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変われるのか?その2

 先日の週刊ダイヤモンド(2/9号)で日本農業の実力との特集が組まれていました。つい先日の日経でも、安倍首相が農業改革に前向きとの記事が載っていましたが、自分達が作ったコメ先物市場ですら仲間割れによってまともな運営が出来ないほど腐りきったシロアリを駆除できるのか?…見ものです(苦笑)。
 10年ほど前まで私も農業の真似事(会社勤務をしながらでしたから大変ではありましたが)をしていたことなどで興味がありますし、今でも様々な農業関係者とのお付き合いがありますが、この特集一つとってもTPPに参加したほうが日本の農業にプラスではないかと感じる今日この頃です。

 好例になるか分かりませんが、例えば夏野菜の真っ盛りの頃、キュウリやナスなどは適度な水さえ与えて好天に恵まれれば、あとからあとから、これでもかと言うくらい収穫できます。いやそれどころか、毎日ちゃんと収穫しないとドンドンと大きくなり売り物にならなくなってしまうから収穫せざるを得ないほどです。
 結果として周囲の農家からも大量に同様の野菜が出荷されることになりますから当然卸値を押し下げます。通常は農協を通すのですが、時期が重なるとキュウリ1本あたり10円にも満たない卸値になってしまいます。それこそ数量は少なくても無人販売所に3本100円で置いてみたり、共同販売所で売った方が実入りが良く、卸せば卸すほど運賃などが嵩み赤字になります。とは言え、自分で売るのと卸すのでは数量の桁が違いますし、全く卸さないでは後々の農協との関係も気になりますから、「泣く泣く卸す」などということが頻繁に起こります。たとえ儲からなくても、そうしておけばイザと言うときには補助金等で助けてもらえますし、嫌がらせを受けることもありませんから…。何と言いますか、まさに生かさず殺さずというところでしょうか?
 何故そんなことになるのかと言えば、卸すルートが農協一本しかない故に農家側が価格決定権を持てず、また中小農家では需要予測などの情報も得られませんから。ましてや中小の農家が冷蔵倉庫で管理したり需給調整をしたりなんて芸当も出来ません。

 農業全体がもっと自由化されていて、やる気のある農家が協力し合い、そして若い人たちが積極的に関与し、工夫して情報を取得するなどで品揃えや収穫の多寡を調整したり、取引ルートを開拓したりなどをする余地があったなら、恐らくはもっと違った取引方法や価格形成が出来る(新しい農業が始まる)はずと感じていました。

 実際に当時仲の良かった農家の方からは、農協とは長い付き合いがあるからと言うだけではなく、イザと言うときの借り入れや支援が必要な時のため、普段は用事もないのに止むを得ず農協から割高な機具や肥料を買っているが、街中のホームセンターへ行けば農協の半額で同じ肥料が買える。だから気づかれないよう毎年使う分の3割くらいはみんなコッソリとホームセンターで買っているのが現実ですと嘆いていました。別に割高な肥料を買わずとも必要な支援をするために存在しているのが農協のはずなのですが、トンチンカンな話です。

 2011年から民主党が始めた農業者戸別所得補償制度では、私がお付き合いしている兼業農家でも、止めていた小さな水田での稲作を再開し補償申請した農家が幾つかありました。彼ら仲間内の話しでは「やらなきゃ損」って雰囲気でした。聞く限りでは本当に必要とは感じませんでしたが…。

 TPPに反対しているのは全農に代表される利権団体などの上部団体が中心であり、例えばやる気のある単位農協(地域JA)の中には全農の画一的な管理を疎ましく思っているところも結構あります。何故彼らが反対するのかを簡単に言えば、取引の透明化や自由化、公平性の進展こそが彼ら上部利権団体の存在を脅かすことに繋がるからです。
 先回のコラムでご紹介した「お手上げ氏」などはその利権団体の代表であり、楽をして美味しい思いをしている利権団体役職員(農水省関連からの天下りが多数)の代弁者ですから、実は地元で頑張っている地域JAの職員とは意見が違っているにも関わらず「国民の総意は」とか「日本の農業が崩壊する」などと大袈裟に言う癖がついています。多数では無いかも知れませんが聞いているところでは、地域JAの部課長クラスなどは必死になって地域の農家の活性化を模索して頑張っているのに、上部団体が(自身の存続の為に)勝手な指示を下ろしてくることに戸惑っているとの事です。

 今までそんな利権団体に農業を任せていたからこそ「こんな風」になってしまったにもかかわらず、事ここに至っても外部からの参入に抵抗し、TPP交渉への参加すらも反対し「自分達に任せろ」と言い続けている訳ですから、どれほど無責任な、私利私欲に塗れた連中か…。ゴキブリの足に張り付いたダニより始末が悪い。

 もちろん制度変更や自由化の進展によっては厳しい経営を余儀なくされる農家も出てくるのでしょうが、残念ですが全てを平等に救う手立てはありません。もちろんここでは資本主義や格差の議論などは避けさせていただきますが、どの世界にも全員が満足する術などありませんので、本当に困る農家には別途補助を考えるなども含めて、最大公約数的な物言いになることをお許しいただきたく思います。

 若者が敬遠する産業は必ず衰退します。産業としての魅力が乏しい、頑張っても稼げそうもない、面白味が無い…と感じるからこそ若者が増えず、高齢化が進んでいるのが日本の農業です。
 営農者を「農業」と言う産業の担い手では無く、票田として(票数として)、実は奴隷のように管理してきた農政が行き詰まりつつあります。痴呆政治家や族議員らは彼らに対していつまでこのような扱いをするのか?

 TPP交渉で国益を損なうほどの無理難題を押し付けられるなら参加を見送れば良いだけで、交渉への参加にすら反対する政治家など全く信用できません。隠したいことがあるのでしょう。「TPP参加の即時撤回を求める会」では相当数の議員が名を連ねていますが、実際の会合に出席する議員はその1/3程度と聞いておりますし、議員毎にも随分と温度差があるようです。都市圏選出の議員や知名度の高い(メディア露出度の高い)議員が比較的少ないこと、農水関連の族議員が多いことなども気になります。例の踏み絵の影響も大きいのでしょう。

 一つ一つ、このような事象の進み具合をつぶさに眺めたいところです。日本の産業が(日本国が)成長するのか?その成長に影響を受ける金融市場も成長するのか?

 まずは無茶な円高局面が終了したことで日本の産業全体に明るさが感じられるようになりましたが、実貿易額においては外貨ベースでの取引高には余り変化は見られず、取りあえずの為替メリットが決算に表れたといった様子の会社が多いです。まだ十分なデータは得られておりませんが、どちらかと言えば電気製品や資本財の売上高は若干減少しているようですので、手放しでは喜べません。

 ユーロの将来性につきましては余り強気になれませんが、米ドルにつきましては最近増えているエコノミスト予想(100円/USD)に向けて再度円安へ向かうようであれば、景気回復への期待も膨らみそうです。

 今年は日本を投資対象とする投資家にとってはとても大切な年になると考えています。

 余談ですが、まず自動車や機械(設備投資も含めて)周辺で円安メリットの大きい銘柄をスクリーニングした上で部門別利益率、財務状態などを調べたところ、幾つか割安な銘柄に気が付きましたので先週後半に少し買ってみました。外れるとご迷惑をお掛けするので書きませんが(恥ずかしいし(笑))、6300、6400、6600番台で各1銘柄ずつです。今のところ数万円だけ含みが…。さてさてどうなることやら(^^)。
 5200、5500、6700、6900、8000、8300番台の銘柄はまだ昨年からそのまま持ち続けています。まだ弱気なエコノミストが居たり、素人機関投資家のポジション調整の売りが続いていたり、今月末から来月にかけて株式投信の設定も増えるなどと聞いていますから、もうちょっと持っていようかなと…。漸く株式でも楽しめる季節が巡ってきたようです。

(街のコンサルタント)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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