セクタースクリーニング

 今年の年初来セクターパフォーマンス(11月17日現在)は、下記の通りです。
 年初はデフレ脱却期待から「今年は小売を中心とした内需が盛り上がる」という話をよく耳にしましたが、ふたをあけてみれば消費は強くありませんでした。株価的にもセクターパフォーマンスが示すとおり、年初から大幅に落ち込んでおります。

 一方、パフォーマンスが良かったセクターは、医薬、電力、食品など、いわゆるデフェンシブといわれる部類のセクターでした。
 成長株投資を基本スタンスとしている投資家の方たちは、対ベンチマークで相当苦戦した(あるいはしている)年だといえるのではないでしょうか。

■年初来セクターパフォーマンス(11月17日現在)

 1)医薬     15.5%
 2)電力ガス   14.3%
 3)輸送機器   13.7%
 4)食品     12.9%
 5)その他製造  10.6%
 6)精密      9.1%
 7)電気機器    2.7%
 8)鉄鋼      1.5%
 9)不動産     0.7%
10)ゴム     −2.4%
11)金属     −2.4%
12)水産     −4.4%
13)化学     −4.7%
14)保険     −5.0%
15)陸運     −5.1%
16)海運     −5.2%
17)機械     −6.2%
18)ガラス    −7.2%
19)情報通信  −10.2%
20)紙パ    −10.6%
21)石油    −12.9%
22)非鉄金   −13.7%
23)銀行    −13.9%
24)鉱業    −14.1%
25)倉庫運輸  −14.9%
26)サービス  −15.9%
27)繊維    −18.2%
28)建設    −19.9%
29)空運    −19.9%
30)卸売    −20.8%
31)証券    −21.5%
32)小売    −25.6%
33)その他金融 −37.9%

参考 TOPIX −5.6%

 さて、以前もご紹介しましたが、「人気の無い銘柄群は、投資対象として非常におもしろい」ものです。これも以前の繰り返しとなりますが、期待値が低い分、「改善の兆し」や「実際の改善」が見られた時の株価の変化が、大きくなりやすいからです。人気のない銘柄へ投資するにあたっての、注意点といたしましては、
・「業績面に変化の兆し」が見え、株価が安いと感じることが大前提。(来期の業績を作ってみて、PERで判断する)
・足元の状況が悪いようだったら、株価がどの程度下方修正や下振れを織り込んでいるかを考える必要があります。(足元を踏まえ、今期の業績を作り直し、PERを算出して判断)

「人気のない銘柄」を見つけ出す手順は、以下の通りです。

■手順

1)昨年度のパフォーマンスが悪かったセクターを把握する。
2)その悪かったセクターにおいて、パフォーマンスが悪かった銘柄を把握する。
3)上記に加え、カバーしているアナリストが「売り」をつけていれば、尚好ましい。

 つまり、昨年パフォーマンスが悪かったセクターの中で、パフォーマンスが悪かった個別銘柄を探し、なおかつその銘柄の担当アナリストの多くが「売り」をつけていればかなり嫌われている銘柄だと分かります。

 そこで、一番最初にあげたセクターパフォーマンスに戻ってみましょう。
 パフォーマンスが悪かったセクター内で、パフォーマンスが悪かった銘柄群は下記の通りです。

〓その他金融〓
1)アプラス    −72.3%
2)日本信販    −69.7%
3)ロプロ     −64.8%
4)アイフル    −63.9%
5)OMC     −63.0%
6)ニッシン    −59.2%
7)三洋信販    −54.6%
8)ジャックス   −51.2%
9)プロミス    −50.3%
10)武富士    −48.3%

〓小売〓
1)ネットプライス −76.3%
2)99プラス   −72.1%
3)セシール    −65.5%
4)ニッセン    −60.8%
5)レインズ    −57.3%
6)UA      −56.0%
7)西友      −52.7%
8)ベスト電器   −51.1%
9)ナフコ     −48.0%
10)アスクル   −41.7%

〓卸売〓
1)ネクサス    −74.3%
2)ITX     −61.6%
3)ソフトバンク  −54.9%
4)ニイウス    −49.4%
5)黒田電気    −47.6%
6)TZONE   −47.1%
7)三井鉱山    −40.6%
8)ネットワン   −39.6%
9)加藤産業    −36.9%
10)兼松     −36.7%

〓繊維〓
1)クラボウ    −39.1%
2)ユニチカ    −38.0%
3)三陽商会    −37.1%
4)オンワード   −35.6%
5)サンエー    −28.9%
6)ホギメディカル −28.7%
7)グンゼ     −28.7%
8)東洋紡     −21.5%
9)日本毛織    −17.2%
10)東京スタイル −16.5%

〓サービス〓
1)DAコンソーシアム −74.5%
2)総医研       −64.5%
3)アイロム      −62.4%
4)楽天        −56.3%
5)トランスコスモス  −51.3%
6)サイバーエージェント−50.8%
7)ニチイ学館     −43.1%
8)T&G       −40.1%
9)帝国ホテル     −39.7%
10)CCC      −38.9%

 下がっているのにはわけがあるのでしょうが、PBRや配当利回りでみて魅力的な水準にある銘柄もあります。買ってすぐに上がるというわけにはいかないかもしれませんが、長期投資を前提にした場合面白い投資先もみつかるのではないでしょうか。株価が高値を更新し更に上値を狙うような株に投資するのも良いですが、「嫌われている、見放されている、期待値が低い」企業に投資するのも長い目で見た場合、意外と良いパフォーマンスを生み出す可能性があります。

(佐藤 貴士)

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仲間と共に理想社会への投資をはじめよう!
−投資活動によって理想社会を実現する−

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

CEATEC 2006

 10月3日から6日まで、CEATEC(アジア最大級の情報・通信・エレクトロニクスに関する国際展示会)が開催されました。来場者は、前年に比べてやや減少したようですが、悪天候の要因が大きかったようです。本日は、見学したブースの中から、気になったものをいくつかご紹介したいと思います。

■フラットパネル

1)液晶
 フルHD対応の機種が目立ったことと、42インチ以上の機種が目立ったことが印象です。画質はやはり、シャープやソニーが良い印象を受けました。厳しい価格競争の中、大型化、フルHD化に活路を見出しているのだと思いますが、一方で42インチ以上のTVが入る部屋は結構限られているのではないか、とも思いました。少なくとも、我が家で42インチは置けません。。。

2)PDP
 パイオニアがコントラスト比2万対1以上の機種を展示。実際綺麗な画質でしたが、ブース全体が暗かったこともそれを後押ししていた面もあるような気がしました。ハイエンド製品を高価格帯で売る戦略のようですが、全体の価格が下がれば下がるでしょうし、価格が高いということで消費者の選択枠から外れてしまうリスクもあるように思います。ニッチな市場を狙うということであれば、良いのでしょうが。松下もこれまで同様、綺麗な画像でした。

3)リアプロ
 数年前は株式市場でホットだったリアプロですが、ここのところは低迷していました。ただ、今回ビクターによって展示されたリアプロは好印象でした。これまでリアプロの欠点だといわれていた、奥行きを27センチまで短くすることに成功。これでも液晶やPDPにはかないませんが、ずいぶんスリムになった印象です。世界最大となる110インチのモデルもなかなか綺麗な画質でした。

 全体として大きな変化があったというよりは、これまでの1)大型化、2)フルHD化の流れの一環だったような印象です。


■次世代DVD

 ブルーレイ、HDDVDともにいえるのですが、綺麗な画像だけど価格が高い。。。次世代機を購入する以前に、家のTV自体がハイビジョン対応でなければならない。こういったことを踏まえると、普及は当然先になると思います。PS3の発売により、ブルーレイの再生機という意味合いでは徐々に広まるのでしょうが。松下のブルーレイレコーダは2層ディスクに対応していますが、一方ソニーは間に合わなかったようです。若干技術的な差がでているようです。


■電子部材

1)HDDヘッド
 TDKがCPP型GMR素子を用いた再生ヘッドと、ディスクリートトラック媒体を用いて、437Gビット/平方インチを達成。その2日前にはシーゲートが421Gを達成していましたが、わずかに上回る結果を示しました。

2)リチウムイオン電池
 村田製作所が参入を表明しておりましたが、ターゲットとしたい市場は工具、電動自転車、ハイブリッドカーなどのようです。正極材であるマンガン酸リチウムの開発に成功し、粒子径の小型化を実現した。これにより、高容量化を見込めるようになったもよう。


■番外編 ムラタセイサク君

 個人的にはこれが一番印象的な展示でした!皆さんもTV等で一度はご覧になられたことがあると思いますが、初めて生で見させていただきました。これがすごい。坂道を助走なしに登り上げ、車庫入れにも成功、そしてS字カーブも難なくこなしました。ブースもものすごい人だかりでしたが、見る価値があった展示でした。

(佐藤 貴士)

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競合状況を決定する要因

■はじめに

 企業活動を行う際、必ず付きまとうのが「競争」です。企業、株主にとっては厄介なものですが、消費者側からすると競争してくれなければ価格的にも製品的にも、魅力的なものが出にくくなる恐れがあります。その競争に付きまとい、企業の収益環境に最も影響を与えるものが、「価格の下落」です。競争=価格下落といっても過言ではないかと思います。価格をいかに維持するか、価格が下がるならそれをどのように補うのか、これらはいつの時代も企業にとって重要な判断事項になっていると思います。

■業界構造を読み解く

 競争状況を調査・判断する上で、参考になるのがポーター教授があげたファイブフォース分析です。「5つの力(ファイブフォース)」がどのように作用するかを読み解くことで、その業界の競争状況と収益的な魅力度を理解しようというものです。ファイブフォースとは、下記の5つをさしています。

A.新規参入の脅威
B.競争業者との競争状況
C.買い手の交渉力
D.売り手の交渉力
E.代替品の脅威

■新規参入の脅威

 当たり前の話ですが、競争業者が増えれば増えるほど競争は激しいものとなります。伸びている業界、儲かっている業界であればみんな参入したいと思うものです。「参入」、「参入しない」という判断に、最も大きな影響を与えるのが「参入障壁の有無(もしくは高さ)」になります。例えば、
1)規模の経済性が働くかどうか(後発は不利になる)
2)製品的な差別化(ブランド力等)
3)巨額の投資の必要性(設備、研究開発等)
4)流通チャネルの確保
5)技術力

これらそれぞれの程度を測ることで、新規参入予備郡は「参入、不参入」を決定するでしょう。参入障壁が低く、新規参入が手軽にできる業界はプレイヤーが多く、競争が激しい傾向にあり、収益性は低くなる傾向にあります。

■競争業者との競争状況

 新規参入が限定的でも、既存の競争業者が数多く、競争が激しいようですとやはり収益性は低いものになりかねません。既存の競争業者との競争状況を読み解くのに重要になる点が、下記にあげたものです。

1)競合社数
2)業界の成長速度(市場が成長していないのなら、既存のパイの取り合いになる)
3)固定費の高さ(稼動を優先させてしまい、結果として単価下落を招きかねない)
4)製品の差別化のしやすさ(難しいのであれば、単価勝負となりかねない)
5)撤退障壁の高さ(撤退コストの高さ、既存設備が使いまわせない等)

これらの程度を調査することで、業界内の競争を図ることが可能になると思います。

■買い手の交渉力

 ここでは、自分たちの提供する製品・サービスを、購入してくれる相手のことを「買い手」と呼びます。その買い手の交渉力を決定付ける要因は、下記になります。

1)買い手が集中し、売り手にとって大きな割合を占めている
 (その1社が業績に与えるインパクトが大きい等)
2)買い手の購入する製品が、買い手のコストに締める割合が大きい
 (目立つコストは真っ先に、値下げの要求がきてしまう)
3)製品の差別化の有無
4)買い手が川上統合に乗り出す姿勢を見せているか
 (売り手に取れば、顧客をなくすリスクが発生。相手に交渉力をもたれてしまう。)
5)売り手の製品が、買い手の製品の品質に与える影響
 (能力を左右する部材であれば、買い手は強気になりきれない。)

■売り手の交渉力

 ここで「売り手」とさしているものは、原料を仕入れる業界となります。その売り手の交渉力を決定図ける要因は、下記になります。

1)売り手の業界が集約されているか否か(集約されていれば交渉力は増す)
2)代替品との競争の有無(全くないようだと、交渉力は増す)
3)売り手にとって「買い手」が重要な顧客か
 (大きな顧客、もしくは今後そうなる可能性の有無)
4)売り手が川下統合に乗り出す可能性の有無

「買い手の交渉力」、「売り手の交渉力」の両方の項に重要になってくる点が、その時々のその製品の需給です。基礎的な交渉力の強弱は上記のチェックポイントで測れますが、それプラス「その時々の製品の需給」が交渉力を左右する重要なファクターとなります。

■代替品の脅威

 これは字の通りで、同程度の機能、もしくはそれを上回る機能で、魅力的な価格を保持する製品の有無になります。

ここまでにあげた、5つの事項がそれぞれどのようになっているのかを読み解き理解することで、競争状況の把握をすることができます。そしてその競争状況から、単価の下落が今後加速するのか、それともキープできるのか、はたまた値上げが通るのかということを考えるヒントとなります。単価の見通しは、企業の収益性に直結するので、業績見通しに非常に重要となってきます。

(佐藤 貴士)

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日々雑感

■まえがき

 PCにせよ、DVDにせよ、将来の需要予測をすることは非常に難しいものだと思います。当てようと思ってもなかなか当てにくいものだと思います。こういったトレンドをかなりの精度で予見できれば、セットメーカーのみならず、それに関連する部材各社の業績動向を当てやすくなるのだと思います。
 が、現実問題、1年先、数年先のこういった動向を当てることは、やはり難しいのだと思います。「何で〜%伸びるのか?」という問いに対して、明確に答えることが非常に難しいからです。

 このような需要予測を片目で気にはしつつも、今後のトレンド的に「まだ普及率が低く、今後置き換えが更に進みそうな製品(もしくは部材)、数が増えそうな部材」に注目しておくことが、投資をする上で良いのではないでしょうか。普及率さえ低ければ長期的な視点で見た場合、普及率の高い製品群よりも成長トレンドが描きやすいのではないでしょうか。

■新製品の多くは既存製品のリプレイス

 毎年さまざまな企業が、新しい製品やサービスを世に出しています。しかし、これらの多くは既存の製品やサービスを置き換える役割を担うものがほとんどです。A市場がB市場の一部を奪い、その数年後B市場はほとんどなくなってしまった。こういったケースが多々見られます。

新製品      旧製品
デジカメ     銀塩カメラ、使い捨てカメラ
MP3      CD、MDウォークマン
DVD      ビデオ
PDD、液晶TV ブラウン管TV

 既存製品の問題点を改善することで消費者の満足度を上げる、新しい機能を盛り込んだ製品へ移行することで、製品単価も既存製品より上げることが可能となります。初期コストの規模にもよりますが、企業収益にプラスをもたらす可能性がおおいにあります。企業も新製品なりサービスを打ち出す際、「何かを置き換える」ということを念頭に置いたほうが市場規模の推定がしやすい。そして、そこで一定のシェアを取るという前提を置くことで、売上高の見通しを立てることが、わりとやりやすいのではないでしょうか。これは、投資家サイドからも同じことが言えます。

■普及率がすでに高い製品の場合、市場が成長するには

1)購買層が広がる(人口増、普及していない国への進出)
2)ハイエンド化が進み、製品単価が上昇する
3)一人複数台買う
4)買い替え需要増

といったことが考えられます。仮にこういったことを考えることが難しいのであれば(2、3は難しい。。。)、同市場に属している企業がなすべきことはただひとつ、

「市場内でライバルとの競争に負けない」

ということだけです。
 仮に、属している市場が別の代替品に侵食されるおそれがあるようでしたら、それらもまたライバルとなってしまいます。

 部材メーカーの業績予想をする際、どうしてもある一定の最終製品の前提が必要になってくると思いますが、それを考えるのは非常に難しい。適当に作っても根拠に乏しく、説明が難しい。こういうことをここ最近ずっと考えていたのですが、それを打破するひとつの方法が、「普及率が低い、リプレイス製品に基本的に着目をする。
 一方、予想が難しい最終製品の動向は、足元をチェックし続けることで3ヶ月先、できれば6ヶ月先ぐらいまでを大雑把に考えてみる」っということでした。

 また今後も迷うことになるのかもしれませんが、ある一定の回答を出せたことで若干ほっとしております。以上、日々雑感でした。

(佐藤 貴士)

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株価調整局面におけるバリエーション

 TOPIXは調整局面が続いておりますが、IBESコンセンサスなどで株価を見た場合、結構よい水準まで下落した銘柄も多々あるように思えます。
証券会社の営業の方、アナリストの方からも、
「PERでみれば、下落の余地は〜%程度に限られる。絶好の買い場!!」
っというようなコメントも聞かれます。

ただ、ここで1つ気をつけなければならないことがあると思います。それは、

「本当に業績の見通しは、株価の下落前と今で変わっていないのか?」

っということです。

1)見通しが変わっておらず、株価だけが下がっている。
2)見通しが変わって(悪い意味で)、株価が下がっている。

1)の場合は、確かに株価は確かに安いのかもしれません。
ただ、2)の場合は株価は一概に安いとはいえないと思われます。

「その変わった見通しでのバリエーションがどうか」

っということを判断する必要があるからです。

しかも、モメンタムが悪化した場合は、変わった利益見通し幅以上に、株価が下落する場合が多く、バリエーションは切り下がる傾向にあります。
更に、下落前に高めのバリエーションがついている場合は、一度下がりだすとなかなか落ち着く下値が見えてきません。

 例えば、下落前にPERが100倍だったとすると、半値になった50倍でも絶対基準でみると、「安いとは言えないなぁ」っと思ったりするものだからです(上昇局面では、過度なバリエーションを適当な成長率で誤魔化し、無視していたにもかかわらず!!です)。

 こういった銘柄は新興市場に多く、現在のTOPIXに対して新興市場が大きく下げている原因はこのあたりにあるのだと思います。

〓本日の主張〓

1)業績見通しに変化がなく、株価だけ下がっているケースは狙い目。
 (当たり前!!そしてそんな都合の良いケースは、そうそうあるものではない!!)

2)株価が大きく調整するには、それなりの訳がある。
 (見通しが曇ってきた、あるいは期待値が高すぎた等)

3)常に足元などの現状把握に努め、業績見通しを見直す。
  そして、現状の株価を判断する。
 (これをしないと保有株の下落時に、買い増しor売却などの判断ができない)

4)3)を怠った状態でスクリーニングをかけると、全く意味のない結果に終る
 (ぜ〜んぶ、安いものだらけになる。が、そんなことはありえない)

5)株価の声にしっかり耳を傾けましょう。

(佐藤 貴士)

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競争優位性

 製品にそれほど差があるわけではないが、何故か独占に近い状況にあり、2番手が伸び悩んでいる市場。加えて、参入障壁がめちゃくちゃ高いわけでなく、新規参入者が出てきたものの、やはり牙城を崩せない。

「製品の差は無いと思うんだけど、何でこの企業(製品)は伸びていないのかなぁ」
 私が実際に、このように感じている市場がいくつかあります。やはりそれなりの理由があるわけで、業界、製品により様々な理由があるのでしょうが、本日は少しこのあたりについて考えてみたいと思います。

 まずは「参入障壁」という言葉から復習してみたいと思います。

■参入障壁とは

 参入障壁という言葉を辞書で引いてみると、下記のように記されています。

「ある産業に加わろうとする企業にとって、既存の企業が備えている優位性などが参入阻止要因になっていること」(大辞林)

 これを踏まえると、一般的にもいわれていますように喫茶店や床屋さんがあげられます。実際、街中を歩いてみてもかなりの店舗を確認することができます。参入障壁の低い産業の特色のひとつとして、「少人数でできる仕事で、かつ大規模な資金が必要ない」っということがあげられるでしょう。

 逆に、参入障壁の高い事業の特色としてあげられるものの代表に、「高い技術力」があげられます。確かに「高い技術力」は、参入障壁のひとつとしてあげられますが、これが全てを左右してしまうケースばかりではありません。

■技術力以外にも

「みんなが使用しているので」ということで、とある製品が選ばれることもあるでしょう。また、意外と2番手以下の企業や新規参入企業に効いてくるのは、「既存商品(先行企業による)に対する、消費者(お客さん)の慣れ」です。
(慣れるだけならかわいい方で、時に後発企業は「デファクトスタンダード」に挑まなければならないこともあります)

例えば、新聞業界。
金融系(特に証券)にお勤めされている方の多くは日経新聞を読まれると思います。日経+他紙という方もいらっしゃるでしょうが、他紙だけを読んでいる方は希ではないでしょうか。
経済紙面の充実という面だけでなく、「みんなが読んでいるから」という面もあると思います。「日経の記事が株価を動かす」っとまでは思わないにせよ、「みんなが知っていることは知っておきたい」というのが市場参加者の心情だと思うのです。

例えば、PCのOS。
「PCのハードのデザインはマックが好みだけど、ウインドウズが使えないと社会に出て仕事をする時にに支障がでそうだな。」と考える学生もいるでしょう。実際、私はマックを使ったことがないので、どれほどウインドウズと違うかはわかりません。もしかすると、このように心配するのは大げさ過ぎで、杞憂に終るのかもしれません。

ただ、こう思われただけで企業にとってはかなりの不利に働くのです。
どういう理由にせよ「一度選ばれた製品に対する慣れ」は、消費者の中で確実に積み上がって行きます。

メーカーが違うことによって、操作性が大幅に変わるものならなおさらです。

■不利な立場

 これらを覆すには、性能面や価格面で消費者に魅力を訴えなければならないのは当然ですが、性能、価格が多少魅力的という程度なら、既存の顧客を振り向かすには至らないことがほとんどでしょう。

若干魅力があるぐらいでは、変更する手間や再度慣れるまでの時間の方がもったいないですから。更に、実際に使用してみて不都合に感じるリスク、というものもあります。

繰り返しになりますがお客様がある程度満足している製品で、かつマーケットシェアが高い製品を、2番手企業や新規参入社が切り崩すことは相当労力がいるものだと思います。
(B to Bなら、2番手企業は複数購買を理由にある程度、お仕事ができるでしょう。)

魅力的な価格を打ち出したり、莫大な広告宣伝を行ったとしても、これらの戦略はトップ企業が有利です。
なぜなら、その事業でより多くの利益が出ている企業はトップ企業で、ライバルが価格(体力)勝負に持ち込んだとしても、同程度のことをすることはさほど難しくないのです。

むしろ、ライバル達の消耗の方が激しくなる可能性のほうが高いのです。
もともとの売上に差があるのですから、2番手以降が苦しい思いをするのは目に見えています。
加えて、過度な価格戦略は業界自体を破壊してしまう可能性もあります。
互いがノーガードの打ち合いのような状態になり、業界として利益が得られなくなってしまうのです。

結果、顧客(消費者)だけが恩恵を受けるケースも出てきます。
消費者としては嬉しいものですが、株主としては複雑な気分になってしまうでしょう。
(戦略的な値下げによる価格下落によって、普及が加速したりアプリケーションが増えるケースはこれとは別)

一度構築されたトップ企業の競争優位性を、2番手以下が覆すことは相当なパワーを要します。

この点を常に留意しながら、企業に取材をする必要があるでしょう。
調子が良すぎる話は、割引いて考えることが投資で大やけどをしない秘訣かもしれません。やはり、強いのにはそれなりに訳があるものなのです。

(佐藤 貴士)

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IPO株の研究

JUGEMテーマ:株・投資


 本日は、6月8日(木)に上場予定の神戸物産(3038)の研究です。
毎度のことではありますが、上場前ですので限られた情報ではありますが、同社への理解を深めるのに少しでも役立てればと思います。

■ビジネス

 業務用スーパーで日本一。
05年10月末での店舗数は363店舗で、その多くはフランチャイルズです(直営店舗は3店舗のみ)。
01年10月末でのフランチャイルズ店舗数は36店舗でしたが、その数は4年で10倍にまで増加しています。
同期間における売上は、25倍増。経常利益は43倍増です。
経常利益率(2〜3%)は決して高い水準とはいえないが、この期間で赤字決算は一度もありません。

 喫茶店や小規模レストランが顧客の業務用スーパーですが、実は一般消費者も彼らの大事な顧客です。
実際、売上の60%は一般消費者からきているのです。

〓売上構成(ラフなイメージ)〓
               売上     粗利
プライベートブランド    30%     60%
一般ブランド        65%     20%
ロイヤリティー収入      5%     20%

プライベートブランド構成比がどのように推移してきたのか、どんな感じで伸びてきたのかというデータは執筆時までに入手できませんでしたが、やはり自社開発品のほうが採算は良いようです。

〓ライバル〓

 業務用スーパーという観点でのライバルは、トーホー(8142)、ハナマサ(非上場)、アクト中食(非上場)です。
彼らの売上、店舗数は下記のとおりです。

           売上     店舗数
トーホ     36,300     90
ハナマサ    28,300     62
アクト中食   21,700     72
(神戸物産)  76,494    362

(※トーホーの売上は、業務用スーパー部門のみです。)

 上記のように神戸物産は、他社と比較しても圧倒的な規模を誇っています。
プライベートブランド製品を中国で製造するなど、コスト競争力を高めている点も評価できます。

しかしながら、彼らの顧客には一般消費者も含まれます。
先程もあげました通り、60%の売上は一般顧客からくるのです。
確かに業務用スーパーでは圧倒的な規模をほこりますが、実はライバルは業務用スーパー業界だけではないのです。

みなさまもお気づきの通り、セブンアイやイオンといったGMSや町のスーパーも当然ライバルとなりえるわけです。
「業務用スーパーで圧倒的な地位」っということだけにフォーカスしすぎると、見間違える可能性があります。

人は不景気になっても食べることは止めません。
そういう意味では、不況期に急激に売上が落ちるというリスクはないのかもしれません。ただ、ライバル社がかなり多く、プライベートブランド構成比が高いことを加味したとしても採算面を上げていくのはそれほど簡単でないことをおさえておくことは必要です。

■業績推移
(百万円)     売上     経常    純利   EPS
04.10(実) 50,898 1,607 1,087 
05.10(実) 76,494 1,934 1,198 
06.10(予) 98,000 2,522 1,572 ¥188

 同社の業績を見通す中で一番重要な点は、いうまでもないですが出店数です。フランチャイルズ出店の見通しはどうなのか、ということが売上成長を予測する上で重要になってきます。最初の方にもあげたように、あたりまえですが出店数と売上増はリンクします。そして、同社は今のところ赤字決算はありません。

「今後、年に何店舗ぐらいずつ出店するのか。
 出店余地はあとどれくらいあるのか。
 中期的な目標出店数はどれくらいか。
 それらの目標が達成される角度、見通しはどうか」

このあたりをおさえる事が、中長期的な業績を抑える上で重要だと思います。

 今のところ月間50ほどの、フランチャイルズ出店の引き合いがあり、そのうち20%程度が成約しているようです。
会社側には未確認ですが、「中長期的には1000店舗程度が目標なのでは?」と指摘されるアナリストもいらっしゃいます。

 これを踏まえると出店余地、店舗拡大はまだ続きそうで、売上成長はしばらく続きそうです。歴史的に赤字がないということを踏まえると、その売上成長が利益成長に繋がる可能性は高いでしょう。

ただ、PERはやや高いというのが正直な感想です。
20%程度の利益成長を見込めば、PEGは1.3倍ですが、利益率がそれほど高くないだけに安易に成長率を高くするのは危険かな、という印象です。
(佐藤 貴士)

<スローガン>
仲間と共に理想社会への投資をはじめよう!
−投資活動によって理想社会を実現する−

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

BIG ISSUE

JUGEMテーマ:株・投資


 みなさん、「BIG ISSUE」という雑誌をご存知でしょうか。
本日は、株の話とはまったくかけ離れてしまいますが、この雑誌・活動についてお話したいと思います。

■「BIG ISSUE」とは

 イギリスから始まり、世界各地(24ヶ国)に広がっている、ホームレスの方が路上で販売している雑誌です(月2回刊)。この雑誌の目的は、ホームレスの方々の仕事を作ることにあります。
 仕組みとしましては、まず1冊200円(売価)の雑誌を10冊無料で受取り、ここから得られた売上げ2000円を元手に、その後は定価の45%(90円)で雑誌を仕入れ販売(200円)する。そして、差額の110円がホームレスの方の収入となるわけです。

 そして、まずは、1泊1000円前後の簡易宿泊所などに泊まり、路上生活からの脱却を図ります。1日、25〜30冊程度販売すれば可能なようです。次のステップとしましては、自力でアパートを借り、住所を持つ。これには、1日35〜40冊を販売し、毎日1000円程度を貯金、7〜8ヶ月で敷金を作ることが必要になります。そして、最終ステップとして、その住所をベースに新たな就職先を見つけ出すのです。実際、第50号(最新号)のP24には、この活動を通して職を見つけられた方が出ています。

 私はこの雑誌をTVで知ったのですが、その番組によりますとこの雑誌でしかインタビューを受けない海外のアーティストもいるそうです。フリーペーパーとは異なり、お金を取るのですからコンテンツの魅力を高めることも必要だと思います。こういったアーティストに追随する方が、もっと増えてくれば部数増に繋がるかもしれません。僭越かもしれませんが、再度社会で働きたいと強く願う方々を、「BIG ISSUE」を購入することで微力ながら応援できればと思います。

 一億総中流階級という社会はありえないだろうし、所得的な格差はあって当然だと思います。しかし、望めばチャンスは全ての人々にある社会であってほしいと願います。

(佐藤 貴士)

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ベストブライダル(2418)の分析

JUGEMテーマ:株・投資


 時価総額は330億程度でそれほど大きくありませんが、逆に同業他社の中でも成長余地が大きく期待できる企業です。

■ サマリー

 当社は、ゲストハウスウエディングと呼ばれる結婚式を手掛ける企業です。ゲストハウスウエディングとは、今までのホテル、結婚式場での挙式とは違ったスタイルで、邸宅(ゲストハウス)を貸しきって開かれる挙式です。
 式を挙げるカップルは、自分達の大事な家族、お客様、友人を貸し切った邸宅に招き、食事をしていただきくつろいでいただくのです。

 ベストブライダルは、そのような空間(チャペル、ゲストハウス)、自前のシェフによる食事を提供する企業です。

〓ビジネスモデル等〓

まずは施設を保有しなければ、ビジネスが始まりません。
そのような意味では、装置産業だと言えるでしょう。
05年12月現在、彼らは8つの施設に22のゲストハウスを保有しています。
(多くの施設は、マルチゲストハウスで展開しています。)
投資額は1ゲストハウスあたり、大体5.5億〜6億円です。
(同じゲストハウスだと顧客が飽きるので、定期的に(約3年)リモデルを行っています。その費用は、1ゲストハウスあたり3000万円〜5000万円です。)

先行投資が大きく、建設当初は減価償却費が嵩み利益を圧迫しやすい格好です。
当たり前ですが、常に高い稼働率を維持する必要があります。

今までの投資は、すべて彼らのバランスシートで賄われています。
SPCは使っていません。彼らのバランスシートがライバルと比較して悪く見える理由はここにあります。
(有利子負債70億円、自己資本比率24.2% 05年12月末)
しかし、当社は今年もしくは来年にSPCを設立することを決めました。
見た目上のバランスシートは、オフバランス化により将来的には改善するでしょう。

彼らの事業セグメントは、1)国内事業、2)海外事業の2つに分かれます。
国内事業は全体売上の78%を稼ぎ、利益の開示はありませんが、私の予想ですと90%程度の利益は稼いでいると考えられます(05年12月期)。
海外での挙式は、比較的少人数で開かれることが多く、挙式数の割りには売上が立ちにくい。手間の割りには利益貢献はないだろうと考えています。

それでは、具体的な数字を見ていきましょう。
今期(06年12月期)の会社計画は下記のとおりです。

〓06年12月期 会社計画〓〓

(百万円) 売上     経常利益    純利益   EPS
1Q    3,400   −200
2Q    6.200  1,070
3Q    5,200    500
4Q    7.700  1,530
トータル 22,500  2,900  1,450 35,539

挙式の業界は季節性があり、毎年1、3Qの業績は弱く、逆に2,4Qは強い傾向にあります。当社が、四半期ごとに会社計画を出した理由は、この季節性を正しくマーケットに理解してもらうためでもあります。

〓06年12月期の前提〓

             (上期)       (下期)
            1Q   2Q   3Q   4Q
1)単価            昨年と同じレベル
2)挙式数
   国内         2,000    3,000
   海外         1,400  2,200−2,300
3)稼働率            72%−75%
4)新しいゲストハウス数 4    4    3    0

06年12月期の会社計画はとても保守的だと考えます。
理由は、下記の5点です。

1)1月の段階で、すでに今期計画の62%のオーダーを完了しています。
  (前年は、1月で54.4%だった。)
2)足元の単価は若干ではありますが上昇傾向ですが、横ばいで計画してます。
3)新しいゲストハウスでの挙式数を保守的に見積もっています。
4)コストダウンを計画に織り込んでいません。
5)税率を50%と、保守的に織り込んでいます。

経営陣の認識といたしましても、この会社計画は保守的なものと考えているようです。

〓足元の状況〓

売上、利益ともに会社計画線で推移。
新しいゲストハウスの建築も計画線で進んでいます。

〓中期経営計画〓
        売上  経常  純利益   新GH 設備投資 減価償却
06.12予 225億 29億 14.5億  10  60億   8億
07.12予 280億 40億  20億    9  50億  11億
08.12予 320億 50億  25億    6  40億  13億
GH=ゲストハウス

この計画によりますと、利益成長をそれほど見ていないことになります。
(やはり、税率も50%で保守的です。)
しかし、私はもしこの売上計画が達成されれば、減価償却費の増加を織り込んでも、利益的にはもっと上にいくと思っています。限界利益は35%前後だと考えられますので、経常利益はそれぞれ10〜15%程度上にいくと思っています。更に、税率を調整すると純利益は20〜25%上にいくでしょう。

〓挙式の市場規模〓

ゼクシィによりますと、2005年の市場規模は2兆円。
ここ数年、市場規模は大きく変わっていないようです。

しかし、ベストブライダルの業績成長を考える上で、挙式市場全体が成長することを望む必要はありません。ただ、挙式の中でのハウスウエディング比率が上がればそれでいいのです。ハウスウエディング比率は、この2年で2.2倍になっていますが、まだまだ全体に占める割合は低いものです。

     ホテル・挙式場比率  市場規模
FY03  68.0%    1兆3600億
FY04  63.8%    1兆2760億
FY05  63.3%    1兆2660億

     ハウスウエディング比率  市場規模
FY03   6.5%      1300億
FY04  10.0%      2000億
FY05  14.7%      2900億
(ゼクシィ)

ホテル、挙式が減少傾向にあり、ハウスウエディングの比率が上がっているのが確認できます。ゼクシィによりますと、ハウスウエディングを望むカップルは70%以上だそうです。これを踏まえますと、このトレンド、「ホテル、挙式場からハウスウエディングへのシフト」は今後も続くと考えます。予算等の関係もあり、ハウスウエディングを望むカップルすべてが、シフトするとは考えませんが、大きな需給ギャップがあると思います。これは、ベストブライダルにとって非常にポジティブなのではないでしょうか。

■ 競合状況

挙式業界には、大小あわせて2850社程度が存在しています。
ただ、売上高が10億円を越える企業は、この中の8.5%程度です。
さらに、ハウスウエディングに特化している企業はもっと少なくベストブライダル以外には、テイクアンドギブニーズ、ラビス等があげられます。

この業界は設備産業で、参入障壁をあえて言うなら1)資金力、2)オペレーション能力でしょうか。
もし、既存の挙式業者がこの業界に参入したとしても、まずは減価償却費が収益を圧迫するでしょうし、オペレーションも簡単にはいかないでしょう。さらに、ハウスウエディング専業ではありませんので、投資対象としては面白くないものになってしまいます。

投資対象としては、やはりピュアプレイヤーの方がおもしろいと思います。
もちろん、大前提としてバリエーションが魅力的である必要がありますが。

■ 経営

1995年に塚田社長が設立し、1998年にゲストハウスウエディングをスタート。1999年から2005年の間に、売上を7倍に、経常利益を14倍にしました。
去年は、新ゲストハウスのオープンが遅れたことにより下方修正を余儀なくされましたが、その後の投資家や市場に対するメッセージはいつも保守的になったと感じています。(今のところは、今期のゲストハウスのオープンに遅れは見られません。計画線で推移しています。)

■ 財務

自己資本比率が24.2%、有利子負債も高水準です。
レバレッジがかかっていることから、ROEは25.1%と高水準ですが、バランスシートはいいとはいえません。
フリーキャッシュフローも赤字が続いています。

ただし、継続的な黒字とSPCの設立によるオフバランス化で今後のバランスシートは改善傾向になると考えています。フリーキャッシュフローも再来年あたりから、黒になるのではないでしょうか。

■ バリエーション

株価        ¥808,000
EPS 06.12 ¥ 42,926
    07.12 ¥ 60,487
PER 06.12   19倍
    07.12   13倍
成長率        15%
PEG        1.3

〓ポイント〓

1)ゲストハウスウエディングへのシフト
2)ピュアプレイヤー
3)収益性
4)保守的な会社計画
5)バリエーションが魅力的
6)きちんとカバーしているアナリストが少ない(いない?)

■ リスク

新ゲストハウスのオープン遅延。

(注:このノートは、約1ヶ月前に執筆されたものです。株価は除く。)

(佐藤 貴士)

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アルペン(3028)

JUGEMテーマ:株・投資


前回に引き続き、IPO株の研究です。

■サマリー

スポーツ用品専門店でNO.1。
1972年に設立され、現在3つの業種を展開しています。

1)アルペン(スキー用品)
2)ゴルフ5(ゴルフ用品)
3)スポーツデポ(一般スポーツ用品)

下記がアルペンの売上構成です。

〓売上構成 05年6月期〓
         売上高    構成比
1)アルペン   488億  30.2%
2)ゴルフ5   550億  34.1%
3)スポーツデポ 517億  32.0%
4)その他     14億   0.9%
5)その他収入   41億   2.5%
合計      1612億 100.0%

目論見書からはそれぞれの利益貢献は確認できませんでした。
ただ、プライベートブランドの比率から推測することはできるでしょう。
それぞれのプライベートブランド比率は、アルペンが50%、ゴルフ5が20%、スポーツデポが10%、トータルでは25%です。

ここから、アルペンの利益貢献が一番高く、続いてゴルフ5、スポーツデポの順番となると推測できます。

05年6月末時点での店舗数は、356店舗。業種別、地域別の内訳は下記のとおりです。

〓店舗数の内訳〓
     アルペン ゴルフ5 スポーツデポ  合計
北海道   11    6     3    20
東北     3    3     5    11
関東    57   50     7   114
信越    14   11     7    32
中部    28   34     7    69
関西    23   26    11    60
中国・四国 14   14     5    33
九州・沖縄  0   12     5    17
合計   150  156    50   356

次に、スポーツ用品の市場規模の推移を見てみます。

〓スポーツ用品の市場規模の推移〓
      ウインター  ゴルフ    一般   全体
03年  1990億  4390億  1.2兆  1.9兆
04年  1980億  4440億  1.2兆  1.9兆
05年  1960億  4500億  1.2兆  1.9兆
(スポーツ産業研究所)

ここ3年、市場規模はほぼ一定に推移していることが確認できます。
次に、各企業のシェアを見てみましょう。

〓マーケットシェア 04年度〓
1)アルペン               8.1%
2)ゼビオ                4.7%(6.3%)
3)メガスポーツ             3.1%
4)ヒマラヤ               1.7%
5)ビクトリア(05年4月にゼビオが買収)1.6%
(スポーツ産業研究所)

ビクトリアの買収によりゼビオがシェアをあげてきてはいますが、アルペンはまだNO.1の座をキープしています。今期の業績予想でみても、まだまだアルペンの売上高が大きいのが現状です。業界内で良い位置にいると言えるでしょう。

       アルペン    ゼビオ
売上高   1760億   1204億
経常利益   130億    109億

■業績推移とバリエーションの比較
          売上高   経常利益  純利益
04.6      1585億 104億  31億
05.6      1612億  94億  50億
06.6(会予)  1760億 130億  73億

今期は、冬季五輪とゴルフ分野における藍ちゃん効果が業績を後押ししているようです。
最後に、同業他社とのバリエーションの比較です。

〓同業他社とのバリエーション比較〓
      EPS(今) EPS(来)  PE(今) PE(来)
アルペン 1186.25(会)   −    22.3倍    − 
ゼビオ  146.2(IBES) 171.9(同左)  26.4倍   22.4倍
ヒマラヤ 51.3(IBES)  70.0(同左)  28.2倍   20.7倍

※1 アルペンはコンセンサスがまだないため、会社予想を採用
※2 ゼビオは1:1.5の分割調整済み

来期、アルペンが減益にさえならなければ、同業他社比でも割安だといえると思います。
だから、IPOに参加したのですが、株価はそれほどさえません。。。
せめてゼビオの時価総額は越えると思っていたのですが。。。
(執筆時の時価総額 アルペン1645億、ゼビオ1850億)

いえいえ、今でもこのギャップは取れると思っております!!
ゼビオが下落することでギャップが埋まる可能性もありますが。。。

(佐藤 貴士)

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