株って何?!投資家の悩みお聞きします!!



 一緒に考えましょう!!というキャッチフレーズでお馴染みの青山繁晴参院議員に倣って、私も「一緒に考えましょう!!株のこと」を始めたいと思います。

 ごく当たり前ではありますが、原点に戻って「株って何?」の話から始めたいと思います。


 株式に投資したことがないけど何だか面白そうと考えておられる皆さんも、株式投資を既になさってはいても、なかなか成果が上がらない、どうしたら良いのか・・などと悩まれている方もお見えになるのかも知れません。

 最近、私のところにも「まとまったお金ができたけど、どうしたら良いでしょうか?」というご相談が来るようになってきました。このところの株式相場の調整を受け、こうした皆さんが増えているのではないかと株式投資のアドバイザーとしての立場もある私から、億の近道の読者の皆さんにもお悩み事相談を承ろうと考えております。
 読者の皆さんは千差万別のお悩みを抱えておられるのかも知れませんが、本日のコンテンツが資産運用の参考になれば幸いです。


1)お金と株は行ったり来たり

 皆さんがお持ちのお金(現金)は黙って保有していても利息はつきませんが減ることもないモノに換えることができる国のお墨付きとなっているリアルな通貨です(これは当り前の話です)。
 インフレが激しいと只の紙切れにもなりやすいのですが、現在はデフレの状態が長期に続いていて、お金はどこかに滞留した状態となっています。

 何らかの理由(不動産の売却など)でモノから金融資産に換えた方はまずは銀行に預けて様子見しますが、このデフレ時代に金融政策はマイナス金利という極端な手法に及び、それでもデフレがなかなか脱却できない状況が見られます。

 デフレというのは一般消費者の購買意欲がない状態であることを示していますので宝石等の一般的にはぜいたく品には向かわず、できるだけ最小限の消費に留めようとするのが消費者の心理です。これは収入が増えないことの裏腹でもあります。
 一方で金融資産の原点とも言うべき現預金は銀行に預けていても金利はゼロに近く、増えることはないので何かリターン上がる商品を求めて動くことになります。不動産や為替という手もありますが、最近では仮想通貨にも関心が及び、話題になっているのは皆さんご存知の通りです。
 そうした新たなアイテムも出てはきていますが、もう一つ理解ができないので、いろいろ考えてみて辿りつくのが結果として株式になります。

 ということでお金はリターンを求め別のリスク商品に一時的にしろシフトされ、投資家は少しでもリスクテイクしてリターンを上げようとしている訳です。
 つまりお金と株は行ったり来たりしているということになります。

 投資家は黙って保有していても良さそうですが、気軽に売り買いできるのが株式であり、この変動には様々な要因や理由があることになります。


2)株は買わないとリターンが上がらないの嘘

 投資家の多くはその銘柄というか取引所から承認を得てIPOした企業が発行した株式を売買しています。黙って現金を持っていてもお金はそのままです。
 ところがひとたび株に変わると買った時点から株価が上がって上がったところで売却すればリターンが得られるという仕組みですので何だか楽しいと感じられる投資家も多いのかと思います。
 ところが反対に買って(投資して)から値を下げることもあるので、そうした銘柄選択やタイミングを間違えると悲しい気持ちにもなったりします。

 下がることを利用して、買うのではなく空売りをかける投資家もいておかしくないということで最近は空売りで儲けよう、ないしヘッジしようと取り組まれている投資家も多いのかと思います。

 ですから株は買わないとリターンが上がらないというのはまやかしです。

 割高な銘柄を売って割安な銘柄を買うというヘッジファンドもたくさん出てきているようですが、考え方は多種多様。いつまでも上がる株がないのと同様に倒産しない限りはいつまでも下がり続けることがないのが株価の特性です。


3)株のリターン

 現金で保有すると何も生まないが株式投資するとリターンとして値上がり益(キャピタルゲイン、売却株価−購入価格)か会社が継続していくための内部留保(主に期間利益)の中から配当金なるものが送られてきます。
 個人投資家には株主優待制度もあってクオカードや商品券、商品、割引券などが送られることが多いようです。中にはこの優待制度を利用しながら楽しんでおられる個人投資家がメディアで話題になっています。

 基本的な株式投資のリターンは配当金がメインですが、現在の平均配当利回りは1%半ばにしか過ぎず、中には無配に甘んじている銘柄も多く、このモノサシだけでは投資意欲がわかないのも事実です。

 投資家にとっては理屈抜きでキャピタルゲインが狙える魅力が株式投資にはあると信じておられるものと思いますが、投資の世界では必ずキャピタルロスも生じます。

 そこで単純な株式投資ではなくリスク分散のためのポートフォリオの発想が必要になってきます。


4)株って何?

 企業が発行した株式をめぐってリスクマネー(値下がり覚悟のお金)を投じる投資家には様々な思惑が働きます。
 企業は運営するためのお金を株式発行(無配でも問題はなく将来発生した利益で配当という形で還元する)で賄うか銀行融資(一定期間借りて一定の金利を支払う)で賄うことになります。

 投資家は投資したお金をその株式を売却することで回収できますし、その回収した金額が投資した時点より大きいとキャピタルゲインを得ることになります。
 企業にとってはどちらが自社にとって有利なのかを考えながら資金調達をしますが、いくら金利が低いからと言って銀行融資では当然のごとく期限が来たら返済しなければなりませんので、後の資金繰りを生じることになりますので上場企業にとってはエクイティ(株式)での調達が良いのか銀行融資が良いのか財務戦略を打ち立てていく必要があります。

 投資家にとっての関心事は希薄化という点です。株式分割やファイナンスによって流動性は増しますが一株当たりの価値が減少して株価の下落を招く可能性もあります。
 発行済み株式数×株価=時価総額という単純な数式を投資家の皆さんは絶えず頭に入れて、その時価総額が企業が生み出す利益やキャッシュフローに見合ったものかを考えていく必要があります。

 株というのは発行体の事業活動で得られた収益を細かい単位に分けられた不特定多数の投資家の持分に配分する仕組みということになります。企業の運営を経営者に託して投資家は分け前である配当を享受することになりますが、その配当金が市場金利に対してどういう位置付けになるかが関心事になります。

 企業収益が上がっていけば増配の余地が増え、下がると減配の可能性や無配の可能性が出てきます。

 そうした未来の業績を先読みしながら投資家はアクションを起こすことになります。


5)下方修正は嫌われる

 投資家にとって投資したことによるリスクは予期せぬ株価の下落です。
 悪材料が株安の背景になりますが、最も株価に悪影響をもたらすのは期初計画に対しての大幅な下方修正ということになります。企業を運営する経営者にとって予期せぬ業績の下方修正は投資家にとっては怒りにつながり許されませんが、それが未来に向けた先行投資によるものであったり、納入の期ずれや為替の予期せぬ変動によってもたらされたものだとすれば投資家は寛容であるべきかと思いますが、往々にして起こりやすいのは期初計画の甘さになります。
 期初はどうしても経営者は強気に描きがちですが、そうした社歴が長期的な企業評価にもつながっていきます。
 長期投資家と発行体企業との長期的な業績への見方についてのやり取りが日夜続くことになります。
 反対に上方修正は歓迎されますので期初慎重で結果上方修正が繰り返される銘柄には期中における上方修正期待が生じることになりますが、株価には既にそうしたことが織り込まれている可能性もあります。


6)投資家は成長性に高い評価を与える

 投資家が個人だろうと国内機関投資家だろうと外国人投資家だろうと投資している企業の成長性が最大の評価ポイントとなります。
 毎期30%の利益成長が想定される場合と3%程度の成長ではPER(株価収益率=株価/EPS(一株当たり予想利益))に違いがあって当然です。
 但し、利益成長が毎期順調に続く場合と、成長期特有の先行費用(減価償却など)が発生して見かけの利益が小さい場合は評価が難しいので、投資家は別のモノサシで評価する必要があります。

 企業買収を意図する場合などPCFR(株価キャッシュフローレシオ=株価/CF)といった指標を用いて評価します。

 一方、利益成長力が小さな企業はバリュー価値に評価が依存しますので、PERは低水準に甘んじて当然で、内部蓄積が厚い場合は結果としてPBRは1倍以下だったり、配当利回りが3%以上になったりします。
 投資家は自らが企業の成長に視点を置いて評価しているのか、バリュー価値にポイントを置いて評価しているのかを考えてみる必要があります。

 日本株全体ではGDPが低成長なのでバリュー株の比重が大きい状態が続いています。とりわけ成長意欲が見えない銀行株などが株式市場にどういう訳か(国策的な国債を買って鞘を取るだけの地銀を中心にした銀行株が上場している意味が果たしてあるのかは不明です)86行ほど上場して極端にPBRが低い評価をされています。
 また、同様にキャッシュフローを生まない財務内容の悪い低PBR銘柄も数多く存在しています。これらはPBRが低くて当然なのかも知れませんが、中には成長指向が多少でもあってPBRが1倍割れでしかも保有する現預金よりも時価総額が低いという企業も見出せます。

 とは言え、最終的には投資家の判断に評価は委ねられています。
 日本株全体では実質PBR1倍割れのバリュー銘柄が3分の1、安定成長型のPBR2倍以下の銘柄が3分の1、残りは成長期待の高いPER20倍を超える成長銘柄が3分の1に市場になっていると推察されます。

 また、毎年90程度のIPO(新規に株式を公開する)銘柄が登場し、そのうちの8割以上がマザーズ市場にIPOし、そこから更に2,3年で東証2部、1部へと昇格していくパターンが見られます。


7)投資家の悩みは何?

 ここまでの話を理解して頂いて、株って何がおぼろげながらおわかり頂いたかと思いますが、それでは投資家の現時点での悩みは何でしょうか。

 経済の過去から現在に至る歴史的な経過を踏まえて株式相場と向かい合っておられる投資家の悩みは次なる投資対象をどう考えていくべきか・・といった高度な悩みもさることながら、まとまった資金をどのように運用していけば良いのかといったことになるのかと思います。

 投資家はリスクテイクしないとリターンも上がらないので、何らかの形でリスクテイクしないとこのままではお金が目減りしていくばかりだ・・とお話されますが、株式相場を眺めている立場としてはニューマネーの入るタイミングが調整相場が続いた後に必ずやってくるとの思いがあります。

 株式相場は単純に山あり谷ありではありますが、その山と谷で売りと買いの行動を取れば高い成果が得られるものと考えられます。山と谷は後から振り返って分かる・・。投資家のうち儲かって大きな資産形成ができているのはほんの一握りとも言われますが、平均以上の成果を上げることができれば黙って現預金で持つよりは投資家にとってはメリットがある世界です。
 しかも時には100万円のお金が数年で1億円にもなる世界です。
 あせることなく、銘柄分散、時間分散でじっくりとポートフォリオを構築しながら資産形成を図っていくことが求められます。


8)ポートフォリオの銘柄分散

 個人投資家で億単位の運用をされているケースが増えてきたのかと思います。
 そうした投資家が私の周りに出てきたように感じる今日この頃ですが、そうした投資家のポートフォリオは2種類に分かれます。

 個人的なポートフォリオなので私がとやかくいう筋合いではありませんが、注目されている銘柄を50銘柄以上に分散されて、細かくディスプレイで監視しながら動きのある銘柄に短期で乗り、短期で下りるといった運用をされているディーラー型の投資家もいれば、ごく単純に銘柄分散して長期投資しているうちに数が50以上に増えたと言われる投資家もお見えです。

 また、彼らはキャッシュポジションの多い、少ないでリスクもコントロールしているようです。また銘柄数を10銘柄以下に抑えてキャッシュポジションを厚くするかどうかを基準にアグレッシブな運用をされている方々もお見えだったりもします。

 私が関係する投資家の皆さんは銘柄分散型で過去運用成果を高めてきた方が多いように思われます。銘柄分散と時間分散の併用、配当取り中心のバリュー株投資と成長株投資の併用、IPO投資で短期売買に特化するなど手法は様々です。
 その時々で投資アイテムも違ったものとなるのでしょうが、いずれにしても銘柄分散、時間分散を行うことが運用上の最大のポイントになるかと考えられます。


9)発行済み株式数は限られている

 投資家には発行体企業とは違って、売買を自由に行えるというメリットが与えられています。損したら損金処理して税金がかからないようにしていく手法もあります。

 キャピタルロスは企業の減価償却と同じ発想で潔く負けを認めてしかるべくタイミングで損金処理をするべきです。できれば益金発生と同時に処理を行ってポートフォリオを再構築していくべきかと考えます。

 ここで考えないといけないのは個人投資家の資金力の差です。
 上場企業の時価総額がピンからキリまであって発行済み株式数も様々にありますが、投資対象は発行済み株数、しかもそのうちの浮動株に限定される点です。

 個人投資家の中で1億円を投じることのできる富裕層やそうした投資家を束ねたファンドと、1000万円程度を上限にした投資家とでは運用スタンスに違いが出て参ります。

 浮動株比率が10%の銘柄と20%の銘柄では対象となる投資可能な最大株数が異なりますので売買作戦も異なることになります。投資家は自らが経営者の意識をもって最大どの程度まで買えるのかを予め考えておく必要があります。

 但し、会社四季報に名前が出るぐらいまで個人投資家が買うと後が大変になりますので、そのあたりはしっかりと考えておく必要があります。
 その企業が面白いからとあまり肩入れし過ぎてポートフォリオに入れすぎるのも危険です。企業経営には予期せぬ出来事もつきものだからです。

 まずは投資候補銘柄を個人投資家向けIRセミナーや企業のWEBサイト、決算短信、中期計画、アナリストレポート、適示開示情報などを閲覧して100銘柄程度まで絞り込むことが必要です。
 投資対象のユニバースとしてはこの程度で十分で、そこから更に50銘柄まで絞り込んでおくと管理はしやすいかと思われます。

 SBI証券などネット証券で取引されている投資家の多くは、彼らのサービスをうまく活用されているものと推察されます。PCだけでなくスマホでの売買も含めて運用ツールは多様化しており、最終的なポートフォリオ構築が皆さんの手で行われることが真の投資家の証ともなります。

 もちろん投資額が100万円でもポートフォリオは構築できます。5銘柄程度に分散投資して運用成果を高める訓練を始めてみてはいかがでしょうか。



 私、炎のファンドマネージャーは有料メルマガ「炎の投資情報」を執筆しておりますが読者大募集中です。 http://www.honohfm.com/

 6月までの読者募集キャンペーン期間では読者の皆様からのご質問、悩み事を受付けます。回答はコラムとして有料メルマガ誌上で発表いたします。
 ※全ての疑問に回答できない場合もございますので、ご了承下さい。

【例】

1.1年前に1000株投資して株価が買値から半値になってしまいましたがそのまま保有し続けています。今後の見通しは。

2.先日、不動産を売却して現金が手元に5000万円できましたが、どんなポートフォリオを組んだら良いのでしょうか。

3.今春から社会人になったばかりのサラリーマン1年生です。少額投資でまず20万円程度の資金を100万円にしたいと思いますが、どうすればいいですか。

4.100万円で株式投資を始めたいと思っているサラリーマンです。どのような点に心がければ1億円にまで資産が増えるのでしょうか。

 質問送付先:magazine@honohfm.com


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


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この株の下値目途



 このところ長期的に株価下落が続く銘柄をチェックしています。

 上がったり下がったりの株価変動を捉えながらリスクテイクして資産形成を図る株式投資は時に忍耐も必要ですが、駄目な銘柄はさっさと切り捨て、トレンドが上向いている銘柄に投資するのが良いと言いのける皆さんも多いかも知れません。

 結果としてトレンドが悪い銘柄はますます売られ、止めどない下げが時に見られることになります。こうした銘柄に長期スタンスで投資された方は下げの悪循環に悩まされることもあります。

 投資家と発行体企業のコミュニケーション不足が原因での下げであれば問題はないのですが、本質的な業績の先行きが見えないのは最も売られやすいパターンとなります。


 それでも一定水準まで売られるとどこかで反転してくるタイミングもやってきます。

 投資の考え方は千差万別。

 過去長期に上がってきた銘柄を追い求めるのか長期下落銘柄に注目するのか皆さんの選択は自由です。

 私としては後者に力点を置いてボトム探しをしていこうと考えています。
 これが必ずしも皆さんの資産形成につながるという保証はありませんが、研究の余地は大いにあると考えています。


 いくつかの事例を最初に取り上げてから現在の下落銘柄を取り上げてみたいと思いますので宜しくお願いします。


1.建機向けのオイルフィルターで業績拡大のヤマシンフィルタ(6240)

 2014年10月IPO 公開価格2800円 上場時時価総額174億円
 その後株式分割で30倍に株数が増加
 時価1308円 時価総額813億円
 上場後の調整期間1年3か月

 上場直後の高値4200円から6分割後の2016年1月の安値359円まで49%の下落を見せた同社株はその後22倍にまで大化けしました。
 中国向け建機の需要停滞が上場直後にあって、その結果業績が停滞しましたがそれによって株価が大幅に売られましたが、その後は中国向けの需要増で業績が急向上。それにつれて株価が大きく上昇した事例です。
 同社は上場来、IR活動をフィナンテックと一緒に積極的にやってきました。その結果、外国人投資家、国内機関投資家の評価も高まった事例です。
 現状のPERは50倍以上にも高まっており、かなり将来の業績を折り込んできた格好です。


2.水処理装置のナガオカ(6239)

 上場後の調整期間1年間
 2015年6月IPO 公開価格1600円 上場時時価総額33.6億円
 2017年6月に筆頭株主に143万株(648円)の第三者割当増資実施
 時価1418円 時価総額50.1億円

 上場直後の高値2268円から2016年6月まで1年かけて441円まで8割の株価下落を見たが、その後は直近の高値1645円まで3.7倍に上昇。
 上場直後の赤字転落で経営陣が入れ替わり筆頭株主だった株式会社ハマダの連結子会社となったことで評価が変わってきた結果です。
 2期連続の赤字から今期は黒字化見通しで上昇トレンドが続いています。


3.製造請負事業の平山HD(7781)

 上場後の調整期間7カ月
 2015年7月IPO 公開価格2130円 上場時時価総額36.8億円
 時価3255円 時価総額56.3億円

 上場初年度に業績を大幅下方修正。その結果株価は上場直後の高値2783円から2016年2月の安値807円まで71%の下落を見せた。その後は業績の回復見通しから直近の高値4105円まで安値から5倍まで株価は上昇。
 今後の業績拡大を先取りし始めた格好。

−−−

 IPO後の業績変動に伴い株価が大きく調整する銘柄が続出してきそうな状況です。
 上記3社もそうした上場時のバラ色の業績見通しが一旦、裏切られて短期投資家が見切りをつけて投げた結果、IPOから7か月から1年ほどの期間に安値をつけてその後、大きく株価が戻ってきた事例となっています。

 これは時価総額の大小に関わらず起きています。
 IPO銘柄にしろ上場して時間が経過している銘柄にしろ長期的な株価下落がどこで止まるかも関心の的になるかと思われます。


 現在においても現在安値形成トレンド銘柄がいくつかありますがその中の典型的な銘柄が宝飾品メーカーのクロスフォー(7810)です。

 同社は2017年7月にJASDAQにIPO。公開価格730円で初値は1051円で公開価格に対して44%上の水準でスタート。その後7月に高値1810円(2分割前)までありました。その後、一旦9月に1003円まで売られますが、11月に1683円まで戻りを入れました。
 しかしながらその後は株価は下降トレンドを描いており、直近の安値は1月末の2分割後の336円(4月13日現在)となっています。上場直後の高値からは63%、戻り高値からは60%の値下がりとなっています。
 これは今7月期の業績計画を期初計画の経常利益8億円余りを2.6億円に大幅下方修正した結果です。経常利益のベースが3億円以下の水準だと時価総額は30億円程度にまで落ちてしまいますので、現在の株価はこうした見通しを反映して何も手を打たないでいると究極はその水準まで売られる可能性を秘めています。
 但し、来期の業績見通しが大きく回復するとなれば評価は一変します。

 今期の経常利益見通しにはTVCM費用2.5億円のブランドアップを図るための先行費用があるためです。これがないと5億円程度の経常利益となりますので現状の時価総額60億円がほぼ収益に見合ったものとなります。
 問題は来期ですが、黙って手をこまねいている訳ではなく、下期から様々な新製品を投入していく予定です。

 IR活動は上場直後は幹事証券でサポートしてきましたが、直近になって大手IR会社がアドバイスし始めたようです。今後、様々な株価対策が業績向上に向けた施策とともに打ち出されようとしています。

 そうした水面下での努力はあっても現実はなかなか厳しい状況で本日も相変わらず売りモノがちの展開が見られました。

 どこまで売られるのか読めない株価ですが、いつまでも売られることはないという感触です。4月26日には決算説明会が開催されます。メディアには先般、マネーボイスにも登場しましたが今後、ラジオ出演等も予定されているとされます。

 前期経常利益7.9億円→今期予想経常利益2.6億円+TVCM料2.5億円=5.1億円(▲35.4%)

 2分割後の初値525円に対して35.4%下落した株価水準となる339円前後、つまり直近の安値(336円)水準を一応の下値目途と考えることができます。

 同社株をここから新規に投資される方には上記3銘柄のように大きなリターンが待っているかどうかは正直わかりませんが、既存株主の皆さんも敢えてここから売り叩くのではなく配当金+株主優待などを楽しむ銘柄になってきたように思われます。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


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億の近道2018/04/16


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投資情報メールマガジン                   2018/04/16

             イ意 の 近 道

         −プロが導く「億」資産への近道−   週5回発行
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

【ご挨拶】

 将来の資産形成のために個人投資家の方にも機関投資家並以上の情報提供を
したい。また同時に、当メルマガを通じてより多くの方に自立した投資家を目
指していただきたいと考えております。各種分析やコラムを参考にして、「億」
の資産を目指し、自立した投資家への道を歩みましょう!

   ★当メルマガは等長フォントでの閲覧を前提にしております★

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             −本日の目次−
       (本日の担当:炎のファンドマネージャー)


    ◆コラム「この株の下値目途」
    ◆コラム「株って何?!投資家の悩みお聞きします!!」


===================================


◆コラム「この株の下値目途」


 このところ長期的に株価下落が続く銘柄をチェックしています。

 上がったり下がったりの株価変動を捉えながらリスクテイクして資産形成を
図る株式投資は時に忍耐も必要ですが、駄目な銘柄はさっさと切り捨て、トレ
ンドが上向いている銘柄に投資するのが良いと言いのける皆さんも多いかも知
れません。

 結果としてトレンドが悪い銘柄はますます売られ、止めどない下げが時に見
られることになります。こうした銘柄に長期スタンスで投資された方は下げの
悪循環に悩まされることもあります。

 投資家と発行体企業のコミュニケーション不足が原因での下げであれば問題
はないのですが、本質的な業績の先行きが見えないのは最も売られやすいパタ
ーンとなります。


 それでも一定水準まで売られるとどこかで反転してくるタイミングもやって
きます。

 投資の考え方は千差万別。

 過去長期に上がってきた銘柄を追い求めるのか長期下落銘柄に注目するのか
皆さんの選択は自由です。

 私としては後者に力点を置いてボトム探しをしていこうと考えています。
 これが必ずしも皆さんの資産形成につながるという保証はありませんが、研
究の余地は大いにあると考えています。


 いくつかの事例を最初に取り上げてから現在の下落銘柄を取り上げてみたい
と思いますので宜しくお願いします。


1.建機向けのオイルフィルターで業績拡大のヤマシンフィルタ(6240)

 2014年10月IPO 公開価格2800円 上場時時価総額174億円
 その後株式分割で30倍に株数が増加
 時価1308円 時価総額813億円
 上場後の調整期間1年3か月

 上場直後の高値4200円から6分割後の2016年1月の安値359円ま
で49%の下落を見せた同社株はその後22倍にまで大化けしました。
 中国向け建機の需要停滞が上場直後にあって、その結果業績が停滞しました
がそれによって株価が大幅に売られましたが、その後は中国向けの需要増で業
績が急向上。それにつれて株価が大きく上昇した事例です。
 同社は上場来、IR活動をフィナンテックと一緒に積極的にやってきました。
その結果、外国人投資家、国内機関投資家の評価も高まった事例です。
 現状のPERは50倍以上にも高まっており、かなり将来の業績を折り込ん
できた格好です。


2.水処理装置のナガオカ(6239)

 上場後の調整期間1年間
 2015年6月IPO 公開価格1600円 上場時時価総額33.6億円
 2017年6月に筆頭株主に143万株(648円)の第三者割当増資実施
 時価1418円 時価総額50.1億円

 上場直後の高値2268円から2016年6月まで1年かけて441円まで
8割の株価下落を見たが、その後は直近の高値1645円まで3.7倍に上昇。
 上場直後の赤字転落で経営陣が入れ替わり筆頭株主だった株式会社ハマダの
連結子会社となったことで評価が変わってきた結果です。
 2期連続の赤字から今期は黒字化見通しで上昇トレンドが続いています。


3.製造請負事業の平山HD(7781)

 上場後の調整期間7カ月
 2015年7月IPO 公開価格2130円 上場時時価総額36.8億円
 時価3255円 時価総額56.3億円

 上場初年度に業績を大幅下方修正。その結果株価は上場直後の高値2783
円から2016年2月の安値807円まで71%の下落を見せた。その後は業
績の回復見通しから直近の高値4105円まで安値から5倍まで株価は上昇。
 今後の業績拡大を先取りし始めた格好。

−−−

 IPO後の業績変動に伴い株価が大きく調整する銘柄が続出してきそうな状
況です。
 上記3社もそうした上場時のバラ色の業績見通しが一旦、裏切られて短期投
資家が見切りをつけて投げた結果、IPOから7か月から1年ほどの期間に安
値をつけてその後、大きく株価が戻ってきた事例となっています。

 これは時価総額の大小に関わらず起きています。
 IPO銘柄にしろ上場して時間が経過している銘柄にしろ長期的な株価下落
がどこで止まるかも関心の的になるかと思われます。


 現在においても現在安値形成トレンド銘柄がいくつかありますがその中の典
型的な銘柄が宝飾品メーカーのクロスフォー(7810)です。

 同社は2017年7月にJASDAQにIPO。公開価格730円で初値は
1051円で公開価格に対して44%上の水準でスタート。その後7月に高値
1810円(2分割前)までありました。その後、一旦9月に1003円まで
売られますが、11月に1683円まで戻りを入れました。
 しかしながらその後は株価は下降トレンドを描いており、直近の安値は1月
末の2分割後の336円(4月13日現在)となっています。上場直後の高値
からは63%、戻り高値からは60%の値下がりとなっています。
 これは今7月期の業績計画を期初計画の経常利益8億円余りを2.6億円に
大幅下方修正した結果です。経常利益のベースが3億円以下の水準だと時価総
額は30億円程度にまで落ちてしまいますので、現在の株価はこうした見通し
を反映して何も手を打たないでいると究極はその水準まで売られる可能性を秘
めています。
 但し、来期の業績見通しが大きく回復するとなれば評価は一変します。

 今期の経常利益見通しにはTVCM費用2.5億円のブランドアップを図る
ための先行費用があるためです。これがないと5億円程度の経常利益となりま
すので現状の時価総額60億円がほぼ収益に見合ったものとなります。
 問題は来期ですが、黙って手をこまねいている訳ではなく、下期から様々な
新製品を投入していく予定です。

 IR活動は上場直後は幹事証券でサポートしてきましたが、直近になって大
手IR会社がアドバイスし始めたようです。今後、様々な株価対策が業績向上
に向けた施策とともに打ち出されようとしています。

 そうした水面下での努力はあっても現実はなかなか厳しい状況で本日も相変
わらず売りモノがちの展開が見られました。

 どこまで売られるのか読めない株価ですが、いつまでも売られることはない
という感触です。4月26日には決算説明会が開催されます。メディアには先
般、マネーボイスにも登場しましたが今後、ラジオ出演等も予定されていると
されます。

 前期経常利益7.9億円→今期予想経常利益2.6億円+TVCM料2.5
億円=5.1億円(▲35.4%)

 2分割後の初値525円に対して35.4%下落した株価水準となる339
円前後、つまり直近の安値(336円)水準を一応の下値目途と考えることが
できます。

 同社株をここから新規に投資される方には上記3銘柄のように大きなリター
ンが待っているかどうかは正直わかりませんが、既存株主の皆さんも敢えてこ
こから売り叩くのではなく配当金+株主優待などを楽しむ銘柄になってきたよ
うに思われます。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者
の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


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【炎よりお知らせ】


 億の近道月曜版執筆でおなじみの炎のファンドマネージャーが、肉声で相場
を語る炎チャンネル。
 第13回目「フラクタルな株価形成」がアップされました。

 [第13回]「逃げる力」
 【YouTube】https://youtu.be/sZKey6p-PFc
 【ニコニコ動画】http://www.nicovideo.jp/watch/1523521269


 ぜひご視聴下さい。

 相場のサマリーや個別銘柄動向などを5〜6分にまとめておりますので、
 ご登録頂ければ幸いです。
 目下は無料番組ではありますが、価値あるコンテンツ作りに努めております
ので宜しくお願いします。


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◆コラム「株って何?!投資家の悩みお聞きします!!」


 一緒に考えましょう!!というキャッチフレーズでお馴染みの青山繁晴参院
議員に倣って、私も「一緒に考えましょう!!株のこと」を始めたいと思いま
す。

 ごく当たり前ではありますが、原点に戻って「株って何?」の話から始めた
いと思います。


 株式に投資したことがないけど何だか面白そうと考えておられる皆さんも、
株式投資を既になさってはいても、なかなか成果が上がらない、どうしたら良
いのか・・などと悩まれている方もお見えになるのかも知れません。

 最近、私のところにも「まとまったお金ができたけど、どうしたら良いでし
ょうか?」というご相談が来るようになってきました。このところの株式相場
の調整を受け、こうした皆さんが増えているのではないかと株式投資のアドバ
イザーとしての立場もある私から、億の近道の読者の皆さんにもお悩み事相談
を承ろうと考えております。
 読者の皆さんは千差万別のお悩みを抱えておられるのかも知れませんが、本
日のコンテンツが資産運用の参考になれば幸いです。


1)お金と株は行ったり来たり

 皆さんがお持ちのお金(現金)は黙って保有していても利息はつきませんが
減ることもないモノに換えることができる国のお墨付きとなっているリアルな
通貨です(これは当り前の話です)。
 インフレが激しいと只の紙切れにもなりやすいのですが、現在はデフレの状
態が長期に続いていて、お金はどこかに滞留した状態となっています。

 何らかの理由(不動産の売却など)でモノから金融資産に換えた方はまずは
銀行に預けて様子見しますが、このデフレ時代に金融政策はマイナス金利とい
う極端な手法に及び、それでもデフレがなかなか脱却できない状況が見られま
す。

 デフレというのは一般消費者の購買意欲がない状態であることを示していま
すので宝石等の一般的にはぜいたく品には向かわず、できるだけ最小限の消費
に留めようとするのが消費者の心理です。これは収入が増えないことの裏腹で
もあります。
 一方で金融資産の原点とも言うべき現預金は銀行に預けていても金利はゼロ
に近く、増えることはないので何かリターン上がる商品を求めて動くことにな
ります。不動産や為替という手もありますが、最近では仮想通貨にも関心が及
び、話題になっているのは皆さんご存知の通りです。
 そうした新たなアイテムも出てはきていますが、もう一つ理解ができないの
で、いろいろ考えてみて辿りつくのが結果として株式になります。

 ということでお金はリターンを求め別のリスク商品に一時的にしろシフトさ
れ、投資家は少しでもリスクテイクしてリターンを上げようとしている訳です。

 つまりお金と株は行ったり来たりしているということになります。

 投資家は黙って保有していても良さそうですが、気軽に売り買いできるのが
株式であり、この変動には様々な要因や理由があることになります。


2)株は買わないとリターンが上がらないの嘘

 投資家の多くはその銘柄というか取引所から承認を得てIPOした企業が発
行した株式を売買しています。黙って現金を持っていてもお金はそのままです。

 ところがひとたび株に変わると買った時点から株価が上がって上がったとこ
ろで売却すればリターンが得られるという仕組みですので何だか楽しいと感じ
られる投資家も多いのかと思います。
 ところが反対に買って(投資して)から値を下げることもあるので、そうし
た銘柄選択やタイミングを間違えると悲しい気持ちにもなったりします。

 下がることを利用して、買うのではなく空売りをかける投資家もいておかし
くないということで最近は空売りで儲けよう、ないしヘッジしようと取り組ま
れている投資家も多いのかと思います。

 ですから株は買わないとリターンが上がらないというのはまやかしです。

 割高な銘柄を売って割安な銘柄を買うというヘッジファンドもたくさん出て
きているようですが、考え方は多種多様。いつまでも上がる株がないのと同様
に倒産しない限りはいつまでも下がり続けることがないのが株価の特性です。


3)株のリターン

 現金で保有すると何も生まないが株式投資するとリターンとして値上がり益
(キャピタルゲイン、売却株価−購入価格)か会社が継続していくための内部
留保(主に期間利益)の中から配当金なるものが送られてきます。
 個人投資家には株主優待制度もあってクオカードや商品券、商品、割引券な
どが送られることが多いようです。中にはこの優待制度を利用しながら楽しん
でおられる個人投資家がメディアで話題になっています。

 基本的な株式投資のリターンは配当金がメインですが、現在の平均配当利回
りは1%半ばにしか過ぎず、中には無配に甘んじている銘柄も多く、このモノ
サシだけでは投資意欲がわかないのも事実です。

 投資家にとっては理屈抜きでキャピタルゲインが狙える魅力が株式投資には
あると信じておられるものと思いますが、投資の世界では必ずキャピタルロス
も生じます。

 そこで単純な株式投資ではなくリスク分散のためのポートフォリオの発想が
必要になってきます。


4)株って何?

 企業が発行した株式をめぐってリスクマネー(値下がり覚悟のお金)を投じ
る投資家には様々な思惑が働きます。
 企業は運営するためのお金を株式発行(無配でも問題はなく将来発生した利
益で配当という形で還元する)で賄うか銀行融資(一定期間借りて一定の金利
を支払う)で賄うことになります。

 投資家は投資したお金をその株式を売却することで回収できますし、その回
収した金額が投資した時点より大きいとキャピタルゲインを得ることになりま
す。
 企業にとってはどちらが自社にとって有利なのかを考えながら資金調達をし
ますが、いくら金利が低いからと言って銀行融資では当然のごとく期限が来た
ら返済しなければなりませんので、後の資金繰りを生じることになりますので
上場企業にとってはエクイティ(株式)での調達が良いのか銀行融資が良いの
か財務戦略を打ち立てていく必要があります。

 投資家にとっての関心事は希薄化という点です。株式分割やファイナンスに
よって流動性は増しますが一株当たりの価値が減少して株価の下落を招く可能
性もあります。
 発行済み株式数×株価=時価総額という単純な数式を投資家の皆さんは絶え
ず頭に入れて、その時価総額が企業が生み出す利益やキャッシュフローに見合
ったものかを考えていく必要があります。

 株というのは発行体の事業活動で得られた収益を細かい単位に分けられた不
特定多数の投資家の持分に配分する仕組みということになります。企業の運営
を経営者に託して投資家は分け前である配当を享受することになりますが、そ
の配当金が市場金利に対してどういう位置付けになるかが関心事になります。

 企業収益が上がっていけば増配の余地が増え、下がると減配の可能性や無配
の可能性が出てきます。

 そうした未来の業績を先読みしながら投資家はアクションを起こすことにな
ります。


5)下方修正は嫌われる

 投資家にとって投資したことによるリスクは予期せぬ株価の下落です。
 悪材料が株安の背景になりますが、最も株価に悪影響をもたらすのは期初計
画に対しての大幅な下方修正ということになります。企業を運営する経営者に
とって予期せぬ業績の下方修正は投資家にとっては怒りにつながり許されませ
んが、それが未来に向けた先行投資によるものであったり、納入の期ずれや為
替の予期せぬ変動によってもたらされたものだとすれば投資家は寛容であるべ
きかと思いますが、往々にして起こりやすいのは期初計画の甘さになります。
 期初はどうしても経営者は強気に描きがちですが、そうした社歴が長期的な
企業評価にもつながっていきます。
 長期投資家と発行体企業との長期的な業績への見方についてのやり取りが日
夜続くことになります。
 反対に上方修正は歓迎されますので期初慎重で結果上方修正が繰り返される
銘柄には期中における上方修正期待が生じることになりますが、株価には既に
そうしたことが織り込まれている可能性もあります。


6)投資家は成長性に高い評価を与える

 投資家が個人だろうと国内機関投資家だろうと外国人投資家だろうと投資し
ている企業の成長性が最大の評価ポイントとなります。
 毎期30%の利益成長が想定される場合と3%程度の成長ではPER(株価
収益率=株価/EPS(一株当たり予想利益))に違いがあって当然です。
 但し、利益成長が毎期順調に続く場合と、成長期特有の先行費用(減価償却
など)が発生して見かけの利益が小さい場合は評価が難しいので、投資家は別
のモノサシで評価する必要があります。

 企業買収を意図する場合などPCFR(株価キャッシュフローレシオ=株価
/CF)といった指標を用いて評価します。

 一方、利益成長力が小さな企業はバリュー価値に評価が依存しますので、P
ERは低水準に甘んじて当然で、内部蓄積が厚い場合は結果としてPBRは1
倍以下だったり、配当利回りが3%以上になったりします。
 投資家は自らが企業の成長に視点を置いて評価しているのか、バリュー価値
にポイントを置いて評価しているのかを考えてみる必要があります。

 日本株全体ではGDPが低成長なのでバリュー株の比重が大きい状態が続い
ています。とりわけ成長意欲が見えない銀行株などが株式市場にどういう訳か
(国策的な国債を買って鞘を取るだけの地銀を中心にした銀行株が上場してい
る意味が果たしてあるのかは不明です)86行ほど上場して極端にPBRが低
い評価をされています。
 また、同様にキャッシュフローを生まない財務内容の悪い低PBR銘柄も数
多く存在しています。これらはPBRが低くて当然なのかも知れませんが、中
には成長指向が多少でもあってPBRが1倍割れでしかも保有する現預金より
も時価総額が低いという企業も見出せます。

 とは言え、最終的には投資家の判断に評価は委ねられています。
 日本株全体では実質PBR1倍割れのバリュー銘柄が3分の1、安定成長型
のPBR2倍以下の銘柄が3分の1、残りは成長期待の高いPER20倍を超
える成長銘柄が3分の1に市場になっていると推察されます。

 また、毎年90程度のIPO(新規に株式を公開する)銘柄が登場し、その
うちの8割以上がマザーズ市場にIPOし、そこから更に2,3年で東証2部、
1部へと昇格していくパターンが見られます。


7)投資家の悩みは何?

 ここまでの話を理解して頂いて、株って何がおぼろげながらおわかり頂いた
かと思いますが、それでは投資家の現時点での悩みは何でしょうか。

 経済の過去から現在に至る歴史的な経過を踏まえて株式相場と向かい合って
おられる投資家の悩みは次なる投資対象をどう考えていくべきか・・といった
高度な悩みもさることながら、まとまった資金をどのように運用していけば良
いのかといったことになるのかと思います。

 投資家はリスクテイクしないとリターンも上がらないので、何らかの形でリ
スクテイクしないとこのままではお金が目減りしていくばかりだ・・とお話さ
れますが、株式相場を眺めている立場としてはニューマネーの入るタイミング
が調整相場が続いた後に必ずやってくるとの思いがあります。

 株式相場は単純に山あり谷ありではありますが、その山と谷で売りと買いの
行動を取れば高い成果が得られるものと考えられます。山と谷は後から振り返
って分かる・・。投資家のうち儲かって大きな資産形成ができているのはほん
の一握りとも言われますが、平均以上の成果を上げることができれば黙って現
預金で持つよりは投資家にとってはメリットがある世界です。
 しかも時には100万円のお金が数年で1億円にもなる世界です。
 あせることなく、銘柄分散、時間分散でじっくりとポートフォリオを構築し
ながら資産形成を図っていくことが求められます。


8)ポートフォリオの銘柄分散

 個人投資家で億単位の運用をされているケースが増えてきたのかと思います。
 そうした投資家が私の周りに出てきたように感じる今日この頃ですが、そう
した投資家のポートフォリオは2種類に分かれます。

 個人的なポートフォリオなので私がとやかくいう筋合いではありませんが、
注目されている銘柄を50銘柄以上に分散されて、細かくディスプレイで監視
しながら動きのある銘柄に短期で乗り、短期で下りるといった運用をされてい
るディーラー型の投資家もいれば、ごく単純に銘柄分散して長期投資している
うちに数が50以上に増えたと言われる投資家もお見えです。

 また、彼らはキャッシュポジションの多い、少ないでリスクもコントロール
しているようです。また銘柄数を10銘柄以下に抑えてキャッシュポジション
を厚くするかどうかを基準にアグレッシブな運用をされている方々もお見えだ
ったりもします。

 私が関係する投資家の皆さんは銘柄分散型で過去運用成果を高めてきた方が
多いように思われます。銘柄分散と時間分散の併用、配当取り中心のバリュー
株投資と成長株投資の併用、IPO投資で短期売買に特化するなど手法は様々
です。
 その時々で投資アイテムも違ったものとなるのでしょうが、いずれにしても
銘柄分散、時間分散を行うことが運用上の最大のポイントになるかと考えられ
ます。


9)発行済み株式数は限られている

 投資家には発行体企業とは違って、売買を自由に行えるというメリットが与
えられています。損したら損金処理して税金がかからないようにしていく手法
もあります。

 キャピタルロスは企業の減価償却と同じ発想で潔く負けを認めてしかるべく
タイミングで損金処理をするべきです。できれば益金発生と同時に処理を行っ
てポートフォリオを再構築していくべきかと考えます。

 ここで考えないといけないのは個人投資家の資金力の差です。
 上場企業の時価総額がピンからキリまであって発行済み株式数も様々にあり
ますが、投資対象は発行済み株数、しかもそのうちの浮動株に限定される点で
す。

 個人投資家の中で1億円を投じることのできる富裕層やそうした投資家を束
ねたファンドと、1000万円程度を上限にした投資家とでは運用スタンスに
違いが出て参ります。

 浮動株比率が10%の銘柄と20%の銘柄では対象となる投資可能な最大株
数が異なりますので売買作戦も異なることになります。投資家は自らが経営者
の意識をもって最大どの程度まで買えるのかを予め考えておく必要があります。

 但し、会社四季報に名前が出るぐらいまで個人投資家が買うと後が大変にな
りますので、そのあたりはしっかりと考えておく必要があります。
 その企業が面白いからとあまり肩入れし過ぎてポートフォリオに入れすぎる
のも危険です。企業経営には予期せぬ出来事もつきものだからです。

 まずは投資候補銘柄を個人投資家向けIRセミナーや企業のWEBサイト、
決算短信、中期計画、アナリストレポート、適示開示情報などを閲覧して10
0銘柄程度まで絞り込むことが必要です。
 投資対象のユニバースとしてはこの程度で十分で、そこから更に50銘柄ま
で絞り込んでおくと管理はしやすいかと思われます。

 SBI証券などネット証券で取引されている投資家の多くは、彼らのサービ
スをうまく活用されているものと推察されます。PCだけでなくスマホでの売
買も含めて運用ツールは多様化しており、最終的なポートフォリオ構築が皆さ
んの手で行われることが真の投資家の証ともなります。

 もちろん投資額が100万円でもポートフォリオは構築できます。5銘柄程
度に分散投資して運用成果を高める訓練を始めてみてはいかがでしょうか。



 私、炎のファンドマネージャーは有料メルマガ「炎の投資情報」を執筆して
おりますが読者大募集中です。 http://www.honohfm.com/

 6月までの読者募集キャンペーン期間では読者の皆様からのご質問、悩み事
を受付けます。回答はコラムとして有料メルマガ誌上で発表いたします。
 ※全ての疑問に回答できない場合もございますので、ご了承下さい。

【例】

1.1年前に1000株投資して株価が買値から半値になってしまいましたが
 そのまま保有し続けています。今後の見通しは。

2.先日、不動産を売却して現金が手元に5000万円できましたが、どんな
 ポートフォリオを組んだら良いのでしょうか。

3.今春から社会人になったばかりのサラリーマン1年生です。少額投資で
 まず20万円程度の資金を100万円にしたいと思いますが、どうすれば
 いいですか。

4.100万円で株式投資を始めたいと思っているサラリーマンです。どのよ
 うな点に心がければ1億円にまで資産が増えるのでしょうか。

 質問送付先:magazine@honohfm.com


(炎)


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 株式投資には不安がつきもの。山あり谷ありの株式相場を冷静に眺めるアナ
リストが発信する情報をお楽しみ頂ければ幸いです。

 志を大きく持たれた読者各位の大いなる発展と成功を祈願しております。
 ご一緒に頑張りましょう!!

 なお、一部を「億の近道」に掲載することがありますので、あらかじめご了
承下さい。


    ★当メルマガは等幅フォントでの閲覧を前提にしております★


□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□


              −本日の目次−


  ■はじめに
  ■相場展望
  ■アドヴァン(7463)説明会のポイント 株価は下値固めから反転へ
  ■買いタイミングが接近していると見られる銘柄(8銘柄)
  ■次回予告


         報告者:炎のファンドマネージャー


□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□


■はじめに


 米国によるシリア空爆が開始されたのですが、米政権内でのちぐはぐな対応
が伝えられています。シリア空爆が限定的なものとなるとロシアにとっては原
油価格上昇のメリットが大きく、何だか大国同士の草芝居の様相となってしま
いそうですが、日本国内でもとってつけたような安倍おろしの声の高まりがメ
ディアで報道されていて、何か既定路線のような印象が持たれてしまいます。

 そうした中で日本では企業の決算発表がこれから活発化します。既に2月決
算企業の発表が相次いでいますが、中には3月期決算企業が早くも発表し説明
会すらも開催したところもあります。

 ということで先週末は3月期決算企業の中で最も早い発表を行うことで有名
な、アドヴァン(7463)の決算説明会に出席させて頂きました。同社は若
者や外国人観光客で賑わう原宿に本社を構える高級建材会社として存在感を高
めていますが、新分野への進出もあって参加者に積極的にアピールしていたの
が印象に残りました。

 このシーズン、海外の動向もさることながら、ますます皆さんの関心が企業
業績に向かうものと拝察されます。日経平均は為替相場に影響を受けてじり高
のパターンとなっていますが、まだ先行きには不安感が残っていますので当面
は企業業績の方向性を見極めながらの展開が続くと見られます。


□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□


■次回予告


 今回報告できなかったIPO銘柄についての動向や今週の取材銘柄(トラン
ザクション、エスプール、コシダカなど)をご報告申し上げます。


炎チャンネル
 [第13回]「逃げる力」
 【YouTube】https://youtu.be/sZKey6p-PFc
 【ニコニコ動画】http://www.nicovideo.jp/watch/1523521269


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