益企業といわ
れる企業、たとえば、キーエンスなどは、
*景気のよいときも、悪いときも、
*いまもむかしも、
*どの事業でも、
例外なく、「いつも高収益」なのです。

高収益企業には、
「この事業は高収益だが、この事業は赤字である」ということがないのです。

セラミック製品以外には、たいしたビジネス領域をもっていないといったら、
叱られますが、たとえば、京セラのアメーバー経営は、トップシェアではない
ビジネスの集まりであっても、一定以上の収益率を上げていることは、経営者
の力量でしょう。
(ちょっと言い過ぎました。京セラは一流企業だと思います。しかし、「村田
 製作所などと比べると、京セラは差別化製品が少ない」という比較論です。)

HOYAは、複数のビジネスを営んでいますが、低収益といえるような製品は
ありません。
経営者が、なんらかの組織や経営に対するぶれない評価軸をもっていることの
裏返しなのでしょう。
組織経営では、「基本」に忠実であることが、長期的な発展の基礎といえるで
しょう。

やる気シリーズで描いたように、現場環境の良し悪しによって、企業の生産性
は大きく変わってきます。

わずかな小さな差を積み上げていけば累積的に大きな収益力の差が生まれます。
逆にいえば、「大きな差をつけたいのであれば、小さなことを積み重ねるしか
ない」のです。

■組織か個人か

チームスポーツには、組織のちからが大切です。
しかし、組織のちからを支えるのは、個人です。
個人の強さがあって、初めて、強い組織が可能になります。

しかし、組織のために、個人を犠牲にしたり、組織の論理を末端に押し付けた
りするような企業は駄目です。
(やる気がそがれてしまうからです)

いま、個人が順当に報いられる組織が求められています。
しかし、組織がいくらがんばったとしても、特定の個人が必ず報いられるとは
限りません。
(チームが勝っても、4打席でヒットなしということがあるのと同様に・・・)

結局、個人が自己の責任で、自分を磨くことが、自他共にその個人が報いられ
る最短距離なのです。
「組織は、個人の努力を邪魔しない、組織は個人のモーチベーションを下げな
い」、というだけです。
個人を大切に扱う組織は、よい組織になれる素地があるのです。

■基本動作は組織ではなく、個人に従属する

野球では、キャッチボールを最も重視します。
投げて受ける所作の中に、このスポーツの最も大切なことが凝縮されているか
らです。
(※野球は、投げ方=打ち方となっているスポーツなのです)。

野球に限らず、どんな競技でも、あるいは、どんなビジネスでも、基本の動作
は、個人が努力して身につけなければなりません。
組織が個人の基本動作を肩代わりすることはできないのです。

今回のキーワードは「基本の大切さ」です。
やる気シリーズの第2弾では「余裕」の大切さ、第3回目では、「依存する甘
え」の排除の仕方について書きました。

共通の目標を持った個人が、それぞれの役割をきっちり果たすのが「組織」で
す。
役割を果たすためには、個人に基本が備わっている必要があります。

基本ができていない個人がいくら集まっても、それは組織とはいえません。

■ちいさな基本の積み上げが、高みへと通じる

製品ひとつをとっても、その企業独自のこだわりがあります。
製品というものは、数百、数千という地道な製造プロセスを経て、付加価値を
ひとつひとつ積み上げていくものです。

一方、野球では、アウトをひとつづつ積み上げていきます。
ストライクをひとつづつ、積み上げていきます。
ひとつのアウト、ストライクの中に、プロの技が凝縮されているのです。

同様に、ひとつの作業プロセスの中に、企業の強みが凝縮されています。

メジャーリーガーのイチロー選手は、
「高く積み上げるためには、低い位置から一歩づつ始めなければならない」
という主旨のことを言っています。

ひとつひとつの基本作業は地道であり、ひとつのプロセスのひとつのちいさな
地道な作業の中にこそ、プロとアマとの間には、雲泥の力量の差が発見できる
ものです。

その地道なちいさな基本過程を数万、数億と積み上げていく中で、最終的には、
大きな差が生じてくるのです。

■アマはテクニックに走り、プロは基本を磨く

どの世界にも上手なアマは沢山います。
音楽の世界で、ドラムで、難しい技を繰り広げるのはアマテュアです。
プロは、技ではなく、ひとつひとつの音の意味にこだわります。

わたしは、4ビートの基本的なスネアドラムの音を聞いただけで、プロかアマ
かわかります。
アマは技にこだわり、プロは基本を磨きます。
アマのドラマーのほとんどは、もっとも基本的な動作のひとつである「たいこ
から出てくる」音量が不足しています。
また、アマは、音量が安定していません。

「ドン」「パン」というひとつの音に本物の質感がこもっているのがプロです。

中日ドラゴンズの落合監督は、「プロに大切なものは、スタミナ」であると論
じ、選手に猛練習を課しています。
アマでは、基本的な体力が少々足りなくても、ごまかすことができます。
プロは、ダントツの体力がなければ、力を継続的に発揮することはできません。
今年のキャンプ時点での、日経新聞のスポーツ欄によれば、ノックによる守備
練習では、「飛びついたり、横っ飛びになったりするプレーをしても評価され
ず、判断よく打球に回り込むこと、捕球後にスローインがしやすい体勢をつく
ることが評価されている」とありました。
プロは、派手で気持ちのよいプレーではなく、地味であっても、将来の大きな
ミスを事前に防ぐプレーが評価されるのです。

投資の世界では、アマテュアが華麗なテクニックを駆使して、素早い動きで、
機動的な運用を見せます。
一方、プロの投資家には、華麗なテクニックなど、ありません。

基本に忠実に、製品の評価をして、数ヶ月間、長い場合では1−2年かけて、
ひとつの製品を評価します。
基本に忠実に、地道なプロセスを経て、さらに、株価が、買いの目標に下がる
まで、待ちます。
永遠に待つこともあります。(=買わないということ)
(購入して、何年間も保有することを目指すわけなので、華麗な投資技法など
ないのです)

■基本を会得するには長い年月がかかる

スポーツでは、頭では完全にわかっていたとしても、身体はイメージの通りに
反応してくれません。

数学の問題では、解答を見れば、理解できる事柄でも、自分で実際に問題を解
きはじめると、これでいいのかなと不安になったりします。

英単語を完璧に覚えていても、英会話では、十分に話すことができない場合も
あります。

野球小僧の話を07年2月13日(やる気シリーズの初回のコラム)に書きま
した。
彼は、今、左打ちに取り組んでいます。
彼の計画では、3年後に、右と同じ感覚で、左で打てるようにするのだそうで
す。
(毎日練習していても、3年はかかるというのです!)

足の力も左右で違えば、その違いをバッターボックスで調整しなければなりま
せん。
プロでない、アマ野球でも、強打者ともなれば、バットを振るその前段階の
「立つ姿勢」に風格が漂います。
しっかりと基本から鍛えられた「立ち方」となっています。

野球小僧の場合、左打ちを始めて、3ヶ月になります。
が、軸足に重心をかける段階で、まだ微妙にぎこちないのだそうです。

さて、バットスイングは、軸足から軸足でない足への重心の移動スピードで初
速が決まります。
軸足に体重をすべてのせてから、一気の変化で体重を前足に移動させるのです。
普段は利き足でない足を軸足にするため、ぶれたり、体重ののせ方が不十分に
なりがちです。
それが左打ちの難しいところなのです。

また、その重心移動を軸足以外の足(前足、左打者の場合は右足)で急にとめ
る「壁」つくることが、大切です。
重心の移動で生じた運動エネルギーは、壁で急にとめられることで、下半身で
浪費されず、腰や肩へ、つまり、上半身に無駄なく伝えられます。
自動車で急ブレーキを踏んだとき、前のめりになりますが、同様のことです。
自動車の運動エネルギーが、自動車がブレーキを踏んだことで、乗っている人
へと「無駄なく」受け継がれたため、前のめりになるからです。

ヒッティングでは、重心移動を急速にとめるための「壁」を足でつくります。
が、これが難しい。
アマの打者のほとんどは、「壁」が不十分です。
軸足から壁に高速で体重移動するときに、100メートルのスタートダッシュ
なみの移動がプロには求められます。
そのような極端な高速の体重移動を実現するには、普段からの体力強化や瞬発
力の開発と毎日の基本動作の繰り返しが必要になります。
(キャッチボールもバッティングも体重移動と身体の使い方は同じです)

そのような基本動作は、何年も必死に努力して、ようやく身につけることがで
きることなのです。
見かけ上では、大したことのない、単なるバッティングのステップをひとつと
っただけでも、血の滲むような努力が要求されるのです。

(※基本的な動作は、投資にも同様に求められます。財務諸表が独創的に読め
るようになるのに数年間はかかりますし、ひとつの業界を極めるのにも数年間
はかかります。)

■どんな複雑な動作も単純な基本動作に分解できる 

どんな複雑な動作も、作業も、仕事も、細かく分解すれば、基本動作に落とせ
ます。

リストやラフマニノフの難曲であっても、ひとつの小節だけに切り取り、ゆっ
くりと弾けば、再現可能になります。

それらの基本動作にのせるための、仕事の分解作業は、ある意味、単調です。
しかし、短いひとつの小節だけの練習であれば、3−5分の空き時間でいつで
も練習できます。
「細切れの時間を見つけては、基本動作を練習する」というのがプロなのです。
わたしの知り合いのプロのピアニストは、歩行者信号が赤の間の1分間に、楽
曲1小節を右手左手でイメージトレーニングをしていました。
また、新幹線で東京から京都に行く間に、初めての楽曲を頭で整理して、小節
ごとに「練習」していました。
京都につくころには、「ここにピアノがあれば、多分、もう弾ける」といって
おりました。

このように、
「人生のすべての空き時間をひとつのことに費やしてしまおう」
というのがプロなのです。

「どんな複雑な仕事であっても、単純な基本動作に分解できる」のがプロとア
マの違いです。
言い直せば、
「どんなに最終的な到達地点が遠くても、そこに至る必要なステップを順序良
く並べられるのがプロ」なのではないでしょうか。

■到達点はないが、基本がなければ出発さえできない

基本動作が100あれば、その100の動作から無限の応用力が生まれます。

基本を習得することなく、人生に成功はありません。
わたしの人生の理想は、向上心、上手くなりたいという熱意をもちつづけ、ひ
とつのことだけをやり続けることです。

もっとも得意なこと、自信のあることだけをやり、それがゆえに、いつも楽し
く、人生を謳歌する、というのが、理想です。

単調な繰り返しにすぎない基本の反復練習を、なぜ、プロが重視し、なぜ、ア
マが重視しないのか、よく考えてみるとよいでしょう。

陶芸家が、つくっては壊し、つくっては壊す。
その作業をはたからみれば、素人にはわからない境地でしょう。
しかし、基本の重要性を知るプロからみれば、そのつくっては壊す「繰り返し」
こそが基本の反復として見えてくるものなのです。

基本の深さと大切さを理解して、単調な作業を真剣に精査し味わうのが、プロ。

スパン!という1つの音で聴衆を圧倒するドラマー。
足を振り下ろしたときに「ドン!」という地鳴りのする打者。
つくっては壊す陶芸家。
新幹線で音符をすべてさらう音楽家。

すべての時間を反復練習にささげたものたちの強さは、観る者を感動させます。
機転の速さや頭のよさで立ち回ることで、強くもなれないし、創造的にもなれ
ません。

プロは、いくら高く上がっても到達点というものがありません。
いや、「いつまでも到達できない」世界への憧れが、彼らを今も未知の境地へ
と駆り立てるのでしょう。
到達できない世界へ1ミリでも近づくことが、人生の幸せであり、そういう類
の幸せを、しばしば、実感できるのが、本物のプロフェッショナルではないの
でしょうか。

基本を積み上げたとしても、到達点はありません。
しかし、基本を積み上げなかったとしたら、どこにも出発できないのです。
基本ができなければ、袋小路の閉塞感に押しつぶされてしまうのです。

■P.S プロとアマにこだわりすぎでしょうか? 

なんの資源を持たない日本が世界有数の国力を謳歌できるのは、平均的な国民
の学力・知力に拠るところが大きいと思っています。

現状の日本は、知力・学力にやや衰えが見れるとはいえ、財力や資金力といっ
た「投資力」に必要な国家としての基礎体力は十分にあります。

「すべての職業はクリエイティブなものにできる」、
「すべての職業に、プロフェッショナルがいる」、という精神でこのコラムを
執筆しました。
わたしは、この国のすべての人がプロ意識を持てば、日本は世界のお手本とな
り、21世紀のユートビアとなると考えています。
プロ、プロ、プロとこだわることに、違和感があるかと思いますが、何卒、お
許しください。

わかりにくい例だったかもしれませんが、野球におけるバッティングの足のス
テップというひとつの単純な動作にさえ、驚くべきほどの労力と努力が注ぎ込
まれているということを、伝えたかったのです。

とはいえ、わが身を振り返れば、
基本を大事に…といわれても、なかなかできないのが、わたしのような凡人で
す。

早寝早起きを基本としようとしても、ついつい夜更かしをしてしまいます。
節制が重要であるとわかっていても、深酒をしてしまいます。
百害あって一利なしの喫煙。
運用の仕事でストレスが溜まると、コンビニに深夜かけこんで、公園で一人、
打ちひしがれて・・・スパスパスパなんてやっています。
そしてその次の日、買ったばかりのたばこのパックをもったいないと思いなが
ら、ゴミ箱に捨てたり。
腹八分目がよいことがわかっていても、ついつい満腹になるまで食べてしまい
ます。
相手のために諭すように教えなければならないことでも、怒りにまかせて人を
どなってしまったり・・・
言うが易く、ですね。

Enjoy Every Moment!
〜Slow Investment ゆっくり考え ゆったり投資 〜
山本 潤

■変わらぬメッセージ:長期の読者に感謝■

99年に始まった億の近道は、16000人程度の読者で成り立っています。
長期間購読を続けていただいた読者が多い、古い読者が多いことが特徴です。

このメルマガ(火曜日版)では、多くの株式投資メルマガにあるようなことは
行いません。
つまり以下のことはやりません。

●手っ取り早い情報(証券会社の格付けの変更など)
●何を買うべきか
●投資指南
●お勧め銘柄
●マーケットをどうみているか

わたしたちは「タダなのにすごいことが書いてある」メルマガを志向しません。
また、編集に時間をかけることもできません。

わたしたちが伝えたいことは、

●日本が欧米に並ぶ金融大国になるために日本人がもっと学ぶべきこと
●若い世代がワーキングプアにならないためにすべきこと
●株式市場は手っ取り早く儲けようとする投資家を貧乏にするという教え
●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらすという教え
などです。

いわば投資の実務家としての哲学や歴史観・人生観です。

わたしたちが目指すのは、「ファンダメンタル分析」宗教の普及です。

<著者紹介>

億の近道に2000年3月に執筆を開始。
およそ7年間 毎週執筆してきました。
継続は力です!
昨年、念願の独立を果たす。
日本株ロングショートのヘッジファンドマネージャー。

(職歴)
1990−1997年
 和光証券国際本部
(1990−1992年日本興業銀行外国為替部および国際資金部へ出向)
1997年−2005年
 米系投資顧問クレイ フィンレイ インク ポートフォーリオマネージャー。
2006年1月より独立起業。
 エイム インベストメントでファンドマネージャー。
(学歴)
コロンビア大学院 電気工学科 工学修士。
(六本木裏通りの人生大学 夜間部卒。専攻は夜間泥酔行動経済学)
(主な著書)
 「インベストメント―米系バイサイド・アナリストの投資哲学と投資技法」
(2001年イーフロンティア)
 「投資家から「自立する」投資家へ」(2003年パンローリング)
 「マンガ ファンダメンタルズ分析 入門の入門」(2004年パンローリ
 ング)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

◆コラム「連載 ファンダメンタルズ分析入門第4部(3)」

■■理論株価と伝統的投資指標(3) RIMモデルその2■■


◇◇◇理論株価算出に必要な要素

1.予想EPS 
2.予想配当D
3.資本コストr: 所与 r = rf + β(rm−rf)
 これらはすべて市場から与えられている
4.成長率g=配当成長率=自己資本成長率=EPS成長率)
  =ROE(1−D/EPS)
  =EPS/BPS (1−D/EPS)
  =(EPS−D)/BPS ……1)
  BPSは所与。EPS、Dともに予想が必要
   →EPSとDを予想すればgが求まる。

1と2は予想しなければならない。
しかし、3と4は所与で市場から与えられている。

復習

◇◇◇RIM による理論株価の具体例

P = BPS(ROE-g)/r-g
1)より
  = BPS(EPS/BPS-(EPS-D)/BPS)/[r-(EPS-D)/BSP]
  = D/[r-(EPS-D)/BPS] ……2)

ここで、EPS=E
    BPS=B
    とする。
2) = 
 P = DB/[Br-(E-D)]

理論株価 P= DB/[Br-(E - D)]

理論株価はEとDを予想すればこのように算出できる。


具体例:

r=0.1
E = 100
D = 20
B = 1000
であれば、RIMによる理論株価はいくらか?

Ans.
P = DB/[Br − (E−D)]
  =20・1000/[1000・0.1 − (100−20)]
  = 20,000/(100−80)
  = 20,000/20
  = 2,000

理論株価は2000円で
PER 20x
PBR 2x
Yield 1.0%
がターゲットとなる。


◇◇◇Eの変化が株価にもたらすもの
(アナリストにとって非常に重要なポイント!!!)

RIMモデル

P = DB/Br+D−E ……3)
ただし、 Br + D − E > 0

3)をEで偏微分

∂P/∂E = DB/[Br + D − E]^2 >0
よって収益Eが1円増えると株価は
DB/[Br + D − E]^2円上がることがわかる

具体例:

r=0.1
E = 100
D = 20
B = 1000
でEが1円増えるとPは何円上昇するか?

∂P/∂E = DB/[Br + D − E]^2
      = 20,000/20^2
      = 20,000/400
      = 50

EPS1円の上昇で株価は50円上がることがわかる。
EPS100円、株価2000円なら、1%のEPSの増加で2.5%の株価
の上昇が見込まれることになる。

収益の増加は株価の上昇をもたらす。理論を知っていればいくらぐらい上昇し
そうかということも算定できる。

◇◇◇配当政策について

RIMモデル
P = DB/Br+D−E ……3)
ただし、 Br + D − E > 0

3)をDで偏微分
 ∂P/∂D = D/[Br + D - E]×(1-D/[Br+ D -E])
右辺の第1項は正。
よって、右辺第2項が正のとき、1円増配はD/[Br + D - E]×(1-D/[Br+ D -E])
円の株価上昇をもたらす。

増配によって株価が上昇する条件とは、
右辺第2項 =(1-D/[Br+ D -E])>0

不等式をとくと
Br > E
となる。

つまり、資本コストを事業収益が下回るとき、低収益事業を営んでいる企業は、
1円増配によって株主価値を D/[Br + D - E]×(1-D/[Br+ D -E])円高める
ことができる。

逆に、E>Brのとき、右辺第2項が負となり右辺全体が負となる。
∂P/∂D<0なので、増配で株価が下落することを意味。
つまり、事業収益が資本コストを上回っているとき、高収益企業の場合は、増
配は株価の下落を招く。



r=0.1
E = 100
D = 20
B = 1000
でDが1円増えるとPは何円上昇(または下落)するか?

∂P/∂D = D/[Br + D − E]×(1−D/[Br+ D −E])
      = 20/20(1−20/20)
      = 0
つまり、この企業は増配も減配も株価には中立である。
Br  = E  のとき、つまり、資本コストと収益が見合っているとき、
増配は株価に中立である。

★配当モデル

 P=D/r−g ……4)
4)に
g=ROE(1−D/EPS)
 =E/B(1−D/E)
 =(E−D)/B
を代入すると

P = DB/[Br−(E−D)]

となる。

RIMもDモデルも実は同一!

★実用上のテクニック

一時的にg>rとなっている企業

解決策1)
 将来 g<rとなる期間tを特定(たとえば11年後)。
 A:t年間のRIを個別に割り引き総和をとる。
 B:から公式を使いexp(−rt)で割り引く。
 C:AとBとをあわせたものが理論株価となる。
(=2期間モデル、3期間モデル)

解決策2)
 仮にadjD=Eとし、g=0を擬似的に作成する。
 P = adjD/r
   = E/r
とする。

解決策3)
 将来の平準的なROEを策定し g<rとなることが確認できればその平準
的なROEからgを求める。


◇◇◇ROEから配当成長率が求まる

◆結論

定常的なROEを定めると、
将来のEPS、
配当、
そしてBPSが予想できます。
また、配当とEPSとBPSの成長率はすべて同じとなります。

◆前提

現状のEPSをEPS(0)とします。
1年後のEPSをEPS(1)とします。
同様に、
n年後のEPSをEPS(n)とします。

n年後の配当をD(n)とします。
n年後のBPSをBPS(n)とします。
定常的なROEをROEと表記します。


◆算出過程

n+1年後のEPSは、以下のようにn年後のEPSから算出できます。

まず、
(1)EPS=BPS×ROE
   これは定義です。
   BPSにROEを乗じたものがEPSです。
(2)EPS(n+1)=BPS(n+1)ROE
   これも定義です。
   n+1年後のEPSは
   n+1年後のBPSにROEを乗じたものと仮定します。


期間利益のうち、内部留保された分が、BPSの増加額になるため、
(3)BPS(n+1)=BPS(n)+EPS(n)−D(n)
※配当以外の外部流出をゼロと仮定します。

(4)BPS(n+1)=
   BPS(n)+BPS(n)ROE(1−D(n)/EPS(n))
(5)BPS(n+1)=
   BPS(n)(1+ROE(1−D(n)/EPS(n))
ところが、ROE(1−D(n)/EPS(n))は、ROEに内部留保率を
かけたもので配当成長率gです。

(6)g=ROE(1−D(n)/EPS(n))

したがって、
(7)BPS(n+1)=(1+g)BPS(n)

配当の成長率gは、BPSの成長率です。
今年のBPSは前年のBPSから求めます。
来年のBPSは今年のBPSから求めます。
従って、n年後のBPSは前年のBPSから求められることになります。

(8)EPS(n+1)=BPS(n+1)ROEより、

(7)式を参考に、

(9)EPS(n+1)=(1+g)BPS(n)ROE

したがって、
(10)EPS(n+1)=(1+g)EPS(n)

つまり、n+1年後のEPSはn年後のEPSに配当成長率1+gを乗じたも
のです。


(11)D(n+1)=EPS(n+1)D(n)/EPS(n)
尚、D/EPSは配当性向。

(12)D(n+1)=(1+g)EPS(n)D(n)/EPS(n)

(13)D(n+1)=(1+g)D(n)

当然のことながら、配当成長率はgです。
n+1年後の配当は、n年後の配当に(1+g)を乗じたものです。

◆再び結論

配当の成長率=BPSの成長率=EPSの成長率=g
となる。

◆t年後のEPS

連続複利ベースでは、t年後のEPSは現状のEPSをEPS(0)として、

(14) EPS(t)=EPS(0)exp(tG)
(15) BPS(t)=BPS(0)exp(tG)
(16) D(n)=D(0)exp(tG)
となります。
※G=LN(1+g)

◆実際のフロー

BPS(n)にROEを乗じて、EPS(n)が求まる。
EPS(n)に配当性向を乗じてD(n)が求まる。
EPS(n)とD(n)が求まれば、BPS(n+1)が求まる。

BPS(n+1)にROEを乗じて、EPS(n+1)が求まる。
同様にして、EPS(n+1)とD(n+1)が求まる。

Enjoy Every Moment! 山本 潤

(この連載は2005年12月時点で執筆されたものです。情報提供を目的に
 しており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任
 と判断で願います。)

===================================

◆コラム「連載 目指せ!テクノロジーインベスター(7)」

(7)携帯電話のソフトウェア(1)

 テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思う
のですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。

そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやす
く技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。

では、今回は、ソフトウェアについて簡単に説明していきましょう。

いきなり、感覚的に言ってしまえば、携帯電話の個々の部品をどうやって動か
すのかが、ソフトウェアです。

と言っても・・・。中々イメージするのが難しいと思いますので、わかりやす
く人の動作でソフトウェアを説明してみましょう。

朝食後、お茶を飲んでから歯磨きをする動作をまずは、考えてみましょう。

「歯磨きをしようと時計をみたら時間があるので、お茶を飲みました。それか
ら、洗面所に行って、歯を磨こうと思って鏡をみたら、ちょっと暗いので、電
気をつけて、歯を磨いた」

それを、箇条書きで考えてみると。

1、歯磨きをしようと思う。
2、時間があるのでお茶を飲む。
3、洗面所に向かう。
4、ちょっと暗いので電気をつける。
5、歯を磨く。

とこんな具合でしょうか。

細かいことを言うヤツだなと思うかもしれません。その通りです。この様に、
細かいことを規定してあげて、確実に歯を磨けるように導いてあげるのがソフ
トウェアなのです。

これから、ソフトウェアについての重要なことをお話します。

つまり・・・。
ソフトウェアは、『脳の働きそのものを真似ている』のです。

では、歯磨きの動作を、順を追って説明していきましょう。今、歯磨きをしよ
うと思って、まず歯磨きのプログラム(仮に歯磨きプログラムと呼びましょう)
を呼び出してくるというのがソフトウェアの最初の動きです。

そして、ふと時計に目をやると「まだ時間があるよ!」ということがわかりま
した。

これは、外から入ってくる情報です。目でみた時計からの情報によって、歯磨
きプログラムからお茶を飲むプログラムが呼び出されます(お茶飲みプログラ
ム)。

このお茶飲みプログラムによって、実際に、腕、口、手が使われ、お茶が口に
運ばれ、飲めるという具合です(2、時間があるのでお茶を飲む まで終了)。

ここまでを、まとめてみましょう。

一旦、呼び出された歯磨きプログラムは、目からの情報で、お茶飲みプログラ
ムを呼び出してきます。

ハイ。ストップ!

これから、ソフトウェアの代表的な動きについてのまとめをお話します。

何かをやっていて、新しいことを途中で割り込ませることを、ソフトウェアの
世界では、まさに『割り込み』といいます。ソフトウェアはこの割り込みを常
に行いながら、進んでいくのです。

長くなりましたので、今回はこの辺で終わりにします。

彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

◆コラム「連載:ぬくぬくホッコリ株日記 定年後は株で楽しく暮らしたい」

■第9回■

 いったん買った株を持ち続けるには、どのようにしたら良いのでしょうか。
投資家それぞれの性格によって違うと思います。自分がどのような性格なのか
を理解しないと、人の話を聞いても上手くいきません。

 私の場合、最初のころは投資したコストを全部回収しコストゼロにすれば、
その株を持ち続けることが出来るのではないかと考えました。一番簡単なやり
方が、2単位買って、株価が倍になったとき1単位売れば、残りの1単位の株
のコストはゼロになります。しかし途中から個別の株ごとに考えなくても、い
ま株式市場に投資している資金が、全て株の儲けの範囲であるならば、投資コ
ストはゼロと考えてよいと思うようになりました。長年株式投資を続けてきた
ので、今投資している株のコストは全てゼロになりました。

 しかし、全てがコストゼロの株でも年初に評価額が6000万円あった株資
産が、年末に4500万円に目減りしていれば、1500万円資産が減ってし
まったことに変わりありません。痛さはコストゼロであろうと無かろうと同じ
だということが良くわかります。

 最近持ち株を見て気がついたことがありました。去年、住宅ローンを残した
まま株式投資をするのは、自分の家計バランスシートの中で考えると、借入で
株式投資をしているのと同じだ。信用取引をしているようなものだと考えて、
住宅ローン返済の為に持ち株をうりました。住友金属鉱山と三菱商事だけ残し
て、他の株はほとんど売りました。なぜこの2銘柄だけを残したかというと、
持っているかものなかで一番値上がりする可能性が高いと信じ込んでいたから
です。思惑通り2007年に入ってから、この両銘柄が上がってくれたおかげ
で、運用成績はまずまずです。しかしこの2銘柄以外に単位株で残していたも
ので、自分の性格がとても良く分かりました。

 私がほとんどの株を売ったのに、残していた株は共立メンテナンス、パトラ
イト、ヒューテックノオリンという食べ物の優待がついてくる銘柄だけだった
のです^^;。いかに食い意地が張っているか良くわかります。

 業績はどの株も良い株です。もっと株価が上がっても不思議は無いと思いま
す。しかし実際には株価はなかなか上がりません。でも共立メンテナンスとヒ
ューテックノオリンについては過去において現在の株価より、かなり上がった
こともあるのです。その時けっこう売りました。でも優待の権利確保分として
優待の権利確保に必要な株数だけは残していたのです。

 そこで考えました。優待の権利を取るだけのためだけに株を買うのはバカら
しいけれど、成長のための投資や努力を続けており、その企業の業種などから
見ても、努力が報われて業績が大きく向上すると考えられる株で、さらに優待
があるものを買うのはどうだろうかと考えました。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

 「億の近道」のwebがリニューアルしました!
 バックナンバー閲覧を重点に置いた、ブログ風の作りになっております。
現在、2006年10月分までを掲載しておりますが、順次過去分を追加して
いく予定です。コメントなどはつけられませんが、まとめ読みなどに是非ご利
用下さい。
 http://okuchika.net/

===================================

 「億の近道」は特定非営利活動法人イノベーターズ・フォーラムの登録商標
です。この名称での有償のサービス等は行っておりません。紛らわしい名称の
サービスは弊社と一切関係ありませんのでご注意下さい。

===================================

■「山本潤氏のファンダメンタルズ分析日本株アナリスト養成講座DVD」
 発売!!■

「NPOイノベーターズ・フォーラム 公認日本株アナリスト 認定講座」
共催:エンジュク 協力:ダイヤモンド経営分析チーム

 2005年4月に行われた山本潤氏のセミナー映像に加え、ファンダメンタ
ルズ分析に必要な内容を新たに撮り下ろした映像を全て収録した4枚組DVD
です。

◆ファンダメンタルズ分析の決定版。
 いままで体系的に語られることの少なかった実践的なファンダメンタルズ
分析を網羅。最終的には個別株のレポートが作成出来るレベルを目的として
います。受講出来なかった方や反復学習したい方には最適な内容です。

◆充実したボリューム
 価格は48,000円とやや高額ですが、4月のセミナー(受講料38,0
00円)で使用した資料添付はもとより、全部でDVD4枚組、約450分の
充実した内容となっています。

詳細はエンジュクのホームページまで。
http://www.enjyuku.com/v_kabu_10.htm

===================================

■億近執筆陣の本 好評発売中!■

石川臨太郎
▲あなたにピッタリの投資手法がきっと見つかる投資実践ノート▲
パンローリング 1680円(税込)
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990346

▲潜在意識を活用した最強の投資術入門▲
パンローリング ISBN4-7759-9011 2800円+税 288ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990117

村田 雅志
▼景気予測から始める株式投資入門▼
パンローリング ISBN4-7759-9007 3300円+税 231ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990070

山本 潤
▲投資家から「自立する」投資家へ▲
パンローリング ISBN4-7759-9008 4800円+税 426ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990087

===================================

【炎氏よりPR】

〜決算発表ラッシュ!! この中で見つけた有望企業の投資ポイントを有料メ
 ルマガで解説〜

 主力銘柄がM&Aへの防衛策で比較的高水準の株価を維持する中で中小型、
新興市場銘柄の低迷が異常に続いています。既に時は5月半ばの3月決算発表
シーズンとなりあちこちで決算説明会が開かれ、企業経営陣、アナリスト諸氏、
市場関係者の皆さんの走り回る姿が目につきます。
 決算は企業にとっては通知簿のようなもの。実際に計画したより良かったの
か悪かったのかを踏まえ、新たな決算に向かっての施策などをお話願うタイミ
ングであります。アナリストはこの発表された内容をもとに企業価値を確認し
て投資家にレポートすることになります。
 かく言う私も小規模ながらこうしたアナリスト活動を続けています。決算発
表の中身を事前に想定したより良かったのか悪かったのか吟味し発表された内
容が理にかなったものかを吟味して、今の株価が割安かどうかを評価して皆さ
んにお伝えする作業が基本となります。このような活動を私は有料メルマガで
表現しております。
 需給悪で値下がりしている多くの企業の株価は、いずれまた反転上昇の機会
がやってくるに違いありません。需給面で企業価値より売られた場面が投資チ
ャンスにもなるでしょう。新たに株式投資をなさる方も新資金が入って当面の
運用を株式でとお考えの方も企業の内容を吟味するツールとして私の有料メル
マガをご活用願えれば幸いです。
 人生が山あり谷ありであるように株式投資の世界も山あり谷あり。季節ごと
に咲く花が違うように、株式市場に咲く花も異なっています。きれいな花や景
色を探して旅する松尾芭蕉が皆さんに歌を詠むように私の発見の旅のエッセン
スをご賞味いただければ幸いです。
 決算発表のさなかではありますが、既に有望企業の情報をメルマガで紹介し
ております。じっくりと見て頂きたいと思っておりますのでこの際ご購読をお
申し込み願えれば幸いです。
 今から今月末までに有料メルマガを新規に1年間お申し込み、ご入金頂いた
方には私の熱い思いを込めた以下の企業のレポートを見本として無料でお送り
します。
メディカルシステムネットワーク(4350)5月18日付
ワタベウェディング(4696)5月18日付
(炎)

有料メルマガの詳細は炎氏のサイトまで。
http://www.irisjapan.co.jp/join.htm

===================================

億近オフィシャルクラブ掲示板(無料)は、執筆陣を含めた様々な方がコミュ
ニケートしております。是非ご参加ください。MSNのサービスを利用してお
ります。
http://groups.msn.com/okuchika

===================================

当メルマガは以下のシステムを利用して発行しております。
 ◆まぐまぐ ID:0000020640
       購読解除:http://www.kaijo.com/
 ◆E-Magazine ID:okuchika
       購読解除:http://www.emaga.com/info/okuchika.html
 ◆melma!  ID:m00010868
       購読解除:http://www.melma.com/
 ◆メルマガ天国 ID:1127
       購読解除:http://melten.com/m/1127.html

編集者:億の近道発行プロジェクト
発行者:NPO法人イノベーターズ・フォーラム
 email:okuchika.mail@gmail.com
 http://okuchika.net/
このメールマガジンの無断転載・引用を禁じます。
==================================

投資の王道(その66)

■気になる会社 その5−11■

 私の投資手法は、

1、会社四季報掲載の約4000社を自分自身で分析し、経営基盤が安定しこれからの成長が見込まれる400社から500社程度に絞り込む。
2、さらに、その中から、割安圏にある会社を100社程度に絞込む。
3、最終的100社程度の中から投資を行うのは、ベストタイミングで購入するチャンスのあった10社から20社程度である。

というものです。
 今回も、前述の400〜500社の中から100社を中心とした興味深い企業について解説していきます。

<5310>東洋炭素
 等方性黒鉛の先駆的企業。世界シェア3割でトップ。主な事業は、1.電刷子、等方性黒鉛その他特殊炭素製品の製造、販売。2.炭素とセラミックス、金属および有機材料との複合材の製造、販売。3.電気化学反応によるガス発生装置の製造、販売。1941年、近藤カーボン工業所を創設 カーボンブラシの製造を開始。1947年、近藤カーボン工業株式会社を設立。1974年、大型等方向性高密度黒鉛の量産化工場を設立(大野原工場)。1987年、米国法人TTAを設立。1994年、中国上海に上海東洋炭素有限公司を設立。特殊黒鉛は、太陽電池用としても需要が急拡大。

<5334>日本特殊陶業
 プラグ・センサーで世界一の企業。1936年、日本特殊陶業株式会社として創立。1937年、NGKスパークプラグの製造を開始。1958年、セラミックバイト、チップ製造開始。銅軸入りワイドレンジプラグ発売、自動車業界の先駆となる。1959年、ブラジル特殊陶業(株)設立。(現ブラジル特殊陶業(有))1993年、韓国NTK工具(株)設立。海外売り上げ比率78%。自動車関連事業と、情報・通信関連事業が二本の柱。森村グループ。

<5345>日本セラテック
 太平洋セメントが62.9%の株式を保有する大株主。1987年設立。ファインセラミックのメーカー。製品の構成比は、エンジニアリングセラミックス(MMCを含む):半導体・液晶製造装置−約57%、洗浄再生・溶射−約10%、機械部品・耐磨耗部品−約7%、その他エンジニアリングセラミックス−約4%、エレクトロニクスセラミックス:圧電アクチュエータ−約13%、圧電トランス・圧電発音体 他−約9%。MMC(金属基複合材=金属とセラミックの合体)事業の拡大に注力。半導体・液晶製造装置用のセラミック系部品のすべてにわたって、一貫製造・販売する世界で唯一のメーカー。

<5367>ニッカトー
 工業用セラミックスのメーカー。計測機や電気炉などエンジニアリングを併営。明治43年、化学陶器国産化のための研究を開始。1913年創業(西村化学陶業試験場を大阪市浪速区芦原町1197番地に創設)。工業用セラミックスの製造、販売、・理化学用陶磁器の製造、販売、・計測制御機器およびシステムの製作、販売、各種電気炉の製作、販売を行う。おおよそセラミック部門の売り上げが7割、エンジニアリング部門(1991年合併した級西村工業の一部門を引き継いだ)の売り上げが3割。

(OH)

(以下、次週に続く)

*ブログ「大原浩の金融・経済地動説

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

企業と投資家の関係

 資本市場の根幹をなす株式市場。そこでは発行体である企業とそこに投資してリターンを得ようとする投資家がいて日々葛藤を続けています。企業は株式会社として株式を発行し資金を得て、その資金を基に事業を継続しています。その成果を決算と言う形で表して投資家に評価してもらいながら株価形成の参考にしてもらっています。
 企業は通常は調達した資金を目に見える資産にしたり、他社に真似のできないような目に見えない資産(ブランド価値向上、技術力向上、信頼性の向上、優れたビジネスモデルなど)にしながら運営し、収入を得てコストを差し引いた利益を得ることによってその中から配当金という形で投資家に利益を還元します。
 投資家はその利益が過去はどうだったか、将来はどうなのかを自ら分析して評価をします(これをファンダメンタルズに基づく投資と言います)。
 また、単に株価の変動パターンを読み取って投資の参考にしたりもします(同様にテクニカルに基づく投資と言います)。

 こうして株価は企業の業績に対して投資家が応える形で形成されますが、一方で現実の需給要因が株価にインパクトをもたらすこともあります。つまりいくら将来成長しそうな良い企業が見つかっても市場に集まっています投資家にまとまった安定的な資金がなくては、株価はきちんとした価格形成が出来ません。
 通常は余剰資金がある個人から企業に向かっておカネの流れは形成されますが、投資家の余裕がなくなり、リスク(通常は値下がり)を回避したいと考えるようになりますと、株式市場は上昇から下落傾向に入ってきます。

 過去の株式相場は個人投資家の積極的な買いと外国人投資家の買いが相場をリードしてきましたが、個人にとっては特に企業がどう利益を上げようが要はキャピタルゲインが主目的だったかと思われます(最近は業績に関心が高まっていますが・・・)。多くの投資家は企業の業績が良くなることより、株価そのものの動向に関心を寄せていますので株価が下落傾向に入ると振れやすくなる傾向にあります。その企業に関心を持っている投資家もどこまで株価が下落するか見極めてから投資しようとするか、持っている株を取り敢えず売却して下げ止まり傾向になるのを待つスタンスの投資家が多いのだろうと思われます。

 これまで業績が良かった企業も一寸でも想定以下の業績が発表されると極端に下落します。バリュエーションは無視でとにかく売っておこうという行動に出ます。こうした短期的な動きに惑わされず、安定した保有を続ける大株主は企業にとっては有難い存在ですが、株式市場に参画しています投資家の多くはキャピタルゲイン狙いの個人投資家です。彼らは短期売買が主ですからあきらめも早く株価へのインパクトも大きいのです。
 また年金など長期投資家も参画していますが、海外投資家も含めて事業構造の変化には敏感です。思った通りの事業展開ができていないと感じられると思い切って売却してきます。

 企業はこうした安定的な投資家を求めてIRに努めます。事業発展の実務にとってIRは重要なポジションにあることは否定できません。資金をどう使ってどのように企業を発展させていくかを個人投資家も含めたファンドマネジャーに伝達することで株価は長期的に安定すると考えられます。ですからファンダメンタルズで優良な企業の株価は長期マネーが入ってきて短期的に業績が悪化したとしても自然に下げ止まってくることが多いのだと考えられます。

 投資家にはまた別の面があって業績が悪化しそうな企業の株価を空売りして値下がりした時に買い戻す手法、つまりヘッジファンドの手法で利益を得ようとする方々もいます。
 業績はあるサイクルで動きますのでこうした手法は理にかなっていると言えます。

 企業活動の成果が決算発表となって新聞やインターネットで伝えられますが企業活動は市民生活を豊かにして私たちの暮らしに不可欠なインフラとなっています。投資家は企業活動を株価形成で支えていく重要な役割も担っているのですが、保有するスタンスだけではなく業績の変動を利用する投資家もいることを肝に銘じておく必要があります。

 多くの投資家はある程度の企業情報が様々なツールやメディアから入手できるようになってきましたので情報格差は縮小してきてはいます。ただ、善良な市民投資家と機関投資家やヘッジファンドなどの投資家には資本力において大きな情報格差が存在しています。
 二極化傾向にある株式市場の発展を支える幅広い投資家がもっと入って来れるような企業情報提供のためのネットワークを構築できるお手伝いが多少でも私にできるなら幸いです。
(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2007/05/28


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
投資情報メールマガジン                   2007/05/28
             イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週4回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析や銘柄を参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

===================================

             −本日の目次−
   (本日の担当:炎のファンドマネージャー&投資野おーちゃん)

  ◆コラム「企業と投資家の関係」:炎
  ◆コラム「投資の王道(その66)」:投資野おーちゃん

===================================

◆コラム「企業と投資家の関係」

 資本市場の根幹をなす株式市場。そこでは発行体である企業とそこに投資し
てリターンを得ようとする投資家がいて日々葛藤を続けています。企業は株式
会社として株式を発行し資金を得て、その資金を基に事業を継続しています。
その成果を決算と言う形で表して投資家に評価してもらいながら株価形成の参
考にしてもらっています。
 企業は通常は調達した資金を目に見える資産にしたり、他社に真似のできな
いような目に見えない資産(ブランド価値向上、技術力向上、信頼性の向上、
優れたビジネスモデルなど)にしながら運営し、収入を得てコストを差し引い
た利益を得ることによってその中から配当金という形で投資家に利益を還元し
ます。
 投資家はその利益が過去はどうだったか、将来はどうなのかを自ら分析して
評価をします(これをファンダメンタルズに基づく投資と言います)。
 また、単に株価の変動パターンを読み取って投資の参考にしたりもします
(同様にテクニカルに基づく投資と言います)。

 こうして株価は企業の業績に対して投資家が応える形で形成されますが、一
方で現実の需給要因が株価にインパクトをもたらすこともあります。つまりい
くら将来成長しそうな良い企業が見つかっても市場に集まっています投資家に
まとまった安定的な資金がなくては、株価はきちんとした価格形成が出来ませ
ん。
 通常は余剰資金がある個人から企業に向かっておカネの流れは形成されます
が、投資家の余裕がなくなり、リスク(通常は値下がり)を回避したいと考え
るようになりますと、株式市場は上昇から下落傾向に入ってきます。

 過去の株式相場は個人投資家の積極的な買いと外国人投資家の買いが相場を
リードしてきましたが、個人にとっては特に企業がどう利益を上げようが要は
キャピタルゲインが主目的だったかと思われます(最近は業績に関心が高まっ
ていますが・・・)。多くの投資家は企業の業績が良くなることより、株価そ
のものの動向に関心を寄せていますので株価が下落傾向に入ると振れやすくな
る傾向にあります。その企業に関心を持っている投資家もどこまで株価が下落
するか見極めてから投資しようとするか、持っている株を取り敢えず売却して
下げ止まり傾向になるのを待つスタンスの投資家が多いのだろうと思われます。

 これまで業績が良かった企業も一寸でも想定以下の業績が発表されると極端
に下落します。バリュエーションは無視でとにかく売っておこうという行動に
出ます。こうした短期的な動きに惑わされず、安定した保有を続ける大株主は
企業にとっては有難い存在ですが、株式市場に参画しています投資家の多くは
キャピタルゲイン狙いの個人投資家です。彼らは短期売買が主ですからあきら
めも早く株価へのインパクトも大きいのです。
 また年金など長期投資家も参画していますが、海外投資家も含めて事業構造
の変化には敏感です。思った通りの事業展開ができていないと感じられると思
い切って売却してきます。

 企業はこうした安定的な投資家を求めてIRに努めます。事業発展の実務に
とってIRは重要なポジションにあることは否定できません。資金をどう使っ
てどのように企業を発展させていくかを個人投資家も含めたファンドマネジャ
ーに伝達することで株価は長期的に安定すると考えられます。ですからファン
ダメンタルズで優良な企業の株価は長期マネーが入ってきて短期的に業績が悪
化したとしても自然に下げ止まってくることが多いのだと考えられます。

 投資家にはまた別の面があって業績が悪化しそうな企業の株価を空売りして
値下がりした時に買い戻す手法、つまりヘッジファンドの手法で利益を得よう
とする方々もいます。
 業績はあるサイクルで動きますのでこうした手法は理にかなっていると言え
ます。

 企業活動の成果が決算発表となって新聞やインターネットで伝えられますが、
企業活動は市民生活を豊かにして私たちの暮らしに不可欠なインフラとなって
います。投資家は企業活動を株価形成で支えていく重要な役割も担っているの
ですが、保有するスタンスだけではなく業績の変動を利用する投資家もいるこ
とを肝に銘じておく必要があります。

 多くの投資家はある程度の企業情報が様々なツールやメディアから入手でき
るようになってきましたので情報格差は縮小してきてはいます。ただ、善良な
市民投資家と機関投資家やヘッジファンドなどの投資家には資本力において大
きな情報格差が存在しています。
 二極化傾向にある株式市場の発展を支える幅広い投資家がもっと入って来れ
るような企業情報提供のためのネットワークを構築できるお手伝いが多少でも
私にできるなら幸いです。
(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

◆コラム「投資の王道(その66)」

■気になる会社 その5−11■

 私の投資手法は、

1、会社四季報掲載の約4000社を自分自身で分析し、経営基盤が安定しこ
 れからの成長が見込まれる400社から500社程度に絞り込む。
2、さらに、その中から、割安圏にある会社を100社程度に絞込む。
3、最終的100社程度の中から投資を行うのは、ベストタイミングで購入す
 るチャンスのあった10社から20社程度である。

というものです。
 今回も、前述の400〜500社の中から100社を中心とした興味深い企
業について解説していきます。

<5310>東洋炭素
 等方性黒鉛の先駆的企業。世界シェア3割でトップ。主な事業は、1.電刷
子、等方性黒鉛その他特殊炭素製品の製造、販売。2.炭素とセラミックス、
金属および有機材料との複合材の製造、販売。3.電気化学反応によるガス発
生装置の製造、販売。1941年、近藤カーボン工業所を創設 カーボンブラ
シの製造を開始。1947年、近藤カーボン工業株式会社を設立。1974年、
大型等方向性高密度黒鉛の量産化工場を設立(大野原工場)。1987年、米
国法人TTAを設立。1994年、中国上海に上海東洋炭素有限公司を設立。
特殊黒鉛は、太陽電池用としても需要が急拡大。

<5334>日本特殊陶業
 プラグ・センサーで世界一の企業。1936年、日本特殊陶業株式会社とし
て創立。1937年、NGKスパークプラグの製造を開始。1958年、セラ
ミックバイト、チップ製造開始。銅軸入りワイドレンジプラグ発売、自動車業
界の先駆となる。1959年、ブラジル特殊陶業(株)設立。(現ブラジル特
殊陶業(有))1993年、韓国NTK工具(株)設立。海外売り上げ比率7
8%。自動車関連事業と、情報・通信関連事業が二本の柱。森村グループ。

<5345>日本セラテック
 太平洋セメントが62.9%の株式を保有する大株主。1987年設立。フ
ァインセラミックのメーカー。製品の構成比は、エンジニアリングセラミック
ス(MMCを含む):半導体・液晶製造装置−約57%、洗浄再生・溶射−約
10%、機械部品・耐磨耗部品−約7%、その他エンジニアリングセラミック
ス−約4%、エレクトロニクスセラミックス:圧電アクチュエータ−約13%、
圧電トランス・圧電発音体 他−約9%。MMC(金属基複合材=金属とセラ
ミックの合体)事業の拡大に注力。半導体・液晶製造装置用のセラミック系部
品のすべてにわたって、一貫製造・販売する世界で唯一のメーカー。

<5367>ニッカトー
 工業用セラミックスのメーカー。計測機や電気炉などエンジニアリングを併
営。明治43年、化学陶器国産化のための研究を開始。1913年創業(西村
化学陶業試験場を大阪市浪速区芦原町1197番地に創設)。工業用セラミッ
クスの製造、販売、・理化学用陶磁器の製造、販売、・計測制御機器およびシ
ステムの製作、販売、各種電気炉の製作、販売を行う。おおよそセラミック部
門の売り上げが7割、エンジニアリング部門(1991年合併した級西村工業
の一部門を引き継いだ)の売り上げが3割。

(OH)

(以下、次週に続く)

*ブログ「大原浩の金融・経済地動説」http://www.actiblog.com/ohara/

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

【炎氏よりPR】

〜決算発表ラッシュ!! この中で見つけた有望企業の投資ポイントを有料メ
 ルマガで解説〜

 主力銘柄がM&Aへの防衛策で比較的高水準の株価を維持する中で中小型、
新興市場銘柄の低迷が異常に続いています。既に時は5月半ばの3月決算発表
シーズンとなりあちこちで決算説明会が開かれ、企業経営陣、アナリスト諸氏、
市場関係者の皆さんの走り回る姿が目につきます。
 決算は企業にとっては通知簿のようなもの。実際に計画したより良かったの
か悪かったのかを踏まえ、新たな決算に向かっての施策などをお話願うタイミ
ングであります。アナリストはこの発表された内容をもとに企業価値を確認し
て投資家にレポートすることになります。
 かく言う私も小規模ながらこうしたアナリスト活動を続けています。決算発
表の中身を事前に想定したより良かったのか悪かったのか吟味し発表された内
容が理にかなったものかを吟味して、今の株価が割安かどうかを評価して皆さ
んにお伝えする作業が基本となります。このような活動を私は有料メルマガで
表現しております。
 需給悪で値下がりしている多くの企業の株価は、いずれまた反転上昇の機会
がやってくるに違いありません。需給面で企業価値より売られた場面が投資チ
ャンスにもなるでしょう。新たに株式投資をなさる方も新資金が入って当面の
運用を株式でとお考えの方も企業の内容を吟味するツールとして私の有料メル
マガをご活用願えれば幸いです。
 人生が山あり谷ありであるように株式投資の世界も山あり谷あり。季節ごと
に咲く花が違うように、株式市場に咲く花も異なっています。きれいな花や景
色を探して旅する松尾芭蕉が皆さんに歌を詠むように私の発見の旅のエッセン
スをご賞味いただければ幸いです。
 決算発表のさなかではありますが、既に有望企業の情報をメルマガで紹介し
ております。じっくりと見て頂きたいと思っておりますのでこの際ご購読をお
申し込み願えれば幸いです。
 今から今月末までに有料メルマガを新規に1年間お申し込み、ご入金頂いた
方には私の熱い思いを込めた以下の企業のレポートを見本として無料でお送り
します。
メディカルシステムネットワーク(4350)5月18日付
ワタベウェディング(4696)5月18日付
(炎)

有料メルマガの詳細は炎氏のサイトまで。
http://www.irisjapan.co.jp/join.htm

===================================

 「億の近道」のwebがリニューアルしました!
 バックナンバー閲覧を重点に置いた、ブログ風の作りになっております。
現在、2006年10月分まで掲載しておりますが、順次過去分を追加してい
く予定です。コメントなどはつけられませんが、まとめ読みなどに是非ご利用
下さい。
 http://okuchika.net/

===================================

 「億の近道」は特定非営利活動法人イノベーターズ・フォーラムの登録商標
です。この名称での有償のサービス等は行っておりません。紛らわしい名称の
サービスは弊社と一切関係ありませんのでご注意下さい。

===================================

■「山本潤氏のファンダメンタルズ分析日本株アナリスト養成講座DVD」
 発売!!■

「NPOイノベーターズ・フォーラム 公認日本株アナリスト 認定講座」
共催:エンジュク 協力:ダイヤモンド経営分析チーム

 2005年4月に行われた山本潤氏のセミナー映像に加え、ファンダメンタ
ルズ分析に必要な内容を新たに撮り下ろした映像を全て収録した4枚組DVD
です。

◆ファンダメンタルズ分析の決定版。
 いままで体系的に語られることの少なかった実践的なファンダメンタルズ
分析を網羅。最終的には個別株のレポートが作成出来るレベルを目的として
います。受講出来なかった方や反復学習したい方には最適な内容です。

◆充実したボリューム
 価格は48,000円とやや高額ですが、4月のセミナー(受講料38,0
00円)で使用した資料添付はもとより、全部でDVD4枚組、約450分の
充実した内容となっています。

詳細はエンジュクのホームページまで。
http://www.enjyuku.com/v_kabu_10.htm

===================================

■「個人投資家のための景気観養成セミナーDVD」発売中!■
 2003年11月に行われた村田雅志氏の景気観養成セミナーを全て収録し
た2枚組DVDです。

◆受講したいけど行けなかった…という方には最適
 当日行われたセミナーの全てを漏らさず収録。もちろん、セミナー当日配布
された資料も収録しております。これで開催地に縛られることなく、自分のペ
ースで学習することが可能です。

◆マスターへの早道は反復
 頭で理解しているつもりでも、いざ実践してみると様々な疑問点が新たに湧
いてくるもの。DVDで何度も復習することにより、マスターへの早道となり
ます。今回のセミナーをより自分のものにするためのツールとしてお役立て下
さい。

詳細はイノベーターズ・フォーラムのホームページまで。
http://www.iforum.jp/dvd.htm

===================================

■億近執筆陣の本 好評発売中!■

石川臨太郎
新!!▲あなたにピッタリの投資手法がきっと見つかる投資実践ノート▲
パンローリング 1680円(税込)
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?c=2596&c=9784775990346

▲潜在意識を活用した最強の投資術入門▲
パンローリング ISBN4-7759-9011 2800円+税 288ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990117

村田 雅志
▼景気予測から始める株式投資入門▼
パンローリング ISBN4-7759-9007 3300円+税 231ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990070

山本 潤
▲投資家から「自立する」投資家へ▲
パンローリング ISBN4-7759-9008 4800円+税 426ページ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9784775990087

===================================

億近オフィシャルクラブ掲示板(無料)は、執筆陣を含めた様々な方がコミュ
ニケートしております。是非ご参加ください。MSNのサービスを利用してお
ります。
http://groups.msn.com/okuchika

===================================

当メルマガは以下のシステムを利用して発行しております。
 ◆まぐまぐ ID:0000020640
       購読解除:http://www.kaijo.com/
 ◆E-Magazine ID:okuchika
       購読解除:http://www.emaga.com/info/okuchika.html
 ◆melma!  ID:m00010868
       購読解除:http://www.melma.com/
 ◆メルマガ天国 ID:1127
       購読解除:http://melten.com/m/1127.html

編集者:億の近道発行プロジェクト
発行者:NPO法人イノベーターズ・フォーラム
 email:okuchika.mail@gmail.com
 http://www.iforum.jp/
このメールマガジンの無断転載・引用を禁じます。
==================================

calendar
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2007 >>
selected entries
mag2year2016_0000020640_asset-stock_200x200.png mag2year2016_0000020640_asset-stock_200x200.png
twitter
twetter
okuchika
購読無料! 億の近道メルマガ申込はこちらから!
億近申込バナー
まだ登録していない方はこちらからどうぞ!週5回無料で届きます。
億近執筆陣の本
億近本
億近執筆陣の書籍/DVDをご紹介。億の近道コラムのエッセンスをぜひ。
【石川臨太郎】人生最後の著書好評発売中!

「資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資〜余命宣告を受けた「バリュー投資家」の人生最後の教え〜」
生涯投資家であり続けた故石川臨太郎氏の、投資人生の集大成とも言える最後の書籍が、好評発売中です。石川臨太郎 著、パンローリング刊 2,800円+税
石川臨太郎有料メルマガの特別研究版!
元火曜日執筆者、故石川臨太郎氏の"研究"メルマガ全12回分をイッキ読み出来ます。 著名エコノミスト村田雅志氏による分かりやすい分析が好評です。 詳細は以下のページを参照下さい。
 
categories
archives
recent comment
  • 情熱投資家、相川伸夫が語る注目銘柄 東北特殊鋼(5484)
    内燃機関関係 (01/20)
  • 1981年2月2日 愛知県立春日井高校:コーヒー牛乳の青春。(天国の幸宏へ捧げる)part 2
    ■ (08/19)
  • 1981年2月2日 愛知県立春日井高校:コーヒー牛乳の青春。(天国の幸宏へ捧げる)part 2
    内藤朝雄 (10/12)
  • 情熱投資家、相川伸夫が語る注目銘柄 特殊電極(3437)
    reformer21 (06/15)
  • 公立中学校という選択:区立から難関大学へ その6
    m (05/01)
  • 公立中学校という選択:区立から難関大学へ
    m (03/30)
  • アンジェスMG(4563)の相場シナリオ
    暇潰亭 (10/01)
  • 日本でトップクラスの低PER銘柄
    kkk (02/19)
  • 粘り強くつきあっていれば億の資産ができる
    億の近道 (12/04)
  • 粘り強くつきあっていれば億の資産ができる
    せーねん (12/04)
links
mag2year2016_0000020640_asset-stock_240x65.png メルマガ大賞2008ノミネートバナー
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM