グローバル投資のポイント(20)

■銀行機能を否定する最近の出来事■

 ここ数日、日本の銀行の存在意義を否定するかのような動きを目にします。

 9月26日付の日本経済新聞は、ソフトバンクが、買収したボーダフォンの携帯電話事業の収益を担保にした証券化スキームで、複数の金融機関から1兆4,500億円を調達する方針と報道しました。証券化とは、不動産など事業プロジェクトで利用される資金調達方法で、事業プロジェクトで発生したキャッシュフローが利払いや返済の原資となります。通常の銀行借り入れでは、企業全体が融資の審査対象になるのに対し、証券化の場合は企業全体ではなく、事業プロジェクトのみが審査の対象になります。

 ソフトバンクは、ボーダフォンの買収資金として期間1年の短期借入金で1兆1,600億円を調達しています。ただ国債利回りに上乗せされる借入金利は、9月までは2.5%、12月までは3%、そして来年1月以降は3.5%と高めに設定されており、ソフトバンクは、できるだけ早い段階で借り換えをする必要に迫られていました。

 通常なら、公募社債による資金調達が考えられるのですが、ソフトバンクの社債格付けは「投機的」水準で、1兆円を超える公募社債の発行は難しい状況です。このためソフトバンクに残された選択肢は、通常の銀行借り入れと証券化の2つとなっていました。

 ソフトバンクが銀行借り入れではなく証券化を選んだ理由は、低い借入金利と思われます。報道によると、ソフトバンクは証券化によって銀行借り入れに比べて1%程度低い金利で資金を調達できるようです。今回の調達資金額は1兆4,500億円ですので、ソフトバンクは証券化を選ぶことで、100億円程度利払い負担を軽減することができます。一方、銀行は、証券化ほどの低い金利をソフトバンクに提示できなかったことで、1兆4,500億円の融資案件を取り逃がしたことになります。

 9月27日、日興コーディアル証券は、トヨタファイナンス、ビザ・インターナショナルと連携し、買い物などの代金を証券総合口座から円もしくは米ドルで決済できる新型のデビットカードを10月に発行すると発表しました。これにより日興コーディアル証券の顧客は、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)と、米ドル建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)口座から資金を引き出すことなく、新型カードで買い物をすることが可能になります。

 これまで、一般の消費者は、買い物の代金を支払うために、銀行(もしくは郵便貯金)口座を利用する必要がありました。たとえば、現金で買い物をする際にも銀行口座にお金を入れておき、必要に応じて銀行口座から引き出します。クレジットカードで買い物をする場合でも、消費者は銀行口座での自動引き落としで、クレジットカード会社に代金を支払います。

 ところが今回の日興コーディアルによる新型カードを利用すると、消費者は銀行口座を利用することなく買い物をすることが可能となります。銀行の普通預金金利が0.10%程度である一方、証券会社のMRF口座の予定利回りは0.23%程度と、銀行の倍以上の金利水準であることを考えると、消費者は、銀行ではなく証券会社にお金を預けて、買い物をした方が合理的ともいえます。

 これまで銀行には、決済、運用、調達の3つの機能がある、と古くからいわれてきました。しかし、証券化といった新しい手法で、企業は銀行借り入れを利用する必要がなくなれば、銀行の運用(融資)機能は低下することになります。また、証券口座で買い物が可能になれば、消費者は銀行口座を利用する必要性が薄くなり、銀行の決済機能や調達機能は低下することになります。

 長い間、日本の銀行は、不良債権処理という大きな課題ゆえ、なかなか成長軌道に乗ることができずにいましたが、不良債権処理に目処がたったこともあり、日本の銀行の復活を期待する声も最近聞かれるようになっています。しかし、銀行の3つの機能を否定する動きを目にすると、日本の銀行は、不良債権処理以外にも大きな課題が残されているようにも思えます。

村田雅志(むらた・まさし)
(GCIキャピタル・チーフエコノミスト)

<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月より現職。

現在、コンテンツ事業の立ち上げに奮闘中。
GCIグループ初の投資情報サイト【Klugクルーク】にて、投資に関するコラムを執筆中。

<主な著書>
景気予測から始める株式投資入門」(パンローリング)
絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」(すばる舎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2006/09/29


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投資情報メールマガジン                   2006/09/29
              イ意 の 近 道

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 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
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の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

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             −本日の目次−
          (本日の担当:村田雅志)

    ◆コラム「グローバル投資のポイント(20)」:村田 雅志

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◆コラム「グローバル投資のポイント(20)」

■銀行機能を否定する最近の出来事■

 ここ数日、日本の銀行の存在意義を否定するかのような動きを目にします。

 9月26日付の日本経済新聞は、ソフトバンクが、買収したボーダフォンの
携帯電話事業の収益を担保にした証券化スキームで、複数の金融機関から1兆
4,500億円を調達する方針と報道しました。証券化とは、不動産など事業
プロジェクトで利用される資金調達方法で、事業プロジェクトで発生したキャ
ッシュフローが利払いや返済の原資となります。通常の銀行借り入れでは、企
業全体が融資の審査対象になるのに対し、証券化の場合は企業全体ではなく、
事業プロジェクトのみが審査の対象になります。

 ソフトバンクは、ボーダフォンの買収資金として期間1年の短期借入金で1
兆1,600億円を調達しています。ただ国債利回りに上乗せされる借入金利
は、9月までは2.5%、12月までは3%、そして来年1月以降は3.5%
と高めに設定されており、ソフトバンクは、できるだけ早い段階で借り換えを
する必要に迫られていました。

 通常なら、公募社債による資金調達が考えられるのですが、ソフトバンクの
社債格付けは「投機的」水準で、1兆円を超える公募社債の発行は難しい状況
です。このためソフトバンクに残された選択肢は、通常の銀行借り入れと証券
化の2つとなっていました。

 ソフトバンクが銀行借り入れではなく証券化を選んだ理由は、低い借入金利
と思われます。報道によると、ソフトバンクは証券化によって銀行借り入れに
比べて1%程度低い金利で資金を調達できるようです。今回の調達資金額は1
兆4,500億円ですので、ソフトバンクは証券化を選ぶことで、100億円
程度利払い負担を軽減することができます。一方、銀行は、証券化ほどの低い
金利をソフトバンクに提示できなかったことで、1兆4,500億円の融資案
件を取り逃がしたことになります。

 9月27日、日興コーディアル証券は、トヨタファイナンス、ビザ・インタ
ーナショナルと連携し、買い物などの代金を証券総合口座から円もしくは米ド
ルで決済できる新型のデビットカードを10月に発行すると発表しました。こ
れにより日興コーディアル証券の顧客は、MRF(マネー・リザーブ・ファン
ド)と、米ドル建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)口座から資金を
引き出すことなく、新型カードで買い物をすることが可能になります。

 これまで、一般の消費者は、買い物の代金を支払うために、銀行(もしくは
郵便貯金)口座を利用する必要がありました。たとえば、現金で買い物をする
際にも銀行口座にお金を入れておき、必要に応じて銀行口座から引き出します。
クレジットカードで買い物をする場合でも、消費者は銀行口座での自動引き落
としで、クレジットカード会社に代金を支払います。

 ところが今回の日興コーディアルによる新型カードを利用すると、消費者は
銀行口座を利用することなく買い物をすることが可能となります。銀行の普通
預金金利が0.10%程度である一方、証券会社のMRF口座の予定利回りは
0.23%程度と、銀行の倍以上の金利水準であることを考えると、消費者は、
銀行ではなく証券会社にお金を預けて、買い物をした方が合理的ともいえます。

 これまで銀行には、決済、運用、調達の3つの機能がある、と古くからいわ
れてきました。しかし、証券化といった新しい手法で、企業は銀行借り入れを
利用する必要がなくなれば、銀行の運用(融資)機能は低下することになりま
す。また、証券口座で買い物が可能になれば、消費者は銀行口座を利用する必
要性が薄くなり、銀行の決済機能や調達機能は低下することになります。

 長い間、日本の銀行は、不良債権処理という大きな課題ゆえ、なかなか成長
軌道に乗ることができずにいましたが、不良債権処理に目処がたったこともあ
り、日本の銀行の復活を期待する声も最近聞かれるようになっています。しか
し、銀行の3つの機能を否定する動きを目にすると、日本の銀行は、不良債権
処理以外にも大きな課題が残されているようにも思えます。

村田雅志(むらた・まさし)
(GCIキャピタル・チーフエコノミスト)

<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月より現職。

現在、コンテンツ事業の立ち上げに奮闘中。
GCIグループ初の投資情報サイト【Klugクルーク】にて、投資に関する
コラムを執筆中。http://www.gci-klug.jp/klugview/

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「景気予測から始める株式投資入門」(パンローリング)
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編集者:億の近道発行プロジェクト
発行者:NPO法人イノベーターズ・フォーラム
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競合状況を決定する要因

■はじめに

 企業活動を行う際、必ず付きまとうのが「競争」です。企業、株主にとっては厄介なものですが、消費者側からすると競争してくれなければ価格的にも製品的にも、魅力的なものが出にくくなる恐れがあります。その競争に付きまとい、企業の収益環境に最も影響を与えるものが、「価格の下落」です。競争=価格下落といっても過言ではないかと思います。価格をいかに維持するか、価格が下がるならそれをどのように補うのか、これらはいつの時代も企業にとって重要な判断事項になっていると思います。

■業界構造を読み解く

 競争状況を調査・判断する上で、参考になるのがポーター教授があげたファイブフォース分析です。「5つの力(ファイブフォース)」がどのように作用するかを読み解くことで、その業界の競争状況と収益的な魅力度を理解しようというものです。ファイブフォースとは、下記の5つをさしています。

A.新規参入の脅威
B.競争業者との競争状況
C.買い手の交渉力
D.売り手の交渉力
E.代替品の脅威

■新規参入の脅威

 当たり前の話ですが、競争業者が増えれば増えるほど競争は激しいものとなります。伸びている業界、儲かっている業界であればみんな参入したいと思うものです。「参入」、「参入しない」という判断に、最も大きな影響を与えるのが「参入障壁の有無(もしくは高さ)」になります。例えば、
1)規模の経済性が働くかどうか(後発は不利になる)
2)製品的な差別化(ブランド力等)
3)巨額の投資の必要性(設備、研究開発等)
4)流通チャネルの確保
5)技術力

これらそれぞれの程度を測ることで、新規参入予備郡は「参入、不参入」を決定するでしょう。参入障壁が低く、新規参入が手軽にできる業界はプレイヤーが多く、競争が激しい傾向にあり、収益性は低くなる傾向にあります。

■競争業者との競争状況

 新規参入が限定的でも、既存の競争業者が数多く、競争が激しいようですとやはり収益性は低いものになりかねません。既存の競争業者との競争状況を読み解くのに重要になる点が、下記にあげたものです。

1)競合社数
2)業界の成長速度(市場が成長していないのなら、既存のパイの取り合いになる)
3)固定費の高さ(稼動を優先させてしまい、結果として単価下落を招きかねない)
4)製品の差別化のしやすさ(難しいのであれば、単価勝負となりかねない)
5)撤退障壁の高さ(撤退コストの高さ、既存設備が使いまわせない等)

これらの程度を調査することで、業界内の競争を図ることが可能になると思います。

■買い手の交渉力

 ここでは、自分たちの提供する製品・サービスを、購入してくれる相手のことを「買い手」と呼びます。その買い手の交渉力を決定付ける要因は、下記になります。

1)買い手が集中し、売り手にとって大きな割合を占めている
 (その1社が業績に与えるインパクトが大きい等)
2)買い手の購入する製品が、買い手のコストに締める割合が大きい
 (目立つコストは真っ先に、値下げの要求がきてしまう)
3)製品の差別化の有無
4)買い手が川上統合に乗り出す姿勢を見せているか
 (売り手に取れば、顧客をなくすリスクが発生。相手に交渉力をもたれてしまう。)
5)売り手の製品が、買い手の製品の品質に与える影響
 (能力を左右する部材であれば、買い手は強気になりきれない。)

■売り手の交渉力

 ここで「売り手」とさしているものは、原料を仕入れる業界となります。その売り手の交渉力を決定図ける要因は、下記になります。

1)売り手の業界が集約されているか否か(集約されていれば交渉力は増す)
2)代替品との競争の有無(全くないようだと、交渉力は増す)
3)売り手にとって「買い手」が重要な顧客か
 (大きな顧客、もしくは今後そうなる可能性の有無)
4)売り手が川下統合に乗り出す可能性の有無

「買い手の交渉力」、「売り手の交渉力」の両方の項に重要になってくる点が、その時々のその製品の需給です。基礎的な交渉力の強弱は上記のチェックポイントで測れますが、それプラス「その時々の製品の需給」が交渉力を左右する重要なファクターとなります。

■代替品の脅威

 これは字の通りで、同程度の機能、もしくはそれを上回る機能で、魅力的な価格を保持する製品の有無になります。

ここまでにあげた、5つの事項がそれぞれどのようになっているのかを読み解き理解することで、競争状況の把握をすることができます。そしてその競争状況から、単価の下落が今後加速するのか、それともキープできるのか、はたまた値上げが通るのかということを考えるヒントとなります。単価の見通しは、企業の収益性に直結するので、業績見通しに非常に重要となってきます。

(佐藤 貴士)

<スローガン>
仲間と共に理想社会への投資をはじめよう!
−投資活動によって理想社会を実現する−

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2006/09/27


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投資情報メールマガジン                  2006/09/27号
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【ご挨拶】
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したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。執筆陣は証券・金融業界に身を置いて
いる人間ばかりです。プロの目から見た各種分析や銘柄を参考にして、「億」
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 水曜版は、学習を重ねた一般の個人投資家も執筆に加わっています。いつも
の億近同様、応援をよろしくお願い致します。

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      −本日の目次−(本日の担当:億近産業調査部)

  ◆コラム「競合状況を決定する要因」:億近産業調査部 佐藤 貴士

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◆コラム「競合状況を決定する要因」

■はじめに

 企業活動を行う際、必ず付きまとうのが「競争」です。企業、株主にとって
は厄介なものですが、消費者側からすると競争してくれなければ価格的にも製
品的にも、魅力的なものが出にくくなる恐れがあります。その競争に付きまと
い、企業の収益環境に最も影響を与えるものが、「価格の下落」です。競争=
価格下落といっても過言ではないかと思います。価格をいかに維持するか、価
格が下がるならそれをどのように補うのか、これらはいつの時代も企業にとっ
て重要な判断事項になっていると思います。

■業界構造を読み解く

 競争状況を調査・判断する上で、参考になるのがポーター教授があげたファ
イブフォース分析です。「5つの力(ファイブフォース)」がどのように作用
するかを読み解くことで、その業界の競争状況と収益的な魅力度を理解しよう
というものです。
ファイブフォースとは、下記の5つをさしています。

A.新規参入の脅威
B.競争業者との競争状況
C.買い手の交渉力
D.売り手の交渉力
E.代替品の脅威

■新規参入の脅威

 当たり前の話ですが、競争業者が増えれば増えるほど競争は激しいものとな
ります。伸びている業界、儲かっている業界であればみんな参入したいと思う
ものです。「参入」、「参入しない」という判断に、最も大きな影響を与える
のが「参入障壁の有無(もしくは高さ)」になります。例えば、
1)規模の経済性が働くかどうか(後発は不利になる)
2)製品的な差別化(ブランド力等)
3)巨額の投資の必要性(設備、研究開発等)
4)流通チャネルの確保
5)技術力

これらそれぞれの程度を測ることで、新規参入予備郡は「参入、不参入」を決
定するでしょう。参入障壁が低く、新規参入が手軽にできる業界はプレイヤー
が多く、競争が激しい傾向にあり、収益性は低くなる傾向にあります。

■競争業者との競争状況

 新規参入が限定的でも、既存の競争業者が数多く、競争が激しいようですと
やはり収益性は低いものになりかねません。既存の競争業者との競争状況を読
み解くのに重要になる点が、下記にあげたものです。

1)競合社数
2)業界の成長速度(市場が成長していないのなら、既存のパイの取り合いに
 なる)
3)固定費の高さ(稼動を優先させてしまい、結果として単価下落を招きかね
 ない)
4)製品の差別化のしやすさ(難しいのであれば、単価勝負となりかねない)
5)撤退障壁の高さ(撤退コストの高さ、既存設備が使いまわせない等)

これらの程度を調査することで、業界内の競争を図ることが可能になると思い
ます。

■買い手の交渉力

 ここでは、自分たちの提供する製品・サービスを、購入してくれる相手のこ
とを「買い手」と呼びます。その買い手の交渉力を決定付ける要因は、下記に
なります。

1)買い手が集中し、売り手にとって大きな割合を占めている
 (その1社が業績に与えるインパクトが大きい等)
2)買い手の購入する製品が、買い手のコストに締める割合が大きい
 (目立つコストは真っ先に、値下げの要求がきてしまう)
3)製品の差別化の有無
4)買い手が川上統合に乗り出す姿勢を見せているか
 (売り手に取れば、顧客をなくすリスクが発生。相手に交渉力をもたれてし
  まう。)
5)売り手の製品が、買い手の製品の品質に与える影響
 (能力を左右する部材であれば、買い手は強気になりきれない。)

■売り手の交渉力

 ここで「売り手」とさしているものは、原料を仕入れる業界となります。そ
の売り手の交渉力を決定図ける要因は、下記になります。

1)売り手の業界が集約されているか否か(集約されていれば交渉力は増す)
2)代替品との競争の有無(全くないようだと、交渉力は増す)
3)売り手にとって「買い手」が重要な顧客か
 (大きな顧客、もしくは今後そうなる可能性の有無)
4)売り手が川下統合に乗り出す可能性の有無

「買い手の交渉力」、「売り手の交渉力」の両方の項に重要になってくる点が、
その時々のその製品の需給です。基礎的な交渉力の強弱は上記のチェックポイ
ントで測れますが、それプラス「その時々の製品の需給」が交渉力を左右する
重要なファクターとなります。

■代替品の脅威

 これは字の通りで、同程度の機能、もしくはそれを上回る機能で、魅力的な
価格を保持する製品の有無になります。

ここまでにあげた、5つの事項がそれぞれどのようになっているのかを読み解
き理解することで、競争状況の把握をすることができます。そしてその競争状
況から、単価の下落が今後加速するのか、それともキープできるのか、はたま
た値上げが通るのかということを考えるヒントとなります。単価の見通しは、
企業の収益性に直結するので、業績見通しに非常に重要となってきます。

(佐藤 貴士)

<スローガン>
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共催:エンジュク 協力:ダイヤモンド経営分析チーム

 2005年4月に行われた山本潤氏のセミナー映像に加え、ファンダメンタ
ルズ分析に必要な内容を新たに撮り下ろした映像を全て収録した4枚組DVD
です。

◆ファンダメンタルズ分析の決定版。
 いままで体系的に語られることの少なかった実践的なファンダメンタルズ
分析を網羅。最終的には個別株のレポートが作成出来るレベルを目的として
います。受講出来なかった方や反復学習したい方には最適な内容です。

◆充実したボリューム
 価格は48,000円とやや高額ですが、4月のセミナー(受講料38,0
00円)で使用した資料添付はもとより、全部でDVD4枚組、約450分の
充実した内容となっています。

詳細はエンジュクのホームページまで。
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 2003年11月に行われた村田雅志氏の景気観養成セミナーを全て収録し
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 頭で理解しているつもりでも、いざ実践してみると様々な疑問点が新たに湧
いてくるもの。DVDで何度も復習することにより、マスターへの早道となり
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さい。

詳細はイノベーターズ・フォーラムのホームページまで。
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村田 雅志
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パンローリング ISBN4-7759-9007 3300円+税 231ページ
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山本 潤
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技術を評価できる個人投資家の養成講座season3(28)

(28)カメラ(1)

 今回は、携帯電話機に搭載されているカメラについてお話したいと思います。

 現在は200万画素のカメラが当たり前になっていますが、これから、カメラはどのように進んでいくのでしょうか、今回から2回にかけて、携帯電話のカメラの進んでいく方向を考えてみたいと思います。

 200万画素のカメラは俗に2メガのカメラと呼ばれたりしています。写真を200万個に分解して画像を取り込んでいると、捕らえていただければよろしいと思います。これが、3メガのカメラならば、300万個、5メガのカメラならば、500万個に画像を分解して画像を取り込んでいるというわけです。

一つの写真を沢山分解して、取り込むということは、それだけ細かく写真の色を表現できるということです。

まずは、どんな形をしているかというと、見た目は色々な形がありますが、代表的な形を説明してみましょう。

カメラの鏡筒部(きょうとうぶ)と呼ばれる筒があって、そこには、上からレンズ、カメラの心臓部である受光素子が入っています。更に、その下に、電気部品がのっている基板があります。そこから、フレキ基板が伸び、そのフレキ基板には、携帯電話機側の基板に接続できるコネクタがついています。

外観の話はこれぐらいにして、中身のお話をしましょう。感覚的につかめる様にお話したいと思います。もしご専門の方がいらして、ここはこうじゃないか、こういう表現の方が判りやすいのではないかと気が付かれた方は、連絡いただけると幸いです。

撮影するときの流れと一緒に、説明したいと思います。まず最初に、撮影する際に、顔や風景にレンズを、向けることになります。

この時、風景や顔の光がレンズを通って、受光素子に到達します。ここで、光は電気信号に変換されます。電気信号に変換された光は、フレキ基板を通って、コネクタより携帯電話機本体へと信号として伝えられます。ここで、やっと携帯電話機の液晶に風景や顔の画像が表示されるわけです。

ここで、最後に、受光素子の動きを見てみましょう。これも簡単に説明しましょう。受光素子を拡大していきますと、碁盤の目のように受光素子がならんでいます。この数が200万個であれば、200万画素のカメラ、500万個であれば、500万画素のカメラということになります。そのひとつひとつがC−MOSと呼ばれるセンサーです。

このひとつひとつのセンサーがどの様な動きをしているのでしょうか。

顔、風景の光がひとつひとつのセンサーによって、RGB(赤緑青)にて表現されていくのです。どの様な色もこの光の3原色でつくりだせますので、センサーが赤の光の割合、緑の光の割合、青の光の割合を測定しそれを信号として送りだすのです。

逆に言うと、信号として変換された顔や風景を拡大していくと、赤と緑と青の小さい点の集まりが見えるということです。200万画素のカメラでは、その顔や風景が200万個のRGBの小さい点であらわされていて、500万画素のカメラはその2.5倍(500万÷200万)の小さい点であらわすことになります。画素数があがれば、画素数分、綺麗な(細かい)画像ということになります。

彼岸
技術のわかる個人投資家への道
Road to Investor with Technology Sense

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

株式投資で人生を変える(19)

 最近ゆっくり生きることの快適さ、素晴らしさを体感できるようになって来ました。サラリーマン時代は会社の仕事も、それなりに忙しく、残りの時間を投資のために費やすことが多かったため、夫婦の時間を取ることが本当に少なかったと感じます。

 サラリーマンを卒業したあとも、これでいままでできなかったことができるぞと喜んで、いろいろなことをやってみました。つまり自分の好きなことをするために、多くの時間を使ったということです。

 それはそれで楽しかったのですが、大切な夫婦の時間をとることをおろそかにしてしまったということに、遅ればせながら気がつきました。

 サラリーマンを卒業したことで家事の分担をしたりして、家のことに使う時間は増えていましたが、夫婦でいろいろなことを話し合う時間はちっとも増えていなかったと反省せざるをえない状況でした。

 同じ年の知人など50代にも、40代の知人にも夫婦の危機が訪れている人は多いように感じます。中年層ばかりでなく、20代や30代でも、夫婦の危機が抱えている人も多いかも知れません。同年代には結婚しない娘さんがいて、別れてもいいから結婚だけは経験しておいて欲しいという、物分りの良い親も増えているようです。ただしこぶツキで戻ってくるのだけはやめて欲しいという親も多いようです。

 男にしてみれば、家族のために必死で働いて、嫌な人間関係にも耐えて生活費を稼いでいたのに、それがどうして悪いんだ・・・・。ということになるかもしれませんが、それは言い訳に過ぎないのかもしれません。サラリーマンをやめて、はっきりそのことに気がつきました。

 世の中の動きが早くなりすぎて、変化についていくことが大変になっています。しかし世の中には早く行動しなければならないこともありますが、じっくり時間をかけて取り組まなければならないことも多いです。夫婦の時間をもう少し大切にしてみてはいかがでしょうか。

 投資でも事業でも上手くいきだすと、もっともっと稼ぎたいとか、事業を大きくしたいとか、欲がどんどん大きくなっていくのはしょうがないと思います。そうやって人類は発展してきたのだと感じます。ただ、注意したいのは欲が大きくなってしまい、欲に引きずられた時に、一番大切なものを失わないようにしたいということです。

 自分の目的がなんだったかを常に忘れないで、しっかりと心の中心に置いて、意識していきたいと思います。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


ファンダメンタルズ分析入門第2部(32)

■■財務諸表入門 〜キャッシュフロー計算書 CF〜 その3■■

★キャッシュフロー経営

売上債権回転率や在庫回転率を一定に管理して、減価償却費の範囲内で設備投資を行うことを「キャッシュフロー経営」と呼び、経営の基礎とされています。

株主にとっては、借金も、キャッシュフローの増加を意味します。
企業活動が活発になれば、当然、売上げが増えます。
売上げが増えれば、売上げ債権も棚卸資産も増えます。
その増加分を借り入れで補えば、キャッシュフロー的には、中立となります。

その場合、
利益の増加分=株主とってのフリーキャッシュフローの増加分となるわけです。

過去の平均的なキャッシュフローを財務諸表から算出して、時価総額と比べることで、「実績フリーキャッシュフロー倍率」が計算できます。
フリーキャッシュフロー倍率が15倍以下であれば割安といえましょう。

企業経営がキャッシュフローを重視しているかどうかは、フリーキャッシュフローが黒字になっているかどうかで判断できます。

また、事業の性格もキャッシュフローを見ることで判断できます。
たとえば、純利益の数倍の設備投資を毎年のように行っている企業は、効率の悪い事業を営んでいるといえます。

こういう事業を、価値を破壊する事業といいます。
株主価値は、当然、マイナスです。
不採算事業をいつまでも継続すると、会社自体がつぶれてしまうのです。

:::まとめ:::

フリーキャッシュフローは
+純利益
+減価償却費
−運転資金の増加(売上債権の増加+棚卸資産の増加)
−設備投資

フリーキャッシュフローの概念をさらに一歩進めたものが、
株主にとってのフリーキャッシュフローです。

「株主にとってのフリーキャッシュフロー」は、
+純利益
+減価償却費
−運転資金の増加(売上債権の増加+棚卸資産の増加)
−設備投資
−支払い利息
+借り入れ金額の純増分(新規借り入れ増加分から返済分を控除したもの)

→株主にとってのフリーキャッシュフローは、理論株価へつながる重要な概念のひとつです。

(山本潤)

(この連載は2005年12月時点で執筆されたものです。情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

億の近道2006/09/26


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
投資情報メールマガジン                   2006/09/26
              イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週4回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【ご挨拶】
 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。火曜日版は証券・金融業界に身を置い
ている人間に加え、個人投資家も執筆に加わっています。各種分析や銘柄を参
考にして、「億」の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

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             −本日の目次−
     (本日の担当:山本潤&石川臨太郎&彼岸先生)

 ◆コラム「連載 ファンダメンタルズ分析入門第2部(32)」:山本潤
 ◆コラム「連載 株式投資で人生を変える(19)」:石川 臨太郎
 ◆コラム「連載 技術のわかる個人投資家season3(28)」:彼岸

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◆コラム「連載 ファンダメンタルズ分析入門第2部(32)」:山本潤

■■財務諸表入門 〜キャッシュフロー計算書 CF〜 その3■■

★キャッシュフロー経営

売上債権回転率や在庫回転率を一定に管理して、減価償却費の範囲内で設備投
資を行うことを「キャッシュフロー経営」と呼び、経営の基礎とされています。

株主にとっては、借金も、キャッシュフローの増加を意味します。
企業活動が活発になれば、当然、売上げが増えます。
売上げが増えれば、売上げ債権も棚卸資産も増えます。
その増加分を借り入れで補えば、キャッシュフロー的には、中立となります。

その場合、
利益の増加分=株主とってのフリーキャッシュフローの増加分となるわけです。

過去の平均的なキャッシュフローを財務諸表から算出して、時価総額と比べる
ことで、「実績フリーキャッシュフロー倍率」が計算できます。
フリーキャッシュフロー倍率が15倍以下であれば割安といえましょう。

企業経営がキャッシュフローを重視しているかどうかは、フリーキャッシュフ
ローが黒字になっているかどうかで判断できます。

また、事業の性格もキャッシュフローを見ることで判断できます。
たとえば、純利益の数倍の設備投資を毎年のように行っている企業は、効率の
悪い事業を営んでいるといえます。

こういう事業を、価値を破壊する事業といいます。
株主価値は、当然、マイナスです。
不採算事業をいつまでも継続すると、会社自体がつぶれてしまうのです。

:::まとめ:::

フリーキャッシュフローは
+純利益
+減価償却費
−運転資金の増加(売上債権の増加+棚卸資産の増加)
−設備投資

フリーキャッシュフローの概念をさらに一歩進めたものが、
株主にとってのフリーキャッシュフローです。

「株主にとってのフリーキャッシュフロー」は、
+純利益
+減価償却費
−運転資金の増加(売上債権の増加+棚卸資産の増加)
−設備投資
−支払い利息
+借り入れ金額の純増分(新規借り入れ増加分から返済分を控除したもの)

→株主にとってのフリーキャッシュフローは、理論株価へつながる重要な概念
のひとつです。

(山本潤)

(この連載は2005年12月時点で執筆されたものです。情報提供を目的に
 しており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任
 と判断で願います。)

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◆コラム「連載:株式投資で人生を変える(19)」

 最近ゆっくり生きることの快適さ、素晴らしさを体感できるようになって来
ました。サラリーマン時代は会社の仕事も、それなりに忙しく、残りの時間を
投資のために費やすことが多かったため、夫婦の時間を取ることが本当に少な
かったと感じます。

 サラリーマンを卒業したあとも、これでいままでできなかったことができる
ぞと喜んで、いろいろなことをやってみました。つまり自分の好きなことをす
るために、多くの時間を使ったということです。

 それはそれで楽しかったのですが、大切な夫婦の時間をとることをおろそか
にしてしまったということに、遅ればせながら気がつきました。

 サラリーマンを卒業したことで家事の分担をしたりして、家のことに使う時
間は増えていましたが、夫婦でいろいろなことを話し合う時間はちっとも増え
ていなかったと反省せざるをえない状況でした。

 同じ年の知人など50代にも、40代の知人にも夫婦の危機が訪れている人
は多いように感じます。中年層ばかりでなく、20代や30代でも、夫婦の危
機が抱えている人も多いかも知れません。同年代には結婚しない娘さんがいて、
別れてもいいから結婚だけは経験しておいて欲しいという、物分りの良い親も
増えているようです。ただしこぶツキで戻ってくるのだけはやめて欲しいとい
う親も多いようです。

 男にしてみれば、家族のために必死で働いて、嫌な人間関係にも耐えて生活
費を稼いでいたのに、それがどうして悪いんだ・・・・。ということになるか
もしれませんが、それは言い訳に過ぎないのかもしれません。サラリーマンを
やめて、はっきりそのことに気がつきました。

 世の中の動きが早くなりすぎて、変化についていくことが大変になっていま
す。しかし世の中には早く行動しなければならないこともありますが、じっく
り時間をかけて取り組まなければならないことも多いです。夫婦の時間をもう
少し大切にしてみてはいかがでしょうか。

 投資でも事業でも上手くいきだすと、もっともっと稼ぎたいとか、事業を大
きくしたいとか、欲がどんどん大きくなっていくのはしょうがないと思います。
そうやって人類は発展してきたのだと感じます。ただ、注意したいのは欲が大
きくなってしまい、欲に引きずられた時に、一番大切なものを失わないように
したいということです。

 自分の目的がなんだったかを常に忘れないで、しっかりと心の中心に置いて、
意識していきたいと思います。

経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎

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◆コラム「連載:技術を評価できる個人投資家の養成講座season3(28)」

(28)カメラ(1)

 今回は、携帯電話機に搭載されているカメラについてお話したいと思います。

 現在は200万画素のカメラが当たり前になっていますが、これから、カメ
ラはどのように進んでいくのでしょうか、今回から2回にかけて、携帯電話の
カメラの進んでいく方向を考えてみたいと思います。

 200万画素のカメラは俗に2メガのカメラと呼ばれたりしています。写真
を200万個に分解して画像を取り込んでいると、捕らえていただければよろ
しいと思います。これが、3メガのカメラならば、300万個、5メガのカメ
ラならば、500万個に画像を分解して画像を取り込んでいるというわけです。

一つの写真を沢山分解して、取り込むということは、それだけ細かく写真の色
を表現できるということです。

まずは、どんな形をしているかというと、見た目は色々な形がありますが、代
表的な形を説明してみましょう。

カメラの鏡筒部(きょうとうぶ)と呼ばれる筒があって、そこには、上からレ
ンズ、カメラの心臓部である受光素子が入っています。更に、その下に、電気
部品がのっている基板があります。そこから、フレキ基板が伸び、そのフレキ
基板には、携帯電話機側の基板に接続できるコネクタがついています。

外観の話はこれぐらいにして、中身のお話をしましょう。感覚的につかめる様
にお話したいと思います。もしご専門の方がいらして、ここはこうじゃないか、
こういう表現の方が判りやすいのではないかと気が付かれた方は、連絡いただ
けると幸いです。

撮影するときの流れと一緒に、説明したいと思います。まず最初に、撮影する
際に、顔や風景にレンズを、向けることになります。

この時、風景や顔の光がレンズを通って、受光素子に到達します。ここで、光
は電気信号に変換されます。電気信号に変換された光は、フレキ基板を通って、
コネクタより携帯電話機本体へと信号として伝えられます。ここで、やっと携
帯電話機の液晶に風景や顔の画像が表示されるわけです。

ここで、最後に、受光素子の動きを見てみましょう。これも簡単に説明しまし
ょう。受光素子を拡大していきますと、碁盤の目のように受光素子がならんで
います。この数が200万個であれば、200万画素のカメラ、500万個で
あれば、500万画素のカメラということになります。そのひとつひとつがC
−MOSと呼ばれるセンサーです。

このひとつひとつのセンサーがどの様な動きをしているのでしょうか。

顔、風景の光がひとつひとつのセンサーによって、RGB(赤緑青)にて表現
されていくのです。どの様な色もこの光の3原色でつくりだせますので、セン
サーが赤の光の割合、緑の光の割合、青の光の割合を測定しそれを信号として
送りだすのです。

逆に言うと、信号として変換された顔や風景を拡大していくと、赤と緑と青の
小さい点の集まりが見えるということです。200万画素のカメラでは、その
顔や風景が200万個のRGBの小さい点であらわされていて、500万画素
のカメラはその2.5倍(500万÷200万)の小さい点であらわすことに
なります。画素数があがれば、画素数分、綺麗な(細かい)画像ということに
なります。

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■「山本潤氏のファンダメンタルズ分析日本株アナリスト養成講座DVD」
 発売!!■

「NPOイノベーターズ・フォーラム 公認日本株アナリスト 認定講座」
共催:エンジュク 協力:ダイヤモンド経営分析チーム

 2005年4月に行われた山本潤氏のセミナー映像に加え、ファンダメンタ
ルズ分析に必要な内容を新たに撮り下ろした映像を全て収録した4枚組DVD
です。

◆ファンダメンタルズ分析の決定版。
 いままで体系的に語られることの少なかった実践的なファンダメンタルズ
分析を網羅。最終的には個別株のレポートが作成出来るレベルを目的として
います。受講出来なかった方や反復学習したい方には最適な内容です。

◆充実したボリューム
 価格は48,000円とやや高額ですが、4月のセミナー(受講料38,0
00円)で使用した資料添付はもとより、全部でDVD4枚組、約450分の
充実した内容となっています。

詳細はエンジュクのホームページまで。
http://www.enjyuku.com/v_kabu_10.htm

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■億近執筆陣の本 好評発売中!■

石川臨太郎
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村田 雅志
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投資の王道(その38)

■気になる会社 その2−7■

 私の投資手法は、

1、会社四季報掲載の約4000社を自分自身で分析し、経営基盤が安定しこれからの成長が見込まれる400社から500社程度に絞り込む。
2、さらに、その中から、割安圏にある会社を100社程度に絞込む。
3、最終的100社程度の中から投資を行うのは、ベストタイミングで購入するチャンスのあった10社から20社程度である。

というものです。
 以前に引き続き、気になる会社を解説していきます。

●<2674>ハードオフコーポレーション
 リサイクル商品を販売する店舗を展開。環境に対する意識の高まりから、資源を有効活用する同業態の展望は明るいが、原油価格・資源価格の今後長期間(おおよそ15年から20年)に渡る上昇もリサイクルユーズを増加させるだろう。2005年には直営・フランチャイズあわせて500店舗を達成。同社はブックオフの加盟店であり、歴史的にも深いつながりがある(ブックオフもハードオフの加盟店)。ブックオフは、中古書店で世界唯一の上場企業だそうだが、ハードオフもリサイクルショップという上場企業としては特異な業態である。ちなみに、ブックオフの方が知名度が高く脚光を浴びているが、ハード
オフの方が収益性に優れている。また、現在注目されている<循環型社会>を構築するビジネスである。21世紀の<エネルギー不足>は同社事業の追い風になる。

●<2678>アスクル
 オフィスに事務用品等を迅速に配送するサービスの草分け。1993年、大手文具メーカー、プラスの一事業部門としてスタート。1997年に分社・独立。販売認可を取得した医療寺領分野に新規参入し、専門カタログも発行。2004年に開始した、医療用一般消耗品サービスは順調に推移。

●<2685>ポイント
 ワクワクする普段着が商品コンセプト。10代から20代がターゲット。ファッション・アパレル産業は、ブランドを確立すれば非常に利益率の高い商売だが、栄枯盛衰のスピードが極めて速い。まだ、10年・20年通用するブランドになるかどうかわからないが、現在のところ非常に利益率の高い商売をしている。今後の動向に注目。

●<2753>あみやき亭
 平成7年7月にあみやき亭1号店がオープン。名古屋を中心とする愛知県内の他、岐阜・三重などにも店舗を展開。ドミナント出店が店舗の展開上有利なのはドミナント出店にこだわったセブンイレブンと、とにかくすべての都道府県に出店することを優先したローソンの業績の差を見ても明らかだろう。地域集中型の出店効果もあって、上場飲食会社の中でも高い利益率を維持している。すべて直営店であることに注目。フランチャイズチェーンのすべてがだめというわけではないが、フランチャイズシステムで資金(オーナー)だけを集めても、<収益性の高い店舗>をうまく展開できないのが飲食業である。これは、コンビニやブックオフのように、FCシステムで成功した事例が多い小売(物
販)業とは対照的である。飲食業は、調理をはじめとする現場(店舗)での細かい作業が多く、また、顧客とのコミニュケーション密度が物販に比べて高いため、FCオーナーおよびスタッフへの教育等が難しいことも、FC化を妨げている大きな原因だろう。あみやき亭のメニューは220種類と豊富。

(OH)

(以下、次週に続く)

*ブログを始めました。「大原浩の金融・経済地動説」です。
宜しければ一度ご覧になって頂ければ幸いです。

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

ここでの投資戦略

2番底形成を目指す銘柄か、上昇トレンド銘柄の押し目を狙うか?
〜個別銘柄ごとに異なる株価変動を上手に捉えよう〜

 日経平均は16000円台への戻り相場から再び調整の動きが見られる。結局は春先の高値17600円台が抜けず、6月の安値14000円台前半水準も下回ることなく、この間のボックス圏内の動きが続いており、現状はその中間にあって比較的居心地の良い水準で変動していると言える。

 一握りの主力大型株中心の動きからこのところ材料株や好業績ハイテク関連株などが物色される展開となってきたが、大方の銘柄が1月の高値水準から9ヶ月近くにわたって調整を余儀なくされていることが、多くの皆様の資産運用にも痛手となって現れているに違いない。

 ここに来ての困難な状況は昨年まで続いたライブドア、村上ファンドといった時代の潮流が一連の事件を契機に完全にパラダイムシフトして物色の方向を変えてしまったことによると解釈しているが、皆さんはどうお考えになっているだろうか。

 ライブドアで損をした投資家の怨念のような売り圧力が株式市場にじわじわと反映されていることに気がついておられる方々も多いのではないだろうか?格差は運用の世界でも如実に表われ、機関投資家も中小型銘柄中心の運用のアクセントをつけていたところは敗者となり、インデックス運用ないし誰でも知っているような主力銘柄中心の運用を行っているところは勝利を収める結果となったと言えよう。

 また、業績を地道に分析し、流動性も加味してしっかり選別し運用の対象としたファンドマネジャーはそれほど大きな痛手を受けていないものと推察されるが、大方は委託者の解約要請に機械的な売りを浴びせて自分で自分の首を絞める動きが見られる。
 私もかつて経験したことのあるバブル崩壊相場で委託者の解約要請を受けて、致し方なく売り続けたこともある(念のために言っておきますが自ら組み入れた銘柄ではなく、私が他のファンドマネジャーから引き継いだファンドが主です)。こんな安値で売るのは忍びないとは分かっていても、顧客の解約要請に躊躇してはいられない。ファンドの宿命。負けたものの結末なのだ。撤退売りがドラステッィクに出るからこそどんな良い銘柄も下がってしまうのだ。
 だからこそ逆に中・長期を眺めるとチャンスなのです。底打ちが確認できないまま、買いの手が入らずにじりじりと下げてしまう銘柄が多い現在の相場状況は本当に忍の一字と言えるでしょう。

 先日、ある運用会社の役員と話していて冴えない顔をしておられたので聞いてみたら「こんな相場展開(新興市場銘柄ががたがたの状態)は初めてのことだ。また1からやり直し」とポツリと話をされたのが印象的だった。彼らの委託者から見ると全体指数が上昇しているのにお前のところの運用成績はちっとも上がらない。新興銘柄ばかりで組み入れてどうなっているんだ!!と恫喝めいた話がきっと飛び交っているに違いない。彼らにしてみればアナリストが足を運んで調べた銘柄に良かれと思って投資しているのにちっともパフォーマンスが上がらず、指数が戻っている時もファンドの成績は上がらずしんどい状況が続いているものと推察される。

 かつて来た道…一寸なつかしい思いすらしてしまう…。

 でもいつまでも沈んではいられない。来るべき未来に向けて種を蒔く時期が到来しているのである。

 さて、ここでの投資戦略に話を移してみよう。
 中小型株を中心に調整が続く株式相場ですが、細かく眺めると中小型株に関しては押しなべて現在は村上ファンド問題で揺れた株式相場全体の安値形成局面が見られた7月安値に対する2番底形成局面にあるかと思われます。
 この2番底形成局面の銘柄をじっくり狙うもよし、この調整局面の中で上昇傾向を辿る材料銘柄に関心を寄せるもよし、皆様の秋相場への取り組み姿勢は2つに分かれるものと思われます。

【夢真ホールディングスの例】

 2番底形成銘柄の事例として夢真ホールディングス(2362・ヘラクレス・時価237円)で見てみましょう。

 同社はM&A戦略をコアの事業モデルとして建設コングロマリットを標榜している企業でオーナーの成長志向に支えられて時価総額を上場以来、高めてきましたが、大幅な株式分割後の高値400円台を頭に調整を余儀なくされてきました。
 5月の後半につけた402円という高値から7月には198円という安値まで売り込まれましたがその後は8月にかけ一旦294円まで戻りました。約200円幅下げて、約100円幅戻ったところですが、現在は再び調整局面となり、2番底形成の動きとなってきました。

 同社株は事業の収益基盤がまだ十分に幅広い投資家に理解されないまま推移しているという現状が見られます。200円割れした1番底に対してまだ30円余りの下落余地があるためまだ本格的な買いのタイミングとはなっていないようにも見受けられますが、今後の展開を注意深く見守ることに致しましょう。なお、業績的にはM&A効果で比較的堅調なようです。9月決算ですから11月には新年度の見通しが明らかになるものと考えられますが、その際の内容がポイントとなります。

 一方で上昇傾向がこのところ顕著な銘柄も見出せます。

 ここでは現実に即して銘柄名と簡単なコメントのみ行いますが、こうした上昇傾向の銘柄を投資の対象としてタイミングを計ることも短期的な戦略としては重要になるかと思われます。
 また、多くの株価低迷銘柄の経営陣もいつまでも手をこまねいて見ていることはないでしょうから、一寸したきっかけで株価が動き出すような材料を秘めた銘柄が徐々に増えてくるといった期待も高まってくるでしょう。
 解約されたファンドもあれば、ここがチャンスとばかり新たに設立されたファンドもあるでしょうから、余り悲観視ばかりしていてもいけません。前向きな投資戦略を構築して資産のリカバリーを図って頂きたいと思います。

【上昇トレンド銘柄】

◆半導体関連
・SUMCO(3436・時価8100円/シリコンウエハ生産拡大で業績好調、上方修正で直近8960円の高値をつける)
・信越化学(4063・時価7200円/シリコンウエハで世界シェアトップ、短期上昇後の調整場面)
・三益半導体(8155・時価2415円/信越化学のグループでシリコン加工を受け持つ、上昇後の調整局面待ち)
・ミライアル(4238・時価12390円/シリコンウエハ容器メーカー)
・大日本スクリーン(7735・時価1050円/シリコンウエハ洗浄装置)

◆食品株
・ヤクルト本社(2267・時価3230円/好業績、ディフェンシブ銘柄)

◆低位個別材料株
 企業再生を図るシナリオ構築でファイナンス実施を発表して株価の上昇が見られるA社(諸般の事情で企業名は今回伏せさせて頂きます。あしからず御容赦ください。時価200円以下、上昇後の押し目待ち局面)

 安倍政権の誕生で新たな政策としてIT投資減税などに法人税の減税が打ち出されるなどこの先の株式相場、とりわけ新興ベンチャー企業に対しても若干明るい話題が見出されるようになりつつありますので、多少は皆様も前向きに取り組まれるチャンスが到来するものと期待されます。

 このように個別銘柄ごとに株価の変動パターンは異なっておりますのでそうした変動の特徴をうまく捉えて取り組まれることが求められます。
(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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