グローバル投資のポイント(45)

■株式投資家にとって注意が必要な来年度の税制改正■

 株式市場では、来年度の税制改正による減価償却制度の変更が密かに話題となっています。

 減価償却とは、企業が取得する設備や建物といった固定資産の取得費用を一括計上せず、使用する期間(耐用年数)に応じて複数年にわたって計上する制度のことです。これまでの税法では、耐用年数を超えた場合でも、減価償却は取得価格の95%までしか認められておらず、残り5%は企業のバランスシートに残されたままでした。しかし来年度の税制改正で、すでに95%まで減価償却が進んでいる資産についても残り5%は費用として償却することが可能となります。このため、償却期間の終わった設備を多く有する業界では、来年度に残り5%の減価償却を進め、課税所得を圧縮する(表面上の利益を少なくする)動きが強まるといわれています。

 日本経済新聞は、多額の設備を有する企業を例に、減価償却制度の変更によって来年度の減価償却が大きく増加し、その結果、営業利益が大きく減少する様子を報道しています。たとえば東京電力の場合、減価償却されずに残っている償却額が2000億円から2500億円程度あり、償却制度の変更により来年度の減価償却額は400億円から500億円程度増える(営業利益は同額減少する)と見込まれています。また、新日鉄やJFEでも、1400億円から1500億円程度の償却が残っており、来年度の減価償却額は300億円程度増える(営業利益は同額減少する)と予想されています。

 減価償却費は、企業会計上、費用の一部であり、増加すれば会計上の利益は減少します。しかし、減価償却費は、設備取得時の支払を取得後に計上したものであるため、たとえ減価償却費が増減しても現金支出(キャッシュフロー)に変化は生じません。このため来年度の税制改正による減価償却費の増加は、企業経営に悪影響はなく、むしろ課税所得を圧縮する(企業が支払う税金が減少する)効果があるため、企業にとってはプラスといえます。
 ただ、減価償却費の増加は、会計(見かけ)上とはいえ利益の減少につながるため、制度の本質を理解していない投資家などが、株式市場で売り圧力を高めるかもしれません。

 株価は1株あたり純利益と株価収益率(PER)の2つの要因に分解されます。機関投資家などプロの投資家の多くは、株価の割高感を判定する際に株価収益率の大小を検討します。たとえば、株価収益率が高ければ株価は割高、株価収益率が低ければ株価は割安、といった具合に考えます。

 ここで、1株3000円の企業があると仮定し、この企業の1株あたり純利益を50円とします。この場合、株価収益率は60倍(=3000円÷50円)となります。そして、税制改正の影響で減価償却費が増加し、1株当たり純利益が40円に減少したとします。すると、株価が一定であれば、株価収益率は60倍から75倍に上昇します。機械的に株価収益率のみをモニタリングしている投資家にとっては、この銘柄の割高感は突然高まることになります。

 各種報道をみる限り、制度変更による減価償却費の増加が営業利益に与える影響は、営業利益全体の5%程度の企業が多いようです。しかし、製紙や石油、電力など古くて大型の設備を有する企業の場合、減価償却費の増加額が営業利益全体の1割以上を占める場合もあるようです。日本企業の業績は、均してみれば来年度も底堅く推移する可能性が高いと思われますが、制度変更に伴う見かけ上の利益の減少には、やや注意が必要かもしれません。

村田雅志(むらた・まさし)
(GCIキャピタル・チーフエコノミスト)

<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月より現職。

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<主な著書>
景気予測から始める株式投資入門」(パンローリング)
絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」(すばる舎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
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億の近道2007/03/30

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投資情報メールマガジン                   2007/03/30
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             −本日の目次−
           (本日の担当:村田雅志)

    ◆コラム「グローバル投資のポイント(45)」:村田 雅志

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◆コラム「グローバル投資のポイント(45)」

■株式投資家にとって注意が必要な来年度の税制改正■

 株式市場では、来年度の税制改正による減価償却制度の変更が密かに話題と
なっています。

 減価償却とは、企業が取得する設備や建物といった固定資産の取得費用を一
括計上せず、使用する期間(耐用年数)に応じて複数年にわたって計上する制
度のことです。これまでの税法では、耐用年数を超えた場合でも、減価償却は
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トに残されたままでした。しかし来年度の税制改正で、すでに95%まで減価
償却が進んでいる資産についても残り5%は費用として償却することが可能と
なります。このため、償却期間の終わった設備を多く有する業界では、来年度
に残り5%の減価償却を進め、課税所得を圧縮する(表面上の利益を少なくす
る)動きが強まるといわれています。

 日本経済新聞は、多額の設備を有する企業を例に、減価償却制度の変更によ
って来年度の減価償却が大きく増加し、その結果、営業利益が大きく減少する
様子を報道しています。たとえば東京電力の場合、減価償却されずに残ってい
る償却額が2000億円から2500億円程度あり、償却制度の変更により来
年度の減価償却額は400億円から500億円程度増える(営業利益は同額減
少する)と見込まれています。また、新日鉄やJFEでも、1400億円から
1500億円程度の償却が残っており、来年度の減価償却額は300億円程度
増える(営業利益は同額減少する)と予想されています。

 減価償却費は、企業会計上、費用の一部であり、増加すれば会計上の利益は
減少します。しかし、減価償却費は、設備取得時の支払を取得後に計上したも
のであるため、たとえ減価償却費が増減しても現金支出(キャッシュフロー)
に変化は生じません。このため来年度の税制改正による減価償却費の増加は、
企業経営に悪影響はなく、むしろ課税所得を圧縮する(企業が支払う税金が減
少する)効果があるため、企業にとってはプラスといえます。

 ただ、減価償却費の増加は、会計(見かけ)上とはいえ利益の減少につなが
るため、制度の本質を理解していない投資家などが、株式市場で売り圧力を高
めるかもしれません。

 株価は1株あたり純利益と株価収益率(PER)の2つの要因に分解されま
す。機関投資家などプロの投資家の多くは、株価の割高感を判定する際に株価
収益率の大小を検討します。たとえば、株価収益率が高ければ株価は割高、株
価収益率が低ければ株価は割安、といった具合に考えます。

 ここで、1株3000円の企業があると仮定し、この企業の1株あたり純利
益を50円とします。この場合、株価収益率は60倍(=3000円÷50円)
となります。そして、税制改正の影響で減価償却費が増加し、1株当たり純利
益が40円に減少したとします。すると、株価が一定であれば、株価収益率は
60倍から75倍に上昇します。機械的に株価収益率のみをモニタリングして
いる投資家にとっては、この銘柄の割高感は突然高まることになります。

 各種報道をみる限り、制度変更による減価償却費の増加が営業利益に与える
影響は、営業利益全体の5%程度の企業が多いようです。しかし、製紙や石油、
電力など古くて大型の設備を有する企業の場合、減価償却費の増加額が営業利
益全体の1割以上を占める場合もあるようです。日本企業の業績は、均してみ
れば来年度も底堅く推移する可能性が高いと思われますが、制度変更に伴う見
かけ上の利益の減少には、やや注意が必要かもしれません。

村田雅志(むらた・まさし)
(GCIキャピタル・チーフエコノミスト)

<筆者について>
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SI業界(2)

<日本最大のSIer(システム構築業者)、NTTデータ>

 前回SI業界は土建業に非常に近いという内容を述べた。そのため元請け→下請け→孫請けといった仕事(金)の流れが存在する。よって元請けの経営状態が悪いのに、下請けの業績が良くなるわけがない(こういった構造はどこの業界にもあるだろうが、土建、SIはもっとも顕著)。業界全体の景気動向を探るには、元請けに注目すべきである。

 業界の先行きを占うために、今回は日本最大のSIer、NTTデータ(9613)に業績動向について述べたい。

 前回、SI業界は全体的に好況であると述べた。07/3期第三四半期のNTTデータの決算はそれを裏付けるように好調である。

 営業利益638億円(対前年同期比2.2倍)、経常利益610億円(同1.3倍)となった。営業利益率は4.8%から9.2%へ、4.4ポイントの改善を示した。長らく低収益に甘んじてきたことが信じられないような躍進である。

 07/3期は05/3期から三ヵ年中期経営計画の最終年である。発表時点では誰もが不可能と思った売上高1兆円(05/3期は850億円)、営業利益750億円(800億に修正、05/3期392億円)の計画は完全に射程圏内に捕らえた。
 売上高は計画線上から若干の下振れ、営業利益については若干の上ぶれ(20億程度が妥当な見方か)での着地が想定される。

なぜここまで収益性が改善したのか?

 社内システム整備費用が減った事に加えて、委託料などの販菅費の削減が効いている。また減価償却費の減少が貢献した。

 こうした状況を受け、株価は右肩上がりを継続している。予想ベースのPER35倍程度の高バリュエーションが許容されるかは、今後の収益成長次第だろう。私はそれが可能と考えている。

 2007年1月22日発売の日経コンピュータによると、NTTデータは非公式に箱売り(PCまたはサーバー売り、システム構築時に一緒に売る)拡大の指示を子会社に対して出している、とある。以下、それを事実として話を進めたい。

 箱売りによる売上は、粗利が取れなく通常(システム構築に比べ)低採算である。このような低採算事業を拡大しようとするのだろか。おそらくは上述したように、中期経営計画に対し、売上は若干苦しく、利益は余裕がある現状を考えてのことだろう。
 利益については余裕があるので、箱売りで売上の帳尻を合わせにいっている状況と考えられる。
 投資家からみれば、利益が計画上ブレなら十分だが、経営者としては売上も達成しないと満足できないのだろう。

 このことが示す状況としては、今期の(大幅な改善を示した)利益率は、まだ箱売りによって低く見せられているという事実だろう。08/3期は売上さえ拡大すれば、利益率の向上を伴い収益はさらに拡大するだろう。
 受注高は06/3期は7236億円で終わったのに対し、07/3期は9000億円程度で着地しそうである。08/3期の売上拡大はほぼ間違い無いだろう。今期のように箱売りで売上を稼ぐ必要は無くなる。

 収益性の向上はさらに継続すると見てよい。

 売上高1兆円を超える規模でのPER35倍超は割高といえる水準かもしれない。しかし改善傾向が続く収益性がそれを支えるため、当面株価は堅調に推移することが想定される。

 終わりに、今回は業界全体の動向に触れるために、NTTデータについて述べた。これだけの大企業で来期予想PER35倍という高バリュエーションは投資先としての妙味があるとは正直微妙なところだろう。
 しかしこの業界で投資銘柄を探すには、NTTデータは避けて通れない。この企業を分析することは、他の有望企業を探す上で非常に重要だ。

 NTTデータを見たことで、2008/3期もSI業界は好調である確度が高いことが確認できた。次回からは、NTTデータの受注動向から08/3期に強い計画を出しそうな企業を探っていきたい。

(アナリスト修行僧)

<スローガン>
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−投資活動によって理想社会を実現する−

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2007/03/28

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      −本日の目次−(本日の担当:億近産業調査部)

   ◆コラム「SI業界(2)」:億近産業調査部 アナリスト修行僧

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◆コラム「SI業界(2)」

<日本最大のSIer(システム構築業者)、NTTデータ>

 前回SI業界は土建業に非常に近いという内容を述べた。そのため元請け→
下請け→孫請けといった仕事(金)の流れが存在する。
よって元請けの経営状態が悪いのに、下請けの業績が良くなるわけがない(こ
ういった構造はどこの業界にもあるだろうが、土建、SIはもっとも顕著)。
業界全体の景気動向を探るには、元請けに注目すべきである。

 業界の先行きを占うために、今回は日本最大のSIer、NTTデータ(9
613)に業績動向ついて述べたい。

 前回、SI業界は全体的に好況であると述べた。07/3期第三四半期のN
TTデータの決算はそれを裏付けるように好調である。

 営業利益638億円(対前年同期比2.2倍)、経常利益610億円(同1.
3倍)となった。営業利益率は4.8%から9.2%へ、4.4ポイントの改
善を示した。長らく低収益に甘んじてきたことが信じられないような躍進であ
る。

 07/3期は05/3期から三ヵ年中期経営計画の最終年である。発表時点
では誰もが不可能と思った売上高1兆円(05/3期は850億円)、営業利
益750億円(800億に修正、05/3期392億円)の計画は完全に射程
圏内に捕らえた。
 売上高は計画線上から若干の下振れ、営業利益については若干の上ぶれ(2
0億程度が妥当な見方か)での着地が想定される。

なぜここまで収益性が改善したのか?

 社内システム整備費用が減った事に加えて、委託料などの販菅費の削減が効
いている。また減価償却費の減少が貢献した。

 こうした状況を受け、株価は右肩上がりを継続している。予想ベースのPE
R35倍程度の高バリュエーションが許容されるかは、今後の収益成長次第だ
ろう。私はそれが可能と考えている。

 2007年1月22日発売の日経コンピュータによると、NTTデータは非
公式に箱売り(PCまたはサーバー売り、システム構築時に一緒に売る)拡大
の指示を子会社に対して出している、とある。以下、それを事実として話を進
めたい。

 箱売りによる売上は、粗利が取れなく通常(システム構築に比べ)低採算で
ある。このような低採算事業を拡大しようとするのだろか。おそらくは上述し
たように、中期経営計画に対し、売上は若干苦しく、利益は余裕がある現状を
考えてのことだろう。
 利益については余裕があるので、箱売りで売上の帳尻を合わせにいっている
状況と考えられる。
 投資家からみれば、利益が計画上ブレなら十分だが、経営者としては売上も
達成しないと満足できないのだろう。

 このことが示す状況としては、今期の(大幅な改善を示した)利益率は、ま
だ箱売りによって低く見せられているという事実だろう。08/3期は売上さ
え拡大すれば、利益率の向上を伴い収益はさらに拡大するだろう。
 受注高は06/3期は7236億円で終わったに対し、07/3期は900
0億円程度で着地しそうである。08/3期の売上拡大はほぼ間違い無いだろ
う。今期のように箱売りで売上を稼ぐ必要は無くなる。

 収益性の向上はさらに継続すると見てよい。

 売上高1兆円を超える規模でのPER35倍超は割高といえる水準かもしれ
ない。しかし改善傾向が続く収益性がそれを支えるため、当面株価は堅調に推
移することが想定される。

 終わりに、今回は業界全体の動向に触れるために、NTTデータについて述
べた。これだけの大企業で来期予想PER35倍という高バリュエーションは
投資先としての妙味があるとは正直微妙なところだろう。
 しかしこの業界で投資銘柄を探すには、NTTデータは避けて通れない。こ
の企業を分析することは、他の有望企業を探す上で非常に重要だ。

 NTTデータを見たことで、2008/3期もSI業界は好調である確度が
高いことが確認できた。次回からは、NTTデータの受注動向から08/3期
に強い計画を出しそうな企業を探っていきたい。

(アナリスト修行僧)

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 いままで体系的に語られることの少なかった実践的なファンダメンタルズ
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◆マスターへの早道は反復
 頭で理解しているつもりでも、いざ実践してみると様々な疑問点が新たに湧
いてくるもの。DVDで何度も復習することにより、マスターへの早道となり
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さい。

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編集者:億の近道発行プロジェクト
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株式投資で人生を変える(43)

 去年の株式市場では、ライブドア事件などがあり、市場が振り回されて、私もしっかりその影響を受けてしまいました。それに引き換え、今年になってからは2月28日に世界同時株安が来るまでは、知人の投資家が「サルでも儲かる相場になった」と話しているほど好調な状態が続いていました。ちょうどその数日後に世界同時株安が起こったわけで、相場って言うのは本当に、分からないものだと思います。

 私の場合は去年サラリーマンを卒業し、サラリーという安定収入が減ったので、株価下落時に一歩踏み込んでリスクを取る勇気が不足して8年ぶりくらいに、株式の資産を前年末より減らしてしまいました。他の運用などで必死に収益アップをはかりましたが、投資だけでは株価の資産減少分をカバーすることが出来ませんでした。

 そこで株式投資で運用している資金を減らし、住宅ローンを完済することにしました。10月ぐらいに、そのような方針を決めたので、株式から現金に資金シフトを行ないました。これで運用資金が従来の3分の2に減りました。しかし面白いもので、資金をキャッシュに換えるとき、本来ならば投資している銘柄数を減らさずにポートフォリオをあまり崩さずに資金を現金化すべきなのでしょう。しかし、どうしても住友金属鉱山と三菱商事からは資金を減らすことが出来ませんでした。その結果、私の株ポートフォリオの90%は住友金属鉱山と三菱商事となりました。あと残っていたのは食べ物の株主優待がある3
銘柄と、無償増資でもらった端株のみとなりました^^;。

 しかし、やっぱりツイていると思います。今年の1月中旬から住友金属鉱山と三菱商事の株が急速に上昇し、2月28日が来るまでに、去年の株式資産減少分を全て回復し、お釣りが出る状況となりました^^;

 2月28日の寄付き成行き売りで住友金属鉱山と三菱商事の株を、その日の最安値でほとんど売らされて、あわてて3分の2を高く買い戻すなんてことをしていました。そのときのアタフタぶりは、自分のブログで日々書いていました^^;。 http://plaza.rakuten.co.jp/lucky7lucky/

 おかげさまで、今年の利益は一日で30%程度減りましたが、去年資産が減った分はしっかり取り戻せており、たっぷり売却益も出したので、株の譲渡益税が10%のうちに税金を払うことが出きて、とても大きな節税が出来ました。(←悔しまぎれにいっているんですよ。分かってくださいね^^; でも節税効果になったことは確かです。なにしろ税率が倍の20%になることが決まっているわけですから)

 思えば株式投資をしたおかげで株の儲けでワンルームマンション10室と自宅を手に入れることが出来ました。ワンルームマンション7室は株の儲けで全額、現金で買いました。20年ほど前に新築ワンルームマンションをローンつきで買った分の、頭金も株の儲けで払ったし、月々の返済は家賃で払ったし、半分残っていたローンの残債も、サラリーマンをやめる前に、すべて株の儲けで返してしまいました。

 自宅についても、頭金は香港のファミリーマンションを売却した資金で賄いました。この香港のマンションの頭金(←購入額の3分の1)は全て株で儲けたお金でまかないました。家賃でローンを払い、運がいいことに前回の1ドル=79円になる超円高がスタートする前に処分して、たっぷりと税金を払わされた話は、本などで紹介したとおりです。その時、帰ってきたお金(株で払った頭金部分と税金を払ったあとの売却益)で自宅の頭金を払い、9年間の住宅ローンの支払を、すべて賄うことができました。

 要するに、株式投資の儲けで自宅とワンルームマンション10室を全部手にいれたことになりました。

 株式投資をして、その利益を一切使わずに再投資にまわしたおかげで、多くの資産を手に入れて、少し早い定年暮らしを始めることが出来ました。しかし、何もやることがないとボケちゃいますし、体もなまります。
 今回の世界同時株安は、定年後の株式投資に対する対応を見直して、再び自分のポートフォリオを分散型に切り替える、とても良いチャンスだったと感じます。投資銘柄6銘柄から30銘柄以上の一人投信状態になりました(爆笑)。短い間に投資銘柄をチェックして入れ替えるのに、本当に役に立ったのは日足チャートブックと会社四季報と会社情報です。機械的スクリーニングなんてものを使うよりもすばやく、的確な銘柄選択が出来たと思います。

 サラリーマンを卒業してから、まったく早起きが出来なくなりました。サラリーマン時代に早起きできていたのは、歳をとって、爺さんになったから朝早く目が覚めると考えていたのは間違いだったと気がつきました。どうも自分は責任感が強くて、遅刻をせずに会社につけるように、起きていたのだ。なんて自分って責任感の強い、まじめな男だったのだろうと、見直していました^^;

 でも今回、その評価もまったく勘違いだったことを思い知らされました。この株価下落の危機を乗り切るために張り切って株式投資に打ち込んでいると、自然に朝早く目が覚めてしまいます。まじめな勤勉な投資家に大変身です。精神的に張りができて、まじめに投資に取り組むと成果もちゃんとついてきました。やっぱり資金運用を自分の仕事に選んだからは、よりまじめに株式投資にも向き合おう。そんなことを思った次第です。(←厳しい奥さんからは、ノミの心臓だから神経が高ぶって、海外市場の状況が気になって眠っていられないだけだという、鋭い指摘を突きつけられておりますが・・・苦笑)

 来週からは4月、新年度です。そこで新しい「ぬくぬくホッコリ株日記(定年後は株で楽しく暮らしたい)」というお題で、今回の世界同時株安に銘柄分散をした方法や、運用方針などを中心に、私なりの楽しめる株式投資の方法をご紹介していこうと思います。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

技術を評価できる個人投資家の養成講座season3(49)

(49)ACアダプタ

 今回は、携帯電話の充電時に必ず必要なACアダプタに着目してみます。
 株式投資をする際に、そのモノがどのようなものか、大体つかんでおくことは、大変重要です。投資するもののイメージを、簡単に説明します。

 100Vの家庭用コンセントから携帯電話のバッテリが対応できる5V程度に電圧を下げる機能と交流から直流に電流を変換する機能を持っています。

わたしも、カバンに入れっぱなしなっていますが・・・。

携帯電話の小型化と一緒になって、ACアダプタも小型化が進み、持ち運びがあたりまえになっています。コンセントのプラグを折りたたむ様になってから小型化にいっそう拍車がかかりました。また、家のコンセントにつなげっぱなしだったりすることもあります。

これは、『安全性』という言葉がこの製品の重要なキーワードになってきます。

カバンの中に入れても簡単には壊れない耐久性や家庭用のコンセントにつなぎっぱなしでも、ある程度のホコリに耐えられなくていけないのです。

次に、株式投資をする際に、重要な市場規模を算出してみましょう。

携帯電話機一台に必ずついていますので、地味ですが台数は確実に携帯電話と同じに出荷されています。市場規模を考察してみましょう。単価を約300円とすると、月100万個で3億円、年36億円。

ただし、最近は、事業者内のACアダプタの共通化が進み、多少市場規模が細っていると考えると、月500万個で月15億円、年180億円の市場です。

次に、どのメーカが参入しているか市場プレイヤを見てみましょう。
ホシデン(6804)
ミツミ電機(6767)
松下電器(松下電池)

などがあげられるでしょう。
この業界も台湾メーカ、中国メーカが入り込んできていますが、日本メーカは海外生産を行いコスト競争に対応しているのが現状だと思います。電気的な構造は単純なため技術的には問題ないのですが、小型化薄型化のノウハウが重要になってきます。

一方、市場としては大きい海外市場ですが、ACアダプタの小型化のニーズは高くないため、日本メーカはコストが下げられず台湾メーカ、中国メーカと戦うのは難しいでしょう。

彼岸
技術のわかる個人投資家への道
Road to Investor with Technology Sense

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

ファンダメンタルズ分析入門第3部(12)

■■業績予想 取材その11■■

◇◇◇供給サイドの予想の基本は、個別企業の入念なヒヤリング

 供給サイドの企業を業界別に丹念にヒヤリングや分析を進めていくことで、業界の全体像をつかむことができるばかりか、業界がよい状態(需要>供給)なのか悪い状態(需要<供給)なのかが見えてくるはずです。

また、大企業の動向を調べていくと、たとえば、Aという大企業が大幅にある製品を増産する計画であることがわかれば、それにより恩恵を受ける中小型株が見えてきます。

大企業の投資計画から恩恵を受ける設備投資関連企業もあるでしょう。
業界の大手企業の設備投資動向をヒヤリングして業界の供給を予想することです。
(固定資産回転率やROIなどを参考にして設備投資からアウトプットの増加額を予想する)

:::ガイドライン:::

業界大手企業の設備投資動向や設備投資の計画をヒヤリングすることで供給サイドの予想を行う


◇◇◇需要と供給 バランスが崩れているときに投資をする

例:
半導体市場で、供給>需要のときは、長期的にはその対象製品である半導体のメーカ(エルピーダや東芝)の株価は低迷しているでしょう。

そして、需要>供給のときは、業績がよくなり、半導体メーカの株価も持ち直すはずです。
その後、設備投資が必要になり、今度は装置メーカに受注が入るようになります。

装置メーカも長期的には逆張り的に投資しなければなりません。
受注が入らないときは、需要<供給のときです。株価は低迷しているはずです。
受注が入るときは、需要>供給のときです。株価は持ち直しているはずです。


◇◇◇業界再編を狙う

(シェアの動向)
現状の把握:市場ごとにシェアの現状とライバルの現状とを把握。
競争力について:シェアが高い理由、低い理由などを推定する。
シェア拡大を志向する企業が多ければ利益の確保は難しくなる。
利益志向の会社がそろっている業界は利益が予想しやすい。

<<最重要項目>>
特に、ライバルの撤退や合併による競合社数の減少は投資家によってもっともよいサインである。
なぜならばシェアアップと競合条件の緩和が同時に達成できるからです。

(価格を予想する)
需要、供給、シェアについて見通しをガイドライン、数量の予想をつくります。
そして、価格動向を予想します。
需要>供給ならば、価格は上昇するでしょう。
供給>需要ならば価格は下落するでしょう。
また、価格はコスト削減によって意図的に下げることもできます。

:::ガイドライン:::

業界再編が見込まれるとき、価格競争の緩和とシェア上昇という2つの相反するメリットが得られる。ゴーンショック以降の鉄鋼業界や不良債権処理後の銀行業界はその代表例。


Enjoy Every Moment! 山本 潤

(この連載は2005年12月時点で執筆されたものです。情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

信用取引はやめよう その4

 2月28日の朝、ニュースでNYの400ドル安を知りました。
「やっときたか」という気構えで、株式市場に臨みました。
株価の調整時には、「まだまだこんなもんじゃない」と、気持ちに余裕をもつことが大切です。
いつも10%程度の調整(18000円であれば1800円ぐらいの下落)は見ておくべきです。

3月5日には、日経が500円を超える下落。
日経225は16000円台に突入しました。

その後、リバウンドで17000円台に戻りました。
このぐらいの調整やリバウンドなど、機関投資家にとっては、日常茶飯事で、特別な出来事ではありません。

■ 株価のちょっとした調整なんて、しょっちゅう起こる

今回も、年に数回の調整局面です。
下落局面で、「一流の経営者の株を買う」というのが、多くの機関投資家のスタンスです。

今回の下落で、いままで、十分に買えなかった一流の経営と、今後はつながりができるかもしれません。
そう考えると、ワクワクします。

ただし、市場の「ちょっとした下落」は、信用取引で株を買っている投資家にとっては、切迫した事態となります。
信用取引やデイトレで、余裕をもった投資はできません。

多くの機関投資家では、今回の「暴落」で、100ある資金のうち、10を日本株に振り向けていたとすれば、それを10.1とか、10.2ぐらいに高めようとするでしょう。
何事も「余裕」が大事です。

■ みんなが売らなければならないときに、買い向かう

株とは、みんなが売っているときに、買う余裕がなければ上手くいかないものです。
みんなが必死に売っているときに、買える余裕をもつ。
本当に安いと思えるものだけを買えばよいでしょう。

■ 今回の株価下落で損失を被らなかった人と被った人の差

自分のお話で恐縮ですが、今回の日経18000円の大台から16000円の大台への下落で、まったく損は出しませんでした。残念ながら、すぐにリバウンドが入ったため、図らずもリターンが出てしまったぐらいです。

PERが十分に低く、来期も大幅な増益となる企業群へ投資していることもあります。
最大の要因は、「余裕」をもっていたことです。
預けられたお金の半分も投資していませんでした。

「運用義務の放棄をしている」、「好ましくない」という見込み客からの意見が寄せられました。
しかし、18000円を超えるレベルでは、断固として、投資をしませんでした。
職業として、プラスリターンを上げるという目標があるからです。
株価の高いところで投資をしていては、目標達成が難しくなります。

株価が安くなるときを待っていたのです。
16000円台になって、ようやく買い増しました。
しかし、「もっともっと下がってほしい」というのが本音です。
できれば、日経がもう一度、10000円を割ってほしい。
そうすれば、今後数年間、仕事が本当に楽になるからです。
(残念ながら、そうなる確率は0%に近いのですが・・・)

とはいえ、16000円台であれば、がんばれば、掘り出し物が見つかる環境です。
18000円のときと比べれば、随分と仕事はしやすくなりました。
相場に感謝です。

■ 信用取引をやめよう

対して、余裕がない人はどうでしょうか。
為替の証拠金の取引では、
「松井証券に『あと何銭、円高にふれたら追証が発生するのか』という問い合わせが急増した」という主旨が日経新聞に3月7日に書かれていました。

また、同日の日経新聞には、ある機関投資家の幹部の話として「予想外の急落。ポートフォーリオを見直している」というコメントも日経新聞で見つけました。

辛らつですが、「こんな軽い株価下落が「予想外」なら、株はやらないほうがよい」というのが率直な感想です。

ヘッジファンド業界でも、たったの1週間で5%も損を出したファンドマネージャがゴロゴロいます。
信用取引をしていた個人投資家であれば、一週間で10%以上損失を出した人もいるでしょう。

(たった数日間で5%も損を出してしまうということは、年率換算で300%以上のマイナスの利回りです。1年間で複数回、破産してしまうぐらい運用が下手ということです
。)

現に、昨年の4−5月、10−11月、そして今回、「ちょっとした」株価下落は年間で3回生じました。

信用取引をしている人に資金を預けると、年間に複数回、大きく資産を毀損する可能性があるのです!!

絶対に、個人投資家は信用取引をしないでほしいというのが、わたしの変わらない主張です。
このコラムでは、必要であれば、何回も、何百回も同じ主張を違う角度から繰り返します。
今回のような、「ちょっとした調整」で、みなさまの大切な資産がたった一晩で毀損することがないよう、祈っています。

■ 信用取引をやめてほしい理由 − 億近コラムのバックナンバー

信用取引がどれだけ投資家にとって不利な取引かは過去のバックナンバーをご参照ください。

1月16日

1月30日

2月6日


Enjoy Every Moment!
〜Slow Investment ゆっくり考え ゆったり投資 〜
山本 潤

■ まとめ

●株式市場は手っ取り早く儲けようとする信用取引をする者を貧乏にする
●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらす

■変わらぬメッセージ:長期の読者に感謝■

99年に始まった億の近道は、16000人程度の読者で成り立っています。
長期間購読を続けていただいた読者が多い、古い読者が多いことが特徴です。

このメルマガ(火曜日版)では、多くの株式投資メルマガにあるようなことは行いません。
つまり以下のことはやりません。

●手っ取り早い情報(証券会社の格付けの変更など)
●何を買うべきか
●投資指南
●お勧め銘柄
●マーケットをどうみているか

わたしたちは「タダなのにすごいことが書いてある」メルマガを志向しません。
また、編集に時間をかけることもできません。

わたしたちが伝えたいことは、

●日本が欧米に並ぶ金融大国になるために日本人がもっと学ぶべきこと
●若い世代がワーキングプアにならないためにすべきこと
●株式市場は手っ取り早く儲けようとする投資家を貧乏にするという教え
●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらすという教え
などです。

いわば投資の実務家としての哲学や歴史観・人生観です。

わたしたちが目指すのは、「ファンダメンタル分析」宗教の普及です。

Enjoy Every Moment!
by 山本 潤 (やまもと じゅん)


<著者紹介>

億の近道に2000年3月に執筆を開始。
およそ7年間 毎週執筆してきました。
継続は力です!
昨年、念願の独立を果たす。
日本株ロングショートのヘッジファンドマネージャー。

(職歴)
1990−1997年
 和光証券国際本部
(1990−1992年日本興業銀行外国為替部および国際資金部へ出向)
1997年−2005年
 米系投資顧問クレイ フィンレイ インク ポートフォーリオマネージャー。
2006年1月より独立起業。
 エイム インベストメントでファンドマネージャー。
(学歴)
コロンビア大学院 電気工学科 工学修士。
(六本木裏通りの人生大学 夜間部卒。専攻は夜間泥酔行動経済学)
(主な著書)
 「インベストメント―米系バイサイド・アナリストの投資哲学と投資技法」
 (2001年イーフロンティア)
 「投資家から「自立する」投資家へ」(2003年パンローリング)
 「マンガ ファンダメンタルズ分析 入門の入門」
 (2004年パンローリング)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2007/03/27

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
投資情報メールマガジン                   2007/03/27
              イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週4回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析や銘柄を参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

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             −本日の目次−
      (本日の担当:山本潤&石川臨太郎&彼岸先生)

  ◆コラム「信用取引はやめよう その4」:山本潤
  ◆コラム「連載 ファンダメンタルズ分析入門第3部(12)」:山本潤
  ◆コラム「連載 技術のわかる個人投資家season3(49)」:彼岸
  ◆コラム「連載 株式投資で人生を変える(43)」:石川 臨太郎

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◆コラム「信用取引はやめよう その4」

 2月28日の朝、ニュースでNYの400ドル安を知りました。
「やっときたか」という気構えで、株式市場に臨みました。
株価の調整時には、「まだまだこんなもんじゃない」と、気持ちに余裕をもつ
ことが大切です。
いつも10%程度の調整(18000円であれば1800円ぐらいの下落)は
見ておくべきです。

3月5日には、日経が500円を超える下落。
日経225は16000円台に突入しました。

その後、リバウンドで17000円台に戻りました。
このぐらいの調整やリバウンドなど、機関投資家にとっては、日常茶飯事で、
特別な出来事ではありません。

■ 株価のちょっとした調整なんて、しょっちゅう起こる

今回も、年に数回の調整局面です。
下落局面で、「一流の経営者の株を買う」というのが、多くの機関投資家のス
タンスです。

今回の下落で、いままで、十分に買えなかった一流の経営と、今後はつながり
ができるかもしれません。
そう考えると、ワクワクします。

ただし、市場の「ちょっとした下落」は、信用取引で株を買っている投資家に
とっては、切迫した事態となります。
信用取引やデイトレで、余裕をもった投資はできません。

多くの機関投資家では、今回の「暴落」で、100ある資金のうち、10を日
本株に振り向けていたとすれば、それを10.1とか、10.2ぐらいに高め
ようとするでしょう。
何事も「余裕」が大事です。

■ みんなが売らなければならないときに、買い向かう

株とは、みんなが売っているときに、買う余裕がなければ上手くいかないもの
です。
みんなが必死に売っているときに、買える余裕をもつ。
本当に安いと思えるものだけを買えばよいでしょう。

■ 今回の株価下落で損失を被らなかった人と被った人の差

自分のお話で恐縮ですが、今回の日経18000円の大台から16000円の
大台への下落で、まったく損は出しませんでした。残念ながら、すぐにリバウ
ンドが入ったため、図らずもリターンが出てしまったぐらいです。

PERが十分に低く、来期も大幅な増益となる企業群へ投資していることもあ
ります。
最大の要因は、「余裕」をもっていたことです。
預けられたお金の半分も投資していませんでした。

「運用義務の放棄をしている」、「好ましくない」という見込み客からの意見
が寄せられました。
しかし、18000円を超えるレベルでは、断固として、投資をしませんでし
た。
職業として、プラスリターンを上げるという目標があるからです。
株価の高いところで投資をしていては、目標達成が難しくなります。

株価が安くなるときを待っていたのです。
16000円台になって、ようやく買い増しました。
しかし、「もっともっと下がってほしい」というのが本音です。
できれば、日経がもう一度、10000円を割ってほしい。
そうすれば、今後数年間、仕事が本当に楽になるからです。
(残念ながら、そうなる確率は0%に近いのですが・・・)

とはいえ、16000円台であれば、がんばれば、掘り出し物が見つかる環境
です。
18000円のときと比べれば、随分と仕事はしやすくなりました。
相場に感謝です。

■ 信用取引をやめよう

対して、余裕がない人はどうでしょうか。
為替の証拠金の取引では、
「松井証券に『あと何銭、円高にふれたら追証が発生するのか』という問い合
わせが急増した」という主旨が日経新聞に3月7日に書かれていました。

また、同日の日経新聞には、ある機関投資家の幹部の話として「予想外の急落。
ポートフォーリオを見直している」というコメントも日経新聞で見つけました。

辛らつですが、「こんな軽い株価下落が「予想外」なら、株はやらないほうが
よい」というのが率直な感想です。

ヘッジファンド業界でも、たったの1週間で5%も損を出したファンドマネー
ジャがゴロゴロいます。
信用取引をしていた個人投資家であれば、一週間で10%以上損失を出した人
もいるでしょう。

(たった数日間で5%も損を出してしまうということは、年率換算で300%
 以上のマイナスの利回りです。1年間で複数回、破産してしまうぐらい運用
 が下手ということです。)

現に、昨年の4−5月、10−11月、そして今回、「ちょっとした」株価下
落は年間で3回生じました。

信用取引をしている人に資金を預けると、年間に複数回、大きく資産を毀損す
る可能性があるのです!!

絶対に、個人投資家は信用取引をしないでほしいというのが、わたしの変わら
ない主張です。
このコラムでは、必要であれば、何回も、何百回も同じ主張を違う角度から繰
り返します。
今回のような、「ちょっとした調整」で、みなさまの大切な資産がたった一晩
で毀損することがないよう、祈っています。

■ 信用取引をやめてほしい理由 − 億近コラムのバックナンバー

信用取引がどれだけ投資家にとって不利な取引かは過去のバックナンバーをご
参照ください。
1月16日
http://blog.mag2.com/m/log/0000020640/108141712.html?page=2
1月30日
http://blog.mag2.com/m/log/0000020640/108191991.html?page=2
2月6日
http://blog.mag2.com/m/log/0000020640/108217227.html?page=2


Enjoy Every Moment!
〜Slow Investment ゆっくり考え ゆったり投資 〜
山本 潤

■ まとめ

●株式市場は手っ取り早く儲けようとする信用取引をする者を貧乏にする
●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらす

■変わらぬメッセージ:長期の読者に感謝■

99年に始まった億の近道は、16000人程度の読者で成り立っています。
長期間購読を続けていただいた読者が多い、古い読者が多いことが特徴です。

このメルマガ(火曜日版)では、多くの株式投資メルマガにあるようなことは
行いません。
つまり以下のことはやりません。

●手っ取り早い情報(証券会社の格付けの変更など)
●何を買うべきか
●投資指南
●お勧め銘柄
●マーケットをどうみているか

わたしたちは「タダなのにすごいことが書いてある」メルマガを志向しません。
また、編集に時間をかけることもできません。

わたしたちが伝えたいことは、

●日本が欧米に並ぶ金融大国になるために日本人がもっと学ぶべきこと
●若い世代がワーキングプアにならないためにすべきこと
●株式市場は手っ取り早く儲けようとする投資家を貧乏にするという教え
●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらすという教え
などです。

いわば投資の実務家としての哲学や歴史観・人生観です。

わたしたちが目指すのは、「ファンダメンタル分析」宗教の普及です。

Enjoy Every Moment!
by 山本 潤 (やまもと じゅん)


<著者紹介>

億の近道に2000年3月に執筆を開始。
およそ7年間 毎週執筆してきました。
継続は力です!
昨年、念願の独立を果たす。
日本株ロングショートのヘッジファンドマネージャー。

(職歴)
1990−1997年
 和光証券国際本部
(1990−1992年日本興業銀行外国為替部および国際資金部へ出向)
1997年−2005年
 米系投資顧問クレイ フィンレイ インク ポートフォーリオマネージャー。
2006年1月より独立起業。
 エイム インベストメントでファンドマネージャー。
(学歴)
コロンビア大学院 電気工学科 工学修士。
(六本木裏通りの人生大学 夜間部卒。専攻は夜間泥酔行動経済学)
(主な著書)
 「インベストメント―米系バイサイド・アナリストの投資哲学と投資技法」
 (2001年イーフロンティア)
 「投資家から「自立する」投資家へ」(2003年パンローリング)
 「マンガ ファンダメンタルズ分析 入門の入門」
 (2004年パンローリング)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

===================================

◆コラム「連載 ファンダメンタルズ分析入門第3部(12)」

■■業績予想 取材その11■■

◇◇◇供給サイドの予想の基本は、個別企業の入念なヒヤリング

 供給サイドの企業を業界別に丹念にヒヤリングや分析を進めていくことで、
業界の全体像をつかむことができるばかりか、業界がよい状態(需要>供給)
なのか悪い状態(需要<供給)なのかが見えてくるはずです。

また、大企業の動向を調べていくと、たとえば、Aという大企業が大幅にある
製品を増産する計画であることがわかれば、それにより恩恵を受ける中小型株
が見えてきます。

大企業の投資計画から恩恵を受ける設備投資関連企業もあるでしょう。
業界の大手企業の設備投資動向をヒヤリングして業界の供給を予想することで
す。
(固定資産回転率やROIなどを参考にして設備投資からアウトプットの増加
額を予想する)

:::ガイドライン:::

業界大手企業の設備投資動向や設備投資の計画をヒヤリングすることで供給サ
イドの予想を行う。


◇◇◇需要と供給 バランスが崩れているときに投資をする

例:
半導体市場で、供給>需要のときは、長期的にはその対象製品である半導体の
メーカ(エルピーダや東芝)の株価は低迷しているでしょう。

そして、需要>供給のときは、業績がよくなり、半導体メーカの株価も持ち直
すはずです。
その後、設備投資が必要になり、今度は装置メーカに受注が入るようになりま
す。

装置メーカも長期的には逆張り的に投資しなければなりません。
受注が入らないときは、需要<供給のときです。株価は低迷しているはずです。
受注が入るときは、需要>供給のときです。株価は持ち直しているはずです。


◇◇◇業界再編を狙う

(シェアの動向)
現状の把握:市場ごとにシェアの現状とライバルの現状とを把握。
競争力について:シェアが高い理由、低い理由などを推定する。
シェア拡大を志向する企業が多ければ利益の確保は難しくなる。
利益志向の会社がそろっている業界は利益が予想しやすい。

<<最重要項目>>
特に、ライバルの撤退や合併による競合社数の減少は投資家によってもっとも
よいサインである。
なぜならばシェアアップと競合条件の緩和が同時に達成できるからです。

(価格を予想する)
需要、供給、シェアについて見通しをガイドライン、数量の予想をつくります。
そして、価格動向を予想します。
需要>供給ならば、価格は上昇するでしょう。
供給>需要ならば価格は下落するでしょう。
また、価格はコスト削減によって意図的に下げることもできます。

:::ガイドライン:::

業界再編が見込まれるとき、価格競争の緩和とシェア上昇という2つの相反
するメリットが得られる。ゴーンショック以降の鉄鋼業界や不良債権処理後
の銀行業界はその代表例。


Enjoy Every Moment! 山本 潤

(この連載は2005年12月時点で執筆されたものです。情報提供を目的に
 しており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任
 と判断で願います。)

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◆コラム「連載:技術を評価できる個人投資家の養成講座season3(49)」

(49)ACアダプタ

 今回は、携帯電話の充電時に必ず必要なACアダプタに着目してみます。
 株式投資をする際に、そのモノがどのようなものか、大体つかんでおくこと
は、大変重要です。投資するもののイメージを、簡単に説明します。

 100Vの家庭用コンセントから携帯電話のバッテリが対応できる5V程度
に電圧を下げる機能と交流から直流に電流を変換する機能を持っています。

わたしも、カバンに入れっぱなしなっていますが・・・。

携帯電話の小型化と一緒になって、ACアダプタも小型化が進み、持ち運びが
あたりまえになっています。コンセントのプラグを折りたたむ様になってから
小型化にいっそう拍車がかかりました。また、家のコンセントにつなげっぱな
しだったりすることもあります。

これは、『安全性』という言葉がこの製品の重要なキーワードになってきます。

カバンの中に入れても簡単には壊れない耐久性や家庭用のコンセントにつなぎ
っぱなしでも、ある程度のホコリに耐えられなくていけないのです。

次に、株式投資をする際に、重要な市場規模を算出してみましょう。

携帯電話機一台に必ずついていますので、地味ですが台数は確実に携帯電話と
同じに出荷されています。市場規模を考察してみましょう。単価を約300円
とすると、月100万個で3億円、年36億円。

ただし、最近は、事業者内のACアダプタの共通化が進み、多少市場規模が細
っていると考えると、月500万個で月15億円、年180億円の市場です。

次に、どのメーカが参入しているか市場プレイヤを見てみましょう。
ホシデン(6804)
ミツミ電機(6767)
松下電器(松下電池)

などがあげられるでしょう。
この業界も台湾メーカ、中国メーカが入り込んできていますが、日本メーカは
海外生産を行いコスト競争に対応しているのが現状だと思います。電気的な構
造は単純なため技術的には問題ないのですが、小型化薄型化のノウハウが重要
になってきます。

一方、市場としては大きい海外市場ですが、ACアダプタの小型化のニーズは
高くないため、日本メーカはコストが下げられず台湾メーカ、中国メーカと戦
うのは難しいでしょう。

彼岸
技術のわかる個人投資家への道
Road to Investor with Technology Sense

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)

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◆コラム「連載:株式投資で人生を変える(43)」

 去年の株式市場では、ライブドア事件などがあり、市場が振り回されて、私
もしっかりその影響を受けてしまいました。それに引き換え、今年になってか
らは2月28日に世界同時株安が来るまでは、知人の投資家が「サルでも儲か
る相場になった」と話しているほど好調な状態が続いていました。ちょうどそ
の数日後に世界同時株安が起こったわけで、相場って言うのは本当に、分から
ないものだと思います。

 私の場合は去年サラリーマンを卒業し、サラリーという安定収入が減ったの
で、株価下落時に一歩踏み込んでリスクを取る勇気が不足して8年ぶりくらい
に、株式の資産を前年末より減らしてしまいました。他の運用などで必死に収
益アップをはかりましたが、投資だけでは株価の資産減少分をカバーすること
が出来ませんでした。

 そこで株式投資で運用している資金を減らし、住宅ローンを完済することに
しました。10月ぐらいに、そのような方針を決めたので、株式から現金に資
金シフトを行ないました。これで運用資金が従来の3分の2に減りました。し
かし面白いもので、資金をキャッシュに換えるとき、本来ならば投資している
銘柄数を減らさずにポートフォリオをあまり崩さずに資金を現金化すべきなの
でしょう。しかし、どうしても住友金属鉱山と三菱商事からは資金を減らすこ
とが出来ませんでした。その結果、私の株ポートフォリオの90%は住友金属
鉱山と三菱商事となりました。あと残っていたのは食べ物の株主優待がある3
銘柄と、無償増資でもらった端株のみとなりました^^;。

 しかし、やっぱりツイていると思います。今年の1月中旬から住友金属鉱山
と三菱商事の株が急速に上昇し、2月28日が来るまでに、去年の株式資産減
少分を全て回復し、お釣りが出る状況となりました^^;

 2月28日の寄付き成行き売りで住友金属鉱山と三菱商事の株を、その日の
最安値でほとんど売らされて、あわてて3分の2を高く買い戻すなんてことを
していました。そのときのアタフタぶりは、自分のブログで日々書いていまし
た^^;。 http://plaza.rakuten.co.jp/lucky7lucky/

 おかげさまで、今年の利益は一日で30%程度減りましたが、去年資産が減
った分はしっかり取り戻せており、たっぷり売却益も出したので、株の譲渡益
税が10%のうちに税金を払うことが出きて、とても大きな節税が出来ました。
(←悔しまぎれにいっているんですよ。分かってくださいね^^; でも節税
効果になったことは確かです。なにしろ税率が倍の20%になることが決まっ
ているわけですから)

 思えば株式投資をしたおかげで株の儲けでワンルームマンション10室と自
宅を手に入れることが出来ました。ワンルームマンション7室は株の儲けで全
額、現金で買いました。20年ほど前に新築ワンルームマンションをローンつ
きで買った分の、頭金も株の儲けで払ったし、月々の返済は家賃で払ったし、
半分残っていたローンの残債も、サラリーマンをやめる前に、すべて株の儲け
で返してしまいました。

 自宅についても、頭金は香港のファミリーマンションを売却した資金で賄い
ました。この香港のマンションの頭金(←購入額の3分の1)は全て株で儲け
たお金でまかないました。家賃でローンを払い、運がいいことに前回の1ドル
=79円になる超円高がスタートする前に処分して、たっぷりと税金を払わさ
れた話は、本などで紹介したとおりです。その時、帰ってきたお金(株で払っ
た頭金部分と税金を払ったあとの売却益)で自宅の頭金を払い、9年間の住宅
ローンの支払を、すべて賄うことができました。

 要するに、株式投資の儲けで自宅とワンルームマンション10室を全部手に
いれたことになりました。

 株式投資をして、その利益を一切使わずに再投資にまわしたおかげで、多く
の資産を手に入れて、少し早い定年暮らしを始めることが出来ました。しかし、
何もやることがないとボケちゃいますし、体もなまります。

 今回の世界同時株安は、定年後の株式投資に対する対応を見直して、再び自
分のポートフォリオを分散型に切り替える、とても良いチャンスだったと感じ
ます。投資銘柄6銘柄から30銘柄以上の一人投信状態になりました(爆笑)。
短い間に投資銘柄をチェックして入れ替えるのに、本当に役に立ったのは日足
チャートブックと会社四季報と会社情報です。機械的スクリーニングなんても
のを使うよりもすばやく、的確な銘柄選択が出来たと思います。

 サラリーマンを卒業してから、まったく早起きが出来なくなりました。サラ
リーマン時代に早起きできていたのは、歳をとって、爺さんになったから朝早
く目が覚めると考えていたのは間違いだったと気がつきました。どうも自分は
責任感が強くて、遅刻をせずに会社につけるように、起きていたのだ。なんて
自分って責任感の強い、まじめな男だったのだろうと、見直していました^^;

 でも今回、その評価もまったく勘違いだったことを思い知らされました。こ
の株価下落の危機を乗り切るために張り切って株式投資に打ち込んでいると、
自然に朝早く目が覚めてしまいます。まじめな勤勉な投資家に大変身です。精
神的に張りができて、まじめに投資に取り組むと成果もちゃんとついてきまし
た。やっぱり資金運用を自分の仕事に選んだからは、よりまじめに株式投資に
も向き合おう。そんなことを思った次第です。(←厳しい奥さんからは、ノミ
の心臓だから神経が高ぶって、海外市場の状況が気になって眠っていられない
だけだという、鋭い指摘を突きつけられておりますが・・・苦笑)

 来週からは4月、新年度です。そこで新しい「ぬくぬくホッコリ株日記(定
年後は株で楽しく暮らしたい)」というお題で、今回の世界同時株安に銘柄分
散をした方法や、運用方針などを中心に、私なりの楽しめる株式投資の方法を
ご紹介していこうと思います。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

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 「億の近道」は特定非営利活動法人イノベーターズ・フォーラムの登録商標
です。この名称での有償のサービス等は行っておりません。紛らわしい名称の
サービスは弊社と一切関係ありませんのでご注意下さい。

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■「山本潤氏のファンダメンタルズ分析日本株アナリスト養成講座DVD」
 発売!!■

「NPOイノベーターズ・フォーラム 公認日本株アナリスト 認定講座」
共催:エンジュク 協力:ダイヤモンド経営分析チーム

 2005年4月に行われた山本潤氏のセミナー映像に加え、ファンダメンタ
ルズ分析に必要な内容を新たに撮り下ろした映像を全て収録した4枚組DVD
です。

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 いままで体系的に語られることの少なかった実践的なファンダメンタルズ
分析を網羅。最終的には個別株のレポートが作成出来るレベルを目的として
います。受講出来なかった方や反復学習したい方には最適な内容です。

◆充実したボリューム
 価格は48,000円とやや高額ですが、4月のセミナー(受講料38,0
00円)で使用した資料添付はもとより、全部でDVD4枚組、約450分の
充実した内容となっています。

詳細はエンジュクのホームページまで。
http://www.enjyuku.com/v_kabu_10.htm

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石川臨太郎
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パンローリング ISBN4-7759-9008 4800円+税 426ページ
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 私が昨年後半に有料メルマガで取り上げておいた山田サービサー(4351)
が一貫して上昇を示しているようにようやく元気な銘柄がちらほら見出せるよ
うになってきました新興市場銘柄ですが、皆さんの運用成果はいかがでしょう
か?
 まだまだ売り圧力が根強く続く昨今の新興市場の相場環境ですが私は相変わ
らずスモールキャップの取材に追われております。昨日もゴルフパートナー
(3074・マザーズ)へ取材に参りましたが5日ストップ高となり元気一杯
の動き。その背景にあるファンダメンタルズをお知りになりたい方はぜひとも
「炎のファンドマネジャー」発行のアイリス有料メルマガをご参照ください。
 今週は諸般の事情から水曜日にリリースする予定ですので一度弊社のWEB
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 購読料金は年間最大2万円。格安ではありますが内容には自信があります。
(炎)

有料メルマガの詳細は炎氏のサイトまで。
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ニケートしております。是非ご参加ください。MSNのサービスを利用してお
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投資の王道(その58)

■気になる会社 その5−3■

 私の投資手法は、

1、会社四季報掲載の約4000社を自分自身で分析し、経営基盤が安定しこれからの成長が見込まれる400社から500社程度に絞り込む。
2、さらに、その中から、割安圏にある会社を100社程度に絞込む。
3、最終的100社程度の中から投資を行うのは、ベストタイミングで購入するチャンスのあった10社から20社程度である。

というものです。
 今回も、前述の400〜500社の中から100社を中心とした興味深い企業について解説していきます。


<4779>ソフトブレーン
 1992年設立。携帯情報端末利用の営業支援・ECシステムを開発・販売。

<4792>TFPコンサルティンググループ
 平成元年、ファイナンシャル・プランナーの教育・研修及びファイナンシャル・プランニングに関するコンサルティングを目的として、東京都文京区音羽に(株)東京ファイナンシャルプランナーズを設立。
 平成4年、個人及び法人向けに資産運用に関する情報提供と保険コンサルティングを目的として、東京都杉並区高井戸東に(株)ティー・エフ・ピー総合研究所を設立(現(株)東京エフピー保険パートナーズ)。平成9年、経営・財務・資金調達コンサルティング事業立ち上げを目的として、東京都新宿区西新宿に(株)ティー・エフ・ピーベンチャーキャピタルを設立(現山田ビジネスコンサルティング(株))。
 コンサルティング事業では、企業再生コンサルティング(山田ビジネスコンサルティング(株))及び不動産コンサルティング(TFP不動産コンサルティング(株))を中心に展開。(株)オーナー企業総合研究所では、新株予約権の取得を報酬の一部とする短期間に株式上場を志向する企業に対する上場準備室アウトソース事業を行っている。投資ファンド事業において、平成17年3月に組成開始した第二号ファンドの資金規模総額が18年1月に当初設計の100億円を達成。

<4809>パラカ
 時間貸し駐車場を運営・管理。1997年、東京都新宿区にパルク株式会として設立。

<4813>ACCESS
 1984年設立。日本で初めて教育機関向け言語「LOGO」を開発、NECPC8800シリーズ、9800向け「ACCESSLOGO」としてソフトバンクから発売するとともに、シャープX1、X1turbo、セガ・エンタープライゼズなどのパソコンにOEM供給。携帯電話用閲覧(ブラウザ)ソフトが主要商品。

<4815>ジャパン・デジタル・コンテンツ信託
 1998年設立。2005年、同社は一般事業会社としては戦後初となる信託会社の免許を取得し、新たに信託業務を開始。
(OH)

(以下、次週に続く)

*ブログ「大原浩の金融・経済地動説

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