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都市銀行の富裕層顧客(地主)の方の何件ものお宅で預金封鎖の事を聞いた事がある。預金封鎖という言葉自体聞いた事がない方もいると思うが、文字通り預金が国によって封鎖されるという事態である。この日本でと思われる方もおられると思うが、実際にそれを経験した世代がいる。
戦後直後の1946年2月に、激しいインフレを沈静化させる為に、金融非常措置がこの日本で行われ5円以上の古い紙幣、貯金、金銭信託として強制的に金融機関に預け入れさせ、預金を封鎖した。同年11月には財産税法が施行され、国民の財産が没収したとの事である。
今の日本では考えられないが、このような事が実際行われたのである。当時を知る人間の話では凄まじい時代だったとの事である。激しいインフレの為に、家に有る物を売り払いながら生活し、どうにか生き延びたとの事である。
このような事を経験した大部分の人間はやはり心の底では国、そして金融機関を信用していないと思われる。親交が深まるにつれこの世代の方は、昔こんな事が日本でも行われたんだよと話されたりする。後の日本の復興により生活環境も大分変わり、このような事があった事も次第に忘れられていってしまわれると思うが、是非とも記憶の片隅には入れておいて方が良いと思う。
この預金封鎖の話をしてくれたお客様の中の一人で切れ者の方がいた。その方は悪化する経済状況等を見越し、預金封鎖が行われても良いように資産を分散していたのである。一部は株式、そして一部は密かに海外に避難させ、誰よりも早く、焼け野原の東京の土地を購入し財を築いたのである。まあその当時こんな事を日本でできた人間も少ないと思うが、物凄い先見の明だと感心させられた。
昨年のリーマンショック以来、百年ぶりの〜という言葉は数えきれないほど聞いてきたが、これからだって昨年起きた事は、将来また遅かれ早かれ必ず起こるであろう。もしかしたらもっと凄い事が起こる事も十分にありえる。
我々が今、必死に資産運用で資産を増やした所で、その根底の価値から覆される事が現にこの日本においても約60年ぐらい前に起こっているのである。あらゆるリスクを想定して自分の資産を保全する力も養っておかないと痛い目にあうという事を忘れない方が良いと私は思う。
以前にも書かせて頂いたが1998年の外為法の改正により、合法的に海外に銀行口座を保有する事が現在の我々には許されている。その門戸だっていつ規制されるか分からない。
残念な事に、ちょうど8年前の911の事件以降、非居住者の方の銀行口座開設が多くの国々で制限がかかってきている。合法的に資産保全が行われる間、そして海外で門戸が閉ざされる前に行動してみても悪くはないと思う。
(番頭さん)
【筆者プロフィール】
大学卒業後、某都市銀行勤務、某外資銀行勤務を経て独立。専門は個人富裕層業務。
幼少期に6年間ドイツで過ごし帰国、その時の経験が後の人生に大きく影響。
日本人の基本的なフィナンシャルリテラシーの向上を願いつつ日々奔走中。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても当方は一切の責任を負いません。)
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