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日本株の復活

JUGEMテーマ:株・投資


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山本 潤です。
長期間にわたりコラム執筆をさぼってしまいました。

わたしが日本株式市場に関わって、20年が経過しました。
証券会社で7年間働いた後に、外資系の運用機関中心に日本株のファンドマネージャ兼アナリストとして13年働いてきました。
国内外の年金基金さんのお金を日本株で運用しています。

元々は、ロングオンリーでしたが、2004年からロング・ショートというリスクを低減した戦略を始めました。
06年に独立して、自らの運用チームを立ち上げました。
現在も立ち上げ当時のメンバー中心に年金の運用を行っています。
自分自身を含めて5人のチームですが、厳しい世界ですので、この先、生き残ることができるかわかりません。

しかしながら、風向きが今年に入って、随分と変わってきました。
外人の間で、日本株に対する関心が高まっているのです。


■日本株に外人が注目している

このところ、忙しくて、なかなかコラムが書けない理由は、
新しい顧客からのリクエストが増えているから、という事情があります。

国内では、継続的に、年金基金中心に、ベータリスクの高いロングオンリーからリスクが低いロングショートへシフトする流れがあります。
海外では、投資家さんが日本株の商品に対して、やっと積極的になってきています。

来週、香港に戦略説明の出張を入れたところ、一日で8件の投資家を回るというタイトな日程になりました。
例年であれば、一日、3−4社というペースでした。

いまになって、日本株のニーズが強い背景は、いろいろあります。

まず、世界の投資家のポジションです。
アジアのオーバーウエイト、日本のアンダーウエイトです。
それも、日本株は極端なアンダーウエイトです。
時価総額でいえば、日本株は世界から無視できない大きさですが、
世界の投資家は、日本株ではなく、アジア株を保有してきました。

昨年、アジア株が大きく上昇しましたが、一方で、日本株は、ほとんど上昇しませんでした。
アジア企業と日本企業とは、株価には大きな差がつきました。

しかし、どの産業も、グローバル化・フラット化しているため、同じ仕事をしている以上、アジア企業と日本企業との業績には大差はないはずです。

しかし、差がでないはずの業績に差がでてしまった。
特に、アジア企業と競合しなければならない企業にとっては、昨年は厳しい年になりました。
ファンダメンタルズで日本企業が(対アジア企業で)不利益を被ったのは、為替でした。
昨年の特に前半は、日本の通貨である日本円が、たとえば韓国の通貨ウォンに対して、強くなりました。
07年の時点からみると、韓国ウォンは半値になりました。
そこで、韓国企業のシェアがどんどん上がるという現象が08年、09年と見られました。

ウォン半値のインパクトは、すさまじかった。
自動車業界のみならず、家電、半導体、電子部品、装置・工作機械など、幅広い製造業の業種で見られました。
日本円がアジア通貨に対して、独歩高となり、総じて、日本の輸出競争力は落ちました。

円高と呼応するかのように、07年度のTOPIXはマイナス30%を超えるマイナスとなりました。
08年度も2年連続して30%を超えるマイナスになりました。
TOPIXは2−3年前の1800ポイントをピークにして、大幅に調整し、
いまでも900ポイントのあたりをうろついています。

足元は、対アジア通貨で日本円が安くなり、日本企業の競争力はようやく回復しています。
そういう条件が整いつつあるのですが、
株価バリエーションでは、日本企業の割安さが際立つようになりました。

たとえば、DRAMというメモリーを製造する企業は、世界で数社しかありません。
韓国の三星とハイニクス、米国のマイクロン、そして、日本のエルピーダ。
後は台湾の数社です。
エルピーダ、ハイニクス、マイクロンの売上を比べても、それほど遜色はありません。
しかし、時価総額では、エルピーダは彼らの半分しかありません。
バリエーションで半分というのは、グローバルなセクターでは異常な値です。
事実、数年前まで、この3社の時価総額は概ね同じでした。
異常な値は修正される方向に動くはずなのですが・・・

昨年は、韓国に対して、日本は完敗でした。
今年は、五分五分とはいえないまでも、3勝7敗か4勝6敗ぐらいまで戦える為替の環境になっています。

それでは、さらに円がアジア通貨に対して弱くなる可能性はあるのでしょうか。
その可能性が高いとわたしは見ています。

ひとつは、米国とアジアとの関係です。
アジアの通貨は、米国の通貨とリンクするドルペッグ制度をとっています。
これは、米国の金融政策にあわせてアジアの金融政策はとられる、ということを意味しています。

リーマンショックで、米国経済はガタガタになりました。
その結果、米国では金融緩和政策がとられました。
いまでも、米国の金利は低いままです。

ところが、アジア諸国は、それなりに景気が強い。
景気が強いのにも関わらず、米国の金融緩和にならって、金利が引き上げられない。
もし、自国通貨だけ金利を上げると、世界中の投資マネーが殺到して、通貨高を誘発してしまいます。
それを防ぐためには大量に自国通貨の売りという介入をしなければなりません。
自国通貨を売って、ドルを買わざるを得ないのですから、アジア諸国のドル外貨準備高はどんどん増えてしまうのです。

景気が強い国が、誤って、金利を低金利に抑え、
自国通貨を意識的に安いままにしておけば、
貿易不均衡が起こり、企業業績が実力以上に上がり、
不動産価格が急騰するなど、バブルが生じます。

経済状態の違う米国というアジアが、通貨でつながっているために、
一時的には、昨年のようなウォンバブルが起きます。

しかし、長期的には、このような不自然な状態は続かないことを、
世界の投資家は、不安に感じはじめています。

このドルペッグ制度の矛盾は、以下の動きで解消されるかもしれません。

ひとつは、米国が金融緩和政策を転換する可能性。
これにより、アジア通貨は、金融引き締め局面に入ることができます。

もうひとつは、アジア通貨が切り上がるという可能性。
これにより、いま、実力よりも過少評価されているアジア通貨の価値が是正されます。

いずれの場合にも、日本円は安くなることが予想されるため、
「日本企業の国際競争力が復活する」というシナリオが登場しました。

日本株が上昇し、アジア株にキャッチアップするか、
アジア株が調整し、日本株は横ばいで終わるか、
いずれになるかはわかりません。


■欧州通貨安、米国雇用の弱さ、金融規制、中国引き締め

足元は、スペインやギリシャやポルトガルの財政危機に端を発する欧州通貨安、
米国雇用の弱さ、中国の金融引き締め、米国発の金融機関に対する規制の可能
性など、株式市場は不安要因を織り込む形で下げています。
特にアジア株は大きく調整しはじめました。

これに対して、日本の内需株は底堅く、ほとんど下がっていません。
一方で、外需株は12月1月と大きく上昇した分を吐き出す形になっています。

アジア株が落ち着くかどうかは、業績次第です。
たぶん、業績は回復基調が続くでしょう。
そうなれば、春先に向けて、相場は落ち着きを取り戻す可能性があるでしょう。

山本 潤
日本株ファンドマネージャ

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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