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プライベートバンクの最低預入残が100万スイスフラン(約8900万円)(金融機関によってこの最低預入残高は多少のばらつきがあるが)より引き下げられているという記事が散見される(ほとんどの記事でプライベートバンクとプライベートバンキング業務を実施している金融機関との区別が筆者によってできていないのが気になるが)。金融危機により多くの富裕層も打撃を受け、母数の顧客層が減少した事、またスイスの金融機関の守秘義務制度の一部崩壊で客離れが進行したのが要因だと言われている。
データ上では2008年、世界の金融市場からは12兆3000億ドル(約1125兆円)の富が失われ、ミリオネアは15%減の860万人になっている。
確かに、金融危機によりプライベートバンクの預り残が減少して彼等の収益が悪くなっているのは否めないが、生粋のプライベートバンクはこのような状況でも、得体のしれない新規顧客の口座をむやみやたらと開設するとは思えない。
私の付き合いのあるプライベートバンカーは、新規顧客の口座を開設する場合には非常に慎重である。確かに現在、アジア諸国でプライベートバンキング業務を提供している金融機関は積極的に門戸を広げ、営業活動を実施しているが、スイスのプライベートバンク協会に属している銀行やその支店で、そのような営業をしているとはあまり耳にしない。
この協会に属しているプライベートバンクでは、新規顧客のアカウントを開設する時の通常ルートとしては既存顧客、会計士、弁護士からの紹介が大半であり、例え紹介先であっても入念な審査をクリアしてからでないと口座開設ができないのが通常である。
100年に1度の金融危機で、それすら変わってしまったというのであればしょうがないが、この協会に所属する銀行は200年近く営業している所が大半である。守秘義務制度の緩和に関しての影響はあるが、そんな簡単に脈々と受け継がれたポリシーの根底までが覆されるとは考えにくい。
本題に戻るが、例えプライベートバンクの最低預り額のバーが下がり日本円ベースで30百万円になったとしても、この金額で受ける事のできるサービスに過剰な期待をしてはならない。何故ならばこれはあくまでも入口に立つ為に必要な資金であるからだからである。我々、庶民にとっては大きな金額であるが、やはりこの金額でできる運用には残念ながら限界がある。
プライベートバンク、プライベートバンキング業務を行っている金融機関が最低預り残の金額を引き下げているのであれば逆に、顧客増によってサービスが低下する可能性がある事に逆に意識を払った方が良いかもしれない。
この業界も現在再編が行われる可能性が強いだけに今後の動向については注視していきたい。
(番頭さん)
【筆者プロフィール】
大学卒業後、某都市銀行勤務、某外資銀行勤務を経て独立。専門は個人富裕層業務。
幼少期に6年間ドイツで過ごし帰国、その時の経験が後の人生に大きく影響。
日本人の基本的なフィナンシャルリテラシーの向上を願いつつ日々奔走中。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても当方は一切の責任を負いません。)
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