JUGEMテーマ:株・投資
日経平均は11,800円を超えていよいよ12,000を目指すかという状況にあって、何を考えるべきだろうか?
私はこのなんとなく上昇している市場に危機感を感じている。
石油価格の上昇、人民元の切り上げ等、
想定されるマイナス要素をそれなりに織り込んでいることから市場には安心感もあるのだろう。
こんな時こそ、あせらずにじっくり選別すべきだと思う。
株価の上昇に乗り遅れまいと買い進むのはリスクを伴う。
もっと重要なのは、市場の動向に左右されない銘柄発掘である。
で、今日も個別企業を見ていきたい。
若干、長いがなんとなくこんな事を見ているんだ・・・
程度でも見てみてほしい。
日本SHL(HC:4327)の17年9月期第3四半期発表があった。
当メルマガ2005年4月6日号でも紹介した銘柄です。
個人的にも投資している企業であり、注目していた。
成長性に対して割安感があり、小型株の為、上げはじめると急騰する事もある。
改めて前回紹介の内容を簡単に確認すると
**********************
<どんな会社?>
四季報より
特徴:採用や昇進時の適性テスト診断ツールを販売。
Web製品・サービス内製化で高収益
英国に本拠を置く SHL Group plcの100%子会社であるSaville & Holdsworth International BV社の関連会社であり、これらのグループ会社が持つプロダクト、商標及びノウハウによって人材アセスメント事業を提供している。
2004年9月期
B/S
流動負債 211,517
固定負債 59,405
負債合計 270,923
に対して
現金及び預金 781,498
流動資産合計1,366,667
株主資本比率 84.6%
無借金
P/L
ポイント
売上原価率 15.8%
営業利益率 29.9%
原価が低いのはSHLグループの持つプロダクトを利用するため、新たな開発に多額の資金投入の必要がない。
逆に売上高販管費率が54.3%と高いのはまさにプロダクトやシステムで稼ぐのではなく、人で稼いでいるということであろう。
商品の競争力も高く、高い利益率を維持しているのがわかる。
予想PERは株価15万だった時に17倍程度であった。
15万円近辺で推移していた時には時価総額50億円を下回る水準。
バリュー投資家の”真のPER”という見方をすると
50億−現預金8億=42億
予想当期純利益 約3億
42億/3億=PER14倍
である。
利益率が高く、割安な水準で放置されていた。
放置されていたのは次のような理由で成長に?がついたからのようである。
2004年9月 (カッコ内は前年比)
売上 1,256(−2.7%)
営利 376(−19.8%)
当期利 208(−21.8%) *特損計上あり
前年比減収減益である。
さらにリクルートの営業方法に対して、東京地方裁判所へ提訴するも裁判所は請求を取り下げ、同社も控訴しないとの決定をしたため、判決が確定。
裁判所が同社のプロダクトの有効性を否定したかのような捉え方もされそうだが、同社にとっては控訴しても時間とお金がかかるだけで大きなメリットは望めず、提訴だけでもリクルートMSに対して牽制になったために控訴をしなかったと考えるのが妥当であろう。
こんなごたごたもあり、当社の成長性に疑問を持った投資家は投資対象として同社に対する興味が薄れたものと思われる。
次に直近の状況確認として1月28日発表の2005年9月期
第一四半期は
売上 177
営利 △29
経利 △33
と芳しくない。
減収減益の原因は”企業倫理憲章”に賛同し、採用選考開始時期を4月1日以降とする企業が増え、売上計上時期が遅れた為とのことである。
そうなると、数字として現れるのは第3四半期の業績発表か。
そこまで待ちたいと思うところだが、マイナス材料が並んでいる時こそ、割安に仕込むチャンスである。
マイナスの材料にも株価は大きく下げることなく横ばいを続けていることを考えれば、折込済みと判断できる。
少しでも良い材料がでれば反騰の可能性が十分考えられた。
*ちなみに私は同社の株価上昇のタイミングは
企業の採用活動などの状況を確認しながら、
第3四半期の業績発表前あたりを想定(期待)していた。
予想に反して、ちょっとした材料で一気に上げてしまった。
以下の点からも、財務の悪化は考えにくい。
・前述の通り、すでに実績のあるSHLグループのプロダクトを利用すると言う点で多額の資金が必要とならない。
・仕事の質を維持しながら、良き社風を維持し続けることを明言しており、安易な人員補強についてははっきり否定している。
また、事業環境には長期的に追い風
・企業の新卒、中途社員の採用意欲は高まっている。
・大学はあまるほど作られており、今後は一段と選別が重要になる。
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という状況だった。
では中間にも触れつつ第3四半期まで見ていこう。
中間では
売上 573(+4.1%)
営利 110(+3.9%)
経利 102(-2.3%)
第3四半期(今期より連結決算となる為前期比なし)
売上 887
営利 191
経利 185
注目は通期予想に対する達成率である。
通期予想は
売上 1,508
経利 518
第3四半期時点での達成率は
売上 58.8%
経利 35.7%
である。
”あと3ヶ月で達成できるのか?利益の達成率が特に不安だ・・・・”
と考えるのが普通である。
株価は素直に反応し、急落している。
一時は30万円を超えていた株価もあっという間に24万円台になっている。
実は私も一部利益確定してしまった。
私も若干不安になったと共に他の保有者が過剰反応すると考えたからである。
さぁ、この急落後の現状においてどう考え、どう行動すべきか?
<進捗率の低さの理由を考える>
理由は2点
・企業が企業倫理憲章に賛同し、採用選考開始が遅れたこと
・連結子会社
第3四半期財務業績の概況(個別)
を見ると、
売上 874(+5.3%)
営利 201(+20.3%)
経利 201(+21.3%)
個別での通期予想達成率は
売上 60.7%
経利 40.2%
若干改善することから連結子会社が要因である事がわかる。
(達成率を計算するまでも無く、絶対値みればわかるのですが(笑))
<連結子会社>
利益進捗率の低さの原因となっていると思われる16年8月に連結した子会社
連結子会社は1社
日本エス・エイチ・エル販売会社
インターナルアセスメントサービスの提供をする会社
インターナルアセスメントサービスとは・・・
企業や様々な組織団体で働く社員(管理職・役員を含む)の能力や適正を客観的に測定しその測定結果を配属・登用等の企業目的や個人の能力開発に活用するサービスだそうです。
日本SHL(親会社)の取引先のうち首都圏に本社を有する300社を主要ターゲットとしています。
営業がこの対象企業を回って尿力評価、能力開発等の提案をしてまわる。
資料上からはわかりませんが、人が直接営業をしてまわるという事で若干固定費が大きくなると思われます。
親会社の取引先を主要ターゲットとしている事から営業もまったくの飛び込みよりもは、比較的容易なものと想定されます。
<子会社の状況> *中間決算説明会資料より
中間時点(単位:千円)
売上 14,623
経利 -11,642
受注残 23,000
ポテンシャル 39,000
*ポテンシャルとは”受注可能性あり”くらいの意味でしょうか?
年間売り上げ見通し
76,000
固定費率が高く、中間時点では利益ベースで
かなりマイナス要因となっている事がわかります。
さらに、中間決算説明会資料上には下期の活動による売上
60,000
合わせて
136,000
が通期で貢献する。
と記述されています。
第3四半期はどうでしょうか
決算短信等には記述されていませんので
・受注残
・ポテンシャルがどれだけ受注につながったか
・年間売り上げ見通しに変化があったか
という点に注目したいところです。
中間同様、説明会資料のようなものがアップされればよいですが、なければ会社に質問する必要がありますね。
ただ、わかるのは
売上が小さく、固定費の割合が大きいことから、経常利益ベースで赤字の状況にあるということ。
一定規模以上売上計上が出来れば利益転換する。
当期予想の個別と連結を比較してもわかるとおり、当然、利益がでると考えている。
<では・・・・どうしようか>”
売上計上時期が遅れた”
ということから今回の第3四半期の発表では何らかの数字として現れるものと想定したしたが発表資料からは読み取る事が出来なかった。
しかし、事業環境に変化はない。
第3四半期に数字として現れると考えていたが、そんなに早くは出てこないものかもしれない。
とすれば会社側の”順調”の言葉も納得できる。
子会社の収益が短期的に足を引っ張っていることもわかった。
・・・・甘い(笑)
過信してはいけない。
企業にほれると自分の都合のいいほうに解釈してしまいがちですが、投資家が特に意識すべきなのはリスクです。
リスクが考えられる場面では保守的な行動をすべきであると考え、私も一部利益確定をした。
しかし、しかし・・・(笑)
第3四半期の時点におけるこの進捗率で”遅れている”ということであれば多少なりともコメントされていてもおかしくないだろう。
マイナス材料は一言も書かれていない。
通期の予想も修正していない。
現状の発表内容から強気に買い進む投資家も少ないと考えられるので期末までに買い遅れるということも考えにくい。
逆に大きく売りたたかれれば買いのチャンスと考えて行動してみたいと考えている。
この限られた情報の中で株価水準によってはリスクよりもリターンが大きくなる可能性がある。
順調であるという会社の言葉を信頼して売らない投資家も多いだろう。
これで大幅な下方修正や業績予想の未達となれば投資家の信頼を損なう。
(と釘を刺しておこう・・読んでないって(笑))
知の利
<スローガン>
仲間と共に理想社会への投資をはじめよう!
−投資活動によって理想社会を実現する−
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)