為替市場動向〜FOMC、年内利下げは10月で終了?〜

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 10月も最終週になり、今週のトピックは、米国の利下げ実施が予想されるFOMC、そして、その結果に続いて翌日行われるのがBOJ会合です。一部ではマイナス金利の深堀りを予想する向きもあるものの、現状維持が過半数という調査結果(ブルームバーグ)。もしも、少数予想の金利深堀りが出たとしたら、多少のインパクトはあるでしょうが、限定的と推測します。

 今回のFOMCでの0.25%の利下げは既に市場では織り込み済みとみられ、(1.5〜1.75%への)利下げ確率は95%。前回の会合の時には年内あと1回とのコメントがあったので、年内はこれでお仕舞いと見るのか、直近調査では12月の利下げ確率は3割ほどです。

 気になるのは、今回のFOMCでの利下げを織り込む中、米国の長期金利は上昇していることです。月初の10年債は1.635%でしたが、直近は1.83%。長短金利差も順イールド。注目されてきた2年VS10年差も、月初の0.08%から直近0.20%に拡大。単なる調整なのか、景気後退への懸念が薄れてきたのか。見極めたいところです。

 今後のFRBの金融政策は、貿易関税協議の進捗や国内のインフレ状況によると見られます。FRBはこれまで、なかなか上がらないインフレについて言及してきました。
 FRBの金融政策の目標「雇用と物価」から考えると、貿易問題による影響が限定的でも、インフレ率が目標を下回る限り、利下げの方向性を保持していくのではないかと思います。


 今週後半に注目されるのは、日米の金融政策会合のみならず、直後の金曜日11月1日に発表される10月の雇用統計と、その1時間半後に出るISM製造業景況指数という市場に影響を与えてきた重要指標が発表されることです。雇用統計で反応して、ISMで逆方向に反応するということもあるかもしれないので、雇用統計でアクションを早まらない方が良さそうです。

 10月月初には、9月のISM製造業指数の悪さで大きく相場が下げました。8月に続く50割れ(8月49.1、9月47.8)となったことで、リスクオフの株安、通貨ではドル高円高という反応でした。

 ただ、その後の米中貿易協議の進展やBREXIT問題の進展でリスクオンへ傾き、現在に至ったと言えます。ヘッジファンド決算を控えた荒れるとされる10月。今年は、ショートカバーの嵐になった感があります。


 月末の終値はまだ分かりませんが、為替市場では、今までのところ、10月の主要通貨対米ドルの動きは、英ポンド4.7%上昇を筆頭にブラジルレアル、南アランドが続き、1%前後下落をみせたノルウエイクローネと日本円以外はドル安で終わりそうです。ドル安円安は、リスクオンでの基本パターンともいえます。

 リスクオンの円安とはいえ、ドル円相場は、月初108円一時下値106円上値109円台をかすめるも滞在時間からすれば108円の半ば中心の動き。今月に限らず、動かないドル円相場には、トレードする者としては困ったものです。

 円だけでなく、主要通貨であるユーロ相場も同じく。
 時として大きく動いた後は、まったりと狭いレンジで冬眠するがごとく。冬眠のエネルギーは、いつか爆発するのか、目をはなさず、忍耐強くウオッチ続行と参ります。


 一方で、このところ大きく動いたのは、中国政府が示したブロックチェインへの興味、人民銀行が世界初のデジタル通貨発行か?のニュースでジャンプアップした仮想通貨でした。フェイスブック主導のリブラの発行が延期になったりで機運が後退するなか、中国のこの動き、注目されます。


 さて、冒頭に記したように今週は日米の金融政策決定会合が開催予定ですが、欧州中銀の理事会は先週行われました。この理事会で、8年間総裁をつとめたマリオ・ドラギ氏が退任しました。ドラギ・ファンの私としては、なんとも淋しい限りです。

 イタリア財務省時代には、イタリアの通貨危機を救い、欧州中銀総裁になってからは、ユーロ圏の債務危機もありました。「できることは何でもやるWhatever it takes」と宣言。重債務国の無制限の国債購入プログラムをはじめ
として、様々な政策を駆使して窮地を救ってきました。
 「できることは何でもやる」は有名なドラギ発言で、相場を動かし、ドラギ・マジックとも呼ばれました。また、欧州に1000万人以上の新たな雇用を生み出したのも大きな功績でした。ドラギさんには、「ありがとう!」でしょう。

 11月1日に新たに就任する第4代ECB総裁は、元IMF専務理事のラガルド氏。
 元々は弁護士で経済が専門ではないことを指摘されてもいますが、閣僚経験も多々ある彼女がどのような手腕をみせるのか。注目していきたいと思います。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


【筆者よりご挨拶】

 2010年2月から、億の近道で隔週に執筆させて頂いてきましたが、個人的勝手な都合により、今回で一旦終了させていただきたいと存じます。
 長年に渡り、サポートいただき、ありがとうございました。

 外資系金融機関でディーラーとして相場に長年関わってきた経験から、少しでもお役にたてればという思いから執筆して参りました。拙コラムが投資に幾ばくかでもお役に立てていたなら幸いです。今後は、一読者として億の近道を応援していきたいと思っています。

 読者の皆さまの今後の投資活動が健やかに発展されますことを祈念申し上げます。


※10月30日東京時間12時執筆
 本号の情報は10月30日東京市場始値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


【編集部より】

 式町みどり様、通算235回にわたってコラムを提供いただきました。
 9年8ヶ月に及ぶ億の近道での執筆、ありがとうございました。

 式町みどり氏の過去コラムはこちら ⇒ http://okuchika.net/?cid=35
★式町氏へのお便りは okuchika.mail@gmail.com まで。


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為替市場動向〜ついにBREXIT?〜

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 台風19号の犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被害に遭われた多くの皆さまには心よりお見舞い申し上げます。早く日常が戻りますように。
 今回の台風では、今まで経験したことがない恐怖を個人的にも身近に感じました。


 台風19号が過ぎ去った連休明けの市場では(台風被害に比べたら小さな事象ですが)、米中の貿易協議の一部合意が、欧州ではBrexit交渉で進展ありとの情報が伝わりました。両方とも正式なものではないにもかかわらず、前向きの解釈、先取りのリスクオンが復活。さらに、中国製品への関税率引き上げ見送りが好感され、日経平均株価は、月初から連休の週末をはさみ、大きな窓を開けて一気に22000円台半ばへ。ショートカバーのパワー?

 一方、為替市場では、リスクオン時の反応である円安ドル安の動きになりました。


 が、何と言ってもトピックは、英ポンドの急上昇!

 ポンドは、先週末比約1%高、月初来では約4%の上昇に。
 売り込まれていただけに買い戻しと合意期待での買いが合わさりました。
 投機筋のショートポジションは、まだ解消しきれていないと思われます。
 月初の1ポンド1.23ドル台から直近1.27台半ばまで反発しました。
 2016年6月23日の国民投票時には1.50水準だった英ポンドは、一時1.1840まで売り込まれました。また、先月には、ジョンソン首相と議会との対立で1.2030台安値まで売られる場面もありつつ、週末からの合意か?の報で一気に買い戻し。
 もし、合意実現で反発が続けば、1.3055(38.2%戻し)、1.3429(半値戻し)がターゲットかと思います。

 Brexit交渉は、2週間後の交渉期日を前に内にも外にも解決が難航し更に来年の1月末まで延期か?との見方がありました。
 条件交渉では厳しいコメントが目立ったバルニエEU主席交渉官も15日に「交渉は難航しているが、週内の合意はまだ可能」とし、課題である北アイルランドの民主党統一党主とジョンソン英首相との会談も(詳細は不明ながら)、具体的問題解決へ話し合いがもたれているとの報で一気に楽観が進みました。

 英とEUの交渉条件は、17〜18日のEUサミットでの承認を得る必要があり、その後も英議会での承認採決。もし英議会でNoなら、1月末までの延期を申請、20日にEUで協議など正式に決まるまで必要なスケジュールが控えています。
 合意へのネックである北アイルランドのボーダー問題は、デリケートで複雑な背景も含んでいます。その辺りに関して、分かりやすい記事がNHKニュースwebにあり、ご参考に。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191010/k10012120681000.html


 さて、米国の金融政策を決めるFOMCが10月29日〜30日、日銀の政策決定会合が30日〜31日に行われる予定です。

 FOMCの金利下げ確率の予想は、直近77%。月初は60.5%でしたから、徐々に上がってきています。
 そんな中、FRBは、先週、TB(短期証券)買いを決めました。当局者は量的緩和ではなく、先月、市場でのごく短い期間のドル不足が原因で、金利が上昇して市場が不安定になったことへの対策の一つとしていますが、通貨量は増え、FRBのバランスシートは拡大されることには変わりありません。

 その影響で、ドルの短期金利は低下。長短金利の逆転は、景気減速を見るうえでの目安の一つとされ、注目してきた2年債と10年債のスプレッドは、順イールドが広がり、1か月前の9月15日には7ポイントスプレッド(1.75VS1.82%)に対して、昨日の終値では16ポイントに。


 今回の米金利の低下は、ドル円に関してはドル安として影響しておらず、むしろリスクオンの反応としての円安が見られます。
 月末には、日銀の政策決定会合が予定されています。
 最近の黒田日銀総裁の「更なる緩和に前向き」報道が(現実的には??マークですが)少し影響しているのかもしれません。

 米中貿易協定の部分的合意、BREXIT合意か?、また米国のバランスシート拡大などリスクオンの材料として市場は素直に反応しています。


 一方、先進国の超金融緩和が進む中で、債券残高はリーマンショック時の2倍超に達していることは新聞等でも報じられています。万が一、不確実性リスクからの事象が起こった場合、取り得る政策はあるのだろうかとの思いが浮かんでしまうのは心配しすぎでしょうか。

 昨日今日とリスクオン相場ではありますが、今朝入ってきた「米国の香港人権法」に関する中国外務省の反応、BREXIT交渉の未だ決着するか分からない進展など注意しておきたいところです。


 余談ですが、
 ラグビーワールドカップのベスト8が決定。日本チームの快進撃には感動的でした。
 イギリス人の友人も、日本チーム「Brilliant!」を連発でした。
 8強を見れば、アイルランド、イングランド、ウエールズ。
 伝統チーム、さすがです。
 特にアイルランド・チームは、アイルランドと北アイルランドの混合チームが、紛争を通しても一緒のチームで戦ってきたとか。BREXITによる国境問題で紛争ふたたび、がないことを願います。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※10月16日東京時間午前11時執筆
 本号の情報は10月16日東京市場始値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜ドル高&円高ミックス〜

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 欧州、米国の金融緩和が行われた9月が過ぎ、10月入りした今週。

 米中閣僚級協議の開催を控えていることから、両国から諸々の駆け引きとしての情報が発せられ、引き続き、市場もそちらに一喜一憂の反応で動かされる可能性は高そうです。
 他にも政治がらみでは、米国の大統領弾劾問題関連、10月31日に期日を迎える英国のEU離脱関連、中東問題も目が離せない材料です。

 一方で、経済の最新情報である月初恒例の米国雇用統計の発表が今週金曜日予定され、事前では、米中貿易問題への懸念からか大方低調な予想です。米国経済にも米中貿易問題が影を落としているはずです。
 雇用統計に先立って、昨日発表されたISM製造業景気指数は、景気の良し悪しの境界50を連続して割込み、47.8と10年ぶりの低水準でした。
 株式反落、債券利回り低下、為替はドル安方向での反応となりました。


 最近出た欧州の経済指標も芳しいものではなく、特にドイツのインフレ率は0.9%(前年比)とインフレ目標2%にほど遠い状況です。ドイツの大手銀行の大幅な人員削減も気になるところです。そろそろ金融政策偏重から財政政策が望まれるところでしょうか。
 欧州中銀総裁の交代で、今後の金融政策の行方も注視したところです。


 さて、外国為替相場ですが、9月の主要通貨対米ドルのパフォーマンスで、最も上昇したのがメキシコペソ(2.3%)、逆に下落したのが日本円の1.69%でした。

 そのドル円相場の9月の推移は、始値106.11、高値108.48、安値105.74、終値108.08と狭いレンジの動きでした。105円台の滞在時間は限定的なものでした。
 円に買いが向いそうな場面、例えば米中問題等の懸念材料によるリスクオフ時にも下値が外債投資などの実需に支えられるのか限られた動きでした。
 先月の日銀金融政策理事会では、緩和カードは切られなかったものの、総裁発言では緩和カードへの言及はあり(出したからと言って、効果のほどは?マークですが)、多少は影響しているのかもしれません。また、FRBの利下げに関しても、追加の利下げのに対する過度な期待が薄まってきていることもあるかもしれません。

 トランプ大統領は、強いドルについて批判的発言を繰り返してはいますが、米ドル自体は、利下げをしても、強い基調が続いています。ドルの相対的価値を示すドル指数は、直近99.30台と2017年5月以来の高値水準です。
 また、FRB公表の貿易額加重平均ドル実効為替レートの動きは、トランプ大統領が公平さを謳って貿易問題に取り組んだ頃からドル高が進行しています。標的になった国の景気悪化懸念から通貨が売られ、結果ドル高に繋がり、皮肉な結果です。ブーメランでしょうか。


 ところで、ドル円相場に関しては、トランプ政権発足後の方が、レンジ推移はそれ以前よりも狭くなっているのも興味深いところです。また、ドル円が動かないのは投機の対象として取引が減っているという統計もあり、市場から関心がもたれていないというのもあるかもしれません。

 ただ、クロス円では様子が違います。

 他の通貨に対する円相場であるクロス円相場は、他の通貨安対ドル高となっていますので、例えば、利下げが続く豪ドルに対しては72円台、対ユーロが118円割れのように、円高傾向は大きくなっています。ドル高と円高の基調がこのようにクロス円レートに現れています。

 根が深い米中貿易問題が、簡単に米国が求める解決に到るとは思えませんが、そろそろ米大統領選挙まで1年。景気の悪化が顕著になれば景気失速を避けるために、トランプ氏はFRBへの大幅利下げプレッシャーのみならず、米中貿易関連でも良いカードを出す可能性も否定できず、悲観楽観の繰り返しは続いていきそうです。


 ヘッジファンドの決算を控えて荒れると言われる10月。世界ラグビーで盛り上がりつ、冷静に相場観察も注意深く怠らずと思っております。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※10月2日東京時間午前9時執筆
 本号の情報は10月2日東京市場始値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜FOMCだけじゃない、BOJ会合も注目〜

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 台風15号による被害からの復旧が長引いている状況に、被害に合われた方々にお見舞い申し上げます。一刻も早く通常の生活に戻れることを心から祈っています。


 日本の連休明けのマーケットは、サウジアラビアの石油施設へのドローン攻撃により原油価格高騰を受けてのスタートでしたが、先週からのリスクオフ後退ムードが崩れることなく、日経平均も今年のGW連休直前以来の22,000円台でのクローズで10連騰。
 ドル円相場はGW時の111円水準までは戻せずでしたが、一時つけた105円割れから108円台までバック。

 株価反転の背景には、記録的な売り残の買い戻しあり、ドル円相場も短期の投機売りの累積があり、買い戻しに。
 これらの動きのきっかけとなったのは、米中関係とBREXITのリスク後退でした。
 米中貿易交渉の決裂が日本のGW最終日に伝わりましたので、株価は、それ以来の下落分を戻した格好になりました。


 これまでマーケットの目の上のたんこぶだった米中関係の悪化に、対話再開の方向性がみえ、関税実施を延期するなどの報が伝えられ、米中貿易問題への懸念が緩和。軍事面で強硬派だったボルトン大統領補佐官の更迭もリスクオフの材料ではありました。

 時期を合わせるように、もう一つのリスク、合意なきBREXIT強行が議会の回避法案成立によって合意なき離脱リスクが後退。債券に向かっていた資金の逆流と思わせる利回りの反転が起こりました。

 米国債10年物は、一時1.45%まで低下し、2年債との利回り逆転も見られましたが、直近1.8%台まで上昇。この急上昇の背景には、一種の債券バブル熱が冷め、お祭りが終わった? 或いは、金利低下局面へ継続する中でのスピード調整に過ぎない現象なのか見方が分かれるところです。

 そんな中で行われるのが9月のFOMCです。
 結果と声明発表と議長会見が行われるのは日本時間19日未明予定。直近の結果予想は、FF金利の0.25%下げが86%、0.5%下げは14%。 一カ月前の予想では、0.5%下げが41%ありましたから、利下げ予想が
大きく変化しています。
 FRBのパウエル議長は、最近の講演の中で「アメリカ経済は良好だが、直面するリスクがあり、観察しながら適切な政策をとっていく」旨の発言をしていますが、今後も、選挙を控えたトランプ政権からの利下げプレッシャーもあるでしょう。
 ただ、8月分の物価指数がちょこっと上昇には注目しておく必要があります。
 また、原油価格高が続いた場合の物価への影響が出てきた場合、物価の低迷を理由にした利下げを言ってきたFRBとしては、利下げとの整合性がなくなるとも思われます。

 今回のFOMCでは、0.25%利下げならほぼ予想通り、0.5%下げは、かなりのサプライズ反応、現状維持もサプライズかと想像します。また、結果と同様に、FOMCメンバーによる今後の金利予想、更に、何よりパウエル議長のコメントを注目したいと思います。


 市場がFOMCを注目する中、日銀の政策決定会合も18〜19日開催されます。
 こちらは、大きく注目されてはいませんが、何かしらの追加緩和策が実施される可能性も一部指摘されています。
 どうせカードは限られているから、大したことは出来ないだろうし、大事なタイミングまで温存しておくだろう、とも思いますが、先々週の土曜日(9月7日)日経新聞の黒田日銀総裁へのインタビュー記事では、具体的な追加緩和についてのコメントが掲載され、もしかしたら9月の会合で?との憶測も生まれます。その辺りも、最近のドル円相場の底堅さに繋がっているかもしれません。

 明日19日の木曜日の昼頃の発表。時間が遅れると更に憶測を呼ぶことになるでしょう。9月の半期末、10月からの増税前。追加緩和があれば、株高、ドル円相場(円安方向へ)へ相応の反応と考えられます。
 因みに、今朝の報道で、一部の信託銀行から、マイナス金利の深堀りがあった場合には、口座維持手数料を導入するとのコメントが伝えられました。


 9月月初来から直近、主要通貨の対米ドルの動きは、日本円とスイスフランだけが安くなり、その他の通貨は通貨高ドル安。リスクオフ反応の戻しの動きでした。
 ECBの緩和策は、債券購入の上限が撤廃されなかったことへの失望はありながら、かなりの所まで政策が出たという出尽くし感がありました。


 リスクオフ後退の中、今日明日は、FOMC、BOJ会合の結果待ちになります。ただ一方で、米中通商問題は一時的に解決できる問題ではなく、根深く継続的なリスクと思われます。今年最後の四半期を前に、気が抜けない展開は続きそうです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※9月18日東京時間12時執筆
 本号の情報は9月18日東京市場始値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜米利下げ期待拡大でもドル高?〜

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 レーバーデーの祝日(9月第一月曜日)を機に、米国は夏休み明けムードになり、マーケットの流れも変わることが多いとされていますが、9月3日のニューヨーク市場はISM製造業指数の50割れを材料に下げて、祝日明けの商いを終わりました。


 8月は、米中貿易問題の両国のせめぎ合い(予期不可能な突発的発言や行動)に、夏休みの薄商いも手伝って、上下に何度も振らされました。また、今後の景気悪化をリスクとした各国の利下げ姿勢が強まり、直近では議会再開を前に、英国ではBREXIT問題での合意なき離脱リスクに再び焦点が当たっています。


 9月には、主要国の金融政策決定会合が予定され、米欧には利下げ期待。
 ユーロ建ての長期金利の指標であるドイツ国債10年物の利回りはマイナス0.718%まで低下。過去最低水準を更新しました。
 一方、米国債10年物金利は1.45%台まで低下して、景気後退リスクとして注目される2年債とのスプレッドは、プラスとマイナスを行ったり来たり状態です。


 8月の為替相場は、典型的なリスク回避の動きで、円高とスイスフラン高、その他通貨ではドル高各通貨安でした。
 最も対米ドルで下げたのはブラジル(−7.6%)、南アフリカ、メキシコ。
 景気減速懸念による金融緩和期待でユーロも0.88%下げでした。また、9月に入ってからは、合意なき離脱問題が現実味を帯びていたと見られて、ポンドの下げが目立ちます。


 例年、円高に動くことが多いとされてきた8月のドル円相場。
 今年は、107円台から始まり、安いところでは104円46銭を短期的につけ、終値は106円11銭。やはり陰線引けでしたが、リスクオフムードが高まった割には、ドル円相場の下値は固かったように感じます。104円台は一時的で、106円後半になると上値は重いものの、105円前半は滞在時間が短く底堅い印象でした。

 背景の一つとして考えられるのは、短期的取引による円買い投機筋ポジションの偏りにより下値でポジションをクローズしたとも思われます。また一方で、105円割れ近辺では、中長期的な実需の投資によるドル買いは根強くあったように思います。

 対円、スイスフラン以外ではドル高。
 トランプ米大統領は、景気刺激、株高のために利下げ、アメリカの競争力向上のためにドル安を叫んでいますが、ドルの相対的価値を示すドル指数はドル高基調を続けています。直近の99.00水準は、2017年につけた水準以来の高水準です。

 このドル高の背景には、ユーロが景気後退、利下げ期待、ポンドがEU合意なき離脱、新興国通貨も世界景気の後退リスクの影響で下げていると見られます。
 利下げは、通貨安の一つの要因にはなりますが、今回のアメリカの場合は、そうもなっていないような。
 直近の米国の利下げに対する市場予想は、9月に0.25%下げも含めて、年内のFOMCで合計0.75%。来年2020年にも続き、来年半ばには政策金利が1%割れ予想も25%程度出ていて、経済指標による景気後退は確認されていないのにもかかわらず、利下げ期待が広がり過ぎている感はあります。


 利下げ期待にも拘わらず、円やスイスフランは別として、対他通貨での米ドルは下がっていない一つの背景として、世界の主要国の中でドル金利が高いということもありそうです。
 10年国債金利、米債は直近で利回り1.46%、ドイツ国債マイナス0.71%、英国債0.4%、カナダ債1.1%、オーストラリア0.9%。日本国債はマイナス0.29%ですが、日本円の場合は対外債権国として円高になりやすい性格があるので別格。

 米債の金利水準は下がったものの、まだまだ他の主要国よりも金利が比較的高く、今後も利下げが続くだろう米国債を買っておこうとなれば、米国への資本入の流れも出て、それがドル相場をサポートしているというのもありそうです。


 9月は、10月末のヘッジファンドの決算を前にして相場が荒れるとも言われてきました。
 引き続き、急に改善するとは予想できない米中貿易問題の行方、と共に、正念場のBREXIT問題の行方。合意なき離脱へ行っちゃうのか?または再度の期日延長のお願いなのか?
 BREXIT問題は、景気後退リスクが言われるEUにも大きな影響を与えると思われます。

 2年ぶりに120円割れ(直近116円台)したユーロ・円相場。対欧州リスクの高い日本企業への影響も注視しておきたいところです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※9月4日東京時間15時執筆
 本号の情報は9月4日東京市場終値ベースを参照しています。
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為替市場動向〜更なる利下げ催促? 債券バブル?〜

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 先週、米国債マーケットでは、長期、超長期を中心に利回りが大きく下がり、リセッションの前触れとされてきた2年〜10年金利差逆転現象がついに起き、超長期の30年債は過去最低水準の1.97%台という2%割れを更新しました。

 下がり続けてきた債券利回りが、さらに下がったのは、中国の経済指標が悪かったのがきっかけではありますが、市場の基調は今年に入ってからずっと強気(債券買い)続きでした。
 この日は、特に、2年VS10年が逆イールドを示現したことで、市場はリスクオフの流れに。

 以前、このコラムでも記したと思いますが、2年VS10年利回りの格差が、2年高10年低になると、約16.8カ月後にリセッションになることと多いと言われてきました。
 昨年の秋から冬にかけての株式下落の背景にも長短金利逆転が言われ、3カ月物VS5年、10年金利等の逆転は、しばしば起こってきました。

 2年VS10年逆転は、2006年中旬、2000年前期、1989年中旬、また、それ以前にも見られたことがありました。殆どのケースで、債券市場が先行きの景気に対して警鐘を鳴らしていたと理解できることが多かったようにも記憶しています。
 先週14日に、逆転現象が見られた2年VS10年利回り格差は、その後は順イールドに戻り、ほぼ0.05%程度の格差での推移していますが、これまでの平均的な格差と比べ、かなり縮小状態ではあります。

 債券市場では、米国のみならず、世界的に長期、超長期の利回りの低下が続き、債券バブル?とも思える昨今。逆転現象は、短期金利下げ催促がありつつも、経済指標等の現状から大幅な利下げの根拠がないことにより短期金利高止まりが原因なのか、長期金利が過剰に先行きに悲観的過ぎるのか。今後、FRBは早急に大幅な利下げに走るのか。債券市場、FRBの動向に関心が集まります。


 そんな中で、本日21日にはFRBが利下げを決定した7月のFOMCの議事録公表、また23日には恒例のジャクソンホールでのパウエル議長の講演が予定されています。特に、23日の講演で、パウエル議長から、どのようなメッセージが送られ、市場はどう解釈して動くのか、一番の注目材料です。

 因みに、9月のFOMCでの利下げに対する直近の市場予想では88%程度が0.25%、0.5%の利下げも12%。FRB政策金利のフォワードレートは、来年の今頃は1%程度となっています。

 米国以外でも、景気後退が懸念されているドイツの10年国債利回りもマイナス0.7%程度まで下落。ユーロ圏主要国で10年債が1%以上なのは、イタリア、ギリシャくらい。財政支出にも動くか?とも言われる注目のドイツの直近のPMI速報は22日に発表され、数字次第では更なる金利低下が進む可能性があります。

 債券利回り低下といえば、欧州でオーストリアの100年債利回りが1.2%というのが報じられ話題になっています。

 世界的な長・超長期金利水準も人類未踏の領域に入ってきた感があり、もし、これがバブルとして崩れた場合、何が起こるのか。債券市場の声に、よく耳を傾けておきたいところです。


 最後になってしまいましたが、為替相場です。

 8月に入ってからの主要通貨の対ドル相場動向は、リスクオフ時の日本円、スイスフラン買い、その他、一部欧州通貨が上昇しましたが、どれも大きな上昇にはならず、準主要通貨や新興国通貨の多くが対米ドルで下げました。
 米ドルの対バスケット通貨相場である、ドル指数は基本的にレンジ内で各種移動平均の上に位置しています。

 ドル円相場は、105円を大きく割らずといって、107円から上へ行くには力不足を感じさせる相場です。9月に行われる日米欧の金融政策決定への思惑、米中貿易協議などの材料を見ながらになりそうです。


 為替相場で、最も話題になったのは、何といっても、人民元の7.00割れ元安です。
 米中貿易問題が浮上して以来、元安は進んでは来ていましたが、大きな節目と見られてきた7.00の突破には驚きでした。米中貿易問題が続く限り、市場期待によるオフショアでの人民元安センチメントは続くと思われます。
 ただ、一方で、米中貿易では中国の貿易黒字は巨額であり、その需給でみればドル売り元買いが発生しますので、ここから一方的に大きく人民元安が急速に進んでいくとも思いにくく、9月から再開される米中の貿易協議の動向を注視していく必要があると思います。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※8月21日東京時間15時執筆
 本号の情報は8月21日東京市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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為替市場動向〜魔の8月と利下げの夏〜




 8月は、バカンスシーズンで閑散などではなく、びっくりの”事件”も多い、「魔の8月」と言われ、ネガティブなサプライズに伴ったショッキング相場が過去に多く起こっています。

 外国人投資家が、日本株を9年連続で8月に大きく売り越しているのは需給関係や決算を意識してもあるでしょう。しかし、そればかりでなく、歴史的にみれば、1971年8月15日には当時のニクソン米大統領によるドル・ショック(金とドルの固定比率での交換停止)、1980年8月はメキシコ財政危機、1998年ロシア財政危機。2007年8月には翌年のリーマンショックの引き金となったパリバショックでサブプライム問題が表面化し、2015年にはチャイナショック(人民元切り下げで円高株安)に、また、近いところでは昨年8月にトルコリラの暴落など枚挙にいとまがありません。
 中央銀行総裁が米国のジャクソンホールする演説が市場を動かすことが多いのも8月。夏だからこそ、恐ーいことが起きるのが相場かもしれません。


 そして、今年の8月ショックは、トランプ政権による「中国を為替操作国」に認定したことになるかもしれません。中国が対象になったのは1994年以来のこと。
 今週に入り、1米ドル=7.0000を超えた人民元相場に切れたトランプ政権。ほぼ誰もが予期しなかった動きにでました。びっくりです。

 為替操作国に認定されるには3つの条件を満たした国が対象とされてきました。
 まず、貿易収支が対米貿易黒字で年間200億ドル以上、次に経常黒字額がGDP比2%以上。そして、3番目が為替介入による外貨購入が1年で6ヶ月以上かつGDP2%以上とされ、このうち、二つの条件が該当すると「監視対象」とされ、日本はその対象国です。

 一方で、中国は、一つの条件しか抵触していないのに、巨額な対米黒字ゆえに、これまでも監視対象国扱い。しかも、今回は1ドル7人民元を超えたことが、為替の人為的操作とみなされました。
 今後は、米中間で協議の実施、通貨安の是正について中国への圧力が増し、さらなる制裁も発動する可能性もあるとされます。それに関して、まさかとは思いますが、市場の一部では米当局による為替市場介入のリスクを懸念する向きもあるようです。
 ただ、人民元取引は、他の主要通貨とは異なり、例えば債券市場での外国人保有は約2%程度しかないなど、簡単ではないとされます。しかし、もし、それが現実となれば、中国の報復のみならず、世界経済への新たなリスクへも広がりかねず、安易にはできないと思います。


 さて、注目された米7月のFOMCで0.25%の利下げ、加えてバランスシート縮小の停止が2か月前倒しが決定されました。
 大統領も含めて、0.5%という大幅利下げを期待する向きもあり、それに対する失望感(特に大統領)を、バランスシート縮小停止2か月前倒しで穴埋めしたのではないかと?とも解釈されました。パウエルFRB議長の再びの忖度だったのかもしれませんが、トランプ氏に評価はされませんでした。

 今年になって米国株式市場を支え高値トライまでしてきたのは、FRBによる(過剰なる)利下げ期待でした。経済が落ち込んだ証拠となる絶対的指標がない中での利下げ。これまでで言えば、経済好調時の利下げは、その後のバブルの原因になるとされて敬遠されてきた向きもありました。

 7月26日発表の米国第2四半期GDPは+2.1%と予想の1.8%を上回りました。中でも、株高と相関関係にあるとされる個人消費は+4.3%。株高効果を感じさせます。米国経済は好調だが、今回の利下げは低インフレ、貿易戦争の影響を懸念しての予防的利下げに過ぎないとして、継続的な利下げを否定していましたが、昨今の更なる米中摩擦が広がる中、一時は予想が低下した9月のFOMCでの利下げ観測が高まり、それに伴い、ドル安へじわじわ影響する可能性も高まるかもしれません。


 また、利下げは新興国で相次いでいます。

 今朝のニュージーランドの予想以上の0.5%の利下げ、今後はマイナス金利もあり得るようなスタンス。タイ中銀の予想外の0.25%利下げ、インド中銀の0.35ポイント利下げは予想を上回りました。先進国の利下げが新興国へ広がり、利下げ競争の様相です。

 10年国債利回りが節目のマイナス0.2を下回った日本、誘導金利のマイナス0.4%を下回りマイナス0.59%にまで低下した独国債、米国債も直近1.65%まで低下し、経済の先行きへの悲観的スタンスが進むような気持悪さを感じます。


 8月。気候の高温リスクに、マーケットの荒天リスク。
 気を抜かず過ごしたいものです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※8月7日東京時間午後8時執筆。
 本号の情報は8月7日東京市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜利下げの夏〜

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 米国の利下げを材料にしたリスク選好相場の流れは、先週一時的に、米国の住宅関連の数字の悪化を理由に、一時大きく売られる場面もありましたが、米中貿易協議再開というニュースも手伝い、直ぐに戻ってきました。

 相場の大きな材料になっている7月のFOMC(30日〜31日開催)での利下げ決定は、ほぼ確定とみられていて、焦点は0.25%か0.5%になるのかという幅の問題に。

 利下げ幅については、FOMC開催一週間前(今回は7月23日)から、ブラックアウトという要人が金融政策についてのコメントを避ける期間に入ってきたため、ヒントになるかもしれない要人発言は聞けなくなります。


 FOMC開催までに発表される重要な経済指標は26日に発表される米国4〜6月期のGDP速報値(事前予想は、前期比+1.8%年率)があります。前の期の+3.1%から下がるものの、今年の半期として捉えれば、FRBの想定する成長率を上回るものと見られ、米景気の悪さを示すものにはならないと予想されます。

 今回の利下げについては、景気は悪くはないが、海外要因も含めて、今後の景気に懸念材料がある、さらに最も懸念材料とされる低インフレによるデフレリスクを防ぐための予防的利下げとされているので、利下げ幅は0.25%と見るのが妥当かと思われます。
 もし、0.5%下げた場合には、FRBは景気見通しを、かなり悪いと見ているのだろう、と市場は受取り、逆に株式市場にはネガテイブなインパクトを与える可能性もあります。
 ちなみに、現時点での、エコノミスト予想は、0.25%が82.5%、0.5%が17.5%です。


 夏休み前の7月開催の主要国の金融政策決定会合。月末のFOMCが注目を集めていますが、25日にはECB(欧州中銀)の理事会が開催されます。

 25日開催の理事会では、利下げや量的緩和(QE)再開を決定するというよりも、フォーワードガイダンスにおいて追加緩和について修正が示され、夏休み明けの9月理事会で議論され、中央銀行預金金利(−0.4%)の0.1%引下げなどが決定されるのではないかと見られています。市場は、すでに織り込み済みと思いますが、昨日から通貨ユーロが1.12台から1.11台半ばまで売られる展開になりました。

 利下げや、量的緩和の方向性は、ECBのみならず、昨日23日にはニュージーランド中銀(RBNZ)も量的緩和について示唆し、ニュージーランド・ドルが売られるという展開に。利下げ、或いは緩和競争になるような様相。

 米国の利下げで、ドル安方向に動いた為替相場ですが、直近の相場はドル高傾向にあります。ドルの相対的価値を示す「ドル指数」は、直近97.75。6月末にドル安に傾いた時の95.84水準から、しっかりリカバー。

 ドル円相場も、上値は重い印象で、下がりそうで107円台では下値が固い印象。背景には、日銀が9月に追加緩和をやるかも?(どれほど出来るか不明ですが)期待があるとも言われます。

 2019年(欧米式)下半期が始まり、主要通貨の対米ドルパフォーマンスをみると、ブラジル・レアル(+2.3%)、メキシコ・ペソ(+0.9%)、南ア・ランド(+1.5%)以外は、対米ドルげ下落。英国ポンド、ユーロなどの欧州通貨が2%強下落しています。円は0.3%程度のドル高円安ですが、動きには乏しい状況です。


 米国が利下げに動くため、通貨高を防ぐためもあり、多くの国が利下げや緩和に動く様相です。米国の利下げについては、パウエル議長は景気減速というより低インフレを強調していますが、トランプ現政権への(アメリカ版?)忖度が大きいのかな、とも思います。昨年12月の利上げ時に、株式市場が大きく下げたことへのトラウマもあるかと。

 それはさておき、米国の利下げ、7月に0.25%、様子次第で、9月に0.25%、10月からはバランスシート再投資による緩和もありますので、そこへ繋げて、トランプ大統領のプレッシャーはあるとは思いますが、一旦利下げは休止では?と考えています。


 今後の相場を見るうえで、米中貿易交渉の進捗も注目されますが、10月31日に期限を迎えるBREXITも気になるところです。
 新しい英国首相である離脱強硬派のジョンソン氏がBREXIT交渉に対EU、対議会で合意を取り付けられるのか、または、合意なき離脱に突っ走るのか、或いは、またまたの延期か?
 何でもありそうでもあり、結局決まらなそうでもあり。相場への影響。
 ウオッチしていきたいと思います。


 地域によりますが、長い梅雨が明けるのも間近。少なかった日照が戻り、田畑の作物にも相場にも元気が出ることを期待して。暑中、ご自愛のほどお過ごしください!

  最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※7月24日東京時間午後2時執筆
 本号の情報は7月24日東京市場始値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜パウエル証言待ち〜

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 先週、米中協議再開を好感して動いた市場も、今週に入ってからは、様子見気分が支配する展開。先週発表された米雇用統計の数字が予想以上だったための利下げ期待の後退もあり、ここは10日と11日のパウエルFRB議長の現在の金融政策に関する議会証言を待ちたいところでしょう。


 これまでの米国の株式市場を支えてきた要因の一つでもある利下げ期待が少し変化しました。

 6月末には7月開催されるFOMCで、0.25%利下げが76%、0.5%利下げ予想も24%もあったのですが、直近の予想では0.5%利下げがなくなり、0.25%の利下げが98.5%、利下げなしの予想も1.5%に。エコノミストの心変わりが示されました。

 昨日は、フィラデルフィア連銀総裁から「金利を変更する必要はない」とのコメントも聞かれ、債券利回りが上昇。一時は2%割れまで低下した10年米国債は2.07%まで戻り、今後の利下げ期待を反映するされる2年債も一時1.7%程度までありましたが、1.9%台に戻りました。


 そんな中で、パウエルFRB議長が何を話すのかには注目が集まります。

 米国景気が10年以上拡大し続け、金利の正常化を果たした後にも決定的な景気悪化の裏付けはないとされます。その間、米国株式市場は記録的な上昇をしてきており、今後の利下げには限界もあると考えることもできます。
 新たな投資行動をとるまえに、現在の状態で、金融政策をどう決定するかの根拠についてFRB議長の説明を聞いておきたいところです。

 そのパウエルFRB議長に関しては、現トランプ政権から「解任」される可能性も囁かれてきましたが、昨日、米NEC(米国家経済会議)議長から、パウエル氏の議長職は安泰との言明がありました。中央銀行の独立性を考えれば、任期まで安泰は当然だと思いますが、現政権は何でもあり。保証されるという感じではなさそう。そんな中で、トランプ大統領推薦の2名が理事候補になりました。2名ともハト派とされています。


 人事がらみでは、既に、報道されているようにECB(欧州中銀)総裁に現IMF専務理事のラガルド氏(フランス)が決定。事前予想リストにはなく意外感がありました。タカ派としてしられるドイツのバルト万氏が候補にも挙げられていたので、現ドラギ総裁の後もハト派が続き、利下げの可能性が広がったと見た市場はユーロ売りで反応しました。ドル金利の反発という要因も加わり、ユーロ・ドルは、1.13台から1.12を挟む水準まで下がっています。


 米国では、幅や時期は別として、基本的に利下げの可能性が高く、欧州も人事面からも利下げが視野に入り、また英国でも英中銀のカーニー総裁からも昨今ハト派的な発言があり、先進国は超金融緩和10年目にして未だ緩和状態が暫く続くことになりそうです。
 一方の日銀は、何かあれば更なる緩和をするとは言っているものの、10月の消費税増税が控え、また、更なる利下げは銀行界への悪影響も考慮すると、動けないのではないかと推察します。


 7月に入ってからの主要通貨の対米ドルのパフォーマンスは、ほぼ全ての通貨が米ドルに対して下げました。大方の通貨が6月のドル安からの戻しでした。

 最も売られたのは、韓国ウオンの2.24%安。
 日本円は、107円台から直近の108円後半水準ですので、1%近い円安です。先週の雇用統計発表後に、米国の利下げへの見方が変わったことから108円半ばまでドル円が買われた一方で、日本株は利下げ期待が萎んで売られた米国株の動きに反応して下げる展開に。株と為替の相関が今のところ見られません。

 ドル円相場は、今年に入って、正月の104円ワンタッチを覗くと、107円半ば〜112円半ばでのレンジ内の動き。
 2017年から約3年近く、105円〜115円のレンジの中で動いていて、今年もその域から外れる兆候はまだ見られないように思います。

 また、偶然なのか、2017年の年初に発足したトランプ政権と重なるのが興味深いところです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※7月10日東京時間午後2時執筆
 本号の情報は7月10日東京市場始値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜G20待ち?動きづらい〜

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 週末、月末、四半期末、海外ベースでは半期末が重なり、節目ならではの取引も多かったと見られます。さらには、今週末のG20開催、特に米中首脳の会談の行方が注目されるところから、今週は動きづらい感があります。


 先週注目を集めた米国の金融政策決定のための6月FOMC。

 すでに市場では、年内の利下げ確率100%。2度の利下げを織り込む中で行われる中、当局の利下げへの決意を確認した結果となりました。直近の金利予想は、7月に0.25%下げる見方が約8割、0.5%下げの見方をするエコノミストが約2割、9月には現在よりも0.50%は利下げされ政策金利であるFF金利が1.75%−2%になるだろうとみるエコノミストは7割となっています。

 米国の利下げが期待から現実的になってきたことを株式市場は好感はしてきたものの、昨日、パウエルFRB議長が外交委員会で行った講演中に触れた”経済の下振れリスクが強まった”とするコメント、また、7月の0.5%利
下げ期待は行き過ぎとしたセントルイス連銀総裁の発言に、昨日のニューヨーク市場はネガテイブに反応しました。
 米国国債10年物利回りは、6月のFOMC後、一時2%を割る場面もあり、2%を挟んだ動きが続いています。
 米中貿易協議の行方、米対イラン対立による中東緊張。G20開催の今週末をはさみ、様々な駆け引きが報じられるものと思います。都度、市場が一喜一憂で反応すると予想されます。


 利下げ期待は欧州にも?

 先週、欧州中銀ECBのドラギ総裁は、ポルトガルのシントラで、追加緩和の可能性が直近の理事会で示したよりも高いことを示唆しました。今回のシントラ(ドラギ総裁とは縁が深い)での発言は、直後でこそユーロ安に反応しましたが、ドル安の流れと半期末要因もあってか、ユーロは対米ドルで週明けに1.14台をつける場面がありました。10月に任期を迎えるドラギ総裁。発言への影響力の低下もあるかもしれません。

 昨日は、ドイツ国債10年物金利は、マイナス0.333という史上最低金利に低下したこともあり、ユーロは1.13台半ばまで低下しました。
 ドラギ総裁の後任候補としては、ドイツ、フランス、フィンランド等の中銀総裁が挙げられています。もし、タカ派と言われるドイツのバイトマン氏が就任した場合には、ユーロは大きく反転する可能性もありそうです。
 今後、欧州中銀の人事にも注目していく必要があります。


 米国の利下げ、中東情勢の緊迫もありリスクオフ状態の中、ドル円相場は、5カ月ぶりの安値圏に。昨日は、106円70銭台をつけました。今日は、期末要因によるドル需要と見られる買いも出ているものの、市場がリスクオフへと更に傾けば、円高方向への警戒は強まるものと思います。今年年初に瞬間つけたとされる104円70銭が意識されてきます。

 先週行われた日銀の政策決定会合では、現状維持の決定のみでした。大方の予想通りとはいえ、追加緩和の政策カードのなさを改めて見たように思います。


 6月に入って、対米ドルでは、ほぼ全ての主な通貨が上昇。ドル安となりました。一方で値上がりが目立ったのは、金価格とビットコイン。


 全般的なドル安基調の中で、最も上げ幅が少なかったのが豪ドルでした。先週には、対円では73円90銭台をつけ、直近でも74円80銭台です。
 中国とも米国とも貿易関係の比率が大きいオーストラリアは、米中貿易摩擦の影響をもろに受け、自国でも利下げもしたことが為替相場を下落させました。
 かつては、好金利として日本の投資家の間では人気があり、豪ドル建て保険を保有する方も多いので心配ではあります。
 金利面でも、米ドル10年物国債で2%に対して、豪ドルは1.28%(直近)と見劣りがあり、直ぐの利下げは当局から否定されるも、先週の理事会では追加利下げの可能性は話し合われた模様。今後の豪ドルの反発を後押しする要素が今見る限り乏しいとも思えます。

 ここ5年間、10年間の豪ドル対円の平均は85円水準。今年年初に瞬間の安値70円台をつける場面もありました。現在の水準は、安値圏にあるとも言え、反発の潜在性を秘めているとも考えられます。どちらにしても、米中貿易摩擦の行方がかかっていると言えます。

 今週のG20での米中首脳会議が、ここでも注目されます。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※6月26日東京時間午後0時半執筆
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