9月14日付の日本経済新聞は、9月末に完全施行される金融商品取引法(金商法)の対応で苦労する金融機関の姿を紹介しています。金商法とは、証券、投資信託、金融先物など縦割りに作られていた法律を統合した金融取引の基本的なルールを定めた法律です。
金商法の特長の1つは、投資家保護の徹底です。金商法では、投資家保護を目的に元本割れのリスクを伴う預金、有価証券、保険など幅広い金融商品に、広告の表示規制や販売時の書面交付義務などを金融機関に課しています。たとえば投資信託や外貨預金などの広告においては、利点だけを強調する広告は禁止となり、損失が生じるリスクや手数料などを明確かつ正確に表示する必要があります。
金商法は9月末に完全施行されるため、金融機関は投資信託などの金融商品の広告を金商法が求める条件に合致させる必要があります。しかし金融商品の広告は多岐にわたります。たとえば、投資信託の場合、1つの商品でも目論見書、販売用パンフレット、チラシ、ホームページ、ノベルティなど、数多くあります。金融機関は、こうした多岐にわたる広告のうち金商法に対応していないものを9月末までに全て差し替えるか、掲載を取り止める必要があります。たとえば、商品名が記載されているボールペンなどのノベルティグッズの場合、スペースの都合もありリスクなどの説明がほとんど記載されていないため、全ての在庫を9月末までに配布するか、廃棄することになります。
日本経済新聞は、金融庁に金融機関から金商法の解釈に関する合わせが殺到していると紹介しています。金商法の条文には、金融商品の広告に表示すべきリスク説明の具体例が記載されていないため、金融機関は、広告にどの程度のレベルまで説明を盛り込むべきかを金融庁に問い合わせているようです。金融機関とすれば、金商法施行前に金融庁に確認し、金商法に違反しないように準備をするのは自然のことと思われます。ただ金融庁は、法律の趣旨を踏まえ、金融機関自身の考えで広告活動をしてほしいようで、広告の具体的なあり方については、明確な回答が(金融庁でも)できていないようです。
こうした状況を考えると、金融庁から具体的な指針が示されるまで、金融機関は、金商法が施行される10月以降、金商法に違反しない内容を手探りで模索し、大々的な広告を自粛する気がします。場合によっては、金融商品に関する広告を取り止める金融機関が出てくるかもしれません。
ただ、投資信託や外貨預金は、同じ分野であっても商品特性は大きく異なっているほか、他製品と違って目に見えるものでもないため、販売を拡大させるためにはある程度の広告が必要です。金商法に違反したくないからと、広告を自粛していると、金融機関のビジネス拡大が期待しにくくなります。金融機関は、金商法に違反せずに個人投資家に効果的な広告を出すという、これまでとは違うビジネススキルを求められるのかもしれません。
村田雅志(むらた・まさし)
(GCIキャピタル・チーフエコノミスト)
<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月より現職。
現在、コンテンツ事業の立ち上げに奮闘中。
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<主な著書>
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)