為替市場動向〜リスクオフの夏休み?〜

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 台風の被害に遭われた方々には、お見舞い申し上げます。


 夏の高校野球始まり、お盆休みを前にした休暇モードの中、今日は朝からリスクオフのドル高・円高、株安の動きになりました。


 直接のきっかけは昨夜出たニュース、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル〈ICBM〉級のミサイルに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功したとの米国・防情報局DIA分析報道。さらには、それに対してのトランプ大統領の発言(北朝鮮は炎と怒りに遭う等)への動揺でした。

 このニュース、(不気味に?)10連騰してきたニューヨークダウの下げのきっかけとなり、2万円を挟んでボックス相場が続き、週末にはSQを控えた日本の株価も大きな下げになりました。為替のドル高・円高の動きは、これまでのユーロ主導によるドル安、他通貨全般に対する円安基調の解消とも言えるでしょう。

 今日の動きが一時的なポジション調整で済むのか、今後のトレンドに続くのか警戒して見ていかなくてはならないと思います。


 一方、欧米議会や金融政策当局も夏休み入りしている中、今後の大きな関心事の一つは、9月の米FOMCにおいてバランスシート縮小についての具体的な言及があるかでしょう。

 FRBの9月FOMCでの利上げに関する市場予想は、直近で94.4%で現状維持。11月のFOMCでも9割近くが現状維持、12月に確率上昇して6割近くの予想です。

 利上げ、バランスシート縮小という金融政策正常化に向けての動きのネックになるのが、インフレ指標です。雇用と物価を政策の礎にしているFRBなので、改善してきた雇用の一方で、物価指数の鈍化は一時的なものなのか基調なのか判断に時間を要すると思われます。


 先月末に発表されたGDP統計で消費者物価(CPI)コア指数は今年1〜3月期が2.2%、4〜6月期が1.8%、7〜9月期予想は1.7%、10〜12月期は1.5%でした。住宅は、昨年末からの長期金利上昇もあってか低迷していますし、設備投資関連も一進一退。これは、昨年後半から今年初めに盛り上がり過ぎたトランプ期待の反動でしょうか。

 物価指数が注目される中、今週金曜日8月11日に7月のアメリカのCPI(消費者物価指数)が発表されます。予想は、食品・エネルギーを除いたコアで前年同月比1.7%。6月と同様の数値が予想されています。9月のFOMCでの決定に影響が大きいだけに注目されます。
 低インフレが続くようですと、金融政策正常化は、性急に行わず、ゆっくりと来年にかけて実施していく可能性も高いようにも思われます。


 米国関連では、9月には暫定予算期限が到来し債務上限問題が、再び浮上します。このところ、例年のことではあるので大きな不安要因とはならないかもしれませんが、気に留めておくと良いと思います。


 ドル・円相場は、約2か月ぶりの安値圏まで、ずるずると落ちてきました。
 トランプ政権内のゴタゴタやロシア関連のスキャンダル、加えて後押しするような強い経済指標もないことが要因でした。
 6月末と比べた対ドルでの円上昇率は2.28%で、ブラジル・レアルの5.78%、ユーロの2.7%上昇に比して大きな上昇ではないために、それらの通貨に対しては、例えば、ユーロ対円では6月中の120円台から8月月初の131円40銭(高値)への円安基調の動きとなりました。

 先週末の雇用統計発表後は、一時111円05銭をタッチしたものの、一瞬で反落。111円が重く感じられる展開が続いた後の地政学的要因も加わったリスクオフの109円台。このところは、円相場の変動は小さくはなっていますが、下値へ振れやすい要因が目立つのが気になります。


 調整も少なく猛スピードでドル安ユーロ高を突っ走ってきたユーロ。
 ユーロ上昇の背景には、ここ3年近く低迷したユーロを減らしてきた各国の外貨準備調整がありそうです。EU経済の復活状況に伴いユーロ比率を増やしたとの情報も聞きます。

 今年年初の1.03台から8月2日には1.19台の示現もありましたが、直近では1.17台まで戻してきました。調整のきっかとなったのは、英国中銀の8月3日のMPC(金融政策決定会合)の影響とも言えます。

 今回のMPCでは、成長見通しを下方修正、加えて利上げ票が広がらなかったことで、一時盛り上がった利上げ観測が後退。特に目先は大きく後退し、来年以降へずれ込むという観測が大勢になり、このことが欧州へも響いたとも言えます。
 どちらにしても、ユーロ上昇のスピードが速かっただけに先週後半からの調整も不思議ではなかったかもしれません。


 ユーロは、金利面でも調整過剰の動きがありました。
 EU諸国の国債利回りの対ドイツ国債スプレッドは大きく縮小し、各国のリスク度合いにしては、やや縮小しすぎでは?の水準まで来ました。一旦、調整終了かもしれません。

 夏休みを徹底してとる欧州からの情報は、8月24日〜26日の米ジャクソンホールでのドラギ総裁の講演待ちかと思います。


 夏休み期間には、参加者の少なさと共に流動性が減少します。乱高下も起きやすい環境です。また、天候の方は、しばらく猛暑が続く予報。

 乱高下にも、厳しい残暑にも、サバイブできるよう心身健康に留意しましょう!


 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。


※8月9日東京時間12:00執筆
 本号の情報は8月8日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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為替市場動向〜夏休み前の注目は米国FOMCとGDP〜

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 7月の市場注目イベントだった主要国中央銀行の理事会スケジュールのラストは、本日26日(日本時間では明日27日未明)のFOMCです。
 それに続いて、28日(金)に発表される米国第2四半期のGDP速報値が、夏休み前の市場を動かす材料の最有力候補です。


 今回のFOMCは、FRB議長の記者会見は予定されておらず、直近の金利予想も99.9%が現状維持。焦点は終了後に発表される声明文です。

 中でも、以下の2点が声明文の中でどう表現されるのかによって、市場への影響があるでしょう。

1.物価動向についてどう記述されるか?
2.FRBのバランスシート縮小について、どの程度踏み込んだ表現がされるか?

 以上のうち、1.の物価に関しては、6月のイエレン議長発言にあった、物価低迷は「一過性」との表現を引き続き採用するのか、「不確実性」との表現も加えられるのか?

 どちらが採用されるのかにより今年後半の利上げ期待が変わります。「不確実性」についての表現もある場合には、利上げ期待には慎重な見方が増えるものと思います。

 2.のバランスシートの縮小に関しては、開始時期に関しての具体的なヒントが盛り込まれるか?です。それが近い将来なら、債券市場は利回り上昇で反応、為替市場は取り敢えずドル買いで反応でしょう。

 利上げもなし、声明文で注目点への言及も無しなら、反応は「スルー」となりそうです。


 一方、28日の米第2四半期GDPは、前年比の予想中心値2.5%を上回るか?が今月末相場を左右する可能性が高いと思われます。実績値が、どちらかに大きく振れれば、今後の金融政策の方向性予測にも影響。もちろん、市場への影響は大きいものと思われます。


 次に、今月に入ってからの主要通貨の対ドルパフォーマンスを見てみましょう。

 小さく下落した南ア・ランドと英・ポンド以外の主要通貨は、対ドルで全て上昇しました。
 現時点では、ドル安基調の7月と言えます。

 最も上昇したのが、ノルウエイ・クローネ(+4.68%)ブラジル・レアル(+4.24%)豪ドル(+3.23%)と続きます。

 よくご紹介するドル指数(貿易規模などを加味したドルの総合的価値を示す指数)は、1月の年初来高値103.82から下げトレンドに入り、昨日(ユーロが1.17台をつけた際)93.63の年初来安値をつけました。ドル指数の対通貨バスケットには、ユーロの比重が高いため、ユーロ相場に最も左右されます。


 ドル・円相場は、ドル安基調の中で、7月11日に114円49銭の2か月ぶり高値をつけ、買われ過ぎゾーンまで入ったわけですが、その後、トランプ政権のオバマケア代替案早期成立の期待後退、ECBの金融政策の早期変更期待の高まりによるユーロ一段高に加えて、トランプ政権への司法上の追及がロシア・コネクション疑惑のみならず、トランプ氏のビジネスへも拡大するとの報道、続いてトランプ政権でメディア対応として(メディア上で叩かれたり、揶揄の対象でもあった)スパイサー報道官が辞任(解任?)したこともドル安への材料となりました。
 また、本日もトランプ陣営の選挙本部長に召喚状が出たというニュースも報じられています。

 欧州中銀の金融政策の正常化によるユーロ高、政権を取り巻く問題の不透明感がドル安へ寄与したというのが、ドルのサイドの材料です。


 その一方で、円サイドの材料として注目されたのが、7月20日の日銀政策決定会合でした。
 終了後に、物価目標2%が2018年度から翌年に先送りされたことで、111円台へ下落した相場が一時112円半ばまで戻した場面もありましたが、強力な材料とはならず、短い滞空時間となりました。

 市場が全般的にドル安基調の中で、今月前半までのポジションがやや円安に傾いたことの戻しで110円60銭近辺のサポート・ポイントまで下げたと見ています。ポジション調整後は、他の主要通貨との違いである金融政策の方向性の違いから、円高圧力は限られたものになろうかと考えています。


 8月は、中央銀行も夏休み入りし、市場関係者も夏休みを取る向きが多くなるものと思います。

 8月の注目は、24日から26日まで米国ワイオミング州ジャクソンホールで予定されている経済シンポジュウムです。今年のテーマは「ダイナミックなグローバル経済を促進する」とされていますが、市場は、イエレンFRB議長、ドラギECB理事長の講演で、今後の金融政策、特にバランスシート縮小について言及があるかに注目が集まるでしょう。


 例年、夏休みシーズンになると、市場参加者の減少から流動性の低下が言われ、そのために乱高下が大きくなることも予想されます。良く休むために、リスク管理も肝要のようです。


 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。


※7月26日東京時間12:00執筆
 本号の情報は7月25日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜引き続き注目は金融政策?〜



 世界的な長期金利上昇(債券相場下落)が、通貨の強弱に影響しています。

 主要国の中で先んじて、量的緩和政策から金融政策正常化に動いてきたのが米国でした。以来、為替相場の基調はドル高を中心に動いてきました。しかし、債券相場のキーは欧州中銀(ECB)です。ECB総裁のマリオ・ドラギ氏の発言が債券市場に最も大きな影響を与えています。

 ドラギ総裁は、欧州金融危機の際にも危機回避の指揮をとり、今回は、出口へ誘導します。ドラギ氏の「ユーロ圏のリフレ」への言及から、出口観測は始まりました。まずは、テーパリング(量的緩和政策による債券購入の段階的縮小)、そして、その後には利上げもあるだろう、という観測が徐々に高まりました。

 以来、ユーロ圏の長期金利上昇が、米国以上に他の主要国の金利水準に影響を与えるようになっています。
 先週央に直近のECB理事会の議事録要旨が公表された後には、ユーロ圏の長期金利のベンチマークであるドイツ国債10年物金利が、これまでの上値の節目とみられていた0.5%を上抜け。また、フランス国債入札も今後の金利上昇見通しを嫌気して低調な結果に終わりっています。

 また、昨日は、ドイツのメルケル首相による「ECBの金融政策は、望む地点にまだ達していない」発言もユーロ買いに影響しました。通貨ユーロの指標は、買われ過ぎゾーンに入りつつありますが、金融政策正常化期待でのユーロ高はしばらく続きそうです。

 対米ドルで、直近1.1480水準まで上昇、次の上昇目標と考えてきた1.16まで近い距離まで来てしまいました。


 金融政策以外でも、ユーロ高に影響する材料と考えられるのが、最近の独仏関係です。ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン新大統領の独仏の風通しが良いように見受けられ、これまであったユーロ分裂不安問題が後退していることもユーロ買いの背景でしょう。


 さて、米国の金融政策の注目は、これまで量的緩和により債券購入を続け膨らんでいるFRBのバランスシートの縮小です。縮小自体は決まっていると伝わりますが、「いつ始めるのか?」が市場の関心事です。イエレン議長率いるFRBは、これまで経済、市場の状況や反応をよく見つつ、やるべきことを実施したきたように思います。また、トランプ新大統領がイエレン議長の再任を認めないとの方向を示してきたので、任期中に金融政策としてやるべきことは(状況を注視しつつも)やっておくという姿勢が見られます。

 バランスシートの縮小は、早ければ夏休み明けの9月、主流な見方としては今年暮れ位から開始するのではないかとみられています。ただ、急いで実行することで市場に混乱を及ぼしたくないというのも本意でしょうから、市場に少しずつ織り込ませながら、実施タイミングを計っていくのではないでしょうか。


 一方、世界的長期金利の上昇は、異次元緩和政策の出口は遠いと見られている日本の債券利回りにも影響。7月7日、日本国債10年債物の利回りが0.10%超になったところで、日銀は指値オペを行いました。0%水準に長期金利を誘導していくという政策に基づいたものです。欧米と日本の政策当局が今居る場所の違いが示されたことから、ドル円の下値が切りあがりました。

 昨日は、トランプ大統領のロシア疑惑の新しいスキャンダル的報道から、114円台中盤まで上昇した相場が113円台まで戻してきました。また、ユーロと同じく、ドル円相場も買われ過ぎゾーンに来たこともあり、今後も相場調整もあろうかと思いますが、当面の基調は、ユーロ高、円安。米ドルは通貨によりまちまち。対ユーロ比重が高いドル指標であるドル・インデックスは、直近で昨年9月以来の安値に来ています。


 今の円安基調は、金融政策の欧米との違いを主な背景としていますが、加えて、深刻さが増す北朝鮮情勢リスク、安倍政権の求心力挽回を狙った政策シフト期待(憲法改正実現への傾斜から経済政策優先に戻る)も含まれているのではないでしょうか。押し目買い対応がしばらく有効ではないかと思っています。


 最後に、いつも付け加えている英国ネタです。

 BREXITの実際の交渉が6月から開始しました。
 まずは、EU離脱金や在英EU市民の権利、北アイルランドの問題の合意を目指した交渉から始まりました。次に、自由貿易協定を含めたEUとUKの今後の関係性について話し合われることになります。過半数を取れていない現政権で、UKが望む結果が得られるのか。2019年3月の離脱最終期限までの交渉プロセスが注目されます。


 今週の最大の注目は、米FRBのイエレン議長の上院、下院での議会証言です。
 次の利上げ及びバランスシート縮小。ユーロ高ドル安の今、夏休み明けの9月にも実施するのか?ヒントが得られるかもしれない機会です。


 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。
 豪雨被害に合われた方々には、状況が早期に改善されますように祈念しています。
 そして、猛暑が続いていますので、水分・塩分・栄養補給して、暑さを乗りきましょう!


※7月12日東京時間12:00執筆
 本号の情報は7月11日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜出口へ向く米欧英、日本は?〜

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 週末、月末、四半期末、半期末の節目が重なる6月30日を前に、先週から狭い値動きだった市場でしたが、昨日ドラギECB総裁、イエレン米FRB議長の講演で大きく動きがありました。また、同じ日に、米上院議会で共和党がヘルスケア法案(オバマケア法案の見直し)採決を延期したことも影響がありました。


 イエレンFRB議長の発言主旨は、利上げ路線は不変、(使う尺度によるので確信はないとしながらも)『やや高く見える資産価格』の2点だったように思われます。資産価格(株価)が幾分高いとしているのは他の当局者からも出ていて、ニューヨーク株式市場は、発言を受けて下げ幅を広げ、長期金利は上昇しました。資産価格への言及については、今後も注目していく重要ポイントでしょう。

 また、このところ、注目されてきたインフレについては、(インフレ低下)懸念もありつつ、指標により相反するシグナルがあるとしました。
 昨日は講演内容から、6月のFOMC後に提示された出口戦略であるバランスシート縮小工程と利上げの方向性は不変ながら、状況次第で柔軟に動く姿勢かと推測しました。

 因みに、米FRBの利上げ確率の直近数値は、9月で約16%、12月で約45%、来年3月あたりで60%近い確率にやっと上がる程度。市場は、金融正常化の次の一手への確信を深める決め手待ちをしている印象ではあります。


 一方、同日ECB経済フォーラムで講演したドラギECB総裁の発言では、株式相場、ユーロ相場が動きました。
 量的緩和政策からの出口に関連して注目されてきた物価状況について、昨日のドラギ氏の発言では、デフレ圧力からリフレ圧力に変わりつつある、景気回復局面ではあるので、引き締めはしないものの、緩和政策を調整していく主旨のメッセージを発しました。

 ユーロ債(ドイツ国債)利回りは、前日より0.10%強上昇し、株価は下落、ユーロ対ドルは1.1200水準から1.1340台まで上昇しました。

 ユーロ・ドル、このところの高値1.1296を抜いた1.1340台は昨年8月以来の高値です。上昇を続けるとしたら、高値目標は1.14前半、更に行くなら、1.16水準あたりが目安かと思います。昨年の5月、6月につけた高値です。

 ただ、ユーロ高は基本的にインフレ率低下につながりますし、輸出競争力からも急激なユーロ高はもろ手で歓迎されるものではないはずなので、今後けん制発言もあろうかと思います。
 また、米国の利上げ色が強くなった場合には、天秤にかけてドル高が強くなりユーロ反落もあり得ます。


 今後さまざまな議論が交わされるでしょうし、複数の当局者からの要人発言に反応して上下するものと思われますが、出口戦略への動きが更に具体的に進んでいるということは心しておく必要があります。


 米国、EUの量的緩和政策出口への道に比して、動けていないのではないかと推測される日本。このところドル円相場が徐々に下値を切り上げてきている背景には、欧米との金融政策の方向性の違いがあると思われます。

 先週は、一部投機筋ポジションが円高志向ポジションを減らした可能性も伝わり、110円が固まり、昨日は112円台に乗ってきました。勢いよく上昇している相場ではありませんが、底堅い動きで上下しながらの動きです。欧米との金融政策の差に更に市場からの注目が集まれば、更なる上値を試す展開もありとみています。


 最後は、英国ネタです。

 こちらも量的緩和政策の修正がらみです。
 英国のMPC政策決定会合の議事録開示により、利上げの早期実施の可能性が高まっていると伝わり注目されています。緩和派で著名な委員による「年内の利上げへの言及」から英国ポンドが一時大きく買われました。

 6月8日の総選挙での保守党過半数割れによる政治の不安定は、EU離脱交渉への不安を残しています。英国の利上げについては、欧米とは事情が少し違い、Brexit決定の国民投票後のポンド安によるインフレ懸念、英国からの資本流出の二点を防止するための利上げの意味合いが強いと思われます。

 このところ、相次ぐテロ事件、高層マンションの大火事、また、記録的な熱波だそうで、消費者心理の冷えも心配されますが、他の大きな動きから英国も金融政策の変化へ向かっていると言えます。


 英国のEU正式離脱に向けて、有力金融機関が欧州での中枢機能をドイツ等へ移転決定するなどのニュースも伝わり、この動きは今後も進むものと思われます。
 昨年のBrexitショックの日から1年が経ち、切り札にしたかった総選挙で敗れた現政権が今後持ちこたえるだろうか?
 また、その政権でBrexit交渉が有利に運べるだろうか?そして、その影響は?

 今後も注目していきたいところです。


 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。


※6月28日東京時間11:00執筆
 本号の情報は6月27日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜FOMCからの年後半シナリオ待ち?〜



 6月13日〜14日の日程で実施されているの米FOMCは、「0.25%の追加利上げあり」とのコンセンサスで14日の結果発表(日本時間15日未明)が待たれています。
 下限1%上限1.25%への利上げ確率は98%が直近の予想です。現在の市場の注目は、利上げ実施よりも、今後の金融政策の行方と思われます。

 先般発表された5月の米雇用統計の予想よりも低い雇用者増、賃金の上昇率停滞、低い水準で留まっているインフレ率は、今年前半でイメージしてきた後半のシナリオに影響を与えます。
 今年3回を見込んでいた利上げのもう一回は本当に追加できるのか?
 バランスシート縮小の実現可能性は低下したんじゃないか?
といった金融政策正常化へのプロセスをFRBは今どう考えているのかを洞察するヒントに注目が集まります。

 FOMC終了後のイエレンFRB議長の会見から、また、FRBメンバーによる将来の金利予想を示すドットプロットや経済見通しを見ることができます。
 仮に、従来と大きな変化なく、6月に引き続き9月か12月の追加利上げの可能性あり、年内にもバランスシート縮小への取り組みが開始されるとの解釈が市場で広がれば、米金利の上昇、ドル買いの反応が見られると思われます。

 FOMC結果待ちで、昨日、今日はドル円110円を挟んだ動き、ユーロ・ドルは1.12を挟んでの上下に終始する静かな市場です。


 半期・四半期の決算月の6月も中盤に入りました。
 年初来の主要通貨対米ドルのパフォーマンスで最も上昇したのがメキシコ・ペソでした。昨年後半に「壁」や貿易協定など大きく売られた反動でしょう。
 その他、南ア・ランド、政治がらみで売られた韓国ウォンやユーロの反発を上位にドル安基調の半年となった印象です。
 唯一、政治不安が続くブラジルのレアルは2%近い下げとなりました。

 総じてみると、今年前半は昨年末のトランプ・ラリー戻しの半期と言えそうです。


 政治がらみでの動きといえば、英国総選挙での与党の敗北に反応して英ポンドが売られました。
 メイ首相率いる保守党は過半数割れ。労働党が善戦したと伝えられます。
 メイ政権のマニフェスト関連での不手際、テロへの対応なども影響して支持率が下がったとの見方もあります。

 一方で、米トランプ大統領の欧州訪問も影響したとの見方もあります。
 トランプ大統領のG7やNATOでの発言や振る舞いへの悪評判から、「自国第一主義」への疑問に繋がり、英国民にEU回帰、Brexit決断への悔みも芽生えたとも言われます。

 Brexitで得るもの(移民対策を中心に)に注目して決断したものの、具体的に失うものが並んでくると考えは変わったかもしれません。
 メイ政権は、少数の野党と結んで、今後のEU離脱交渉を進めることになりますが、国内も対EUもハードな運営が予想されます。

 Brexitのハードランディングが、市場のリスクオフ材料になる可能性もないとは言えず、引き続き注目していきたいところです。


 英国選挙結果後、ポンド相場も株式相場も下落。金利は長短とも低下しましたが、今後ポンド安によるインフレ懸念が起こる、資金流出が懸念が起こるなどした場合には、金利上げで対応するかもしれません。
 また、福祉予算を一部カットしたことも不平を生んだメイ政権が国民の人気取り的な政策を取り入れた場合、長期金利が上昇する可能性も考えられます。

 英国から今年も目が離せません。


 一方、フランスのマクロン大統領は、議会選挙で自身の率いる政党が勝利して、リーダーシップ発揮に地盤が出来てきたようです。
 他のOECD諸国の中では経済成長率の面で遅れをとっているフランスで、39歳という超若い大統領・マクロン氏率いる中道政権が、これまでの氏の金融界や政界でのキャリアを生かして、経済を立て直すことができるか注目されます。

 メルケル・マクロンで独仏は良い関係が出来そうな雰囲気もあります。
 EU中核として求心力の発揮に期待します。


 通貨ユーロ・ドル相場の主なポイントは、ECBの金融緩和政策の出口、そして、米国発「ロシアゲート疑惑」を中心とした米政局混迷です。
 フランス選挙後のユーロ買い戻しでのユーロ高基調が続いてきましたが、1.1280台の高値をつけた後に反落し、直近ではFOMC待ちもあり1.12を挟んで静かな動きになっています。


 ECBは先週、中期的経済見通しを引き上げた一方で、インフレ見通しを低下させました。ここへ来てのユーロ高はEUのインフレには悪材料になります。ECBの政策目標は、物価の安定です。(*米FRBは、物価と雇用)
 緩和の出口については、議論はしているものの、時期は未だとしているかもしれません。

 未だに、金融政策正常化へのプロセスに違いのある米国と欧州。本格的なユーロ高への道はまだ時間がかかるとも思います。


 最後に、悪材料の報道が目につき、もたついて見える米国のトランプ政権の動向には、良くも悪くも予断を持たず見ていきたいと思っています。


 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。


※6月14日東京時間13:00執筆
 本号の情報は6月13日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜新たな進展待ちで膠着状態?〜

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 GWに始まった5月も今日が月末。そして、新年度に入ってから2か月が経ちます。

 この間、フランス大統領選挙で極右(+極左)勢力の台頭による所謂「ルペン・リスク」は、中道候補・マクロン氏の勝利により緩和されたのも束の間、新たな米国発のホワイトハウス「ロシアゲート」疑惑、そして、未だ続く北朝鮮情勢の緊迫化もあり、それらが、マーケットの不透明要因として重石になっています。

 トランプ政権の「ロシア・ゲート」疑惑の関連調査が特別検察官によって始まっていますが、調査結果が出るまでには短くても数か月〜半年はかかると言われます。
 支持率が大きく低下する中で、政権に期待されていた税制改革、国内のインフラ整備のための財政支出の早期実現の可能性は更に低下しています。

 ちなみに、トランプ大統領が辞任した場合には、副大統領ペンス氏が、次には下院議長のライアン氏、上院仮議長、国務長官、財務長官が続くという継承順位があります。
 今日も、トランプ政権では広報担当部長の辞任が伝わり、政権内でのゴタゴタによる信頼感の低下がメインである目玉政策への期待を剥がします。


 この間に、主要通貨の対ドルのパフォーマンスで最も上昇したのはユーロとデンマーク・クローネ。最も下落したのはブラジル・レアル、豪ドルが次に続きました。

 ドル・円相場は、フランスで極右極左対決の可能性への反応で安値108.13をつけたのを底に第一回選挙でのマクロン氏優勢を好感したリスクオンの円売りで114.37まで反騰。115円の壁を重く感じている間に、アメリカ発のスキャンダルが引き金となり、5月末の今日は、新年度4月月初の110円後半と同じ水準まで戻ってきたことになります。方向感がはっきりしない膠着相場が続く可能性が高いと思います。状況を注意深く見守る姿勢でいきます。


 スキャンダルはさて置き、米国の金融政策についてみましょう。

 6月は13〜14日に米金融政策を決めるFOMCが開かれ,米国時間14日には結果とともに、議長会見も予定されています。
 関係者の発言、市場予想から6月の利上げは有る確率は9割強と高くなっています。

 一方で、今後の利上げ見通しは、9月は確率が低く、12月も以前よりも確率が低下しています。従来の政策へ正常化を図る道は,経済指標次第という文言がこれまで繰り返されています。そんな中、このところの経済指標は、特に個人所得、個人消費が冴えず、物価指標動向も利上げの決め手になるほどの上昇が見られません。
 今年中に始めるといわれるバランスシートの縮小のプランもどうなるのか?
 今後の経済指標次第、特にインフレ関連指標が注目されることになります。
 6月の利上げは期待通りとされ、決定されても相場の反応は薄いとみていますが、イエレン議長の会見での今後への見解は注目されます。

 来年2018年に、イエレン議長が任期を迎えます。トランプ政権では再任はないと見られています。任期までにイエレン議長がどう正常化への道を仕上げていくのか、注目します。


 金融政策の変化で注目されてきたのがユーロです。4月のフランス大統領選挙結果で、ユーロショートは買い戻されました。政治リスク軽減の他に、ECBの量的緩和政策の変更の可能性からもユーロは上昇しました。
 3月にECB筋から出たテーパリング発言からECBの政策変更への期待が膨らんだわけですが、このところ、各方面から様々な要人発言が聞かれます。

 ドラギ総裁の「金融量的緩和は未だ必要」、ドイツ・メルケル首相の「ユーロは安過ぎる」、ドイツ連銀総裁の「インフレは抑制されている」等々。さまざまな見方が示される中で、ユーロ相場は先週央に対ドルで年初来1.1268をつけて以来、1.11台へ押し戻されて調整している印象です。

 量的緩和からの変更の背景とされてきたインフレ指標の持ち直しが、このところ緩んできていること(←原油価格の反落も影響もあり?)も、政策変更は緩やかなペースで行われ、バランスシートの縮小についても、かなりの年月をかけて行っていくイメージを連想させます。その状況が続けば、ユーロ反発ペースも緩やかになる可能性が高まると思います。

 ユーロ関連では、9月にドイツの総選挙、来年前半に任期を迎えるイタリア議会の総選挙が注目されます。特にイタリアは、反ユーロの五つ星運動の支持率動向が材料にされそうです。


 その他の通貨で気になるのは、鉄鋼価格の下げと住宅ブームでの債務上昇が懸念され下げている豪ドル、一方で乳製品価格上昇で上昇しているニュージーランド・ドルのオセアニア通貨の対照的な動向。また、6月8日に総選挙を迎える英国ポンドの動向も注目されます。


 明日から始まる6月は四半期末、半期決算月でもあります。区切りの月特有の調整の動きも出るでしょうし、政治スキャンダルと関連して「まさか」の可能性も否定できません。微妙な状況を見守りつつ、どちらにでも動ける態勢でいようと考えています。

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。


※5月31日東京時間12:00執筆
 本号の情報は5月30日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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為替市場動向〜ユーロ買い主導からドル安の流れに?〜



 5月初旬は欧州と韓国の大統領選挙が注目されました。

 フランス大統領選挙で極左極右が勝利せず、ドイツ州議会選挙では一時劣勢かと言われたメルケル首相のCDSが勝利し総選挙への安心感が生じました。また、フランス大統領選挙翌日の韓国大統領選挙では、南北融和を重要とする新大統領が誕生。トランプ政権発足後の混乱が、世界の世論に影響した結果のように見えます。

 今年は選挙の年である欧州。フランス大統領選挙後には6月の下院選挙があり、マクロン新政権の議会運営が注目されます。懸念事項では、イタリアでユーロ離脱を志向する「五つの星運動」がありますが、当面の市場の注目は選挙からECB金融政策に移っていくものと思われます。


 そんな中で、ユーロ買いが活発になっています。

 ルペン・リスクで売られていたユーロは対ドルで、選挙後の5月8日にショートカバーが入り1.10乗せしました。一つの節目を達成したことから、その後1.08台まで戻したものの、今後の金融政策の変化期待(量的緩和の段階的縮小であるテーパリング)からのユーロ買いが活発化。それに、トランプ政権への期待剥がれからのドル安と相まって、現在はユーロ買いがドル安の流れを主導している形です。


 ドルの相対的強さを示すドルインデックス(ドル対貿易相手国通貨バスケット)は主な移動平均を下抜けました。

 欧州の政治リスクが後退したことに加えて、経済の好調さとインフレ率が目標値2%に近づいてきていることが今後の期待につながっています。利上げは、テーパリング終了のその先のことですので、ずっと先になるのでしょうが、先を読んで動くのがマーケットですので、今後のECBの動きに注目です。


 ユーロ買いのもう一つの背景であるのが、米国の政治と経済状況によるドル安の流れです。年初来の対ドルでの主要通貨パフォーマンスを見ると、最も上昇したメキシコペソの11%を筆頭に、日本円も含めて殆どの通貨がドルに対して上昇しました。

 一方、4月末以来、フランスの選挙を挟んだ直近までの流れは、全体的にはドル安基調ながら、日本円は1.44%の円安に動き、豪ドル、英ポンドも僅かながら安くなりました。

 地政学リスクの高まりや欧州選挙リスクから、ドル円相場は、4月17日に108円13銭という安値をつけました。しかし、そこを当面の底に、フランス大統領選直後の5月10日には114円37銭の高値に。この動きは、リスクオンの時に起きるドル安円安傾向かと思います。

 そのドル円相場の動き。主要な移動平均線を上抜けてくる兆候も見られ、チャート的には底入りか?との期待も持ちたいところではありますが、今後のコアの焦点である米国経済、金融政策の行方を見つつ、判断していく必要がありそうです。


 米国の金融政策に関しては、FRB当局者の発言などから6月の利上げは、余程のことがない限り実施される可能性が高いと見られています。直近の予想(ソース:Bloomberg)では確率97.5%。6月利上げは、既に市場にも織り込み済でしょう。

 今年4回もあるかもしれないという予想も一時あったFRBの金融政策正常化のための利上げですが、ここへきて年合計3回にも疑問符が一部聞かれるようになりました。

 背景には、先般発表された第1四半期のGDP値、先週発表された個人消費、消費者物価が予想を下回ったこと。予想以上の4月の雇用統計でも賃金が伸びていないこと。
 加えて、トランプ政権の公約の政策実行の可能性が低下し、期待が剥がれてきたことも大きいでしょう。バランスシート縮小も疑問視する向きもあります。

 経済指標の中でも、特に所得が伸びないことが問題でしょう。所得が伸びないと、個人消費の伸びは難しく、住宅関連消費にも影響します。先進国の所得の伸びの鈍化は、日本も同様ではあります。


 5月後半には、米国の重要な経済指標の発表は予定されていませんので、目先、市場はトランプ政権に関するスキャンダル的要素に振り回されることになりそうです。

 大統領就任100日を過ぎ、公約関連法案の議会通過はゼロ。実務を行う官庁の局長人事なども未だ完了していないと伝わります。9月には暫定予算の期限を迎え、連邦財政債務の上限に抵触するリスクもあり、トランプ氏公約の財政拡大路線には疑問符がつきます。


 公約実行への疑問符やスキャンダルによるダメージを払拭するために、政権が何をしてくるのか?
 北朝鮮問題では、中国、ロシアとどう絡んでいくのか?
 そのあたりがキーになっていくのではないかと注目しています。


 経済対策での期待外れを外交で挽回できるのか?
 今年は、政治から目が離せない年と言われます。5月下旬、トランプ大統領は初の中東訪問、G7出席を予定しています。


 相場格言で言われる「Sell in May」。『「今度ばかりは違う」と信じると大損する』というジョン・テンプルトンの名言も頭に入れつつ、冷静に見ていきたいところです。


 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。


※5月17日東京時間午後1時執筆
 本号の情報は5月16日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜不安はありつつ、取り敢えず、リスクオフ?〜



 先週末に行われたフランス大統領選挙第1回投票の結果は、中道派でEU支持のマクロン候補優勢のうちに、極右EU離脱派のルペン候補との5月7日の第2回目投票が決まりました。その後の世論調査もマクロン候補リードが伝えられ、一旦は、不安心理の解消で、ショート買い戻しを軸に、EUがらみでのリスクオフは後退しました。

 売られていたフランス国債やフランス金融株は買い戻され、ドイツ国債とのスプレッドは縮小、通貨ユーロも対ドル、対円で大きく買い戻されました。


 一方、米VS北朝鮮対立の地政学リスクも、注目されていた25日の北朝鮮人民軍創設記念日に訓練以外で軍事行動とされる行為は行われなかったことから、しばしの一段落となり、リスク回避通貨とされて買われてきた円は、対ドルで111円台まで戻し、質的逃避で一時2.1%台まで買われた米国債10年物は2.3%に利回り上昇しました。


 フランス大統領選挙に関しては、今後5月7日最終投票までに、ルペン氏が台頭してマクロン優勢が変わる可能性も否定はできません。また、北朝鮮VS米がらみも突発的な何かが起こる可能性もないとは言えませんが、市場は心理的にこれらのイベントにやや慣らされた感あり、売られたところは拾い場というコンセンサスもできつつあるように見受けられます。


 ただ、フランスでは6月の行われるフランス総選挙もあり、結果次第では国の運営が難しくなる混乱も考えられ、その後に不安が残ります。中道左派・独立系のマクロン氏が、共和党、社会党中心となるだろう議会の支持と協力を得られるかどうか。勝利の後も、なかなかの難問と試練が待ち構えているかもしれません。ルペン大統領なら、さらに混乱するでしょう。


 加えて、ユーロ圏では、イタリアの総選挙の可能性もあります。反EUを掲げる政党が台頭した場合、市場心理にはネガティブとなるでしょう。今後もユーロ存続を常に試される場面が待ち受けます。

 ユーロ圏の金融政策運営も、今に始まったわけではありませんが、問題が多いです。景気回復好調のドイツと何かと問題が多いその他の国との違いが、常に存在します。
 今年に入ってから現実味を帯びてきた量的緩和のテーパリングも実行するにあたっては、国による違いが壁になるかもしれません。各国の状況は様々ながら「政策は一通り」しか選択できないですから。
 明日27日には、欧州中銀ECB理事会が予定されています。終了後のドラギ総裁会見が注目されます。


 さて、就任100日を4月末に控えたトランプ米大統領ですが、本日26日に税制改革を発表する予定と伝わっています。議会と上手く交渉できない状態は、特に2期目のオバマ政権にも似通っているともいわれます。

 間近に迫った暫定予算の期限切れには問題ないとは言われますが、元来主張してきた政策遂行のための財源確保交渉をどのように実行していくのか、就任100日後の本格始動が注目されます。

 トランプ大統領が、北朝鮮への威嚇という隠れ蓑で時間稼ぎをしている間でも、米国では企業決算は良いものが多く見られ、また、指標にバラつきはありながらも米経済は好調さを保っているとみられます。そんな中で、今週金曜日28日に今年の第1四半期GDP速報値(大方の予想1.0%〜1.2%)が発表されます。

 米国経済の回復を背景に、正常化に向けて利上げに動いている米FRB。次回利上げ実施は、約7割の確率で6月実施がコンセンサスとされています。さらに、以前から言われているように、バランスシート縮小への動きも現実味を帯びてきています。
 イエレン議長は、ご自身の任期2018年1月までに金融政策の正常化を整えていくのだろうと推察します。


 元に戻りますが、今夜は米国の税制改革が発表される予定です。国境税は見送りとの情報も見られます。発表内容により失望感で売られる場面があれば、押し目を拾うチャンスかもしれません。


 先週までのリスクオフ状態は、やや緩和してはいますが、今週末から日本のゴールデンウィーク。北朝鮮がらみの地政学リスクはデリケートな状態が続いていますので、ゆっくりとした気持で休暇が過ごせるように、投資リスク管理には気をつけておきたいところです。

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。

※4月26日東京時間午後3時執筆
 本号の情報は4月25日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜トランプラリーの修正続く?〜

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 先週の米軍のシリアへのミサイル発射に続き、週末から高まっている米国の北朝鮮への圧力。緊張しつつある朝鮮半島情勢は、『地政学的リスク』としてマーケットのリスクオフ要因になっています。


 ドル円相場は、先週まで下押しを試したものの、110円台前半では実需の買い意欲が強かったとされ、しばらく110円〜112円の狭いレンジでの動きが続いていました。

 ところが、米軍の北朝鮮への空母や駆逐艦派遣での軍事力増強の報道で、今週初には強固とされた110円のサポートを割りました。一方、米国債市場では、いわゆる「質への逃避」で債券が買われ、ここ数カ月10年物米債利回りのサポートだった2.3%を昨日割り、2.28%まで低下しています。

 シリアへの攻撃は、アサド政権側軍が化学兵器を使用したのでは?という疑惑を盾に、速攻で攻撃。余談ながら、これっていつか来た道のように映ります。だいぶ昔の湾岸戦争の時だったか(?)、油まみれの鳥の映像が繰り返し流れ、これを盾に攻撃増強賛成の世論を形成しましたが、後にヤラセ疑惑か事実であった事を思い出させられます。

 アメリカ人の雇用増強、経済の活性化のための数々の政策で「アメリカファースト」を掲げてきたビジネスマン気質のトランプ大統領、矛先を変えてきたの?との印象も持ちます。
 今回の攻撃について、トランプ大統領は演説の最後を「アメリカに、全世界に、神のご加護を」と結びました。アメリカ以外のために彼が祈ってくれたのを初めて耳にしたように思います。やり方を変えたのでしょうか。

 オバマケア修正案の頓挫、減税法案をはじめとした経済、財政政策の遅れ等もあり、支持率最低を更新するなか、軍事作戦で政策の遅れ、頓挫から目を背けさせようとしているのではないかと勘繰ります。


 地政学リスクでは、「地理的に遠くで起こった事象で悲観が過ぎて売られた場合は買い、近くで「事件」が起こり直接被害を被りそうなら『売り』」とも言われます。

 となれば、今回の場合、地理的にとても近く、日本が攻撃を受けるリスクも否めない。となれば、むしろ円売りとなってもおかしくないと思いますが、実際には経常黒字国の通貨は買い等の理由を背景に円買いに動いています。

 しかし、今回の円高は、地政学よりも、どちらかとトランプ・ラリーへの失望と巻き返し要因の方が大きいように思います。
 今年の利上げを織り込んだ米国金利も、FRB関係者は出来るときに正常化を進めたいスタンスだと言い続けてますが、有事となれば利上げは踏みとどることになるだろうという見方に繋がり、ドルの頭を押さえます。

 昨年末のトランプラリーが過剰な期待で膨らみ過ぎたために、ラリー調整には時間を必要としているのでしょう。


 さて、地政学的リスクが杞憂に終わった場合には、米国は利上げと共にFRBのバランスシートの縮小に動く予定で準備をしている、と先般公開の3月FOMCの議事録から伝わりました。
 基本的には、今年、来年かけて、タイミングを計りながら金融政策の正常化を目指す体勢を維持していくものと思われます。

 目先のきな臭さやトランプ政権の政策実行能力への信頼低下で大きく動きにくい展開が、しばらくは続きそうです。


 4月中にスケジュールとして注目したいのが、日米経済対話会合で18日にはペンス副大統領の来日です。麻生副総理との会合に臨みます。

 また、米財務省は「為替報告書」を4月後半か5月に公表します。特に中国とか日本、またはドイツ、メキシコを為替操作国扱いするかどうかの疑心暗鬼も持ち上がるかもしれません。ただ、直近相場のように110円割れになった水準では、為替操作国に認定される可能性は低いとは思いますが。


 ユーロ圏では、3月の中央銀行理事会後に、量的金融政策の縮小観測が広がりユーロ買い反応がありました。ただ、その後に要人たちから解釈の否定発言が続き、ユーロ反発と見ていた私の目論見も狂い、ユーロは反落しました。

 ユーロ売りに加担しているのは、フランス大統領選への思惑です。極右のルペン氏と中道のマクロン氏の二大対決と思われたところに、極左のメランション氏の台頭が報じられています。
 極右も極左もユーロ離脱を政策としています。フランスのユーロ離脱は、現実的に可能性は低いとしても、「極」の人たちが優勢になると、リスク上昇が連想されることになります。


 今週末は、復活祭で欧米は静かになると思いますが、4月23日、5月7日のフランス大統領選が近づき、様々な雑音が伝わることと想像します。
 リスク回避で、日本円や株式市場も影響されると思います。


 政治のニュースに敏感に動く今年のマーケット。引き続き、余裕をもって慎重に見ていった方が良さそうです。


 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。

※4月12日東京時間午後3時執筆
 本号の情報は4月11日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜いずこも政治が鍵?〜

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 年度末になりました。今年の3月31日は金曜日。週末でもあり、年度末でもあり、4半期末と3つの末という区切りが重なります。

 3月後半は、日本の期末要因による利益の里帰りや年度末でのポジション調整や資金待機で、為替市場では円高へ戻し、株式市場でも下押し圧力が強い冴えない展開が続いています。期末による調整は。ほぼ終わったとは見られますが、最終日の3月31日まで気の抜けない展開ではないかと思います。


 3月15日に、昨年12月に引き続き、米FRBの追加利上げが行われました。
 注目された今年の金利予想は、事前予想通りで残り2回と伝わり、一部にあった残り3回説を打ち消した格好に。発表をきっかけにドル安に戻されたのは周知の通りです。

 FOMC直前に一時115円台半ばまで上昇したドル円相場が、直近では110円割れすれすれまでのドル安に反転しました。FRBの利上げで材料出尽くしに加えて、日本の期末要因も影響しました。

 更に、トランプ・スランプ(ネーミングが秀逸)と呼ばれるトランプ政権の政策実行力の無さへの失望も重なりました。
 待望の就任後初の予算教書も、中身が薄くスカスカ感があり、大型インフラ投資、大型減税はどこへやら?の印象でした。また、目の敵にしていたオバマケアの代替法案も撤回に。こうなると、政権運営の行き詰まり、まさにスランプを印象づけます。

 直近の政権支持率は36%と過去最低水準。このままでは終わらないとは思いますが、アメリカは議会の力が強いですので、支持率の低い大統領の議会との対話は大変なのではないかと思います。


 トランプ政権への落胆は出ていますが、昨日発表された消費者信頼感度指数のように米国経済好調の数字は出てきています。新政権による経済刺激策は特別打たなくても、好調さが伝わる米国経済。そのあたりを冷静に見ていきたいところです。

 4月から日米経済対話が始まります。こちらから実務的なことが色々出てくるはずですので注目です。


 さて、ドル安傾向になったもう一つの背景が通貨ユーロの反転だと思います。
 今年は、欧州政治リスクの年と、ずっと言われてきました。共同体ではなく自国ファーストの閉鎖主義への動きからユーロ体制崩壊懸念がありました。

 そんな中で、オランダ議会選挙は、現政権が最大勢力を保ち、一定の安心感を与えました。

 最大の関心事のフランス大統領選も、ユーロ離脱派と言われるルペン候補の支持が伸びず、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン氏(前・経済相)の躍進が伝えられます。そんな中、ルペン候補は、ユーロ離脱等に関する自身の政策を緩めてきてもいます。ちなみに、躍進のマクロン氏にも不倫疑惑浮上などという「よくある」報道もありました。もしも、そんなことがあったとしても、この辺りに、フランスは比較的寛容ではないかと想像しますし、大恋愛の末結婚した愛妻がおられるようです。
 フランス大統領選挙の第一回目投票は4月23日、2回目投票が5月7日です。


 一方、ドイツも今年は選挙の年。9月に連邦議会選挙があります。最近行われた州議会選挙では、メルケル氏のCDU(キリスト教民主同盟)が圧勝。
 CDUとライバルのSPD(社会民主党)の支持率が最近縮小してきたいたので、今回の結果は多少の安心感を与えています。


 ユーロ圏の政治リスクが重しになって、ユーロ・ドル相場は、一時は1ユーロ1.04割れまでありました。ここへ来て、1.09まで戻してきているのは、上記の政治リスク懸念の後退、また米国サイドでのトランプ・スランプによるドル安、更に、ユーロ圏経済のデフレ懸念の後退で、ECBのインフレ目標に近づきつつあることから、金融量的緩和政策のテーパリング期待があります。
 3月9日のECBの政策決定会合後の会見以来、通貨ユーロはほぼ全ての主要通貨に対して上昇しています。また、通貨の反転と共に株式相場の堅調も目立つ昨今です。


 欧州の政治動向がカギを握る、と注目されている今年。懸念は後退しつつあるようですが、選挙は水物。7月に満期を迎えるギリシャ債務の問題が蒸し返される可能性もあります。


 船出したばかりのトランプ政権の運営はどうなる?
 油断禁物の欧州、長期安泰大丈夫?の安倍ジャパン?
 今年は、どこも、政治が鍵を握る年になりそうです。


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