伝説の投資家シリーズも第15弾となりました。本日の投資家は、世界最大のヘッジファンドを運営している、ハーバードMBA出身のエリート投資家、61歳のレイモンド・ダリオ(Raymond Dalio)です。
レイモンド・ダリオが設立したブリッジウォーター・アソシエイツ(Bridgewater Associates)は、世界一の運用資産額を誇るヘッジファンドで、その運用資産は1,500億ドル(約12兆円)と非常に巨大です。旗艦ファンドであるピュア・アルファ(Pure Alpha)は、1991年から平均18%のリターンをあげています。昨年のダリオの個人報酬は、約33億ドル(約2,600億円)にも及ぶそうです。
ダリオは12歳の頃に、ノースウェスト・エアライン(Northeast Airlines)の株を300ドル買ったのが初めての投資です。その後、ノースウェスト・エアラインはデルタ航空と合併し、彼の株は3倍になりました。
プロとしてのダリオの投資人生は、ニューヨーク証券取引所のフロアートレーダーから始まります。コモディティの先物投資のブローカーとして数年働いた後、ハーバードのMBAに行きます。その2年後の1975年に、ラグビーチーム時代の友人と2人で、ブリッジウォーターを立ち上げ、35年で世界最大のヘッジファンドに育て上げました。顧客はソブリンウェルスファンド(SWF)/年金基金/大学基金など、世界中の名だたる機関投資家がこぞってダリオのファンドに投資をしているようです。
ブリッジウォーターの成功は、それぞれの年代でマーケットのトレンドをよくつかみ、ストラテジーを柔軟に変化させてきたことにあるようです。80年代の為替オーバーレイ運用、90年代のalpha/beta戦略、インフレリンク債投資など、今では代表的なヘッジファンド手法として確立している手法をいち早く取り入れ、収益をあげてきました。2006年には、景気サイクルを判断する、ブリッジウォーターオリジナルのコンピュータモデルを構築し、このモデルが警告を発した事から、08年のサブプライム危機前に、リーマンブラザーズやベアスターンズへの投資から手を引くという見事な判断で、金融危機による傷も浅く乗り越えることができたとのことです。
ブリッジウォーターの人材育成方法は、知識やトレーディングスキルの前に、人の行動様式から指導する非常に独特なもので、メディアでも話題としてよく取り上げられます。入社すると、社員はまずダリオが作った約300の規則からなる、人生の行動指針を読むことを義務付けられております。また、「透明性」を最大限に重視し、過去のトレーディングの失敗事例を、オープンに全社で共有する環境が整えられています。
ブリッジウォーターは、様々なストラテジーを実践するマルチストラテジーファンドですが、グローバルマクロ戦略を最も得意としています。2011年は、債券/コモディティ/新興国通貨などの運用が好調なようです。多くの有名ヘッジファンドが運用に苦戦する中、ブリッジウォーターのパフォーマンスは秀逸で、スタート規模としては史上最大となる100億ドル規模のヘッジファンドの立ち上げにも成功したようです。規模が大きくなると、運用手法が制限され、リターンが下がるファンドが多い中、これだけの規模になっても、好調なリターンを出し続けているのは驚くべきことです。
ブリッジウォーターの社風は、上記の教育方針もあり、カルト的と言われることもありますが、アイビーリーグのMBAホルダーなど錚々たるメンバーを含む1,000人以上の従業員を率いて、良いパフォーマンスを出し続けるのは、ダリオが投資手腕だけでなく、経営にも優れているからこそでしょう。投資家としても、経営者としても世界屈指であるダリオの動向から今後も目が離せません。
S&S investments
岡村 聡
【プロフィール】
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。
2010年6月より、投資アドバイス会社S&S investments起業。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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レイモンド・ダリオが設立したブリッジウォーター・アソシエイツ(Bridgewater Associates)は、世界一の運用資産額を誇るヘッジファンドで、その運用資産は1,500億ドル(約12兆円)と非常に巨大です。旗艦ファンドであるピュア・アルファ(Pure Alpha)は、1991年から平均18%のリターンをあげています。昨年のダリオの個人報酬は、約33億ドル(約2,600億円)にも及ぶそうです。
ダリオは12歳の頃に、ノースウェスト・エアライン(Northeast Airlines)の株を300ドル買ったのが初めての投資です。その後、ノースウェスト・エアラインはデルタ航空と合併し、彼の株は3倍になりました。
プロとしてのダリオの投資人生は、ニューヨーク証券取引所のフロアートレーダーから始まります。コモディティの先物投資のブローカーとして数年働いた後、ハーバードのMBAに行きます。その2年後の1975年に、ラグビーチーム時代の友人と2人で、ブリッジウォーターを立ち上げ、35年で世界最大のヘッジファンドに育て上げました。顧客はソブリンウェルスファンド(SWF)/年金基金/大学基金など、世界中の名だたる機関投資家がこぞってダリオのファンドに投資をしているようです。
ブリッジウォーターの成功は、それぞれの年代でマーケットのトレンドをよくつかみ、ストラテジーを柔軟に変化させてきたことにあるようです。80年代の為替オーバーレイ運用、90年代のalpha/beta戦略、インフレリンク債投資など、今では代表的なヘッジファンド手法として確立している手法をいち早く取り入れ、収益をあげてきました。2006年には、景気サイクルを判断する、ブリッジウォーターオリジナルのコンピュータモデルを構築し、このモデルが警告を発した事から、08年のサブプライム危機前に、リーマンブラザーズやベアスターンズへの投資から手を引くという見事な判断で、金融危機による傷も浅く乗り越えることができたとのことです。
ブリッジウォーターの人材育成方法は、知識やトレーディングスキルの前に、人の行動様式から指導する非常に独特なもので、メディアでも話題としてよく取り上げられます。入社すると、社員はまずダリオが作った約300の規則からなる、人生の行動指針を読むことを義務付けられております。また、「透明性」を最大限に重視し、過去のトレーディングの失敗事例を、オープンに全社で共有する環境が整えられています。
ブリッジウォーターは、様々なストラテジーを実践するマルチストラテジーファンドですが、グローバルマクロ戦略を最も得意としています。2011年は、債券/コモディティ/新興国通貨などの運用が好調なようです。多くの有名ヘッジファンドが運用に苦戦する中、ブリッジウォーターのパフォーマンスは秀逸で、スタート規模としては史上最大となる100億ドル規模のヘッジファンドの立ち上げにも成功したようです。規模が大きくなると、運用手法が制限され、リターンが下がるファンドが多い中、これだけの規模になっても、好調なリターンを出し続けているのは驚くべきことです。
ブリッジウォーターの社風は、上記の教育方針もあり、カルト的と言われることもありますが、アイビーリーグのMBAホルダーなど錚々たるメンバーを含む1,000人以上の従業員を率いて、良いパフォーマンスを出し続けるのは、ダリオが投資手腕だけでなく、経営にも優れているからこそでしょう。投資家としても、経営者としても世界屈指であるダリオの動向から今後も目が離せません。
S&S investments
岡村 聡
【プロフィール】
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。
2010年6月より、投資アドバイス会社S&S investments起業。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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